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2024年11月11日 (月)

トリプルレッド完成、さてなにをするトランプ

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まずは、恒例の米大統領選の最終状況からいきます。
やれ今週一敗かかる「歴史的大接戦だ」などと言っていましたが、瞬殺の勢いで勝利が確定してしまい、これではてぐすね引いて暴れようとしていた両陣営のモッブたちも気抜けしたことでしょう。
今のところ、私が懸念したシビルウォーになる気配もなく、米国は平穏なようでなによりです。

最後まで残っていたネバダがレッドになり、続いて最後まで決まらなかったアリゾナもレッドステートの仲間入りをしました。
これでいわゆるスイングステートはすべてトランプが征したことになります。

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開票速報 アメリカ大統領選挙2024 激戦州ペンシルベニア ウィスコンシン ミシガンの行方は? 議会上下両院は?|NHK

上院はすでに共和党が征していましたが、下院もわずかあと6議席で過半数を征するところまで迫っています。
よほどの番狂わせがない限り、上下両院共にレッドとなり、民主党からみればあってはならない大統領・上院・下両院のトリプルレッド、おまけに保守6人、リベラル3人という司法保守化も完成してしまいました。
つまり行政府・立法府・司法府の三権を共和党が押さえたことになります。
願わくば、この力を悪しきことに使わないでいただきたいものです。

ここまで負けたカマラは修道院に逃げ込むしかないですね。悪い性格も少しはよくなるとよいのですが。

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NHK

トランプはすでにこの4年間で党内の9割を固めきっており、旧共和党主流派の頭目チェイニー親子はカマラに投票を呼びかけていました。
彼らは第1次政権時に、トランプの手足を縛るための人事を強要し、そのためにトランプが自由に外交・内政に取り組めたのは後半からでした。
今の共和党は、冷戦期のレーガン時代のそれに近くになっており、トランプは政治の師匠と仰ぐレーガンを目指す基盤はできています。
唯一異なるのは、2大政党のカウンターパートの民主党が壊れてしまっていることで、そうそう簡単にこの大敗北から立ち直ることはできないでしょう。

さて、トランプの二度目の外交政策はどうなるでしょうか。
いろいろ報じられてきていますが、トランプはファシストだぁ、ヒトラーがやっているとガナって大ハズシした連中の言うことは、とりあえず無視しましょう。元都知事だったMさん、経済評論家のJさん、とうぶんこの問題ではお静かに。
テレ朝のトランプ特集はタイトルからして「トランプ氏圧勝に上院奪還】分断と憎悪が激化“米国至上で警戒感”政権の不確実性は」ですもんね。峯村さんも出ているようですが、なんつうタイトルの着け方だ。もう煽るのはいいかげんにしてほしいもんです。うんざりです。

病的反トランプで日刊ゲンダイ化していた大部分の日米メディアの皆さんも、トランプ2.0に真摯に向き合うのですね。

トランプはあのとおり支持者集会ではサービス精神でいろいろ言いますから、その片言隻句を切り取ればどうにでも取れます。
ですからトランプがなにを目指すかは、彼が作ったシンクタンク「米国第一政策研究所(AFPI)」が代弁してくれています。

AFPIのフレッド・フライツ氏とスティーブ・イェーツ氏は来日して講演しています。
日本戦略研究フォーラム(JFSS)

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フレッド・フライツ米国第一政策研究所(AFPI)副所長(左)とスティーブ・イェーツAFPI上級研究員
<インタビュー>「トランプ氏、ホワイトハウスに復帰すれば金正恩-プーチン切り離すはず」(2) | Joongang Ilbo | 中央日報

もっとも同盟諸国が神経質になっているトランプの「アメリカ・ファースト」路線(America First approach)ですが、これについて両氏は明瞭に勘違いを修正しています。

「「アメリカ第一のアプローチ」(America First approach)について
トランプ氏が現役時代からよく口にしている「アメリカ第一のアプローチ」(America First approach)は、専門家と称する人達がよく言う「アメリカ孤立主義」ではなく、海外への派兵や外国との条約交渉といった対外的な場面で常にアメリカ国民の利益を第一に考えるということであり、当然同盟国との関係は重視される。
ただし、同盟関係を維持するためには同盟国が「公正な負担」に応じるかが重要であるとし、特に北大西洋条約機構(NATO)との関係性を重視していることから、ドイツとフランスに対する懸念を示している」
日本戦略研究フォーラム(JFSS)
これでわかるのは、トランプは俗にいわれるようにモンロー主義に回帰する気はないということです。
モンロー主義は1840年代に植民が西海岸に達したことから生まれた外交方針で、今のように米国が世界のヘゲモニック・ステート(覇権国)となった現在とは置かれた立場がまったく違っています。
モンロー主義は当時まだ列強に伍せなかい国力しか持てなかったために、ヨーロッパには干渉しないが、同時に米大陸全域に対するヨーロッパ諸国の干渉にも反対する、というものですが、いまは相互に緊密な経済外交関係によって結ばれているために、もう一回繰りかえしたくても繰り返せません。
トランプが言うことは、米国は偉大であるのでこの世界に対する責任は果たす用意がある、しかし自らの国を守る気がない国は知らんよ、勝手にさらせ、というものです。
これは両氏によれば、特に独仏に対して向けられているもののようです。
もちろん、日本が中国へ肩入れするような裏切りを働けば別ですが、「アメリカ・ファースト」は主にフランスの手前勝手なゴーリズム(ドゴール主義)、ドイツのロシアへの融和主義による軍縮などに非難の矛先が向いています。

エドワード・ルトワックはこのように述べていました。

「この数十年間、専門家と称する人たちや、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で講演するような経済人や政治家は、世界で「力の拡散」が進んでいると唱えてきた。日米欧などの主要国で構成されるG7が弱体化し、代わりに中国やロシア、トルコなどの新興国を含む20カ国・地域によるG20の時代が到来している、という主張だ。
G7の一員である米英独などを主体とする北大西洋条約機構(NATO)も、ドイツなどが国防への投資を怠ってきたことから弱体化が指摘されてきた。ロシアは、そうした現状を見越して侵攻に踏み切ったわけだが、その瞬間からNATOは逆に極めて強力な組織に変貌を遂げた。
ショルツ独首相は国防費を国内総生産(GDP)比2%以上に引き上げると表明したほか、加盟国のポーランドやデンマークなどが今月に入って国防費の大幅増額を決めた。NATOは目を覚ましたのだ」
(ルトワック『ウクライナが呼んだNATOの覚醒』2022年3月18日)
【世界を解く-E・ルトワック】ウクライナが呼んだG7の「覚醒」 - 産経ニュース (sankei.com)

この怠慢が、プーチンのウクライナ侵攻を招いたのです。
両氏は、はっきりと敵は中国だと名指ししています。
「「バイデン政権は外交の優先順位を間違って設定した。米国の主要国家の安保の脅威は『気候変動』ではない。『中国』にある。中国に気候特使を送るのではなく南シナ海や核問題関連の議論をしなければいけない。トランプ氏が帰ってくればつまらない(frivolous)イシューに力を注がないはずだ。
また、日韓両国との同盟関係を軽視するのではないかとの報道があるが、それは現実的でない。
ディール・メーカー(交渉人)としてのトランプ氏の発言には誤解されやすい側面もあるが、反トランプ派による偏向報道、偽情報に惑わされず、日米同盟強化を重視しているトランプ氏の本心をしっかり見極める必要があると言う」
(中央日報7月9日)
<インタビュー>「トランプ氏、ホワイトハウスに復帰すれば金正恩-プーチン切り離すはず」(2) | Joongang Ilbo | 中央日報

国防長官にポンペオが有力候補となったという情報がありましたが(トランプは否定しています)、誰がなるにせよ対中政策は新たな段階を迎えることでしょう。
トランプの帰還は、中国にとっては間違いなく悪夢であることだけは確かです。

個別の各論については次回に回します。

 

 

 

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コメント

 外交で一番気になっていたのは、やはりウクライナの事でした。
でも、レンドリースに切り替える事はあっても、トランプが武器の供給を絶やす事はなさそうです。国務長官候補などまだ決まっていない候補を見ても、どう見ても対露強硬派ばかり。ポンぺオが早々に外されたのは残念ですが、ルビオが来そう。目が離せません。

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