米、ウクライナへの長距離兵器制限を解除
バイデンがウクライナに長距離兵器の使用を認めたようです。
遅い、退任までもう2カ月を切っているのになにをしていたのでしょうか。
「ワシントン 17日 ロイター] - バイデン米政権は、ウクライナが米国製兵器を使用してロシア領内を攻撃することを許可した。米政府当局者や関係者が17日に明らかにした。ウクライナの対ロシア攻撃を巡る大きな方針転換となる。
ウクライナは今後数日中に長距離兵器を使用した攻撃を実施する計画という。
長距離兵器のロシア領内への使用を巡ってはウクライナのゼレンスキー大統領が許可を求めてきたが、米国は認めていなかった。
方針転換は主に北朝鮮によるロシアのウクライナ戦線への派兵を受けた対応という」
(ロイター11月18日)
米、ウクライナに長距離兵器の使用許可 ロシア領内攻撃で(ロイター) - Yahoo!ニュース
ウクライナは直ちに長距離へ息でロシア本土を攻撃するでしょう。
具体的には、「陸軍戦術ミサイルシステム」(ATACMS・エイタクムス)の使用制限を解除します。
「アメリカのATACMS使用許可は、8月にウクライナが奇襲進攻を行ったロシア西部クルスク州での、ウクライナ軍の防衛に限定されている。これにより、バイデン政権はウクライナに対して事実上、現在占領しているロシア領の一部の維持を支援したことになる。この占領地は、将来的な交渉のための強力な交渉材料になる」
(BBC11月18日)
バイデン氏、米製長距離ミサイルを使ったロシア領内攻撃をウクライナに許可 米報道 - BBCニュース
当初提供されたのは、ATACMSは射程165kmのブロックⅠであると推定されており、供与数はわずか20発でした。
今回供与されたのはブロックⅡAで、射程は300㎞あります。
こちらの長射程のものは供与されていないと推測されていましたが、どうもそうではないようです。
「ニューヨーク・タイムズ紙によると、米高官はウクライナが射程300キロの地対地ミサイル「ATACMS」でロシア軍や北朝鮮兵を狙う可能性があると説明した。ゼレンスキー氏は声明で「攻撃は言葉ではしない。発表もない。ミサイル自体が雄弁に語るだろう」と強調した」
(ZAKZAK11月18日)
米がウクライナに「長距離兵器使用」容認、ロシア領攻撃で 北朝鮮兵の参戦で危機感、政策を大きく転換 - zakzak:夕刊フジ公式サイト
しかしいずれにせよ、残念ですが、このていどの射程と供与数ではゲームチェンジャーとはなりえません。
たとえば、ウクライナがこれを用いて攻撃するのは、ウクライナが逆侵攻しているクルスクの兵站線か、クリミア大橋とそれに連なるアゾフ海沿いの兵站拠点、陸橋だと考えられています。
ですから、ロシア軍の兵站線を断ち切る所までには至らず、政治的意味あいのほうが強いでしょう。
ウクライナ側もそれを理解していてこう言っています。
「ウクライナ安全保障協力センターのセルヒイ・クザン会長はBBCに対し、バイデン大統領の決断はウクライナにとって「非常に重要」だと語った。
「戦争の行方を変えるようなものではないが、これまでよりもウクライナ軍の戦力がロシア軍の戦力に均衡するようになるだろう」
(BBC前掲)
たぶんATACMSの最初の攻撃目標は、北朝鮮の本格的攻撃参加前に、このクルスクの攻撃拠点と兵站基地を叩き潰すことです。
「米紙ニューヨーク・タイムズと同ワシントン・ポストはともに、匿名のアメリカ政府高官の話として、バイデン氏がウクライナによるATACMSの使用を承認したのは、ロシアが北朝鮮の兵士をウクライナで戦わせることを認めたことへの対応だと伝えた。
クザン氏は、今回の決定が、ロシア軍と北朝鮮軍による大規模な攻撃の開始前に間に合ったことを指摘。両軍は、ウクライナ軍をロシアのクルスク州から追い出そうとしており、数日内に開始される見通しだという」
(BBC前掲)
一方プーチンは長距離ミサイルを使用することは「レッドラインを越えることで、NATOが直接参加したこととみなす」と前から警告していました。
「ウラジーミル・プーチンはレッドラインを引いている」
「それは紛争の本質、性質を大きく変えるだろう」とクレムリンの指導者は続けた。
"これは、NATO諸国、アメリカとヨーロッパ諸国が、ロシアと戦っていることを意味する。
彼は、ロシアへのミサイル発射のために、ウクライナは西側の衛星からのデータを必要とし、NATO加盟国の軍人だけが「これらのミサイルシステムに飛行任務を入力」できると主張した。
西洋はそれを越えるのでしょうか?そして、もしそうなった場合、ロシアはどう対応するのだろうか?
サンクトペテルブルクでの演説で、プーチン大統領は西側諸国に対して、ウクライナがロシア領土を攻撃するために長距離ミサイルを使用することを許さないように、明確な警告を発した。
モスクワは、それをウクライナでの戦争へのNATO諸国の「直接参加」と見なすだろうと彼は述べた」
(BBC2024年9月13日)
ウラジーミル・プーチン大統領、長距離ミサイルに新たなレッドラインを引く
いつもながら勝手なことをほざいています。バーロー。
そもそもあんたが平和な国に戦争をしかけたんだろうが、これはレッドもレッド、一発レッドだよ。
その後も民間人を虐殺し、住宅地、エネルギー施設などを無差別爆撃して甚大な被害を与えたのはいったい誰だ。あんたらロシアだろうが。
それを自分の国がドローンで攻撃された、長距離ミサイルを使われそうだからといって、レッドラインを超えたらウンメンカンヌン、勝手なことをさらすんじゃないよ、まったく。
戦争拡大かロシアと米国の直接対決になることを恐れているバイデンは、このATACMSの供与そのものにも渋い態度をしていました。
今回もたぶんホワイトハウス内部で葛藤があったはずです。
しかしこの腰の引けた対応が戦争を引き起したのです。
ウクライナ侵攻を聞いたバイデンは、直ちにこれに介入することを拒み「米国に戦争をさせたいのか」と叫びました。余計なひとこととはこのことです。
せめて「わが国はすべての方法を選択する用意がある」くらい言っておけば、その「含み」がロシアのエスカレーションの抑止となったものを。
そして本格的侵略が開始されれば、大規模支援しつつ、ウクライナの反撃を領土内に限定してしまいました。
その結果、ロシアは策源地をロシア領内に置くことで、軍事物資、兵員の兵站線をぬくぬくと温存できたのでした。
今回のATACMSの制限解除はこの意味で大きな意味を持ちます。
可能性としてはプーチンはNATO諸国まで含む西側陣営に攻撃をしかけるかもしれません。
いまでも、ラトビアやポーランドで不審なテロ攻撃が続いており、それをいっそう拡大することが考えられます。
バイデンがこの時期に制限解除に走ったのは、トランプが登場する前に支援できるものを出しきってしまいたいという政治的理由です。
その停戦案については次回に。
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