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2024年11月23日 (土)

ロシア、ICBMを発射か

S-147

ロシアがとうとう大陸間弾道ミサイル(ICBM)をウクライナに発射しました。
この一報を目にした時、とうとう核戦争を始めたのかと背筋が冷たくなりましたが、核は搭載していなかったようです。

「ウクライナ空軍によると、ロシアの大陸間弾道ミサイル1発が他のミサイル8発とともにウクライナ中東部の都市ドニプロDnipro(ドニエプル)の企業と重要インフラを標的にし、ウクライナ軍がそのうち6発を撃墜したと発表した。
地元の州知事は、産業施設や住宅が被害を受け、火災が発生するなどして、2人がけがをしたとSNSで明らかにした。ウクライナ軍は今週、米国製と英国製の長距離ミサイルでロシア領内を攻撃していた。ウクライナ軍はロシアが発射した巡航ミサイル「Kh-101」6発を撃墜したことも明らかにした」
(AP 2024年11月21日)
プーチン大統領、ロシアがウクライナへの攻撃で新型中距離ミサイルの実験を行ったと発表 |WRBLの

なお、このウクライナ空軍の発表に対して米国の当局者は疑問を呈して「中距離弾道ミサイル」のようだと考えているようです。

「アメリカの複数のメディアは欧米の政府当局者の話として、「発射されたのは弾道ミサイルだが、ICBMではなかった」と報じました。ロイター通信はアメリカ政府当局者の話として「ICBMではなく、中距離弾道ミサイルだ」と伝えていて、情報が錯そうしています」
(NHK11月2日)
ウクライナ軍「ロシアがICBM発射」ロシアのプーチン大統領 「中距離弾道ミサイル」と発表 | NHK | ウクライナ情勢

なお、プーチンも「新型の中距離ミサイル」という表現をしています。

「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は木曜日、モスクワがウクライナへの攻撃で新しい中距離ミサイルをテストしたと発表し、キエフがミサイルを使用してロシアを攻撃することを許可した国に対して兵器を使用する可能性があると警告した。
木曜日のウクライナ中部都市ドニプロに対するロシアの攻撃は、今週のロシア本土に対するウクライナの攻撃が、アメリカとイギリスの長距離ミサイルを使用したことに対する反応だったと、プーチン大統領は全国放送のテレビ演説で述べた。
プーチン大統領は、ロシアがウクライナに対してこのようなミサイルでさらに攻撃を行い、民間人が安全に避難できるようにする場合、事前警告を発すると宣言した。そして彼は、アメリカの防空システムはロシアのミサイルを迎撃することはできないだろうと警告した」
(AP前掲)

ICBMならば、複数核弾頭を搭載可能な「ヤルス」か、極超音速弾頭搭載可能な新型のICBM、「サルマト」のいずれかです。

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今年5月、モスクワでの軍事パレードで披露された大陸間弾道ミサイル「ヤルス」 - CNN.co.jp

中距離弾道ミサイルならば、この間テストしていたRS-26ルベーシュだろうと推測できます。

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XユーザーのDEFENSE EXPRESS RS-26ルベーシュ
ただし、現時点では残骸の検証が済んでいないのでなんともいえませんが、プーチン自身が中距離弾道ミサイルと言っているので、おそらくそちらでしょう。
鶴岡路人氏は「IRBM(中距離弾道ミサイル)とICBM(大陸間弾道ミサイル)の境界線は不明確だ」として、 こう述べています。

「ICBMか否か論争。ミサイル自体に関しては、INF条約で射程500-5500キロが禁止されていたため、公式発表でそれよりちょっと短いか長いものが種々登場。しかしミサイルの射程(能力)を正確に測定することは困難。また、軌道などにより飛距離は可変。IRBMとICBMの境界線は不明確。
そのうえで、今回ロシアが撃ったものをICBMと呼ぶか否かには、技術的評価とともに、政治・外交的思惑が存在。ウはICBMだと強調して、新たな脅威を発信したい。米は、米供与兵器の露領使用許可がもたらしたエスカレーションとの批判を避けたいので、「これまでと変わらない」と強調したくても不思議ではない」

XユーザーのMichito Tsuruoka / 鶴岡路人さん

いずれにせよ、9月段階からプーチンは、米欧が供与している長射程兵器によるロシア領内攻撃があれば、「北大西洋条約機構(NATO)とロシアが戦うことを意味し、紛争の本質が変わる」と強調した。露領への攻撃に使用することの容認は「レッドライン(越えてはならない一線)」と警告していていましたが、とうとう実際にエスカレーションの階梯を上ったようです。

米国が長射程のATACM弾道ミサイルの制限を解除し、英国もストームシャドウ巡航ミサイルの使用制限を解除し、実際にウクライナ軍がロシア領内への攻撃を仕掛け始めました。
プーチンはメンツを潰された形になって逆上したのかもしれませんが、今回の弾道ミサイル攻撃の脅迫の対象が欧米であることから、きわめて危険な賭けです。

いうまでもなく、プーチンがレッドラインだと息巻いても、ウクライナがロシア領内の策源地を攻撃することは、国際法上なんの問題もありません。
自分は存分に侵略しておいて、やりかえされると切れただけのことです。

国際法上は、わが国でひと頃議論されて認められている、いわゆる「反撃能力」に相当します。

「攻撃力を持つことは侵略的意図を有することとは等価ではない。相手が自国を攻撃するのを防ぐために、自ら敵地を攻撃して敵の軍事力を撃破することは、「攻勢防御」あるいは「積極防御」と呼ばれる防御的な軍事戦略の1つである」。(略)
専守防衛下の敵地攻撃能力をめぐってしているだけでは、ある程度の打撃を侵攻側に与えたとしても、侵攻側はまた自らの策源地において戦力を回復し、再攻撃を行うことができるわけだから、純軍事的な観点から言えば、自国防衛の観点からも、何らかの形で攻撃力が必要となる局面を想定することもできる。であるからこそ、多くの国が、侵略的意図を必ずしも伴うことなく、攻撃的軍事力を保持しているのである」
(高橋杉雄『専守防衛下の敵地攻撃能力をめぐって―弾道ミサイル脅威への1つの対応―』
防衛研究所紀要 第8巻 第1号/高橋杉雄

ウクライナがここまで悲惨な攻撃にさらされているのは、ロシア領内からの弾道ミサイルやドローンなどの攻撃である以上、これから国民を守るためにはロシア領内であるとなしにかかわらず、これを破壊するしか方法はありません。

またATACMやストームシャドゥを使用したとしても、既にロシアは膨大な量の弾道ミサイルをウクライナに撃ち込んでいて、どのツラ下げて言うのかの世界です。
ウクライナの長射程武器使用は、国際法上の「武器対等の原則」からみてもまったく合法です。

それを勝手にレッドラインだなんだと線引きをして、勝手にエスカレーションの階段を上げたのですからどうにかしています。
今後、さらにこのエスカレーションの階梯を登る気ならば、無人地帯への核攻撃デモンストレーションやロシア自国内での核実験などが想定されます。

 

 

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コメント

プーチンとしてはまた「いつでもヤれるからな!」と凄んでみた感じ。あくまでも対米欧だと話を拡げたい。オレシュニク極超音速弾道弾だと言ってますね。
まあどっちにしてもダメだろ、と。

まあ最近の北朝鮮のミサイルのようにロフテッド軌道で数百キロしか飛ばさないというのも可能な訳で(弾頭の耐熱の問題はあるけど)、あまりICBMかどうかというのは記事内の通りあまり意味がありません。INF条約で無理やり区分してたというのもありますし。
実際にそれ以前からICBMとIRBMさらには準中距離弾道弾なんてかなり適当に分けられていました。
40年前だと欧州正面でソ連のSS-20と米国のパーシングⅡの射程ラインなんてのが新聞や雑誌によく載ってました。

 ウクライナ側の発表では、ロシア側は2020年型のルベージュを改良してこのオレシュニクと呼んでいて、したがってICBMではなく中距離弾道弾。ただし、ICBMの発射台から放たれたもの、との事。
プーチンは量産体制に入ったとか、西側マスコミでも「あと10機ある」と報道されているけど、もともとプロトタイプにすぎないもので、実験用にサブ一基残がある程度。弾道を積んでどうか?なのであって、北朝鮮なみの未完成のハッタリと考えてよいと思います。

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