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2024年11月13日 (水)

トランプ第六天魔王が来る前に

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目に見えておとなしくなりました。
いえなに、世界の過激派の連中が、です。

まずはガザ戦争ですが、ハマスとアッバスがこんなことを言い始めました。

「米大統領選で共和党のトランプ前大統領の当選が確実になったことを受け、イスラム組織ハマスとパレスチナ自治政府は、トランプ氏に対し和平を実現するよう呼びかけた」
(ロイター11月6日)
パレスチナ指導者、トランプ氏に和平呼びかけ ガザでは不安の声 | ロイター

同時にいままでハマス指導部を高級ホテルと豪邸に匿っていたカタールが、とうとうハマスを追放しました。

「パレスチナ自治区ガザを巡る停戦協議が停滞する中、バイデン米政権がカタール政府に対し、同国にあるイスラム原理主義組織ハマスの在外指導部を追放するよう求め、カタール政府がそれを了承したことが8日分かった。ロイター通信などが米政府高官の話として報じた。(略)
ハマスは2012年、シリア内戦の影響で同国首都ダマスカスにあった在外指導部をカタールの首都ドーハに移した。カタールはハマスに資金を提供する一方でその活動に影響力を行使してきた」
(産経11月9日)
カタールがハマス指導部を追放か 米政権、人質解放拒否を受け要求 - 産経ニュース

カタールというのは実にしゃもない国で、いちおう米国の「同盟国」となっていますが、面従腹背の極みのような国です。
米軍基地を駐留させ、米国製兵器を供与されているにもかかわらず、中東の札付きテロリストの拠点だったのです。
いちおうは米国の承認という形はとっているものの、ハマスに拠点を与え、資金まで提供していました。
それもカタールが彼らとの「パイプ役」を期待されてのことですが、ハマスに妥協を要求するどころか、やる気ナッシングの姿勢に終始しました。
せめて人質をすこしでも返させる努力くらいはやったらよさそうなものなのに、いまだ101人が人質のままです。
人質を返せば、イスラエルは攻撃の手を休めるといっているのにです。

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トランプ氏、当選後初会見 「米国第一主義」全開 | 社会 | カナロコ by 神奈川新聞

カタールとハマスはバイデンをなめきっていました。
だからこの8月下旬には停戦拒否し、あてつけのように米国人の人質を処刑するようなまねをしてみせたのです。

「米当局者がタイムズ・オブ・イスラエルに語ったところによると、ハマスが8月下旬にアメリカ人とイスラエル人の人質ハーシュ・ゴールドバーグ・ポリンを他の5人の捕虜とともに処刑し、その後のさらなる停戦提案を拒否したことが、政権がテロ集団のドーハでの継続的なプレゼンスに関するアプローチを変更し、「もはや実行可能でも容認できない」と見なすきっかけとなったという」
(タイムスオブイスラエル11月9日)
米国の要請で、カタールはハマスにドーハからの撤退を命じた - バイデン当局者 |lタイムスオブイスラエル

バイデンは残りわずかの期間で停戦を双方に認めさせ、人質を奪還せねばなりません
普通に考えれば、彼がレームダックだというのは、世界の誰もが知っていることなので、素直に聞くはずがありません。
しかし今回だけは効きました。
なぜでしょうか。もう2カ月先にはトランプという第六天魔王が腕をさすってお待ちだからです。

ハマスやヒズボラ、フーシ派、そしてその元締めのイランさえもが、今の紳士のバイデン翁がいる内が花、いまのうちに少しでもいい条件を作って置かねばならない、そう思うようになってきています。
トランプになれば、カタールに対しては容赦なくこう言うかもしれません。
「お前はテロリスト側についた。同盟国失格だ」。そして同時に米軍を撤収させて、武器供与も停止するかもしれません。
そうなればカタールは素裸となってしまいます。

ハマスはもう逃げる場所がありません。
カタールにいれば、イスラエルも米国との関係から手控えたでしょうが、それを失えば、逃げ場はレバノンくらいなもので、彼らの幹部は四六時中イスラエルの復讐に怯えて一生を送らねばなりません。
そのレバノンもイスラエルとの国境付近に緩衝地帯を作られてしまいました。
そしてフーシー派はトランプが当選するやいなや、船舶攻撃を停止すると表明しました。

ここまで外堀を埋められると中東のテロリスト司令部であるイランも心穏やかではないはずです。
トランプはかつて、イスラエルはイランの核関連施設を攻撃すべきだとまで言っていた人物です。
トランプが就任すれば、バイデンが渋っていた大型地中貫通爆弾を使用するかもしれません。

よくトランプがイラン核合意を破ったので中東が不安定になっている、というようなことを言う人がいますが真逆です。
イランは秘密裏に核濃縮を続けており、それに対してトランプ政権は核合意を廃棄し、原油輸出をメーンとする強力な経済制裁を課しました。
しかしバイデンは、核合意に復帰してしまい、制裁を履行しなかったために、イランは大量の原油を中国などに輸出して潤いました。
バイデン政権の制裁不履行によって、イランに流れ込んだオイルマネーは400億ドル以上と言われています。

トランプが復帰すれば、逆に振り子が振れます。
核合意から離脱し、制裁が復活し、再びイランは外貨収入のメーンの原油輸出の道を閉ざされます。
このトランプ復活とイスラエルとの軍事緊張のために、イラン通貨リアルは暴落しています。

「イランの通貨リアルは、同国とイスラエルの間の軍事的対立が激化するとの懸念から、非公式市場で過去最安値を更新した。
テヘランを拠点とするトレーダーが通信アプリ「テレグラム」とウェブサイト「ボンバスト」で提示した為替レートと価格の平均によると、1ドル=70万リアルに近い水準で3日以降取引されている」
(ブルームバーク11月5日)
イラン通貨リアルが下げ加速、過去最安値を更新-年初来で27%下落 - Bloomberg

窮したイランはトランプ暗殺を企てたそうです。

「米司法省は8日、イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」が今年9月、工作員にトランプ次期大統領の動静監視や暗殺を指示していたと発表した。暗殺は実行されなかったが、メリック・ガーランド司法長官は「米国の安全保障を危険にさらそうとするイランの試みを容認しない」と表明した」
(読売11月10日)
イラン トランプ氏暗殺指示か 革命防衛隊 米訴追の工作員供述 : 読売新聞 

一方イスラエルは、喜び半分、不安半分のようです。
トランプは、第1期の時は、ネタニヤフ首相との関係は非常に親しく、イスラエルの強力な理解者でした。

そしてイスラエルが望んでいたように、イラン核合意から離脱して、経済制裁を課すことで、イランが核軍備を進めることを困難にしました。
さらに恒久的平和の枠組みとして、アブラハム合意を作ることに成功しました。
この合意は、イスラエルと湾岸アラブ諸国の橋渡しを実現し、サウジアラビアとの国交を実現することで、イランを外交的孤立に追い込むものでした。
それを恐れたハマスは、アブラハム合意の破壊のために10・7テロを仕掛けたのです。
その思惑どおり、その後に始まるガザ戦争によって、このアブラハム合意の枠組みは完全に破壊されます。

トランプは当選祝いの電話会談でネタニヤフともっとも長い時間話したそうですが、たぶんこう言われたはずです。
オレが就任するまでの2カ月間に戦争をお終いにしろ。
JPPI(Jewish People’s Policy Institute)のシュムエル・ロズナーはこう言っています。

「トランプ氏は、その場その場で動くので、まったく予想がつかない人物である。トランプ氏は、戦闘を止めると宣言しているが、果たして、それをどう実行するのか、予想もつかない。
そのため、ハマス、ヒズボラ、またイスラエルにとっても、来年1月20日までまだ、少しはその手のうちが見えるバイデン政権の2か月半ほどの間に、戦争を終わらせる方向で、戦闘と、交渉で人質を解放させる動きが、加速する可能性があるとロズナー氏は指摘する」
トランプ氏次期大統領決定:就任までの隙間時間に戦争終結の可能性も?2024.11.7 – オリーブ山通信

ネタニヤフは、姑息にもトランプの当選が決定する直前になって、政敵ガラント防衛相を解任し、カッツ外相に交代させる方針を明らかにしました。
ガラントは、ガザ戦争の継続に反対し続けており、米国の信頼も厚く唯一のパイプ役といわれた人物です。
これを今のうちに解任してしまうというのが、いかにもネタニヤフです。
おそらくこの2カ月間でできるだけダーティなことをして「平和」的状態を作り出すつもりでしょう。
ただし、それもトランプの承認なくしてはできないはずで、どうなりますことやら。

くりかえしますが、これはまだトランプがまったく外交をする前のことです。
彼は今は閣僚人事に奔走しており、ネタニヤフとも20分話しただけにすぎませんが、すでにトランプに備えて中東は大きく動き始めているのです。

 

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コメント

国務長官がルビオなんかで本当にいいのか?とも思ったけど、前回と違い初っ端から他の面々もトランプに忠実なヤツばかりで固めてるようで不安といえば不安だが。
まあ操り人形だから選ばれた訳ですな。

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