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2024年9月 7日 (土)

日本農業は世界有数の「農業大国」

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今週は珍しく農業特集となってしまいましたが、いちおう今日にて終了します。

ところで、農業という分野はろくなことが起きない限り、都市の人たちに思い出してもらえないようで、やれリーマンショックで失業者が増えれば、そんな連中は田舎にやって農業をやらしたらどうだとか、TPPともなれば農業は日本経済のお荷物だ、とんでもないニッポン農業を守れだとか、そしてコメが余ったから困ったと言っていたのに、今度は手のひら返しをしたみたいにコメを食わせろです。
たまにはいいことで思い出してほしいものですね

私はちょっと前に「日本農業滅亡論」も、その反対の「日本経済、農業によって滅亡論」もメダルの表裏だと書きました。なぜなら、この一見正反対のこの議論は、同じ根から生えた夫婦樹のようなものだからです。
同じ根とは、いうまでもなく農水省卸もとの「食料自給率40%」という国民的常識です。この食料自給率とはカロリー自給率であり、複雑怪奇な計算式を使います。

計算式は複雑怪奇ですが、訴えるイメージは強烈です。なんせ、日本人は自給率4割、裏返せば6割を外国農産物に頼っているってことですからね。
日本農業は自分の同胞の食さえ満足に供給していないんだ、と誰しも思うわけです。
ほとんどの論者が、日本農業を語る時、「食料輸入大国」とか、「輸入食料依存大国」だのと枕言葉のように使います。
年中、「輸入食料依存大国」だと書き散らしている評論家に、ある人が、日本農業の生産額の国際的順位を聞いたそうです。
その評論家先生、「そうね50位?まぁ最下位から数えたほうが早いよな」、だそうです。

日経新聞なんぞこんなことを書いていました。

「食卓から国産の農作物が消えていく。民間の推計では2050年、国内の農業人口が現状より8割も減る。生産は激減、必要なカロリーを賄うためにイモが主食の時代がやってくるかもしれない。世界で人口が増える中、輸入頼みを続けられるか。飽食の意識を変える必要がある」
(日経2023年9月17日)
農家が8割減る日 主食はイモ、国産ホウレンソウ消滅? 1億人の未来図 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

なぁに言ってんだか。
いかにも財務省機関紙らしい記事ですが、「開かれた日本農業」と連呼していたカン総理大臣閣下も「80位くらい」だなんて言っていました。
とんでもない、日本は世界第5位の農業国です。
これは先進主要5カ国という枠組みをはずして、全世界の国々の中の農業生産額の順位です。
順位は、2005年(現在)で第1位が中国、第2位が米国、第3位がインド、第4位がブラジル、そしてわがニッポンは第5位、第6位はフランスです。
これはFAO2005が根拠ですが、さらに日本は先進主要5カ国国でいえば、実に世界第2位となります。

2023年(現在)でも、世界18位、G7では米仏に次ぐ3位です。
世界の農業生産額 国別ランキング・推移 - GLOBAL NOTE

では、先進主要国の農業生産額の順位をみてみましょう。
第1位が米国1826億ドル、第2位日本826億ドル、第3位フランス549億ドル、第4位ドイツ379億ドル、第5位英国184億ドルとなります。第5位の英国の実に2倍超です。
ついで世界の農業大国といわれるロシアは世界順位第7位269億ドル、オーストラリアは17位259億ドルとなります。わが国はこの両国の3倍以上になるわけです。

このどこが衰亡でしょうか!?なにが50位だ!何が80位だ。80位といえば破綻国家のアフガニスタンやウガンダ並の最貧国じゃないか。こんな程度の農業知識しかない男が国の舵取りをして「開国元年」などと言っていたのですから、ゾっとします。
とまぁ、このように私のような農業者が啖呵を切ると、かならず返ってくる反論があります。そう、例の「日本は農産物が高いから、そのような生産額になるのだ」というものです。
日本農産物が、高関税で輸入をブロックしているから、日本の消費者は世界で最も高い農産物を買わされている、という言いぐさは、もう耳にタコが出来るほど聞かされてきました。

では、食肉を例に取ります。下の図を見てください。広大な面積と少ない人口密度をもつ米国の優位は揺らぎません。しかし、同じような広大な面積の国土を持ち、農民収入は月1万円に届くかという中国とはどうでしょうか。
中国と日本は、豚と鶏肉価格においてはほとんど同じ水準の価格だと分かります。所得水準から言えば、驚異的なことです。牛は飼育面積が大きいためにどうしても米国が有利となります。しかし、その分、わが日本の牛生産は世界で比肩するものがない超高品質を持っています。

 

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日本の農産物が高いかどうなのかは、家計内の食料支出をみれば見当がつきます。その数字も出ています。
2003年に総務省統計局が出した「世界の統計2003年版」に家計消費支出の食料支出の占める割合が日本は25%弱です。
この数字はカナダ、ドイツ、イタリア、イギリスとまったく一緒です。
日本の消費者が不利益をしているというのはまったくのデマです。先進国としてはいたって平均的水準で、デフレが進んだ時期にはもっと下落した数字が出るはずです。

自給率で比較するのも考えものの側面があります。
たとえば広大な国土を持ち、人口密度が低く、所得水準が低い国がどうしても高く出る傾向があります。
広大な土地と低い人口密度の米国やオーストラリア、ブラジルなどがそうであり、貧困国はそもそも外貨で輸入食料が買えないために自給率はイヤでも高くなります。
また、輸出が輸入より多い国も、自給率は高く出ます。フランスやドイツがそうです。

わが国は農産物輸出はほとんどなく、国土も狭く、人口密度は世界有数です。このようなハンディを持ちながらも、世界主要5カ国で農業生産額第2位、世界順位第5位のステータスにいることは、わが日本農民は誇りに思うべきです。
農水省はカロリー食料自給率40%という、世界のどこの国も採用していない恣意的な数字を弄ぶことでコメを聖域化し、日本農業を不当に卑しめ、農業者の誇りそのものを奪ってしまったのです。

 

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コメント

大変勉強になりました
深い洞察と膨大な知識を感じます

もう本でも出します?

水田や畑が広がる田園や里山の風景を指して「自然豊かな」、時には「手付かずの自然」というテレビ番組や出演者への「そうじゃない」感。
便利な都会に住みながら、田舎の人の不便に頓着せずに、「自然を守って!」「欲しいものは品数豊富で安く!」と望むことへの「何か違う」感。
フードロス問題を叫ぶ口が品不足を嘆くことへの「お手軽だなぁ」感。
様々な側面からの問題を知るにつけ、どうしたらいいのか分からなくなる素人の自分が知り得たささやかな範囲には、名実ともにブランド確立に成功して引く手数多な農家さんや法人があり、そこを目指して奮闘する人があり、同時に、儲からない故に継ぎたくない・継がせたくない農家さんがあり。
努力のハードルは上がり続けるし、どんな人や法人でも全て救い護る余裕は最早無い現在にあって、「ゆっくりする時間や必要な手間を掛けられる環境をつくるために効率を追求する」と言う若い世代を見ると、学びを貰います。
良いものは高い値段であること、人の報酬が労働の質や生産性で高くなること、根拠と合理性によって思い切って削ぎ落とした方が良いものがあること、努力で伸び行こうとする人を邪魔しない潰さないこと、どんな立場の人であってもそれらを受け入れるのは怖いかもしれないけれど、知識や考えや行動の変化を受け入れないならば不平不満の中で生きて死ぬしかない、との思いだけは強くしております。

明日のテーマは総裁選でしょうか?
進次郎だけは…

久しぶりの農業記事週、私もコメント参加しながら素人なりに色々と考える事ができました。
今後の農業を担う世代は,先人の智慧に学びつつも昭和〜平成の食の嗜好やベクトルにこだわらずに、今の外食産業や子育て世帯向けニーズに特化した工夫をしてゆく事でしょう。
品種改良もピカピカの高級品とは別に、悪天候への強さや多収、手間の少なさが更に求められます。
水田は農地維持を優先するなら収量が落ちても直播きを更に増やすとか。
個人の自炊量も年々落ちているので、生鮮品流通量も10年後には激変してそうです。

大利権団体として悪名を引き受け小分けの農地をなんだかんだで維持してきた農協と、こちらのようなこだわりの逸品で勝負してきた独立系農家さん達。私はこれらの協奏曲で世界主要5カ国で農業生産額第2位、世界順位第5位のステータスを成し遂げてきたのだと考えています。そしてそれを支える豊かな日本の食文化がありました。

オーケストラからベース音担当が大量引退してゆくわけで、食はサブスクするわけにはいきませんから、歓び方尊び方をポジティブに変えていきたいものです。

14年前の本と20年近くも前のデータを根拠に「日本は農業大国だあ!」と喚く、ほぼフェイクニュースな手口にツッコミを入れた気がしますが、やはり都合の悪いことはコメントに載せない方針のようですね。
ブログ世界の小さな中国、ロシア、或いは北朝鮮とでもいったところでしょうか。
プロパガンダやフェイクの拡散はもう少し人様の目に付く場所でやったほうがよろしいかと(笑)

出水敬とやら。なぜボイコットしたのかわからないんですか、それはきみの作法がわるいからです。
その冷笑的な口ぶり、揚げ足取り的手法、これは荒しそのものです。
まともに日本農業について議論したいのではなく、ともかく貶めたいというだけ。不毛だな。
なにかがフェークですか(笑)。わたしが北朝鮮だって(爆笑)。
こういう書き方をすれば、次は確実にブロックだとおわかりでしょうね。
どこのサイトに入れてもこんな傲慢な書き方していたら相手にされませんよ。

きみのいうように最新の2023年統計でもこうです。
いちおう本文記事にも乗せてあります。
2023年(現在)でも、世界18位、G7では米仏に次ぐ3位です。
世界の農業生産額 国別ランキング・推移 - GLOBAL NOTE

G7で2位が3位になった、だからなんだって言うの?
18位などというと日本の農業生産がいきなりシュリンクしたみたいにみえますが、それは中進国の農業生産性があがった結果です。

だから国の規模や人口、あるいは製造業の規模と関係なくランキングでみても無意味で、G7という米国を除いてほぼ同規模の、かつ工業国家で比較するのですが、意味わかんなかったんでしょうね。
さっさときみの好きな「人様の目にふれない」暗い隅っこに消えなさい。

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