大統領選、バイデンの悲劇
米国大統領選の直接ディベートが終わりました。
ご承知のように、バイデンの惨敗です。
彼はただの老耄の人でした。
バンデンにとってこの大統領TV討論会の目的は、トランプに勝利するというより、むしろ自分は強力な指導者としてあと4年の間、米国と世界を牽引できる政治家であることを証明するためでした。
しかし結果は逆効果の極で、とても4年はおろか、いまですら危ないという疑惑を大きくしました。
いまや世界は、「ほぼトラ」よりも「もしバイ」だったら大変だと考え始めています。
元来、親バイデン陣営だったはずの全米メディアも、ほぼすべてがバイデンの惨敗と判定しました。
たとえば、CNNは容赦なくバイデンをこき下ろしています。
「ワシントン(CNN) バイデン米大統領の選挙陣営は28日、2024年大統領選から撤退するつもりはないと表明した。ただ、バイデン氏周辺は選挙戦継続を主張する一方、幅広い民主党関係者の間では土壇場での候補者変更を求める声が出ており、討論会での悲惨な出来栄えを受けて両者の溝が広がっている。(略)
討論会でのバイデン氏の声はかすれ、口をぽかんとあけた表情が目立った。大統領が自分の考えを見失い、突然話を中断するという痛ましい場面もあった。バイデン氏のパフォーマンスは、史上最高齢の大統領を2期目に指名することに潜む政治的コストを浮き彫りにした。選挙戦から撤退するかどうか聞かれ、バイデン陣営の広報は「ノー」とコメントした。
ホワイトハウスや再選をめざす選挙陣営は自信に満ちた姿勢を打ち出しているが、支持者の間ですら、バイデン氏周辺で選挙戦を中断するよう説得できる人はいないのかと問う声が上がっている」
(CNN6月29日)
バイデン氏、討論会での低調ぶり認める 民主党内で選挙戦継続に疑念 - CNN.co.jp
バイデンは風邪気味だったそうですが、ご覧になった方はお分かりのように、次期大統領候補うんぬんというより、現職が務まるのかどうかさえ疑問をもたざるをえない体たらくでした。
この動画はユーチューブでもご覧いただけます。
CNN Presidential Debate: President Joe Biden and former President Donald Trump - YouTube
例のチェシャキャットのようなニタニタ笑いを浮かべて舌鋒鋭くディスってくるトランプに対して、バイデンはポカーンと口を拡げてハワハワという様子ですから、これだけで勝負あったです。
言っちゃナンですが、国民大衆は双方の言っていることの中身なんぞ聞いてはいません。
そんなものはあとからニュース解説でも見れば済むし、中継では候補者の身ぶり手ぶり、しゃべり方だけを見ているものです。
エネルギッシュで自信に満ちあふれていればよし。おどおどしていようもんなら、あのマッチョ信仰の国でなんと言われることやら。
ひ弱な大統領なら、外敵が攻めて来たら役立たずだということですからね。
有名な事例では、かつて挑戦者ケネディに対するニクソンは、テレビの顔色が悪いというだけで、国民からソッポを向かれました。
老耄のバイデンを見せつけられた全米メディアは、上へ下への大騒ぎとなりました。
バイデン応援団長格のニューヨークタイムス論説委員会は、翌日直ちにバイデンに対して大統領選からの撤退を求めました。
「(CNN) 米紙ニューヨーク・タイムズの論説委員会は28日、CNN主催の大統領選討論会での低調ぶりを受け、バイデン大統領に選挙戦から撤退するよう求めた。
論説委員会は「27日夜の大統領に偉大な公僕だった頃の面影はなかった。2期目に何を達成するつもりなのかうまく説明できず、トランプ氏の挑発に対して反応に苦慮した。トランプ氏のうそや失敗、背筋の凍るような計画について説明責任を問うこともままならなかった。発言を最後まで言い切れない場面が一度ならずあった」と記した。
さらに「今のバイデン氏にできる最高の公共の奉仕は、再選に向けた選挙戦を継続しない意向を表明することだ」と指摘。民主党にはトランプ氏に代わる選択肢となる「魅力的でエネルギッシュ」な指導者が複数いると訴えた」
(CNN6月29日)
NYタイムズ論説委員会、バイデン氏に撤退要請 討論会での低調受け - CNN.co.jp
同じく反トランプ陣営のABCもこう報じました。
「ジョー・バイデン大統領の最大の政治的弱点である年齢と虚弱さが、木曜日の討論会の舞台で明らかになった。バイデン大統領にとって特に低い時期に、バイデン氏は国家債務に関する質問に答える際に思考回路を失ったようだ」
(ABC6月28日)
バイデン氏の最大の弱点である年齢が討論会で全面的に露呈:分析-ABCニュース (go.com)
一方、親トランプは勝利宣言をあげんばかりです。
「トランプ前大統領が選挙戦初の大統領選討論会でバイデン大統領に決定的な勝利を収めたことで、2024年の選挙戦に関する重要な疑問が浮かび上がってきた。
対決後の大きな問題は、バイデン氏が11月の大統領選で民主党の大統領候補になるかどうかだ。なぜなら、今の討論会で問題になっているのは、バイデン氏のプレゼンテーションの不確実性、彼のかすれた声、そして彼の数々の失言だけだからです。その答えは、討論会の後、世論調査がトランプ氏の方向に劇的に動くかどうかにかかっている」
(FOX6月27日)
トランプ氏のバイデン氏に対する明確な討論会の勝利は、2024年の選挙戦について厄介な疑問を投げかける |フォックスニュース (foxnews.com)
バイデン当人も惨敗したのはわかっているとみえ、翌日のノースカロライナにおける仲間うちの党集会では、こう言っています。
「自分がもう若くないことは分かっている。以前のように楽に歩くことはできないし、滑らかに話すこともできない。以前ほど討論もうまくないが、自分が今何をしているのかは分かっている。私は真実を語るすべを知っているし、善悪を見極める方法も分かっている。大統領職を遂行する方法、物事をやり遂げる方法も分かっている」とした上で、「何百万人もの米国民が知っているように、打ちのめされても再び立ち上がることができる」と強調した」
(CNN前掲)
バイデンさん、またケタを間違えましたか。討論中もバイデン政権下で生み出された雇用が1500万人だったはずなのに1万5千人と過少に言ってしまいました。
米国の人口は3億3千万。「何百万人もの米国人」が知っていてもだめなのですよ。なんか痛ましくなるなぁ。
ところで、実はバイデン陣営はこの大統領選討論会を準備周到に準備していました。
その内幕を、親バイデン派のニューズウィークは選挙陣営の失敗だとして、こう指摘しています。
「討論会に臨むバイデン氏陣営は自信に満ちていた。トランプ氏は5月31日に有罪評決を下された。そしてバイデン氏らの側近らも驚いたことに、世論調査でずっと低迷から抜け出せなかった同氏の支持率が、その後の数週間でじりじりと上がり始めていたからだ。
顧問らは、バイデン氏がワシントン近郊の山荘「キャンプデービッド」に6日間缶詰になるという厳しい討論会準備スケジュールを組んだ。
準備に関与したのは、バイデン氏の最初の大統領首席補佐官を務めたロン・クレイン氏、前出のダン氏、長年の側近マイク・ドニロン氏などのほか、政策・政治専門家約12人だった。(略)
側近らは、トランプ氏が2020年の討論会よりもはるかに準備万端で臨むだろうと考え、矢継ぎ早に飛び出す嘘に対抗する必要があると判断した」
(ニューズウィーク7月1日)
バイデン大統領の討論会「大失敗」は側近の判断ミス|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)
なんとバイデン陣営は、6日間も大統領別荘に缶詰にし、徹底したレクチャーと模擬討論までやっていたようです。
しかしこれがかえって仇となりました。バイデンはそれまでの14日間、フランス、イタリア、西海岸などを飛び回っていて、老齢の身体には負荷がかかりすぎていたところに、休みなく缶詰にされた老体は疲労の極にあったようです。
そのうえに軽い風邪を引いてしまい「この間、バイデン氏を見た何人かの人々によれば、同氏はぐったりしていた」(NW前掲)そうです。
もはや気の毒にすらなります。
完全な選挙陣営の体調管理の失敗ですが、これを軽く見て、よくあることだと流してしまいました。
そして結果は、全米のみならず、全世界の前でこれ以上ない情けない現職大統領の姿をさらしてしまうこととなります。
バイデンが言うように、「打ちのめされてもまた立ち上がる」には時間と年齢が不足しています。
民主党は早急に新たな候補を検討すべきでしょう。
いまもっとも有力なのはカルフォルニア州知事のギャビン・ニューサムです。
「2024年大統領選挙については現職のジョー・バイデンを支持するとしているが、2023年11月30日には共和党より立候補を表明しているフロリダ州のロン・デサンティス知事との討論会に臨み舌戦を繰り広げた。こうした動きから、バイデンが何らかの理由で大統領選挙から降りた場合は自らが名乗りを上げる野心があるとも見做されている」
ギャビン・ニューサム - Wikipedia
しかし現実には不可能に等しいようです。
すでに民主党の予備選挙は終了しており、いまさら予備選挙のやり直しも効きません。
バイデン自らが立候補を止めない限り、バイデンで行くしかないのです。
そしてバイデンであることは、民主党の党内事情からいっても大変に都合がいいことなのです。
バイデンは民主党中間派です。
副大統領のカマラ・ハリスや前下院議長のペロシ、あるいは前回候補になったサンダースでは左派色が強すぎますし、中間派のバイデンは党内保守派からも嫌われないという都合があります。
つまり誰にとっても都合のいい候補がバイデンでしたから、いまさらこのバランスを崩すことは難しいのです。
実際に、カマラになるくらいなら、トランプのほうがましだと思う民主党議員も大勢いるようです。
このような党内力学でバイデンは降りるに降りられず、結局11月の本選に臨むでしょう。
しかしそこで仮にバイデンが勝ったとしても、このような老醜を示した指導者は、プーチンや、習近平、正恩からなめられるのは必至です。
そしてさらに世界は不安定化します。
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ルールどおり予備選を経て、決戦体制が整っているので、この期に及んで候補者の差し替えは考えづらいと思えます。
キーマンのオバマもバイデン批判に対し、とりなすように諫めてもいます。けど、しょせんは党内ルールですし、バイデン本人が撤退する意思を表明する場合は別です。
テッド・クルーズは「(民主党は)ミッシェル・オバマに差し替える確率が80%ある」と発信しています。ニューサムやウィットマーではなく、ミッシェル・オバマ(正)、ハリス(副)で固まるだろうと見ているようです。
また、ニッキー・ヘイリーはWSJの取材に対し、「民主党はこの件に関して賢い判断をするだろう」とトランプに警告。「共和党として準備すべき」としています。
何とも言えないですが、民主党大会は8/22だったか? 差し替えするには7月中くらいまで時間があるように言われます。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2024年7月 2日 (火) 03時12分
民主党としてはカマラ・ハリスの副大統領継続は確定なんでしょうか
私が仮に米国人だったらマシな老人がどちらか決められず、マシな副大統領候補で選びたくなります
投稿: しゃちく | 2024年7月 2日 (火) 16時00分