沖縄県の怪しき「駐米大使館」の末路
とうとうまた出ましたか、沖縄県の怪しき「駐米大使館」問題。
「沖縄県議会の定例会が26日開会しました。
玉城知事に対して「野党・中立」の立場をとる3つの会派が県のワシントン事務所をめぐる手続きが不透明だとして提出した動議が可決され、県の監査委員による監査が行われることになったほか、県の昨年度の決算が本土復帰以降初めて不認定となりました。
26日開会した県議会の11月定例会で、玉城知事に対して「野党・中立」の立場をとる「沖縄自民党・無所属の会」、「公明党」、「維新の会」の3つの会派は、県がアメリカの首都ワシントンに設置している事務所について、設置や運営の手続きが不透明だとして、地方自治法に基づく監査を求める動議を提出しました」
(NHK11月26日)
沖縄県ワシントン事務所関連決算不認定 監査委員による監査へ|NHK 沖縄県のニュース
県の「ワシントン事務所」をめぐっては、先の県議会の9月定例会で、県が営業実態のない株式会社を設立して設置・運営にあたっていたことが明らかになりました。
県は初めは非営利の法人登記を目指していましたが、なにぶんやる「仕事」が反基地闘争のための情報収集と工作です。
いえ、言いがかりではありません。与党第1党の共産党がこう言っています。
「本会議での討論で、玉城知事を支持する県政与党の共産党の比嘉瑞己議員は「沖縄のアメリカ軍基地の実態などについて正確な情報を説明するなど精力的な活動を続けていて、引き続き大きな役割が期待されている」と述べ、反対しました」
(NHK前掲)
「正確な情報を説明するなど精力的な活動」とは、すなわち反米プロパガンダを宣伝することと、米軍基地撤去に向けた政治工作です。
初代「沖縄県駐米大使」には、在沖米国総領事館のスタッフだった平安山英雄(へんざ)氏を任命しています。
平安山氏は、沖縄の米国総領
※米国領事館 japan2.usembassy.gov/naha/pdfs/Karahai_2012-1-issue.pdfリンク切れ
特別補佐官というとなかなかのように聞こえますが、なんのことはないアチラの都合で簡単に解雇できる契約職員にすぎませんから、この人物に「米国内の広い人脈」などを期待するほうが見当違いです。
たぶん、国務省のロビーをうろうろしていただけで終わったことでしょう。
知事ですら、訪米してもハワイ州知事や国務省の一番下っぱのスタッフと話をするのがやっとなのに、「駐米大使」など相手にもされなかったはずです。
フツーの県の在外事務所は、もっぱら県産品の輸出振興ていどのもので、こんな「県外交」をする所ではありません。
この「駐米大使館」は、地元紙がお好きなはずの憲法に違反しています。憲法は9条だけじゃないんだよ、デニーさん。
日本国憲法第73条「内閣の事務」は、2項に「外交関係を処理すること」と定めて、外交を国の専権事項に指定しています。
そもそもこの翁長氏の行為は、日本国憲法第73条「内閣の事務」のうち、「2 外交関係を処理すること」に反しています。
したがって、沖縄県という地方自治体には、国の日米同盟という条約に関して容喙する権限はありません。
容喙とは口をはさむことです。
少し説明しましょう。
この憲法第73条は、「内閣の仕事」を規定したものです。このうち2項は外交は内閣、つまり国の専権事項だということを謳っています。
専権事項とは、「思いどおりにできる権限」のことです。
ただし、思いどおりにといっても、条約は法律に優位すると解釈されているほど強い効力を持っています。
外交の場合、勝手に内閣が条約を結んでしまって、「はい、明日からこれでやるぞ」と言われちゃたまらないので、締結前に国会承認がいるとして3項に、「条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要」として歯止めをかけたのです。
そして4項に「国家公務員の事務を掌握する」として、これは国家公務員法の法的根拠になっています。
憲法第73条「内閣の事務」の整理
①外交は内閣の専権事項である
②条約は国会承認を必要とする
③内閣は国家公務員を指揮できる
はい、いかがでしょうか。この国の外交を規定した憲法73条に、地方自治体、あるいは自治体首長、その自治体職員がチラリとでも出てきましたか。
よくオール沖縄の皆さんは、「民意に従え」と言いますが、その「民意」とは、日本国全体で見れば、憲法第66条3項、及び1項に沙汰められた、国会における多数決によって選ばれた国会議員が選んだ内閣総理大臣と内閣のことです。
したがって、沖縄県という地方自治体に、外国との交渉を進める権限はありません。
さて、県によると当初、非営利の事業者としての登録を目指していましたが、アメリカ政府から「事業内容が政治的だ」という指摘を受けたということです。
このため、県は、現地のコンサルティング会社や弁護士からの助言を受けて、県が100%出資する株式会社を設立したうえで駐在する職員がビザを取得していたということで、「検討の結果、株式会社が適当だった」としています。
地方自治法は、県が出資する法人について「経営状況を説明する書類を作成し、議会に提出しなければならない」と定めていますが、発覚するまで議会への報告はありませんでした。
県の説明です。
OTV
「今年9月の県議会で事務所が株式会社として設立されていたことが明らかになり、営利組織を行政機関が抱えていることは問題だなどとと指摘されていました。
県は25日県議会に設立の経緯などを説明し「日本の株式会社に相当する法人を設立することを明確に決定した文書は残されていない」と手続きの不備を認めました。
また設立に伴って取得した株式が県の公有財産として管理されていなかったため「速やかに是正を図る」と謝罪しました。
溜政仁知事公室長「庁内の意思決定に係る文書等が確認できないこと。また公有財産としての管理が行き届いていない事について深くお詫び申し上げます」
(沖縄テレビ11月25日)
ワシントン事務所設立時の手続き不備求め県が謝罪(OKITIVE)|dメニューニュース(NTTドコモ)
この「ワシントン事務所5はかねてから経理が杜撰だという指摘を受けていました。
「在米沖縄事務所が事業丸投げ 事務所活動費の9割超がコンサルタント委託料
米ワシントンにある「沖縄県ワシントン事務所」の平安山英雄所長が不適正な査証(ビザ)で活動を続けている問題で、事務所活動費のうち9割超を委託料としてコンサルタント会社1社に支払う契約を結んでいることが28日、情報公開制度で県が産経新聞社に開示した文書で分かった。
委託内容は米国の政策調査や情報収集などで、事務所が業務をコンサルタント会社に事実上「丸投げ」している実態が浮かび上がった」
(産経2016年7月29日)
ワシントンDCには、こんなロビイングのための会社や個人がゴロゴロしています。
彼らは政府との特別なコネクションを売り物にしてカモを狙っています。
平成28年度にこのコンサルタント会社に支払った額が、6千849万円です。
このようなロビイングに対してのコンサル料は、実態が不明のつかみ銭のようなものです。こんなものに公金を7千万円も注ぎ込んでよいのでしょうか。
そしてその成果は皆無でした。
「開示された平成28年度予算の内訳書によると、ワシントン事務所の活動費は全体で7369万円を計上し、このうち約93%に当たる6849万円が委託料だった。委託内容は(1)駐在員設置と活動支援で4549万円(2)米国政策調査で2300万円-となっている」
(産経前掲))
その上平安山氏は、ちゃっかりと県からも高給を食んでいました。
しかも外国勤務手当てと県の部長級給与の二重取りで、年収2千万円です。仕事はコンサルト会社に丸投げで、いいご身分です。
「米ワシントンにある「沖縄県ワシントン事務所」の平安山英雄所長が不適正な査証(ビザ)で米政府や議会にロビー活動を行っている問題で、県が平安山氏に外国勤務手当として月額約75万円を支給していることが20日、分かった。
1年間の外国勤務手当の支給額は約900万円に上る。
これとは別に部長級は給与として1千数十万円が支給されるため平安山氏の年収は約2千万円とみられる」
(産経前掲))
県がまともな監査をしたことがあったとは思えません。
ずさんな経理をいいことに、やりたい放題の愚者の園です。
こんな筋の悪いもんを引き受けさせられたデニー氏も気の毒ですが、もういいかげん清算する時です。
当時、人気絶頂のカリスマだった翁長氏が思いつきで立ち上げ、グズグズのままデニー氏が受け継いでいた「沖縄駐米大使館」の存続は危ういようです。
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日本の地方自治体が外国に事務所や出先機関を設けるのはありふれた話ですが、本件は。
・沖縄県職員の身分を有したままで株式会社社長などと申請して就労ビザを取得した。
・ワシントン事務所設立に係る経緯と決裁者について説明できない。
・県有財産として記載無し。
・会社設立以来、県議会への決算報告等無し。
大問題以外に何もなくて、沖縄タイムス・琉球新報すらワシントン事務所閉鎖止むなし案件なことは理解しているとみられる報道の仕方だし、それはたぶん知事もわかっている。
県内外マスコミとオール沖縄支持者にある、「過重な基地負担に苦しむ沖縄県を批判してはいけない」という謎の甘やかし方針に甘えきってフェイドアウト、事務所存続して引責も無しをワンチャン狙いたい、というところと推察するが、もとより「瑕疵でした(テヘペロ」では済まない話であり、今の県議会構成では通用しないはず。
先の県北部豪雨被害に際して、豪雨の最中「知事公邸に待機(知事本人談)」しながら災害救助法の適用申請を逃す大失態もあり、億単位の国家助成金を手続ミスで頂き損ねるのはこれで何回目よ?なポンコツぶりと合わせて、県政が県議会でタコ殴りにされたとしても、北部民と離島民始め多くの県民は「でしょうね」と考えると思われ。
投稿: 宜野湾より | 2024年12月 1日 (日) 11時06分
ミスした模様。
○国庫助成金
X 国家助成金
失礼致しました。
投稿: 宜野湾より | 2024年12月 1日 (日) 12時02分