日本潰すにゃ軍隊はいらぬ、日銀総裁に馬鹿あてがえばよい
宮崎沖地震心配しております。いかがだったでしょうか。
南海トラフと連動するかもしれないとのこと、いやーな気分です。
南海トラフが起きたときに、立憲共産党が政権を握っていたら絶望的ですもんね。
さて昨日の続きです。
今回の世界同時株安で、わが国だけが突出した下げを見せた原因は、中央銀行のご乱心にあります。
本来、世界株安に対しては不況に突入しないように利下げをするべきを、真逆の利上げをしたのですから、アクセルとブレーキの踏み間違い。
当然さらに大暴落となってしまいました。あたりまえです。
「以上3要因のうち、日本株の突出した下落が日銀の利上げに端を発していたのは明らかである。市場の戸惑いの中心は、植田総裁の姿勢の急変である。従来の説明に基づくなら7月の利上げは考えにくかった。
植田総裁が説明してきた金融引き締めの条件、「賃金と物価の好循環」が始まっているとは到底言い切れない。5月の実質賃金は前年比-1.3%と26カ月連続の水面下にある。
秋口にはプラスに転ずる可能性はあるものの、来年まで浮上は無理との見方もある。また実質消費支出(前年比)を見ても1月-6.3%、2月-0.5%、3月-1.2%、4月0.5%、5月-1.8%とマイナス基調から抜け出せていない。こうしたことから日銀は7月の展望レポートにおいて2024年度の実質成長率見通しを0.8%から0.6%に引き下げた。植田総裁はデータ重視と言いながら、データが明らかになる前に利上げに踏み切っており、明らかに前のめりと言える」
(武者リサーチ8月4日)
植田氏は利上げした理由を、自信たっぷりに「賃金と景気の好循環が生まれている」といっていますが、うそです。
日本経済は回復の兆しを見せているだけで、実質賃金はいまだマイナスで、経済の6割を占める個人消費は低迷したままです。
Business Journal
「しかし、景気の先行きは厳しい。企業の設備投資意欲は堅調だが、個人消費は10~12月期に前期比0.3%減と、速報値の0.2%減から下方修正となった。個人消費のマイナスは3四半期連続。実質賃金は今年1月まで22カ月連続で減少しており、物価高に賃金の上昇が追い付かないままでは消費の冷え込みが続く。」
( Business Journal 2024年3月12日)
消費弱く、再びマイナスも=10~12月期GDP、2期ぶりプラス | ビジネスジャーナル (biz-journal.jp)
このような個人消費の冷え込みがあるにもかかわらず、利上げをすればどうなるか火を見るより明らかです。
たとえば変動金利の住宅ローンは一斉に上がり、中堅層は家計の見直しを迫られましたし、勤める会社もより高い金利で市中銀行から資金を調達せねばならず苦境に落ち込ます。
それを大方の市場関係者はわかっていたから、よもやこんな時期に利上げをするなどという馬鹿なことはしまいと観測していたのです。
それを植田氏は真正面から裏切りました。
「日銀は7月31日の金融政策決定会合で政策金利を0.1%から0.25%へと利上げした。債券関係者に対する事前の調査では、「日銀は利上げを見送る」との予想が74%だったので、意外感があった。
ただし、見送るという予想の根拠は、「円高基調になっているので早急な利上げの必要性が薄れた」というものだった。為替のために金利を動かすというのは、インフレ目標下での金融政策として不合理で、債券関係者の肌感覚としては見送りが妥当だったのだろう」
(高橋洋一8月5日)
植田日銀の「利上げ」は意味不明…日本経済をブチ壊し、雇用も賃金も押し下げる「岸田政権の大失策」になりかねない(髙橋 洋一) | 現代ビジネス | 講談社(1/7) (gendai.media) 。
この必然性のない植田日銀の利上げにより、日本の金融政策に対しての不信感が一気に拡がりました。
元来、植田氏は利上げ前のめり論者と見られていましたが、メディアと一部政治家が「円安阻止のために利上げをすべし」と金利政策の「正常化」を迫る中でなんとか我慢してものが、一気に崩壊したようです。
「日本株の突出した下落が日銀の利上げに端を発していたのは明らかである。市場の戸惑いの中心は植田総裁の姿勢の急変である。従来の説明に基づくなら7月の利上げは考えにくかった。植田総裁が説明してきた金融引き締めの条件、「賃金と物価の好循環」が始まっているとは到底言い切れない。
5月の実質賃金は前年比-1.3%と26カ月連続の水面下にある。秋口にはプラスに転ずる可能性はあるものの、来年まで浮上は無理との見方もある。
また実質消費支出(前年比)を見ても1月-6.3%、2月-0.5%、3月-1.2%、4月0.5%、5月-1.8%とマイナス基調から抜け出せていない。こうしたことから日銀は7月の展望レポートにおいて2024年度の実質成長率見通しを0.8%から0.6%に引き下げた。植田総裁はデータ重視と言いながら、データが明らかになる前に利上げに踏み切っており、明らかに前のめりと言える」
「円安悪玉論」が株価を殺す | 武者リサーチ (musha.co.jp)
そのうえにこのザックリ開いた市場の傷口に塩をなすり込むように、植田氏は年内にさらなる利上げをするというタカ派のメッセージを出してしまいました。
「日本銀行が追加金利を引き上げた31日の金融政策決定会合後の記者会見で、植田和男総裁は今後数回の利上げにも前向きな姿勢をにじませた。総裁発言をタカ派と受けとめた市場では、早くも年内追加利上げの見方が浮上している。
日銀が決定した政策金利の水準は0.25%程度。植田総裁は、2年以上にわたって目標の2%を超えているインフレを踏まえると、「実質金利は非常に深いマイナスにある」と何度も強調した。低い実質金利を続けることで「急激な調整を強いられる」先行きリスクに早めに手を打った対応との見解も示した。
その上で、現在の政策金利は景気や物価に景気を過熱させず冷やしもしない中立金利に比べてかなり下の水準にあり、今回の利上げは「そこの範囲での調整だ」と説明。中立金利自体に大幅な不確実性があるが、しばらくはその不確実な領域に入ることはないとの認識を示した。過去の利上げ局面において上限となった「0.5%の壁」も「特に意識していない」と語った」
(ブルームバーク7月31日)
植田日銀総裁が利上げに積極姿勢、タカ派発信で年内追加観測も浮上 - Bloomberg
本来、利上げを行った直後は、金融市場が混乱するために一定期間はフリーハンドであるべきなのですが、船が傾く嵐の真っ最中に船長がこれじゃ足りない、オレは船底の栓を抜くつもりだと言ったわけで、もはや正気の沙汰ではありません。
実はこの植田ショックを決めた政策決定会合直前に、総裁選挙にも出馬をしようという政府要人の3人が日銀に利上げを求めていました。
岸田首相を筆頭に、茂木幹事長と河野デジタル大臣などです。
「7月30~31日の日銀の政策決定会合を前には、岸田文雄首相の後継を狙う自民党の茂木敏充幹事長と河野太郎デジタル相という「ポスト岸田」候補の2人から、日銀に追加利上げを求める発言があった。その際も、日米で開いていた金利差が今後縮小するとの見通しから、円相場は対ドルで上昇している。
その後、日銀はこの政府要職2人の発言を受けるような格好で追加利上げを決めたため、市場の一部では独立性が求めらられる日銀への不信感が募っていた」
(産経9月7日)
相次ぐ口先介入で市場が乱高下 今度は日銀の内田真一副総裁、信頼性低下の懸念も - 産経ニュース (sankei.com)
呆れた不見識で、岸田、茂木と河野の3名も大暴落と円高の戦犯指定をしてよいでしょう。
また政策決定会合において、この殿ご乱心に反対したのは、安倍、菅氏が任命した2名のみで、他は岸田政権が任命した審議委員たちでした。
「利上げに賛成は植田総裁、氷見野副総裁、内田副総裁、安達委員、中川委員、高田委員、田村委員。いっぽう反対は中村委員、野口委員だった。賛成の幹部は岸田政権での任命者5名と安倍・菅政権での任命者2名、反対は安倍・菅政権での任命者2名だった。
岸田政権における任命者で総裁・副総裁を含む過半数の5名を握っている以上、現下の金融政策は、安倍・菅政権でのアベノミクス(インフレ目標下でのオーソドックスな金融政策運営)ではもうないと言ってもいいだろう」
(高橋前掲)
つまり安倍氏と黒田総裁によるアベノミクスの完全放棄です。
かくして、日本経済が30年に渡るデフレトンネルからの出口を見つけようとしていた矢先、日本経済はまた再びデフレトンネルの奈落へと転落していく危機が発生してしまったということになります。
この「植田ショック」とまで言われた大暴落を見て財務省、金融庁、日銀も青くなったと見えて、あわてて鳩首協議した結果、内田副総裁に追加利上げはないと言わしています。
日銀内田副総裁「追加利上げ慎重に考える」 市場急変動で - 日本経済新聞 (nikkei.com)
まったくいけしゃーしゃーと。内田さん、あんたも利上げに賛成しただろうって。
「日銀は7月31日の金融政策決定会合で政策金利とする無担保コール翌日物レートを0.25%に引き上げると決めた。今後の追加利上げは株価や為替の乱高下やそれに伴う経済情勢の変化といった新たな要素を考慮せざるを得ない状況になった。
7月会合後の記者会見では植田和男総裁は年内の追加利上げを否定しなかった。内田氏も否定はしなかったものの、「今後の経済・物価・金融の情勢次第だ。これまでよりも慎重に考えるべき要素が生じている」と述べた。
7月の日銀の利上げ決定後に金融市場では円高が進み、株価が下落した。内田氏は「総裁会見より後の段階で今回の市場の急激な変動が起きている。総裁と私の間に考えの違いがあるということではなくて状況が変化したということだ」と説明した」
(日経8月7日)
日銀内田副総裁「追加利上げ慎重に考える」 市場急変動で - 日本経済新聞 (nikkei.com)
とまれ植田氏を日銀総裁に据え置くことは大変に危険であり、彼こそが不安定要因の主たる原因だということがわかったということだけが、唯一の「収穫」です。
日銀は独立性を担保されているとはいえ、政府のデフレからの脱却という政策目標には従う義務があります。
岸田氏は日銀法を改正し、植田氏を解任すべきです。
といっても、自分も金融政策正常化論者ですから、無理でしょうがね。
ところで、祝杯を上げねばならない人らがいます。「悪い円安論」「金融政策正常化論」を唱えてきた野党とメディアです。
立憲は、アベノミクスに反対してきました。
たとえば日銀の異次元金融緩和政策、イールドカーブ・コントロール(YCC)政策、さらにはマイナス金利政策などにたいして常に「円安・物価高騰を招いて、国民を苦しめている」などと批判し、「金融政策の正常化」を要求していました。
「金融政策の正常化」とは、利上げのことです。
メディアも似たトーンで黒田日銀を批判していました。
立憲のネクスト財務大臣である階猛氏は、こう言っています。
「日本銀行は本日の金融政策決定会合において、マイナス金利政策の解除と、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール:YCC)の撤廃等を決定した。昨年2月に策定・公表した「新しい金融政策」など、これまでの我が党の主張に沿った動きであり、日本の経済・財政に様々な弊害をもたらしてきた「異次元の金融緩和」の転換である。
マイナス金利政策は、我々が国会審議等で度々指摘してきた通り、2016年の導入以来、期待された効果を上げられないばかりか、地域金融機関の収益悪化、そして円安・物価高騰を招くなど、弊害ばかりが目立っていた。解除の遅れが国民生活に悪影響を及ぼしてきたことは明らかで、日銀はこの点を真摯に反省する必要がある
立憲民主党 ネクスト財務金融大臣階 猛 2024年3月19日
【コメント】日本銀行の「異次元の金融緩和」転換について - 立憲民主党 (cdp-japan.jp)
植田日銀がマイナス金利とYCCコントロールを止めると言えば、これぞ我が党の「新しい金融政策」に合致するものだと喝采を叫び、これぞ黒田日銀、すなわちアベノミクスの全否定が始まったと手放しで讃美していました。いい気なもんです。
そして現実に植田日銀が「金融政策の正常化」をした結果がこれです。
唐突な利上げがナイアガラ暴落と円高を招くと、こんどは泉代表が一転してこんな批判を岸田政権にしています。
わ、はは、なにが説明をですか、日銀はあんたらの政策を実行しただけでしょうが。
その悲惨な結果がこれです。わかりましたか。
今の時期に利上げをして拙速な「金融政策の正常化」などやると、とりかえしのつかない傷を経済に与えるのです。
ま、無責任に政府追及だけしていれば済む人らには関係ないことですが。
とまれ、いままでさんざん日本経済が回復しようとすると、その出鼻を挫き、再びデフレ地獄へと突き落とし続けてきた日銀の暗い情熱が蘇ったようです。
過去2000年と2007年の2回、日本は時期尚早の財政・金融引き締めによって景気後退を深刻化させ、10年で終わるはずの失われた時代が、20年、30年と続いしまいました。
30年ですよ、30年!
一世代丸々デフレ下に置いたために、この間中国は世界一の富裕国になりおおせ軍拡に励み、日本人はすっかり萎縮して下を向いて歩くようになってしまいました。
黒田日銀と安倍氏が艱難辛苦でテフレ脱却の糸口を切り開いたのに、安倍氏は暗殺され、替わって登場したのが隠れ利上げ派の植田氏でした。
彼は黒田日銀の遺産を食いつぶし、とうとう時期尚早の利上げをしかけてこのありさまです。
日本潰すにゃ軍隊はいらぬ、日銀総裁に馬鹿あてがえばよい。
改題しました。
« 植田ショック襲来 | トップページ | わかっているのかな、長崎市、これはリッパな二重外交ですよ »
うーん、初の経済学者出身の総裁ということで、けっこう期待が大きかっただけに残念ですね。とにかく発表のタイミングが最悪でした。
学者上がりは例えば舛添要一のように政治家には向かないことが多いけど、日銀総裁なら違うだろうと。
が、やはり政治とマスコミの圧力には堪えられず折れてしまったのかと。
総裁選を前にして茂木や河野が最低な行動をしてますね。岸田総理も大概だけど、ポスト岸田がいないという自民党の人材不足です。
安倍さんが生きていたらなあ。。
投稿: 山形 | 2024年8月 9日 (金) 06時44分
宮崎県はじめ西日本で被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。
M7.1は正直微妙であります。
こちらは東北なので三陸沖の地震が定期的に来ますので、13年前のあの日も2日前にM7クラスの地震があって沿岸では1〜2mの津波で養殖筏に被害が出ました。
「ああ、三陸沖の定期便か。これでまたプレートのストレス抜けたんだろう」くらいに思っていたら2日後にズドドドーン!の大震災でした。
プレートの状況は違うでしょうが、あんなことが起こらないことを心より祈っています!
気象庁もあれで学んだようで、今回は「巨大地震警戒情報」を出してますね。
投稿: 山形 | 2024年8月 9日 (金) 07時13分
不肖このワタクシも半世紀近く株をやっていますが今回はモロに暴落を食らって数百万円の含み損を抱えてしまいましたw
市場にも利上げ論者が少なからずおりますがこの暴落では言い訳一つ聞こえてきませんね。
利上げ→株安という当たり前のコースとなりました。
株安は景気を悪化させる可能性があります。
物価が上がったからと言って利上げで景気を悪化させるとそれ以上のマイナスを引き起こします。
経済を良くするためには少々の物価高は我慢するしかないのです。
投稿: 泰山木 | 2024年8月 9日 (金) 14時58分
私は、植田総裁は伏魔殿でひとりぼっちなんだと思いますわ。株でヒドイ目に合わされましたが、植田日銀総裁の誕生した背景から考えると、私は植田総裁を買っています。
財務省(旧大蔵省)と日銀の出身者が延々と代わる代わる日銀総裁に就任してきたのを、彼らには袋小路に陥った金融ユルユル政策を転換する勇気が無く、その時の責任も取りたくなかったので敵前逃亡して、スケープゴートのごとく今回初めて学者出身の植田総裁となったんで、いずれ"利上げ"など金融正常化を打ち出すことは既定路線でした。
アベノミクスは成功も失敗もしていませんわ、モリカケサクラなどの些事でゴタゴタして第三の矢を放つことが出来なくなったんで、当然といや当然です。第一第二の矢として財政・金融政策でカネをジャブジャブにして日本経済に強力な麻酔をかけておいて、第三の矢で日本を根底から構造改革(規制緩和・撤廃など)する大手術をするのがアベノミクスでしたが、ゴタゴタしてる間に強力な麻酔は切れてしまい大手術は直前にキャンセルされてしまいました。
そして、その強力な麻酔の代金やら大手術の直前キャンセル料の請求書が届いて、「もう払うカネなんて無いよ、もう借金も出来ないよう」と、日本はさらに悲惨な状態に追い込まれたんですわ。ここでワザワザ登板して来たのが植田総裁なんで、私は植田総裁は"漢"だと評価しています。財務省・日銀が敵前逃亡したのを知っていながら、日本経済のために「火中の栗を拾う」行為に出たんですから。誰かが、それをしなければならないんですわ。
今回の"イキナリ利上げ"大暴落の責任は植田総裁にあるのは明白ですが、植田総裁は「ダマされたぁ、こういう風に極悪人にされてしまうとは!」「財務省・日銀にハメられた」「彼らから提出されたワシの手元資料には改竄されたデータが載っていたのか!」「ワシは使い捨てのコマということか」と今ホゾを噛んでいることと思いますわ。 頑張れ、植田総裁!伏魔殿に負けるな!
でも、「ただの一人の学者で終わりたくないよう、日銀総裁ってカッコいいじゃん!」って思っただけかも知れませんねぇw
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投稿: アホンダラ1号 | 2024年8月10日 (土) 00時46分