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2024年10月 4日 (金)

イラン、イスラエルをミサイル攻撃

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なにやらゲル内閣が早くものたうち回っているようですが、今日はこちらから。

イスラエルがヒズボラの指導者を一掃する攻撃を行い、さらにはレバノンに地上進攻も開始しました。

「イスラエル軍は28日、隣国レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者ナスララ師をイスラエル軍の空爆で殺害したと発表し、ヒズボラ側もナスララ師の死亡を認めました。一方、ヒズボラの後ろ盾であるイランの最高指導者ハメネイ師は「この地域の抵抗勢力はヒズボラを支援している」としてイランが支援する各地の武装組織の連帯を強調し地域での紛争拡大が懸念されます。
レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの間で攻撃の応酬を続けるイスラエル軍は28日、前日に行ったレバノンの首都ベイルート近郊にあるヒズボラの本部への空爆で最高指導者のナスララ師を殺害したと発表しました。
イスラエル軍の報道官は空爆を行ったとき、「ナスララ師は地下のヒズボラ本部にいた」としています」
(NHK9月29日)
“ヒズボラの最高指導者ナスララ師 死亡” 地域紛争拡大が懸念 | NHK | イスラエル・パレスチナ

このイスラエルの空爆で、地下3階に居たヒズボラ指導者のナスララとその指導部が殺害されました。
イスラエルが使ったのは精密誘導ユニット(JDAM)つき地中貫通爆弾バンカーバスター(BLU-109)で、約80発が同時に使用されました。
様々な爆弾が同時につかわれたのでしょうが、それにしても80発とは。
それも一発が1t近いものを、1機が3発として26機がほぼ同時に一カ所に投下するというご丁寧さです。

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イスラエル軍によるヒズボラ最高指導者ナスララ師暗殺で複数の戦闘機から大型航空爆弾80発以上を大量投下(JSF) - エキスパート - Yahoo!ニュース

それにしてもやりすぎです。
ヒズボラのテロリスト指導者を抹殺することがいけないとは思いませんが、そのやり方が常軌を逸しています。
市街地にいるひとりの目標に対して8tもの爆弾を投下する必要があるとはにわかに信じがたい。
こんなことをすれば市民の被害が甚大になります。
イスラエルが常にヒズボラのテロ攻撃にさらされているのはわかった上でも、イスラエル軍の空爆を正当化できません。
国際法を持ち出すまでもなく、このような攻撃は均衡性と必要性の原則を逸脱しています。

「均衡性の原則は、敵対行為のあらゆる面において適用されま す。 例えば、軍事目標に対する攻撃で、文民や民用物に甚大な 被害を与えるものは禁止されています。 紛争当事者は、攻撃を 実行する前に、文民に生じうる影響が、予想される軍事的利益 と比べて過大なものでないかどうか、毎回見極める義務を負 います」
戦争で使ってはいけない武器とは?~国際人道法の観点から - 赤十字国際委員会 赤十字国際委員会 (icrc.org)

ヒズボラが繰り返す執拗なロケット弾攻撃は強く非難されるべきですが、それに対してこのような過剰な反撃をすれば、イスラエルの道義的正当性は大きく毀損されます。
それでなくてもガザ戦争で、イスラエルは過剰な報復を国際社会から糺弾されているのですよ。
イスラエルのこのような過剰な攻撃を聞くたびに、彼らがいっそう壊れていくのを見させられているような気持ちにさせられます。

ただし、これは軍事作戦としては妥当なものです。
これはJFフラーが言う、頭脳に打撃を与えて壊滅させ、現場の戦闘部隊と切断するために行われました。
したがって、空爆3日後の10月1日、レバノンへの地上進攻も開始しましたが、これもワンセットです。

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CNN

「イスラエル軍はヘブライ語の声明の中で、「数時間前にレバノン南部でテロリストおよびテロ組織ヒズボラのインフラを標的として、標的を絞った限定的な地上作戦を開始した」と発表。標的とする国境付近の複数の村落を「国境地帯のイスラエル人入植地を脅かす差し迫った現実的な脅威」と位置付けた」
(CNN10月1日)
イスラエル軍、レバノン地上侵攻を開始 - CNN.co.jp 

イスラエル軍の制圧目標は、イスラエル北部(レバノン南部)の国境地帯で、ヒズボラがロケット弾発射を繰り返してきた地域です。
当然のことながら、ナスララ氏と指導部を一挙に殺害したのは、この掃討作戦のためだったと思われます。
おそらくイスラエルは、レバノン南部とイスラエルの間にバファゾーン(緩衝地帯)を作るつもりなのでしょう。
ヒズボラ指導者の殺害はこのためのものです。

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イスラエル軍が「限定的な」地上侵攻、ヒズボラの通信機器の爆発や指導者殺害で指揮系統が混乱 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

このような一連の流れがあって、先日イランが報復として約200発の弾道ミサイルを発射しました。
今回は4月の時と違ってドローンなどはなく、全弾が弾道ミサイルという防ぎにくいものだったようです。

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イスラエルに180発以上、イランがミサイル攻撃 報復の応酬で泥沼化か「代償を支払うことに」ネタニヤフ首相が宣言 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

「(CNN) イランは1日、イスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者ハッサン・ナスララ師らの殺害への報復として、イスラエルへのミサイル攻撃を実施した。イラン革命防衛隊(IRGC)が明らかにした。
米国はイスラエルがレバノン南部で地上作戦を開始したことを受け、イスラエルへの弾道ミサイル攻撃が差し迫っているとの見方を示していた。
イスラエル軍はイランが180発の飛翔体を発射したと推定しているが、最終的な数ではないとも強調している。CNNの取材班は、テルアビブ、エルサレム、ハイファの上空で数十発のミサイルを目撃。取材班の1人は、複数のミサイルが迎撃されたのを目にした。イスラエル軍の広報官によると、イランのミサイルの一部はイスラエルの中部・南部に直接着弾した。
イラン国連代表部は1日午後、同国の対応は「正当に実行された」とし、イスラエルが「あえて対応したり、さらなる悪意ある行為を行ったりすれば、その後に壊滅的な対応が取られる」と述べた。一方、イスラエル軍の報道官は「深刻な結果を招く」と述べた」
(CNN10月2日)
イラン、イスラエルにミサイル攻撃 ヒズボラ最高指導者殺害の報復 - CNN.co.jp

4月のミサイル攻撃は9割以上を撃墜するという鉄壁のミサイルデフェンス(MD)の手際を見せましたが、今回は少数の着弾を許しています。
迎撃ミサイルも新型のお宝である固体燃料式弾道ミサイル「ファッターフ1」や「ハイバルシェキャン」などを使用しています。
今回、これらを180発以上使うという飽和攻撃を仕掛けました。
飽和攻撃( Saturation attack)とは、攻撃側が攻撃を仕掛ける際に、攻撃目標のもつ防御処理能力の限界を超えた量で攻撃することですが、いかな手慣れたイスラエル軍でも、同時に180発もの弾道弾攻撃には討ち漏らしが出ました。

イージスアショア無用論の時も、同時飽和攻撃に対して対処できないからいらないということを言うものかでましたが、そんなことは当たり前です。
足りなければ迎撃側を増やせばいいだけのことで、MDシステム全体がいらないということにはなりません。
またSNSでは「アイアンドームが使い物になっていなかった」というトンチンカンなことを言うものがいますが、そもそもアイアンドームは対ロケット弾用の迎撃システムで、今回のイランの弾道ミサイルは大気圏外から突入してくる弾道ミサイルが主でした。
イスラエル軍は高空から落下してくるミサイルには「アロー2(大気圏内)」と「アロー3(大気圏外)」を使用しています。

MDシステムは脅威度を判定して、脅威が高いものから撃墜していきます。
着弾しても砂漠だったりするものは、撃墜しないで放置します。
今回、イランが目標としたのはネバティム空軍基地などの航空基地とモサドの本部でした。
脅威度判定が高いのはテルアビブ市街地やディモナ核施設などですが、ここには攻撃を受けていないので、着弾するに任せた可能性もあります。

イランがテルアビブや核施設を狙わなかったのは別に人道的だからではなく、ここを狙えばイスラエルは絶対にテヘランと核施設を攻撃することは明らかだからです。
いま、イスラエルがイランの核施設を反撃対象にしないようにと、バイデンが必死で説得しているようですが、どうなりますか。

 

 

 

 

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コメント

 イラン渾身のイスラエルへの弾道ミサイル飽和攻撃は、亡くなった方一名のみ(しかも、アラブ人)の被害状況でした。他に物的被害も多少ないわけではないが、野っぱらに落ちるものは無駄に迎撃しないというArrowの性能は目を見張る凄まじさです。
そのうえ各戸・公共施設等は核対応のシェルター完全防備だったので、イランの戦果はほぼ無きに等しいもの。
しかし、この迎撃作戦に参加したのは洋上から米英仏の艦隊や、ヨルダンやサウジアラビア他の中東諸国も含まれていた事が重要です。

もっともイランの底も最初から抜けていて、妙な手加減をしている様子もあります。攻撃そのものも米に通告してから行っています。
これは何を示すか? きっと、イランにとっての最優先事項は制裁解除なんでしょう。
とこあれイスラエルとしては初めて国家からの直接攻撃を受けた事になり、この後始末をイランがどう付けるのか難しい立場となりました。
これはもう米国に泣きつく他なく、しかしイスラエルも何もしないハズもない。イスラエル側も反射的な反撃には出ておらず、最適解は時間をかけた要人暗殺みたいに思えます。

ところでレバノンへの地上侵攻はブルグ主様の言われるようにむちゃなもののように私も思いますが、あれで死んだUNRWAのガザ地区教育界のトップが、ハマス幹部でレバノン支部長だったことを国連がようやく認めました。これで篠田先生肝いりのUNRWAは継続不可能でしょう。ここまでやって、ようやくです。

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