次々に決まる新政権人事
続々と新トランプ政権の閣僚が発表されています。
ただし間違った情報も含まれているようで、ご注意を。
まずは最重要ポストの国務長官ですが、マルコ・ルビオが起用されました。
ロイター
[ウェストパームビーチ(米フロリダ州) 11日 ロイター] - トランプ次期米大統領が共和党のマルコ・ルビオ上院議員(53)を国務長官に起用する見通しであることが、関係筋の話で11日明らかになった。最終候補の中から最も強硬派を選んだ格好となった。就任すれば初の中南米系の国務長官となる。
ルビオ氏はかねてから米国と地政学的に敵対関係にある中国やイラン、キューバなどに対し強硬な外交論を唱えてきた。
ウクライナ情勢に関しては最近のインタビューで、ロシアに占領されている全ての領土を奪い返すことに注力するよりも、交渉による解決を目指すべきだと指摘。
4月に議会が可決したウクライナ、イスラエル、その他の米国のパートナーに対する950億ドルの軍事支援(訂正)の法案に反対票を投じた共和党議員15人の一人でもあった。
トランプ支持派の一部は、同氏の外交姿勢と矛盾する立場を最近まで取ってきたルビオ氏の起用を疑問視する可能性がある。ルビオ氏が1期目のトランプ政権時に、北大西洋条約機構(NATO)脱退に上院の3分の2の賛成という要件を設け、ハードルを高くする法案の共同提案者になった経緯がある」
(ロイター11月13日)
訂正(11日付配信記事) トランプ氏、国務長官にルビオ上院議員を起用へ=関係筋 | ロイター
あくまでも正式発表ではないということに留意下さい。
ウォルツはこのような経歴です。
「ウォルツ氏は陸軍特殊部隊「グリーンベレー」出身で、アフガニスタンや中東、アフリカで従軍した経験がある。18年に初当選し、中国の少数民族ウイグル族への人権侵害を理由に北京五輪のボイコットを主張した」
(朝日11月12日)
外交は対中強硬 米国務長官にルビオ氏か 補佐官はウォルツ氏 報道 [アメリカ大統領選挙2024]:朝日新聞デジタル
ウォルツについては追加情報を待っています。
国防長官にはピート・ヘグセス氏が起用されるようです。
ピート・ヘグセス氏 ロイター
[ワシントン 12日 ロイター] - トランプ次期米大統領は12日、国防長官にFOXニュース・チャンネルの司会者ピート・ヘグセス氏(44)を指名すると表明した。ヘグセス氏は元陸軍州兵で、個人ウェブサイトによると、アフガニスタンやイラク、キューバのグアンタナモ米海軍基地で任務経験がある。
これまでに示した政策上の立場は限られているが、北大西洋条約機構(NATO)に懐疑的な見方を示している。また、国防総省幹部による政策を「(社会正義に目覚めた)ウォーク」として批判してきた。
トランプ氏は選挙戦で、軍の多様性に関する進歩的な政策を推進しているとする高官らの解任を掲げており、ヘグセス氏が議会上院で承認されれば、こうした公約を実行する可能性がある。
ヘグセス氏は米軍制服組トップのブラウン統合参謀本部議長についても「左派政治家の過激な立場を推し進めている」などと非難しており、両氏が対立する可能性もある」
(ロイター11月13日)
トランプ氏、国防長官にTV司会者ヘグセス氏指名へ NATOに懐疑的 | ロイター
いずれも対中強硬派の最右翼です。
それが意味するところは、価値観の転換です。
岸田外交のように中国やイランとも「友好関係」を持ち、「戦略的互恵関係」でなれ合っていく、これが至善だと考える指向とは正反対だということです。
これらの「強硬派」で占められるトランプ新政権は、中国やイランに対してギリギリまで圧力をかけ続けることでしょうが、わが国がそれに追随できないときは「失望」の対象となるはずです。
かつてのオバマ時代の駐日大使キャサリン・ケネディは安倍氏が靖国参拝したとき「失望した」とコメントしましたが、この1月に来る共和党大使はなにも言わないでしょう。
それどころか、トランプやルビオなどは日本の首相に共に参拝しようと言いかねません。
ゲル氏はイヤ、オレは絶対に行かないぞ、と抵抗するので、米国大統領が靖国参拝し、日本国首相が参拝拒否という面白いことになるのかもしれません。
とまれ駐日大使のエマニュエルがLGBTQ推進に政治的圧力をかけた時、それに追随した岸田氏や稲田氏などのお調子者が出ましたが、そのような人たちにとってアゲンストの風が吹く4年間となることでしょう。
また米国の官僚も、日本とは違って固定的なものではなく、誰がその官庁のトップに来るのかでまったく別物になります。
新しい長官は、自分の新たなスタッフを自分の系列のシンクタンクなどから選抜して送りこみ、旧政権の者は8割が追い出されます。
したがって、来る1月の就任式以降は、ワシントンDC は看板は一緒でも中身がまるで違ったものに変貌します。
なおこの指名は共和党の政策綱領で示された「速やかに達成する20の約束」と照応していますので、ご覧下さい。
- 国境を封鎖し、移民の侵入を阻止する。
- 米国史上最大の強制送還作戦を実行する。
- インフレを終わらせ、米国に再び手頃な価格をもたらす。
- 米国を世界有数のエネルギー生産国にする。
- アウトソーシングをやめ、米国を製造大国にする。
- 労働者に大幅な減税を実施し、チップには課税しない。
- 憲法、権利章典、そして言論の自由、信教の自由、武器を所持する権利を含む基本的自由を守る。
- 第三次世界大戦を阻止し、欧州と中東の平和を回復し、わが国全土を覆う巨大な米国製アイアンドーム・ミサイル防衛シールドを構築する。
- 米国民に対する政府の兵器化を終わらせる。
- 移民犯罪の蔓延(まんえん)を阻止し、外国の麻薬カルテルを解体し、ギャングの暴力を止め、凶悪犯罪者を監禁する。
- 首都ワシントンを含む都市を再建し、安全で清潔な美しい都市を取り戻す。
- 軍隊を強化・現代化し、疑問の余地なく世界最強の軍隊にする。
- 米ドルを世界の基軸通貨として維持する。
- 定年年齢の変更を含め、社会保障とメディケア(高齢者・障がい者向け公的医療保険)を削減することなく守り抜く。
- 電気自動車(EV)の義務化を中止し、高コストで負担の大きい規制を削減する。
- 批判的人種論、急進的ジェンダー・イデオロギー、そのほか不適切な人種的、性的、政治的内容を子供たちに押し付ける学校への連邦政府からの資金援助を打ち切る。
- 女性スポーツから男性を締め出す。
- ハマス過激派を国外追放し、大学キャンパスを再び安全で愛国的なものにする。
- 同日投票、有権者の身分証明、紙の投票用紙、市民権の証明など、選挙の安全を確保する。
- 新しく、過去最高レベルの成功をもたらし、国を1つにする
2024年共和党政策綱領、トランプ政策の実現可能性は(米国) | 地域・分析レポート - 海外ビジネス情報 - ジェトロ
日本のメディアはすぐに「日本に対する影響は」とか「関税が上がって」、果ては「石破首相はトランプとうまくいくだろうか」と言っていますか、どーでもよいそんなこと。
ダメに決まっているでしょうが、そんなもん。ゲル氏について既にどんな男かよーくご存じですって。
そして共に中国と戦うことができる同志かどうか、とっくに見極めていますって。
新政権がどのような考えを持って米国を改造しようとしているのかの全体像を知って、その各論として対日政策があることを理解すべきです。
ちなはに共和党が下院も過半数を押さえ、トリプルレッドが完成しました。
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岸田政権に関しては防衛費を増額に加えて防衛3文書を閣議決定、対中に関してもQUADを重視して日豪安保共同宣言を出したり、台湾有事に備えた先島諸島の住民の避難計画も策定したりと全然親中姿勢じゃないですけどね。中国の反日攻勢を無視しての原発処理水の放出も開始しましたし。そもそも岸田氏の親中外交とは何を指すのでしょうか?
まあ、林芳正氏のことを含めてのことなのでしょうが、それに関しても林氏はG7外相会談など色々な場面で中国を厳しく批判しているのでとても親中とは言えないです。
LGBT法案や対イラン外交に関しても安倍政権の路線を踏襲しているだけなんですがね。
投稿: 中華三振 | 2024年11月14日 (木) 10時10分
それが本当なら尚更、トランプに切り替わる前にバイデンは全ての武器と攻撃許可をウクライナに与えて、ウクライナの土地にいるロシア兵(と北朝鮮兵)を1人残らずミンチに変えてもらわないといかんですね…
投稿: ねこねこ | 2024年11月14日 (木) 13時55分
経済関係においても岸田政権、いや国交回復以来の中国に対する微温的・互恵的アプローチは通用しなくなると考えるべき。
ひと昔前のように政治・安保は米国、経済は中国、などと言ってはおれなくなるでしょう。硬直化した平和主義の外務省には頭の痛い話で、何とか時間稼ぎして風向きが変わるのを待つ(お茶を濁す)やり方で、トランプ政権に足を掬われそう。
なお、LGBT修正法案は自民の一部を含めた各党から出ていたのは事実ですが、安倍総理は性自認や多くの弊害に早くから気付いていて、わけても「皇位継承問題に関わる」と憂慮。
安倍政権下ではストップがかかっていたものを、岸田がエマニエルに言われて非民主的な党内手続きによって実現されたものです。ですので、中華三振さんの言うように、「安倍政権の路線を踏襲」とは、誤りです。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2024年11月14日 (木) 17時27分