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2024年11月20日 (水)

ウクライナ支援派が排除された新トランプ政権

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たぶん次の春には、ウクライナは「平和」を取り戻すでしょう。
ただし、それは「平和」と呼んでいいものかすら迷うほど苦いものです。

トランプがどのようなウクライナ和平を考えているのかは、マイク・ポンペオとニッキー・ヘイリーが、次の政権から排除されたことでわかりました。
このことでトランプが「ウクライナ処分」をどのらうに考えているのか明瞭になりました。
ポンペオはウクライナがロシアの侵略をはね除けて勝利し、独立を回復することこそが、真の平和への道だと考えています。
彼はキーウを訪れて、ゼレンスキーに支援の継続を約束しています。

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ゼレンスキー氏、ウクライナ訪問のポンペオ氏らと会談 - CNN.co.jp

「ポンペオ氏は昨年3月にキーウを訪れ、ゼレンスキー大統領と会談を果たした。トランプ氏の相次ぐ親露的な発言の中で、ゼレンスキー氏はその右腕だったポンペオ氏のキーウ訪問を歓迎し、「自由と民主主義のために」戦っているウクライナ人への強力な支援のシグナルになると評価した。
ポンペオ氏は段階的にしか最新鋭兵器を供与しないバイデン政権の姿勢を批判。「私たちが全てを終わらせるだけの支援を提供できるにもかかわらず、それを行っていないことは悲劇だ」と述べた。
ポンペオ氏は今年10月にも、ロシア領内の軍事基地への攻撃を容易にするためゼレンスキー氏が求める長射程兵器についても、この要求になかなか応じないことは「軍事的に愚かであり、戦略的にバカげたことであるように思える」とバイデン政権を非難してみせた」
(佐々木正明2024年11月7日)
【トランプ勝利】どうなる?ロシアのウクライナ侵略、「戦争を止める」発言にプーチン政権はどう反応したか(Wedge(ウェッジ)) - Yahoo!ニュース

ポンペオの政治的には微妙で、かならずしもトランプ親分に忠誠を誓うタイプではありませんでした。
意識的にトランプと一定の距離を開けることで、トランプの思い込みを修正しつつ現実の国際政治と整合させるという難しいことをしてきました。
アブラハム合意などは彼なくしてはできなかったことですが、トランプを崇める「陰の政府」などといっているトランピアンからは評判が悪く、「裏切り者」とすら呼ばれたことがあります。
ちなみに、大統領選の初期には立候補しており、トランプ批判もしていたようです。

ニッキーヘイリーも似た立ち位置で、彼女は最後まで大統領選で食い下がりました。
トランプに対しての批判は、ポンペオ以上に激烈です。

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CNN

「ウクライナでの戦争をめぐっては、トランプ氏やデサンティス氏とははっきりとした違いを示した。トランプ氏やデサンティス氏はロシアによるウクライナ侵攻に対する立ち位置がぐらついたことで話題になったが、ヘイリー氏は、ロシアが勝利すれば、さらに致命的な危機が世界にもたらされるとし、米国による関与の継続を明確に訴えた」
(CNN2023年6月5日)
共和党ヘイリー氏、ウクライナ情勢めぐりトランプ氏との違い示す 24年米大統領選 - CNN.co.jp

もうひとり、ウクライナ支援の拡大を主張していたロバート・オブライエン元大統領補佐官も排除されました。
この三人に共通していたのは、ウクライナ支援の継続です。

政権内ではなく、議会指導者でウクライナ支援にまわりそうな人物は、ロジャー・ウィッカー議員くらいなものでしょうか。
ウィッカーは上院軍事委員会次期委員長になるといわれています。
ウクライナから手を引く傾向がはっきりした中で、彼がどれだけ頑張れるかです。

「ウクライナの強力な支持者であり、軍事費増額の推進者である米ミシシッピ州共和党のロジャー・ウィッカー氏(73)が、米上院軍事委員会の次期委員長に就任する予定だ。アメリカ軍準機関紙の星条旗新聞が11月6日、報じた。
次期大統領に選ばれたトランプ氏は「米国第一」を掲げ、ウクライナ支援に否定的だ。しかし、米国は議会が強力な国だ。今後、トランプ氏とウィッカー氏が率いる上院軍事委員会との政治的な綱引きが起こりそうだ」
ウクライナ強力支持者の米共和党議員が上院軍事委員会の次期委員長に就任へ トランプ次期大統領と綱引きか(高橋浩祐) - エキスパート - Yahoo!ニュース

一方、今回トランプが第二次トランプ政権の次期国務長官候補に指名したマルコ・ルビオは、対中政策では厳しい態度をとりながらも、ことウクライナのこととなるとロシアとの妥協を図ろうとしています。
ルビオは、今春、ウクライナ支援反対の最右翼で、610億ドルの軍事援助に反対票を投じた上院共和党議員15人のうちの一人です。

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トランプ次期政権の閣僚選任進む 国務長官にルビオ氏と米報道 環境保護局長官にはゼルディン氏起用


「翌6日に米上院は、ウクライナへの支援を含む大型支出法案を否決した
1060億ドル(約15兆6000億円)の支出案のうち610億ドルはウクライナ支援に振り向けられる予定だった。このほか、イスラエルと台湾への軍事支援と、アメリカの南部国境の強化が含まれていた。
しかし、ゼレンスキー氏がビデオ会議で登場する予定だった会議は、国境措置をめぐって口論に発展。数十人の共和党議員が退席した。6日の採決では、共和党議員全員が反対票を投じた」
(BBC2023年12月7日 )
ウクライナへの欧米の支援にかげり ゼレンスキー氏、「ロシアの望むこと」と警鐘 - BBCニュース

ご承知のように、ウクライナ支援は米国が突出しています。

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BBC

「ウクライナに対する軍事支援の規模では米国が突出している。バイデン米大統領は21日、ウクライナに対する18億5000万ドル(約2440億円)の追加軍事支援を発表し、2月のロシアによるウクライナ侵攻からの軍事支援総額は約213億ドル(約2兆8000億円)となった。戦況に応じた支援を迅速に繰り出すことで、米国は日欧など同盟諸国の取り組みを牽引(けんいん)したい考えだ」
(産経2022年12月22日)
米が突出のウクライナ軍事支援 戦況に応じて効果 - 産経ニュース  

ルビオは上院の審議で、「ウクライナ人の戦いは勇敢で強靭だ」と称えながら、その一方で「膠着状態の戦争にいつまでも資金援助できない。決着を付けるべきだ」と述べていました。
また、大統領補佐官(国家安全保障担当)にになったマイク・ウォルツ下院議員も、ウクライナ支援の見直しを訴えています。

どのポジションになるかわかりませんが、トランプが「私の使者」とまで呼んでいる元駐日大使のビル・ハガティも、ウクライナ支援継続反対の立場で、ことしはじめには支援を増額する法案に反対票を投じています。 

「1期目のトランプ政権のもとで、駐日大使を務めたハガティ上院議員は10日、アメリカのCBSテレビのインタビューに応じました。
この中でロシアからの軍事侵攻を受けるウクライナへの軍事支援について「相当な金額が使われている。アメリカ国民は国境が崩壊していることなど国内の問題に焦点をあてることを求めている」と述べ、支援の継続に否定的な立場を示しました。
その上で、ハガティ氏はウクライナで多くの犠牲者が出ていることに触れ、トランプ氏が今後、停戦に向けた働きかけを行うという見通しを示しました」
(NHK11月11日)
トランプ次期政権 ハガティ氏「国内問題を優先」ウクライナ支援継続に否定的 | NHK | アメリカ 

そしてウクライナ支援継続反対の急先鋒は副大統領候補となったJ・D・バンス次期副大統領です。

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産経

「米大統領選の共和党の副大統領候補バンス上院議員が14日までに、トランプ前大統領が選挙で返り咲いた場合、ロシアのウクライナ侵攻を交渉で終結させると主張し、和平案を示した。ウクライナは北大西洋条約機構(NATO)に加盟せず、中立国とするほか、現在の前線を非武装地帯として、ウクライナ側は再びロシアの侵略を受けないよう防備を固めるとした。(略)
ウクライナはNATO早期加盟、領土奪還を掲げており、バンス氏の案は受け入れ難い内容。米紙ニューヨーク・タイムズは「ロシアのプーチン大統領の和平案のようだ」と批判的に伝えた。

バンス氏は「ロシア、ウクライナ、欧州は戦争を終わらせたいと考えている」と主張。バイデン政権は「(戦争に)資金を投じて、ウクライナの軍事的な勝利を願っている。ウクライナでさえ、勝利は得られないと言っているのに」と述べ」
(産経2024年9月14日)
ウクライナはNATO加盟せず中立国に 米共和党副大統領候補のバンス氏が和平案示す - 産経ニュース

張り倒してやりたいような言辞ですが、このトランピアンの「和平案」については次回に。

 

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コメント

>ルビオは上院の審議で、「ウクライナ人の戦いは勇敢で強靭だ」と称えながら、その一方で「膠着状態の戦争にいつまでも資金援助できない。決着を付けるべきだ」と述べていました。

だったら、かつてない規模で武器も機体も兵隊も送って、使用制限も完全に撤廃して、奪われた領土を取り返しつつモスクワとプーチンの隠れ家も廃墟にしてやれば良いんです。それで「決着」をつけて欲しい。

 ルビオが当時610億ドル支出に反対したのは、バイデン政権の資金の用い方に疑義があったからだったと思います。そのカラクリのとおり、10月末までにウクライナに届いたのはたった10%程度だった。
でも、ルビオは遅くも選挙中には明らかに「ウクライナ支援反対派」のように見え、どのあたりから変節したものか我々には良く見えません。
次期国連大使のステファニク議員もそう。「(支援を通じた)欧州の安定化は米国の国益になるし、MAGA理念にも合致する」としていたところ、まるでなかったように支援反対派になっています。
それならそれで、レンドリースなら支援が可能なのか?あるいはゼレンスキーはウクライナの資源開発の権利割譲まで言っている。
なお、来年5月の大統領選も決意したようです。
トランプ流が一体なんなのか?未だ判断できないように思います。

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