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2024年10月11日 (金)

中東戦争になるでしょうか

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イスラエルがイランに対する報復攻撃の目標を決めたそうです。
おそらくは核関連施設か石油施設でしょう。
米国との調整中のようですが、今週中に実施されるかもしれません。
これによって中東戦争が起きる、世界大戦が始まるぅと騒ぐ者がいますが、ありえません。
イランを過大評価しすぎています。

今のイランにはそんな大事にする力はありません。
イランは、前回の180発の弾道ミサイル攻撃で備蓄している多くを使ってしまったと思われます。
もちろん残ってはいるでしょうが、短期間に補充するのは困難です。
ですから、いま攻撃を受けても前のような大規模なミサイル攻撃で反撃するのは難しいでしょう。

また、中東テロ工作のためのコッズ部隊指揮官級は全員討ち取られています。
これ以上戦闘を激化させると、イスラエルがお宝の完成寸前といわれる原子力施設を狙ってくるのはわかりきっていますから、ここでエスカレーション競争から降りたいはずです。

中東諸国にとって、ペルシャ人の国イランは異物である上に、永年に渡って王政を打倒しようと画策してきた不倶戴天の敵です。
ペルシャ人の国に「アラブの大義」を説教されるのは片腹痛いうえに、コッズ部隊を使ってテロ組織を養成していることに腹をたてています。
ですから、イランに乗って対イスラエル戦争に参加することはあり得ませんし、現にイランのミサイルの迎撃には米軍のみならず、ヨルダン、サウジまで協力しています。

今までコッズ部隊が育成してきた眷属を使って報復をしようにも、ハマスは戦闘力を事実上喪失しており、頼みのヒズボラは指導者以下司令部が壊滅、前線部隊もイスラエルの1万5千もの侵攻部隊に制圧されて、再度のロケット弾攻撃などとうてい不可能ですから、イエメンのフーシー派に船舶テロを働かせるしか残っていません。
フーシー派は弾道ミサイルはほぼ保有しておらず、しょぼいロケット弾攻撃をする力しか持っていません。
得意の海賊攻撃も、すでに米英がフーシー派の拠点を爆撃しているように、紅海でこれ以上悪質な船舶攻撃を仕掛けると海賊対処とおなじような国際的な枠組みで反撃されるでしょう。

こうやって消去法で見ると、残るは自爆作戦でしょうか。
黒井文太郎氏によれば、「ハマスのハレド・メシャルが大きく出てきた」そうです。

この人物はハマスのカッサム旅団の自爆テロ路線を進めてきた当時の政治局長だったそうで、そちらの方にシフトするかもしれません。
Xユーザーの黒井文太郎さん

焦点は、むしろイスラエルの側にあって、これ以上レバノンにどこまで介入するのか、ガザからいつ兵を引くのか、あるいは常駐させる気なのか、泥沼化しつつある戦線をどのように整理するか、に移っていると思われます。

さて、イスラエルの凄まじいとしかいいようがない対ヒズボラ攻撃が続いています。

「[エルサレム 8日 ロイター] - イスラエルのネタニヤフ首相は8日、イスラエル軍が空爆により親イラン武装組織ヒズボラの後継候補の2人を殺害したと発表した。後継者候補の名前には言及しなかった。
ネタニヤフ首相はビデオメッセージで「われわれはヒズボラの能力を低下させた。(先月殺害されたヒズボラ最高指導者)ナスララ師と後継者、そして後継者の後継者を含む数千人のテロリストを排除した」とし、「ヒズボラはここ長年見られなかったほど弱体化している」と言明した。
ガラント国防相もこれに先立ち、ヒズボラの次期指導者と目されていたサフィエディン師が排除されたようだと述べた。
ガラント氏はイスラエル軍北部司令部の将校らに対し「ヒズボラは指導者のいない組織だ。ナスララ師は排除され、その後任もおそらく排除された。決定を下す者も、行動する者もいない」と語った。それ以上の詳細は明らかにしなかった」
(ロイター10月9日)
ヒズボラ指導者の後継候補2人を排除=イスラエル首相 | ロイター (reuters.com)

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ロイター

またヒズボラ幹部で先だって死亡した指導者ナスララの後継者と目されていたハシェム・サフィディンも死亡した可能性が高いと言われています。

(CNN) イスラエル当局者はCNNに対し、レバノンの首都ベイルートで現地時間3日深夜から4日未明にかけて実施した攻撃について、イスラム教シーア派組織ヒズボラの幹部ハシェム・サフィディン氏を狙ったものだと明らかにした。
サフィディン氏はヒズボラの最高指導者だった故ナスララ師の後継候補の一人として取り沙汰されている。ナスララ師はイスラエルによる先週の攻撃で死亡した。
今回の攻撃でサフィディン氏が死亡したかどうかは不明」
(CNN10月4日)
イスラエルのベイルート攻撃、ヒズボラ指導者の後継候補が狙いか 当局者 - CNN.co.jp

イスラエルはヒズボラの指導部を根絶やしにする気のようです。
サフィディンは、故ナスララ党首のいとこであり、娘は、イランの暗殺されたソレイマニに嫁いでいたという、ヒズボラ最高指導者の後継者と見られていた人物です。
このように、イランコッズ部隊とレバノンのヒズボラは閨閥でもつながっています。

ヒズボラだけではなく、同時期にイランのコッズ部隊司令官のイスマイル・ガーニも死亡したという情報もありますが、イランは生存していると発表しています。

「ロイター通信は6日、イラン革命防衛隊の精鋭、コッズ部隊のガアニ司令官が訪問先のレバノンの首都ベイルート南部で3~4日にあったイスラエル軍の空爆後に行方が分からなくなっていると報じた。
ガアニ氏は2020年1月にイラクの首都バグダッドで米軍に殺害されたソレイマニ司令官の後任。対外工作を取り仕切る重要人物がイスラエル軍の空爆で死亡していれば、イランが報復する可能性もある 」
(産経10月7日)
イランのガアニ司令官、レバノンで行方不明か 空爆で死亡なら報復可能性も ロイター報道 - 産経ニュース (sankei.com)

ガアニはコッズ部隊(イラン対外工作部隊)の最強硬派で、米国に暗殺されたソレイマニの後任でした。
イスマル・ガアニは、壊滅的打撃を受けているハマスとヒズボラの建て直しのためにレバノンにいたと言われていました。
この人物がいなくなると、イランの対外工作は困難になってきます。
死亡説を否定するイランの発表です。

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ガアニ司令官
ロイター

[ドバイ 7日 ロイター] - レバノンで消息不明になっていると報じられているイラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のガアニ司令官について、同部隊の副司令官は7日、司令官の「健康状態は良好で、活動を継続している」と語った。イラン国営メディアが報じた。
イラン学生通信は、ガアニ司令官が7日にテヘランで開催されたイベント向けにメッセージを送ったとし、同氏が「別の重要な会議に参加しているため」出席できなかったと報じた。
イラン治安筋はロイターに対し、レバノンを訪問していたガアニ司令官がイスラエルによる先週のベイルート空爆以降、消息を絶っていると明らかにした」
(ロイター10月8日)
イラン有力司令官は「元気」と軍幹部、レバノンで消息不明と報道 | ロイター (reuters.com)

ヒズボラは戦闘力の大部分を失い、指導部も壊滅しました。
残った唯一の副党首ナイム・カセムは停戦を呼びかけています。

「指導者たちが皆暗殺された今、ヒズボラを代表して声明を出しているのが、副党首であったナイム・カセムである。
カセムは、8日、国民にむけて30分のテレビ演説を行った。
その中で、カセムは、ナビフ・ベリ議会議長が、“停戦”という概念の元で、ベリ議長の活動を支持すると述べた。
回りくどいが、“停戦”を支持するかのような言い方である。
またヒズボラはこれまで、イスラエルとの停戦は、イスラエルがガザへの攻撃を停止することが条件だと言っていたのだが、それを言わずに、停戦を示唆していたということである」
(オリーブ山通信10月9日)
ヒズボラ弱体化進む:ネタニヤフ首相がレバノン市民へヒズボラ打倒呼びかけ 2024.10.9 – オリーブ山通信 (mtolive.net)

これに対してイスラエルが応じるかどうかは未定です。

一方、米国はいつもどおりの中間的スタンスで、イスラエルを支援しつつ自制を求めていますが、ここに来てハリス陣営に揺らぎが出始めています。
ハリスはバイデンに輪をかけてあいまいです。
ハリスの中東政策はバイデンよりもパレスチナ寄りだと目されています。

「イスラエルの安全保障に対するアメリカの関与は揺るがないと強調しているほか、イスラエルとパレスチナの「2国家共存」による和平の実現を目指すとしています。
ただ、アメリカのメディアは、バイデン大統領よりもイスラエル軍の攻撃に批判的な見方を持っていると伝えています。
ハリス氏は、早い段階からガザ地区への人道支援を重視すべきだという姿勢を示し、8月の民主党の全国党大会では「この10か月の間にガザで起きたことは壊滅的なことだ」と述べ、即時停戦を訴えました」
(NHK9月12日)
中東情勢の政策比較 ハリス副大統領、トランプ前大統領、当選したらどうなる?|アメリカ大統領選挙2024|NHK

ハリスにはトランプのようなハッキリしたキャンペーンがありません。
あえていえば女性初の大統領、黒人大統領というくらいが売り物で、メディアの大応援団をいなければトランペンプには張り合えないのです。
しかしこれではスイングステートき白人労働者層には訴える力が弱すぎます。
トランプは、激戦州の貧しい白人労働者(プワーホワイト)をターゲットにした自動車産業や鉄鋼生産の保護政策を打ち出し、不法移民が職を奪い、治安を悪化させているという彼らの不安に応えています。
そのためにハリスは、このスイングステート(激戦区)の中心的勢力である全米トラック労組や鉄鋼労組から愛想をつかされ、このままでは激戦区を落すかもしれません。

またハリスの政治的基盤は党内極左層であり、民主党主流の中間派と大きな隔たりがあります。
ハリスが中間派のバイデンと同じようにイスラエルを断固支持する姿勢を見せた場合、極左派はパレスチナ支持を叫んで離反するでしょう。
しかも極左の受皿の「緑の党」が誕生し、スタインを大統領候補に押し立てています。
そうなると歯切れがいい緑の党が、ハリス票を食う可能性すら出てきました。
もちろんこんな党派ほ泡沫ですが、1ポイントを争う激戦区では大きな意味を持ちかねません。

バイデンも先が1カ月しかないレームダックもいいところの存在でなにもできません。
ネタニヤフはその足元を見透かして、とことんやる気のようです。

 

 

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コメント

それにしてもイランの核開発問題に触れないメディアはメディアとして問題がありますよね。イランの核開発問題を知らなければイスラエルがあそこまでイランに強硬姿勢をとる理由が理解できないのに。

 イランのミサイル攻撃はもともと腰が引けていたというか、市街地や核施設を狙いから外し、米国にも予告するなどメンツを保つ目的だったように見えます。また、「国内強硬派の意見をかわす目論見」だったとも言われます。危機感をあおる報道ばかりが目立ち、黒井氏のような冷静・沈着な分析が必要。
イランのアラグチ外相は「イランが新たな攻撃をしなければ、我々はこれ以上の報復はしない」と述べていて、技術力と諜報力の違いをまざまざと思い知ったように思われます。
一方のイスラエルではリクードやネタニヤフ政権への支持が徐々に上昇を続けていて、巨大デモの映像ばかり見させられて作られる我々の認識とは状況が違って来ています。
「レバノン国内ヒズボラへの攻撃は第二の10・7を防いだ」との見方、UNRWAの正体、地域で偏向する国連平和維持軍がどういうものか? 当のイスラエル国民の理解が変わって来ているようです。
けれど、イスラエル自身がふかしているように大規模反撃に本当に出るならば、反射神経的にすでにやっていたんじゃないか? イランのテロ体制が問題なのであって、イランという国家そのものと全面戦争する不合理な判断をイスラエルはしないように思います。
なんなら、ハメネイを排除するリソースも保持しているイスラエルにとってみれば、なおさらです。

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