常識人としての玉木代表
石破氏の立て籠もり籠城戦は続いております。
メディアは大喜びでこんな世論調査の数字をだしています。
かつて国民的人気者だと褒めそやされたのが、まるで大昔のことのようです。
「共同通信社は28、29両日、衆院選の結果を受けて全国緊急電話世論調査を実施した。石破内閣の支持率は32.1%で、内閣発足に伴う10月1、2両日調査の50.7%から18.6ポイント下落した。不支持率は52.2%。(略)
望ましい政権の枠組みは「政界再編による新たな枠組み」が31.5%と最多で「立憲民主党を中心とした多くの野党による政権」は24.6%。「自公に日本維新の会などを加えた政権」が19.3%で続き、自公の少数与党政権は18.1%で最少となった。石破茂首相が辞任すべきだとの回答は28.6%にとどまり、辞任は不要が65.7%に上った」
(共同10月29日)
石破内閣の支持率、32%に下落 自公政権の継続望まず、53%(共同通信) - Yahoo!ニュース
長引けば長引くほど、「立憲を中心とする野党連合政権」を支持する割合が増えていきます。
いいんでしょうか、自民党の皆様。
さて、国民民主党の玉木代表の良さは常識人だということです。
常識を心得た人間らしく、いくら国民民主が大飛躍をしても淡々としておいでです。
これがいきなり舞い上がってしまうようなキャラだと、興ざめします。
しかし、そうは思わないのがメディアで、テレビ局はこんなバカなことを玉木氏に尋ねて軽くいなされています。
たとえば日テレはこんなこといきなり玉木氏に聞いてしまっています。
【国民民主党・玉木代表に聞く】「連立を組む気はない」今後の政局のキーパーソン
「鈴江キャスター
「それだけ期待が集まっている中で、ここからどうするのかについて伺います。15年ぶりに与党が過半数割れした状況です。国民民主党としてどう動きますか?」
一種の誘導質問ですよね、これは。
「期待が集まっています」と持ち上げてみせて、それを与党過半数割れで受け止めて、なにを聞き出そうとしたいのでしょうか。
もちろん「野党連合政権」につくか、それとも与党の一角に加わるのかの2択で誘導しようとしています。
ここで玉木氏の脳味噌が小泉ジュニア並だと「ボクってセクシー」とトンチンカンな答えをするか、ゲル氏なら「国民にお考え願いたい」とあらぬことを口走ったりします。
これではダメです。聞いていることをはぐらかさずに、真正面から「あなた考え違いしていますよ」と言わねばなりません。
日テレ
「国民民主党・玉木代表
「さきほど申し上げた通り、我々12日間政策を訴えて、特に『手取りを増やす』ということを訴えて頂いた議席である以上、政策実現にこだわりたい。だから連立がどうかという話はあるが、我々そういうことにくみする気はない。ただ選挙で約束した政策を実現できるのであれば、政策ごとに『実現してくれるんだったら、協力してくれるんだったら、協力するよ』ということはやっていきたい。あくまで政策本位で1つ1つ判断をしていきたい」
うまい。しっかりと「連立に与する気はない」と切り捨てて、返す刀で「政策ごとに実現のために部分協力しますよ」といなす。
こういう言う方をすれば、角が立ちません。きっと地頭がいいんでしょうね。
かつての小澤氏のように、テメーはバカかと上目戦でにらみ返すのではなく、おだやかに聞く者をそらしません。
フツーこういうふうに真正面から丁寧に答えられると、多少は目が覚めて、政策内容に話をもっていくのかと思いきや、このテレビキャスターは任務に忠実。
あくまでもディレクターから玉木がどっちにつくか聞いて来い、と命じられているとみえて、しつこく話題を「連立」方向に誘います。
「鈴江キャスター
「与党とどういうところで一致点を見いだせるかというのは、既に話はあるのでしょうか?」
国民民主党・玉木代表
「私はしているわけでないんですが、そういうアプローチは幹部にもあるのだと思います。ただ、具体的な話はまだ聞いておりませんけれども、いずれにしても、我々譲らない政策というのがありますし、特に手取りを増やす経済政策、基礎控除を上げましょうとか、あるいは、従来からずっと言ってきて主張を続けている『ガソリンの暫定税率を廃止して、レギュラーガソリン25円10銭さげましょう』とか。こういうことは、従来からずっと言ってきているのでぜひ実現したいし、実現してくれるんだったら、いろんな協力の可能性は広がってくるなと考えています」
よしんば「与党から話があって」も、言えるわきゃないでしょうに。
水面下の交渉をペラペラしゃべったら、二度と政界では生きていけませんよ。
そもそもこのキャスターは、国民民主がいわゆるトリガー条項を発動を巡って、岸田政権に協力したことをお忘れなようです。
考え方は一緒です。政策ごとに提携していく、閣内協力はしない、ということです。
国民民主はこの既定路線を進んでいるだけのことで、こういう答えが返ってくるのは見通せたはずです。
ちなみに、石破政権はこの国民民主の提案に対して、ろくすっぽ揉まずに一蹴してしまいました。
バカですね。閣内協力をするはずがなければ、せめて政策協定の可能性だけでも持っておけばいいのに。
「衆院選で過半数割れした自民、公明両党が協力を模索する国民民主党が主張する「トリガー条項」の凍結解除について、武藤容治経済産業相は29日の記者会見で否定的な見方を示した。トリガー条項はガソリン税を一部軽減する措置で、武藤氏は「(凍結解除で)ガソリンスタンドや石油元売り会社で大きな資金負担が生じることに関し解決策を見いだすに至っていない」と述べた」
(産経10月29日)
武藤容治経産相、国民民主の主張を一蹴 「トリガー条項」凍結解除などに否定的見方 - 産経ニュース
おいおい、平大臣が答えるべきことじゃないだろう。
ことは単にガソリン補助のあり方だけではなく、国民民主にどちらを向かせるのかという大局に立った判断であって、本来首相が丁寧に受け止めるべきことです。
岸田さんは含みをもたせたまま何もやらなかったので、御破算になりましたけどね。
それすらできない政治オンチのゲル内閣。
こういうことからも、この内閣は統制が効いていないなぁ、と思います。
さてこの女性キャスターはジレてきたようで、じゃあ野党連合はどうなのさ、と切り込んできました。
「鈴江キャスター
「一方で野党系は過半数を超えています。野党でまとまれば政権を取れる議席ですが、そこの可能性は探らない?」
国民民主党・玉木代表
「いまの野党全部まとめて政権取ってもらいたいと思います? 私が一番心配しているのは外交・安全保障なんですよ。今こういうふうに与党も野党も単独で過半数取る状況じゃない。極めて不安定。
来月にはアメリカの大統領選挙がある。日米の安全保障を担当する責任者が代わったり、あるいはカウンターパートが変質する可能性があって、そういう中において、仮に安全保障で一致できないような、そもそも閣内で揉めるような形だと、南西諸島方面に対してすぐに領空侵犯、領海侵犯、またいわゆる有事が起きる可能性もあるので。外交安全保障とか原発を含めてエネルギー政策とか、国家の基本政策について一致できない人が集まってやっても、これは国のためにならないので」
「野党がまとまれば政権がとれる」、絶句するくらいにバカな質問です。
あんたは小学生か。足し算しかできないのか。
それで「野党連合政権」作ってどーなる。結末は見えています。
かつての民主党政権時に玉木氏がどういうポジションだったのか、ちっとは勉強してしゃべって欲しいものです。
玉木氏は民主党政調会長の前原氏の下の政調会長補佐として、党内が左派と保守で完全に分裂して、なにも決まらないことを身をもって知っていたはずです。
口先だけのキレイゴトの民主党政権のダメさや、小沢氏のようなダークサイドをいちばん知っているのは、こういう政策担当者たちだったのかもしれません。
民主党が解体した後に玉木氏は小沢と野合するなどといった褒められない迷走をしますが、たぶんこの経験からも「安全保障で一致できないようなことだと内閣で揉めてしまい、外患に対処できない弱い政府になってしまう」という総括をしたのだと思います。
そういう彼をつかまえて「数を合わせりゃ野党で政権がとれますよ」はないもんです。
安全保障と外交、エネルギー政策、そして経済政策は国の基幹です。
基幹政策が一致しない「連合」はありえないのです。
しょせん寄り合い状態の「野党連合政府」はこの根幹が大きく違っているためにグチャグチャ。
こんなものを新たに作っても、かつての民主党政権の二番煎じなだけなのです。
ところでこのインタビューの最後のほうで玉木氏はこう言っています。
しつこくばかなことを聞くキャスターに対して
「鈴江キャスター
「与党入りはない、というお話ですが、与党が今訴えている政策をのむかわりに、もう少し踏み込んだ連携を提案されたらどうしますか?」
国民民主党・玉木代表
「我々ポストはいらない。閣僚とかそういうのは全然いらなくて、国民のための政策が欲しい。今回、野党が躍進し与党が議席を減らした。政治報道なのでどうしてもそうなるが、どっちが増えようが減ろうが、国民生活関係なくて、困っていますよ、本当に。物価が上がる、でもなかなか賃金や年金は増えないと」
久しぶりに失望しかかっていた政治家から、「ポストはいらない。国民のための政策が欲しい」という殺し文句を聞きました。
惚れ惚れするいい台詞です。
猟官と金権に根腐れしてしまった自民党よ、たまにはこういう元気のいいことを言ってみろ。
一番聞かせたいのは石破首相です。
猟官の極を遂げて、結果どうなりましたか。
あなたはかつて「自分のやりたい政策」を持っているかに見えましたが、それは幻想でした。
あなたが猟官の果てに登り詰めると、すべてを食言し、今まであなたが作ってきた「自民党良心派」という虚構を全否定してしまいました。
今回の選挙は「裏金議員」によって負けたのではなく、あなた自身の食言によって一敗地に塗れたのです。
「食言」、すなわち一度口から出した言葉をまた口に入れてしまうことをした自分を恨みなさい。
私は国民民主といくつかの政策で異なる考えをもっています。
しかしひとつだけ言えることは、この党は語るに足る政党だということです。
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玉木代表の完璧な受け答え。
今、政界で一番光ってる男ですね。
来夏の参院選を考えれば、ここで落ち目の石破自民と連立を組んでも何の得にもなりません。
ここで加藤勝信さんにでも首相交代するならば、連立はあり得ます。
けれど責任を他者に押し付け、首相の座に盲執するヤカラに手を差し伸べたい奇特な党はありません。
一方の石破はこれから「政治とカネの問題、党内改革」やらをやると。
つくづくアホです。恣意的に作られ、マスコミによって煽られて生成された同問題を拡大継続するおつもりのよう。彼の悪い意味のリベラル脳では、本当の大敗の原因が見えないんでしょ。まさに進次郎レベルです。
安保法制、森・加計・サクラから消費税増税までがありながら、選挙で大勝し続けた安倍さんがどうやったのか? 全然、勉強していないんですよ。無残です。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2024年10月30日 (水) 02時17分
「玉木代表は大臣ポストが欲しいから自民とかけひきをしている」という玉川氏の妄想に対する明確な否定を最短で表明したのはGJですね。
マスコミからの圧に右往左往している石破政権の面子とは雲泥の差です。
国民の声を代弁しているのはあくまで選挙であってマスコミではありません、政治家はそれを間違えてはいけません。
このまま石破政権が国民民主に主導権握られるままに国民にとって良い方向へ政治が動くならそれもアリとも思います。
限界左派や日本保守の世迷言に毒された人の何割かも目を覚ますことでしょうし。
投稿: しゅりんちゅ | 2024年10月30日 (水) 10時41分