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2024年9月14日 (土)

最後までハリスをとらえられなかったトランプ

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トランプとハリスの一騎討ちテレビ討論が終わりました。
メディアは早々とハリス勝利、大統領選はこれで決まりといったトーンで報じています。
経済評論家のJなど早々と「ハリス大統領誕生」と書いています。
日本のメディアも総じてハリス圧勝といった報じ方をしているようです。

「(CNN) 11月の米大統領選に向けてABCニュースが10日夜に開催したテレビ討論会で、討論会を視聴した人のうち民主党候補のハリス副大統領のほうが共和党候補のトランプ前大統領よりも良い討論を行ったと考える人の割合は63%に上った。SSRSが行った世論調査で明らかになった。トランプ氏のほうが良かったと答えた人の割合は37%だった。
同じ有権者を対象に討論会の前に行った調査では、どちらの候補者が力強いパフォーマンスを見せるかについては、ハリス氏とトランプ氏が50%ずつと真っ二つに割れていた」
(CNN9月11日)
視聴者の63%、ハリス氏が良かった 米大統領討論会 - CNN.co.jp

まぁ全体的に見れば、確かにハリスの作戦勝ちです。
トランプに決定打を与えず(というか不利なことは逃げていただけですが)、終了直後にポップスターのテイラー・スウィフトに「ハリスの勝ちよ」と言わせるというエグサです。
もちろん、このタイミングで言わせるなんて仕込みに決まっています。
スウィフトについては、トランプ陣営からも誘いがあったようですが、メディア・映画・音楽業界は民主党の票田です。

『ラスト・ブラッド』で国境を超えた誘拐犯罪を描いたスタローンですら、トランプ支持とは言えない、そういう雰囲気です。

そもそもといってもセンないですが、FOX以外の全米ネットでやればこうなるのはわかりきっていました。
CNNは極端な反トランプでしたが、ABCのキャスター二人ももっぱらトランプに対してのみ質問を繰り返しました。
だからトランプは、ハリスと司会2人相手に3対1でやっていたようなもの。

これはおそらく、後にトランプ陣営からしゃべらせなかったという非難逃れをさないと考えたのと、トランプに息もつかせぬ質問を2人がかりでをあびせることで失点を誘発しようとしたのかもしれません。
実際に「移民はネコを食う」というトンデモ発言を引き出し、トランプに用意してきたハリスへの追及ポイントをはずさせる効果をもたらしました。

たとえば、ハリスの経済政策は、ツッコミ所満載です。
ハリスという人は民主党最左派、つまりゴリゴリのサヨクですから、経済は苦手です。
経済など富者を叩き、貧者を救えばどうにかなるくらいに思っています。
ハリスの経済政策は典型的な左翼経済政策で、現在20%のキャピタルゲイン(株などの売買利益)課税を大きく引き上げて、富裕層に対しては含み益の25%もの税を課す一方で、食品価格を政府統制するというものです。
金融所得課税を強化するというのは、うちの国では石破氏が言っています。(今は他の候補から袋叩きにあって引っこめています)

日本でも共産党などがよく口にする政策ですが、幸いにも彼らは政権から遠い位置にいました。

しかしハリスが大統領ともなれば、市場経済を否定し、社会主義的統制経済をする権限を与えられることになります。
本気でこの左翼経済政策を実施すれば、富裕層は過大な税の支払いのための株式や債権の資産売却に走るでしょう。
さらには米国から大規模なキャピタル・フライト(資本逃避)が発生し、解雇による失業率が跳ね上がります。
結局、このようなことが一気に起きるために、企業収益は落ち込み株式市場は低迷し、税収減として現れ、一回りして政府と国民を苦しめることになります。
ちなみに石破氏が首相にでもなって金融所得課税と口にした瞬間、株式市場は投げ売りとなります。

強インフレの原因は、バイデンの経済運営の失敗です。
2022年8月のアメリカの大都市部の物価はこうなっていました。

・マクドナルドのマックミールセット(コンボミール)10ドル(1359円)
・卵(12個入り)4.03ドル(548円)
・チーズ(1キロ)17.13ドル(2328円)
・鶏肉(モモフィレ肉、1キロ)16.44ドル(2234円)
・牛ひき肉(1キロ)20.25ドル(2752円)
インフレが進行するアメリカ・主要都市の物価はどうなっている? (j-seeds.jp)

ドジャーズ観戦に行ったら、ドジャードックとポテトチップで2300円なんてユーチューブで言ってましたね。
石原良純「こんな高い芋ある!?高えなあ」ドジャースのスタジアム限定グルメの金額に腰抜かす 

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米国の「悪いインフレ」いつ終わる?日本の「良いインフレ」いつまで続く? | トウシル 楽天証券の投資情報メディア (rakuten-sec.net)

このインフレの原因は、バイデンが人気とりでコロナの経済対策として札束を配りまくったからです。
バイデン政権は、トランプ政権下の2回のコロナ経済対策の給付金(1人当たり1200ドル、600ドル)に上乗せして、2021年3月に民主党のみで成立させた米国救済計画法に基づき、追加給付金を1人当たり1400ドルも支給しています。
大統領選挙戦で、バイデンがもっとも力を入れてしゃべったことは、私に入れてくれたらカネを配ります、でした。

バイデンの思惑どおり米国救済計画法は国民に大受けしたのですが、経済状況を見ないあまりに過剰な給付でした。
リベラルは洋の東西をとわず、このようなバラ撒きが大好きです。
デフレ時にはそれなりに押し上げ効果が見込めるのですが、インフレリスクが高い時にこれをするとほんとうのインフレに突入してしまいます。FRBが加熱しすぎた経済を冷やすために何回利上げしたことか。実に11回です。

「政策金利は5.25%から5.5%の幅と、2001年以来、22年ぶりの高い水準となりました。
FRBの利上げはこれで去年3月以降、合わせて11回におよびました」
(NHK2023本12月14日)
米FRB利上げ見送り 3会合連続 来年少なくとも3回利下げ見通し | NHK | 金融

原因ははっきりしていて、米国の場合、バイデン政権からもらったカネを個人消費に回してしまったために過剰な個人消費が生じたからです。
さらにコロナで働けないためもあって、国民は労働を忌避し始めます。
結果がどうなったのかといえば、需要が急増したにもかかわらず働き手がいない→働き手を募集するには労賃を上げねばならない→価格に転化する→コストプッシュ・インフレの発生という現象が生まれました。
FRBが何度も利上げして消し止めようとしたのが、このインフレでした。
名付けて「バイデン・インフレ」と呼ばれています。

ですから、いかにもハリスが困った国民向けに物価を下げる法律を作りますといっても、それは自分らの政権が撒いた種なのです。
ハリスは食品価格を政府統制すると言いますが、そんなことをすれば価格競争力が低い中小零細メーカーなどが破綻するのは目に見えています。

経済は政府が強権的統制をすればするほどおかしくなります。
本来、政府は金融・財政政策を使って経済の内側から景気をコントロールすべきなのに、ハリスは法律を作れば経済は法に従って動くという錯覚をしているようです。
そしてその裏返しで、富裕層をただの金の亡者としか見ていないために、重い富裕税をかけようとします。

トランプはこの強インフレに陥った米国経済について、副大統領としてのハリスの責任を問い質すべきでした。
そして政府による価格統制と富裕税は、いっそう米国経済をおかしくすることを追及するべきでした。 

「ハリス氏:「私は米国民の野心、大志、夢を信じている。それこそ私が『機会の経済』を構築するために計画を思い描く理由だ」
ハリス氏:「半面、私の対抗馬(トランプ氏)は過去に実施したような富裕層や大企業への減税を行う考えだ」
(ロイター9月11日)
情報BOX:米大統領選TV討論会、経済・中絶・移民などを巡る主な発言 | ロイター (reuters.com)

これに対してトランプはこう言っています。

「トランプ氏:「経済はひどくなっている。『カントリーバスター(国を破壊するもの)』として知られるインフレのためだ」
トランプ氏:「人々は外に出て、シリアルやベーコンや卵などを買うことができない。彼女(ハリス氏)らがやったことで国民は本当に死にそうだ。彼女らは経済を破壊した」
(ロイター前掲)

うーん弱い。分かりやすくしゃべろうというのはいいですが、ここで一気にハリスの左翼経済政策を論破しないと、低所得層の税を引き下げ、富裕層に対する税金を上げ、機会の均等を与えるという口当たりのよい政策がいかにも素晴らしいもののように聞こえてしまいます。
ハリスもバイデン政権の経済政策が失敗したのは薄々わかっていて、まともに答えずに、「トランプ氏は起訴中の人物だ」という言い方で逸らします。
この論点ずらしをテレビ局の司会者は何度も容認してしまうのですから、まったくもう。
司会者がまともなら、「ハリスさん、経済政策は重要課題ですから答えて下さい」と介入するべきでした。
ハリスは実に狡猾です。なにか都合が悪くなるとトランプが重罪犯だとか起訴中だとかいう人格攻撃に終始して逃げます。

そして例の高見から下を見下したような高笑いです。ホント不愉快な笑いです。ああ、たまらん。
この人は、一貫して追及されそうになるとハリス笑いを上げて逃げてきました。
仮に大統領になっても高笑いで逃げ回るのでしょうね。

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ロイター

内容的には、ハリスは綿密にトランプが追及しそうなことを想定問答で予習していたようです。
ロイターが討論内容の要約を出しています。
情報BOX:米大統領選TV討論会、経済・中絶・移民などを巡る主な発言 | ロイター (reuters.com)

ハリスは具体的政策がありません。
外交についてはバイデンの外交路線を踏襲するだけですし(だから安心というのが国際社会の見方でもあるのですが)、トランプに対しても政策で対峙するのではなく「お前は重罪犯だ」といういかにも検事然とした印象操作だけに終始しています。
この人は検事だったくせに、判決がでるまで推定無罪だということを知らないのでしょうか。

訴追されたら即「重罪犯」とされて社会的に抹殺されたらたまったもんじゃありません。

経済対策に並んで重要な内政の移民問題についてはこうです。

「ハリス氏:「言っておきたいのは彼(トランプ氏)は今夜、移民についてたくさん話すだろう。たとえその時のテーマでなくともだ」
トランプ氏:不法入国する人々に言及し「われわれの国は失われつつあり、私たちは失敗しつつある国家だ」
(ロイター前掲)

ハリスはただウソだと言うだけで、データーを使った反証ができていません。
そもそもこの人は不法移民の現場を見てくるように要請されても、行かなかったような人で、無関心なのです。
実態は、トランプがウソを言っているのではなく、バイデン政権ができてから急増の一途を辿っています。
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ニッセイ基礎研究所
「メキシコ国境を越えて米国に不法入国し身柄を拘束された人数(不法越境者数)は21年度(20年10月~21年9月)が165.9万人となり、統計を開始した1960年以来で最高となった。特に、バイデン大統領が就任した21年1月以降の増加が顕著となっている(図表1)。また、22年度も10月と11月分が前年度を大幅に上回っているため、このままのペースが続けば、さらに史上最高を更新する可能性が高い」
(ニッセイ基礎研究所2022年2月3日)
深刻化する不法移民問題。22年の中間選挙に影響する可能性 |ニッセイ基礎研究所 (nli-research.co.jp)


不法越境者が大幅に増加した原因は、新型コロナ感染拡大によって中南米諸国の雇用が大きな打撃を受けて失業者が急増し、それが米国に殺到したからです。
しかも受け手となった米国バイデンがトランプの拒否政策とは180度逆の人道的な観点からの寛容政策に転じたために歯止めが効かなくなりました。

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不法移民について、トランプは天井に届くほど生の資料を持っているはずなのに、それを使えずに逆に「移民はネコを食う」などという信じがたい暴言を口にする有り様です。
あるいは、対イラン政策ではトランプはこう言っています。
「イランはドナルド・トランプ政権下で破産した。今、イランは私が課していた制裁をすべて解除したため、3000億ドルの資金を持っている。イランにはハマスやヒズボラ、あるいは28の異なるテロ組織のいずれにも資金がなかった。そして、それらはテロ組織であり、恐ろしいテロ組織なのだ」
そのとおりで、なぜバイデンが核合意に復帰してしまったのか、イラン制裁を解除したのか、という指摘は的を射ています。
それに対するハリスの答え。
「私はこれまでのキャリアと人生をイスラエルとイスラエル国民の支持に費やしてきた。彼もそれを知っている」
「彼はまたもや現実から分断し、目をそらそうとしている。ドナルド・トランプが国家安全保障と外交政策に関して弱く、間違っていることは周知の事実だ」
これはユダヤ人票が、今の民主党ノイスラエル支援に共感して流れていることからくる自信が背景にあります。
これもすり替え議論で、トランプはイスラエルを支持するかどうかではなくバイデンのイラン融和政策が根本的に間違っていると言っているのですが、これも虚しく逸らされてしまいました。
このようにハリスとABCの司会者にことごとく要点を逸らされたあげく、さらにウクライナ支援を止めるというトランプの最大の弱点についてきちんと答えられずに、自分はプーチンから敬われているから大丈夫だ、というようなサシの交渉が片づくかのような(本気でそう思っていそうでコワイ)言って口を濁してしまいました。
ちなみにこのABCの司会ぶりは明らかに中立性を逸脱しており、トランプについては執拗にファクトチェックを求める具合にハリスの側に立ち、一方トランプがハリスを追及して別な話題に逃げようとしてもそれを制止しませんでした。

とまれ、こういうことがあるにせよ、トランプは多くの追及点を持ちながら生かしきれなかったとは言えます。
トランプはハリスとの2回目はしないと言っているようですが、それが賢明です。
彼は演説は大好きで支持者相手なら1時間でも2時間でもやっていられますが、相手あってのディベートがまるでダメなのはこれではっきりしました。

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コメント

別にトランプの肩を持つわけじゃ無いけど、リベラルのABCが酷かったな。
ハリスが不気味な笑顔を浮かべて肝心な話は逸らしてただけでした。

トランプ陣営も、入念に準備してきた予定稿をなぜ使わなかった?という話ですけど。

アメリカ(株)の配当金にはアメリカ国が10%課税し0.9倍の配当金に日本国内の分離課税で20%引かれます、結果72%の配当金しか手に出来ません。もしアメリカで20%課税となれば、0.8x0.8の64%の配当金に成り、アメリカ株持っていても割が合わなくなります。配当金に関して、アメリカの株を基にした投資ファンドも同じ事に成ります。アメリカ株を売る洗濯もありです、=キャピタルフライトの始まり、日本の個人資産にも大きく影響しそうです。アメリカにしっかり、税金引かれて、嫌になっている猫より!!!

トランプは有利を取れるカードはいくらであったのにそれを出せずに相手が望む悪口合戦にまんまとハマってしまったのは大統領の資質として疑問符が付く結果となってしまいました。
最近のトランプは演説でも10分くらいで予定原稿から脱線してトランプ節モードになってしまうので無駄に演説が長くなり辟易しているという話も聞きます。
狂犬というキャラを武器にしてきた人ですがこれを自制できないようでは「大統領としていかがなものか?」と評価する有権者が増えてくるのも仕方の無いことです。

 トランプ(ヴァンスもそうですが)は、意図的に「移民がペットの犬猫を喰う」というエグイ話をしているようですね。それは、そういうふうに話をした方が一定の方面に効果があるから。どうやら、そうした事実もあるようですし。
また、中間層は必ずしも討論会での「ハリスの勝利」だとは考えていないようです。最後の二分、トランプが「この三年半、なぜあなたは今日言った事が出来なかったのか?」と聞きました。これこそが中間層の聞きたかったことで、そこから議論が始められるべきでした。

ともあれ、三対一の勝負のなか、トランプも中々頑張ったんじゃないでしょうか。ここまで偏った討論会には民主党の中からですら批判があり、幾多の下らない裁判同様、イジメられればイジメられるほど支持が強固になるのもトランプ。大手メディアの支持率でも、いまのところ大きな変化もないようです。

狙撃暗殺未遂直後の、青空にはためく星条旗を後ろにして「ドヤ!」のポーズで、もうトランプ親ビンは次期米国大統領に確定したと思っていましたが、どーしても民主党政権でないと困る層が大勢存在していて、何の実績も無く史上最低だと言われていた現副大統領が、あれよあれよと言う間に、優秀で有力な次期大統領候補となってしまいましたわ。

私なんぞから見たら、その政策のようなものからハリスさんは極左ともいえるバリバリの社会主義者ですわ。それに耄碌を隠せない現バイデン大統領と同じく、ハリスさん自身が経済そのものを良く解っていない飾りの大統領(いわゆる神輿)となると、民主党が政権にいないと困る層にとっては、その方が都合が良かったりするんですわ。

いよいよ自由の国と謳われた米国もここまで来てしまったかと、極左政権が跋扈した現ドイツの成れの果ての姿を見て、歴史は理想追及や弱者救済を敷石にして、ディストピアへ容赦なく進んで行くんだなーと、米国の将来にひどく暗いものを感じてしまいますわ。もちろん属国である日本も強制的に道連れにされますから、もう覚悟しておいたほうが良いですわ。

まだ二ヶ月ほどあるんで、「米国人よ、目を醒ましてくれ!アメリカはあんたらの先祖が自由を求めて建国した国で、彼らは面倒見の良い大きな政府なんて望んでいなかった、どこまでも個人の自由を守るのがアメリカ政府の役目なんだ」「北アメリカのアルゼンチンにはなるな」と、祈るような気持ちですわ。

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