ロシア、北朝鮮に石油100万バレル超を提供
ロシアがウクライナ派兵とバーターで供与している原油移送の実態がわかってきました。
民間の人工衛星の画像によれば、過去8カ月間に北朝鮮の石油タンカー10数隻が、ロシア極東の石油ターミナルに計43回到着していました。
その原油量はおおよそ100万バレルで、もちろん国連制裁違反です。
BBC
「ロシアが今年3月以降、北朝鮮に石油を100万バレル以上供給しているとみられることが、イギリスに拠点を置く非営利研究団体「オープン・ソース・センター」の人工衛星画像の分析でわかった。
この石油について、主な専門家らとイギリスのデイヴィッド・ラミー外相は、北朝鮮がロシアに送った武器と部隊の対価だとBBCに話した。
こうした輸送は国連制裁に違反している。国連制裁は少量の場合を除き、北朝鮮に石油を売ることを禁止している。同国の経済を抑圧し、核兵器開発の進展を防ぐのが目的だ」
(BBC 2024年11月22日)
ロシア、北朝鮮に石油100万バレル超を提供 衛星画像の分析で判明 - BBCニュース
人工衛星の監視画像によれば、同一のタンカーが北朝鮮の南浦(なんぽ)とロシアのヴォストチヌイ港を結んでほぼ定期的に原油移送をしていました。
いままで北朝鮮は国連制裁逃れのために、密輸組織から手にいれざるをえないために、海上での受け渡し(瀬取り)を余儀なくされていました。
今回、ロシアがウクライナ派兵の見返りとし原油を公然と提供し始めて、初めて安定した原油の供給体制を得ることが可能となりました。
北朝鮮南浦からヴォストチヌイへ行く前後のタンカーの写真を較べてみると、帰り荷で喫水線が大きく沈んでいるのがわかります。
BBC
なお、ロシアは今年3月に北朝鮮に国連の監視パネルを解散に追い込んでいます。
「国連の安全保障理事会は28日、対北朝鮮制裁を監視する専門家パネルの任期を延長する決議案を否決した。ロシアが拒否権を行使した。
この専門家パネルは先週、ロシアがウクライナで使用する弾道ミサイルなどの北朝鮮製兵器を購入し、規則に違反したとの報道があったことを受け、調査していた。
国連安保理は2006年以降、北朝鮮の核開発プログラムに対して数々の制裁を科している。
これらの制裁はなお続いているが、今回の否決により、制裁違反を監視するための専本化パネルが解散されることとなった」
(BBC2024年3月29ニチ)
ロシア、北朝鮮制裁監視パネルの任期延長に拒否権 国連安保理で - BBCニュース
「瀬取り」とは、港に寄港して荷を降ろすのではなく、洋上で船から船に受け渡しをすることです。
「政府は14日北朝鮮籍タンカーが13日未明に東シナ海の公海上で中米ベリーズ籍タンカーに横付けしていたのを確認したと発表した。北朝鮮に対する国連安保理の制裁決議で禁止された「瀬取り」と呼ばれる洋上での密輸を行っていた疑いが強いとみている。既に国連に通報し、関係国とも情報を共有した。
政府は先月、同じ北朝鮮籍タンカーがドミニカ籍タンカーに横付けしている現場を確認している。今回の横付けは海上自衛隊のP3C哨戒機が中国・上海の東約250キロ沖合で発見。北朝鮮が国際的な監視網をかいくぐって瀬取りを続けている疑いがあることが浮き彫りとなった」
(時事2月15日)
この国連の制裁強化によって、北朝鮮籍船舶は外国の港に寄港した後に北に戻ることが禁じられているために、このような抜け道を使っているわけです。
同じような瀬取りは頻繁に行われているようで、米国の監視衛星もキャッチしています。
これで分かってきたことは、海自のP-3C がたいへんに広範な洋上監視を行っていることで、海自はなんと日本海から黄海洋上まで空から監視していました。
前述したように、この監視を止めさせようとしたのが、ロシアでした。
今年3月に監視パネルを解散させたあたりから今年11月までの原油輸送の推定グラフです。
BBC
米国と韓国は、すでに北朝鮮がロシアに砲弾とロケット弾のコンテナ1万6000個を移送済みだとみています。
またウクライナの戦場では北朝鮮製の弾道ミサイルの残骸も回収されています。
おそらく、この間の北朝鮮のICBMの発射成功には、ロシアのミサイル技術が転用されていると見てまちがいないはずです。
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プーチンは「核技術を反米であるどこの国に技術移転するか、検討を加速する」と言っていました。これはウクライナに核が持ち込まれる可能性に対するけん制でしょうが、同盟国北朝鮮へはミサイル技術がすでに相当渡っているものと見られます。近い将来、韓国は北朝鮮とともにロシアからの侵略も覚悟しなければならない立場になるので、日本は協力関係を強化すべきです。
狂犬プーチンはすでにタガが外れた獣のようで、それは即ち窮状が極点に達しつつある事を表しています。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2024年11月29日 (金) 15時03分