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2024年10月 1日 (火)

株価は政策選択の審判者

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岩屋氏起用について書くつもりでしたが、先にこちらから。
週明けの東京市場は一気に2000円の暴落を示しました。
ご祝儀相場という言葉はありますが、岸田氏に続き2代続けて不祝儀相場です。

「週明け30日の東京株式市場で、日経平均株価(225種)が大幅反落した。終値は1910円01銭安の3万7919円55銭で、節目の3万8000円を割り込んだ。下げ幅は一時2000円を超えた。自民党の石破茂総裁が27日に選出された後、初めての取引だった。石破氏が積極姿勢を示す日銀の追加利上げや金融所得課税強化などへの警戒感が広がり、株式市場を〝石破ショック〟が襲った」
(産経9月30日)
東証、終値は1910円安 〝石破ショック〟総裁選出後初の取引は大幅反落で終える  - 産経ニュース (sankei.com)

市場は高市総裁誕生を折り込んで円売り株買いが支配的となっていました。
あたりまえですが、高市氏の保守理念とは関係なく、氏の持論である「高圧経済」路線が好感されていたからです。
聞き慣れない高圧経済とは、飯田泰之氏によればこのような経済政策のことです。

「高圧経済論とは、金融と財政の両面から経済を需要超過にすることによって、あるいは、経済が超過需要状態にあっても金融財政両面からの緊縮を遅らすことによって、超過需要状態を継続し、短期的、長期的に経済を拡大させる考え方である。
経済を高圧状態にすることは、短期的に人や設備の稼働率を上昇させ、利益を増大させるだけではなく、さまざまな経路を通じて生産性を上昇させることが、長期的な経済の拡大につながる」
(飯田泰之 原田泰『高圧経済とは何か』)

つまり金融を緩和し続け、そして同時に財政拡大することで超過需要というプレスを経済にかけつづけます。
するとヒトと資材が活性化し、デフレを吹き飛ばす効果を期待できるというものです。
いうまでもなく、アベノミクスがこれです。

この真逆が貧血経済論とでもいうべきもので、政府が金利を上げることでカネの支出を渋り、財政は無駄を省くと称して緊縮財政を経済に課します。
いま、金融政策正常化論といわれているのがこれです。

この経済の貧血を好む者たちは、「コンクリートからひとへ」とか「里山資本主義」「足るを知る」などと耳に快い表現を使いますから、景気の底が抜けます。
これをやった典型が、かつての民主党政権です。
下図を見てください。株価は民主党に政権交代するや7000円台にまで急落し、民主党3代の期間には1万円を出ることはなく、野田政権末期には多少上昇しますが、それは民主党の終わりが近いという市場の政権崩壊期待からでした。

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第一生命経済研究所

「2000年以降の日経平均株価をみてみると、自民党の短期政権、民主党政権下では株価が低下している一方、小泉政権や第二次安倍政権の長期政権では株価が上昇している。また、支持率が低いと言われる菅政権下でも株価は上昇しており、現在は一時3万円を超えた。首相が総裁選不出馬を表明した後も株価が伸びている要因は、来る衆院選での自民党大敗リスクが後退したことで、政治が安定する期待が高まったことである」
(第一生命経済研究所l研究所 永濱 利廣)
政権と株価の関係 ~コロナ下に求められる政権とは?~ | 永濱 利廣 | 第一生命経済研究所 (dlri.co.jp)

今回も同じ心理が株式市場を襲いました。
1回目の投票で、党員票でも国会議員票でも、アベノミクスの継承と高圧経済を主張する高市氏が石破氏を上回っていたために、東京市場27日午後3時の後場終値は、高市氏の当選を確信して4万円目前の39892円まで急騰していました。
実はこの27日は金曜日という市場の終了で、本格的な市場の反応は月曜日の朝に持ち越されていました。
そして「石破ショック」の襲来です。
まさにドカーンと落ちました。

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武者リサーチ

武者リサーチの武者陵司氏は、市場経済の世界において「株価は政策選択の審判者だ」と述べています。

「これで3回目となる市場の急落と政策修正の意味するところは、市場が政策の審判官に躍り出たということである。米国では「グリーンスパン・プット」「バーナンキ・プット」など市場が急落する場面で、中央銀行が金融を緩和して市場を支えた事例が頻発したが、日本もそうした時代に入りつつある。
日本にも株式資本主義が浸透し、株安をもたらす経済政策が容認されない時代である。特にNISAにより個人資金を株式、投信等の価格変動性投資商品に誘導している今、市場の安定化が最優先の経済課題にならざるを得ない。市場の合理性により政策の可否が判定される時代に入っていく」
(武者リサーチ9月30日)
株価が審判官 | 武者リサーチ (musha.co.jp)

2020年代に入ってこれで3回目の株価ショックです。
上図をご覧下さい。1回目は2021年9月26日の「岸田ショック」でした。
この時も岸田氏は、金融所得課税を提唱して総裁に就任したこと対する株式市場の審判は就任直前の30183円から1週間で27678円へと2500円の下落を示しました。
「貯蓄から投資へ」と調子のいいことを言ってNISAを始めながら、儲かったら税金ガッポリ取るからねでは矛盾もいいところです。
さすがの岸田氏も懲りて、慌てて金融所得課税取り止め、改めて金融緩和の継続を誓ってやっと株価は下落前の水準に戻りました。

そして2回目は、今年7月31日の日銀利上げと植田総裁の利上げタカ派発言に端を発する「植田ショック」でした。
平均株価は7月31日に39101円から、3営業日後の8月5日には7600円下落して31458円まで下落しました。
これも翌週の内田副総裁による「市場が不安定な時に利上げはしない、時間は十分にある」と総裁発言を修正をしたために、8日間で20%上昇し暴落前水準に戻りました。

このように株式市場は、リアルに時の政府の金融・財政政策の「審判」をおこなっています。
これが株式資本主義なのです。
このように、石破「首相」の誕生は手荒く迎えられました。
こんな状況下で、古い自民党の煮汁のような森山幹事長が解散を石破新総裁に提案したことで、就任そうそう解散するようです。

「この中で、石破氏は「あす国会の首班指名で総理大臣に選出されれば、直ちに組閣を行い、政権を発足させたいと考えている」と述べました。
その上で「新政権はできるかぎり早期に国民の審判を受けることが重要であると考えており、諸条件が整えば、10月27日に解散・総選挙を行いたいと考えている」と述べ、衆議院選挙を10月27日に行う方針を表明しました」
(NHK9月29日)
自民 石破総裁 衆院選 10月27日投開票方針表明 森山幹事長 鈴木総務会長 小野寺政調会長 小泉選対委員長は | NHK | 衆議院選挙

信じられないですね。株価が激堕ちしてるのに解散だなんて、正気ですか。
就任前は早期解散はやらんと言っていたために、野党は選挙区調整もできないままの選挙ですから怒り狂っています。

「国民民主党の玉木雄一郎代表は、石破氏が国会で首相指名を受ける前に表明したことを問題視した。「首相の最大の権限のひとつである解散権を、まだ首相ではない者が言明することに強烈な違和感を感じた」とし、「自民党を変えてくれるという期待の中で選ばれたのに、自民党を変える前に自分自身が変わってしまった。国民の政治に対する深い不信感を払拭できるのか、早くも赤信号がともった」と断じた」
(毎日9月30日)
早期解散方針、野党「話が違う」 選挙区調整や短期決戦に焦り(毎日新聞) - Yahoo!ニュース

石破氏がある程度専門家顔をしてしゃべれるのは安保と農業関連だけに限定されています。
共に経済とは距離がある部門で、石破氏は興味の範囲が狭いまま歳を食ったオタクタイプの政治家なのです。
米国の大統領補佐官すら務まりそうな実務派の高市氏とはエライ違いです。
だからこのままプラモデルと鉄ちゃん余生を満喫していればよさそうなものなのに、人一倍強い総理になりたい権力欲だけはあったのが国民にとっての不幸でした。

 

 

 

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コメント

結局、小泉とほぼ変わらない、誰かの操り人形。
人形を操る人間からすれば、どちらが総理になれればよかったのでしょう。

総裁選ののち、記者からの質問にのらりくらりと中身のない返答をする石破の動画に「これじゃゆっくりしゃべる進次郎だ」なんてコメントがありましたが、誰がうまいこと言えとw

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