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2024年12月 3日 (火)

シリア内戦続報

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シリア内戦の続報です。
ロシアは支援を行うと言っていましたが、さっそく空爆がなされたようだとBBCが伝えています。

「シリアの反政府勢力が同国第2の都市アレッポの一部を掌握し、前進する中、シリア政権側を支援するロシアは1日、アレッポなどに「一連の空爆」を実施した。シリア国内に情報源のネットワークをもつシリア人権監視団(SOHR)が発表した。
SOHRによると、北部アレッポでは病院が空爆を受けて12人が死亡した。北西部の都市イドリブでは8人が死亡し、50人以上が負傷したという。
ロシアの戦闘機はイドリブと中部ハマの農村部も攻撃した。これらは反政府勢力の攻撃を主導するグループが「最近、掌握した」場所だと、SOHRは付け加えた。
シリア政府は2011年に内戦が勃発して以降で初めて、アレッポの支配権を失ったと、SOHRはAFP通信に語った」
(BBC12月2日) 
ロシアがアレッポなど空爆、シリア反政府勢力の前進続く中 - BBCニュース


ウクライナでは、対空ミサイル網によってほとんど飛ぶ機会すらなかったロシア空軍がひさびさに空爆をしています。
さぞかし気持ちがいいでしょうが、今度はかつてのようにはいかないはずです。

ゴーラーニー率いるHTSが、どの国から武器支援をもらっているのかわかりませんが、仮に多少でも個人携行の対空ミサイルを保有していれば、かつてのように勝手気ままにシリア国民の頭上に爆弾を降らせるような空爆は不可能となります。
また反政府軍が、ロシア製パンツァーリ対空ミサイルを鹵獲したという画像が上がっているので、これを使えるならば、ロシア空軍にとってきわめて脅威となりえます。

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石川雅一のYOUTUBEシュタインバッハ大学

ところで石川雅一氏の『シュタインバッハ大学』様が、HTSのアレッポの占拠時の模様をアップしているので、参考にさせていただきます。
アレッポにある大統領宮殿を占領して、内部を見聞しているHTSの戦闘員です。
アサドは独裁者好みのゴージャスな宮殿をお持ちのようです。

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続報! シリアの政府軍拠点アレッポが陥落で公開されたアサド宮殿の豪華な内部【石川雅一のYOUTUBEシュタインバッハ大学】

アレッポ軍用空港とクアイリス空軍基地も占領されたようです。
掩体壕に入ったチェコ製のアエロ L-39 アルバトロスが写っています。

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石川雅一のYOUTUBEシュタインバッハ大学】

22カ所の政府軍拠点が制圧されたと伝えられています。

さて今後、どのような展開になるのかわかりません。
アサドがロシアに家族と一緒に逃げたという情報は裏がとれないのですが、仮にそれが真実ならば独裁国家としては終わっています。
では今、反撃宣言を出しているアサドは何者だということになりますが、独裁者がよく使う影武者か、さもなくばプーチンからこちらに飛び火させる気かさっさと戻れと叱られて戻ってきたアサドかのいずれかになります。(たぶん後者でしょうが)

いずれにせよ独裁国家は独裁者の権威がいささかも傷ついてはなりません。
独裁者がアレッポを落されたと知った瞬間尻に帆を賭けて逃亡などしたら最後たちまち、軍全体が激しく動揺し、一気に崩壊します。
たとえばアフガンは、米軍が「夜逃げのように」逃げ出したと知れ渡った瞬間、タリバンは停戦協定を廃棄して首都カブールに進撃しました。
いままで近代的装備を供与されていたアフガン軍は、我先にと武器を捨てて、市民に紛れ込もうとしました。
カイライ軍の崩壊は瞬時です。かつての南ベトナムしかり、アフガンしかり。

ところでHTSはかつてはアルカイダに組み込まれていましたが、飯山陽氏によれば、今は外国でテロを働くタイプから独立した経済圏を持つ「国家内イスラム国家」を目指しているようです。

「シリア内戦の小康状態化以降、この5年、ゴーラーニーはイドリブを中心に、イスラム国家建設に取り組んできました。
ゴーラーニーはイドリブのほか、ハマーやジスルッシュグールなどの有力者と対話を重ね、地域を活性化するためのプロジェクトなども行ってきました。
彼は2022年にサール・アッルージュ地域に水を供給する施設の開所式で、地域の有力者を前に次のように演説しています。
「私たちは自力で生き、自衛できる社会を築こうとしている」
「援助だけに頼ったり、現地の人々に援助を強要したり、解放された地域に救急用カゴや牛乳パックを届けるために国際交渉を行ったりするのは、率直に言ってシリア国民に対する一種の屈辱だ」ゴーラーニーは、より高いレベルでの自給自足体制を構築する必要があると主張し、そのために、農業、産業、公共サービスに重点を置いた3本柱の開発計画について演説しています」
(note2024年11月30日 )

このようにイスラム過激派としては珍しく「経済がわかる」のがHTSのようで、彼らがアレッポを真っ先に落したのは拠点としていたイドリブに近いということと、アレッポはシリア最大の商都だからです。
彼らが今後、アレッポを拠点に据えて「自給圏」を持つイスラム国家を建設するのか、完全にアサド政権を打倒するまで突き進むのかは、現時点ではなんとも言えません。

しかしかつて大量の精鋭部隊を送って来たヒズボラは半ば壊滅状態であり、イランはそのヒズボラを支える力を喪失し、ロシアさえもがウクライナ戦争を戦うので精一杯です。
特に、ウクライナで手一杯のロシアにとって、計り知れない打撃となりました。

北朝鮮から軍事支援を受けねばならないほど軍事ソースがやせ細ってしまったロシアに、かつてのようなシリアを支援する能力はどこにもありません。
プーチンは在シリア軍セルゲイ・キセル司令官を交代させ、アレクサンダー・チャイコ大将を任じましたが、底を尽きつつある軍事物資をシリアにまわせるとは思えません。

キセル中将はウクライナ侵攻の冒頭に、第1親衛戦車軍の司令官として首都キーウの制圧を命じられました。
ちなみに、「親衛」という部隊名があるのはソ連時代からの精鋭部隊に与えられた名誉称号です。
しかしウクライナ軍の反撃にあって多大な損害を被って失敗し、ロシアの戦争プランを土台から壊してしまいました。
さぞかしプーチンの怒りを買ったことでしょう。

そして名誉挽回で与えられたウクライナ第二の都市であるハリキウ攻略にも失敗。
補給路を遮断され、精鋭といわれた第1戦車軍は最初の19日間の戦闘で戦車131両と兵力409名を失い事実上壊滅しました。
半分となった残存部隊を再度侵攻させるもこれにも失敗。
もはや負け癖がついています。
かつての親衛戦車部隊を任された時の輝きはどこかに吹き飛んでしまい、22年5月にはキセルはこれらの失敗の責任を問われて、第1親衛戦車軍の司令官を解任されました。
そして左遷されて流された先が比較的安定していると言われていたシリアでした。
しかしこれも今回のていたらくですから、もはや予備役送りではないでしょうか。

一方ウクライナ軍はシリアに第2戦線を拓きたいと考えているらしく、少数ですが特殊部隊を密かに派遣し、反政府軍と共にロシア軍とアサド政府軍を攻撃していることが確認されています。
目的はいうまでもなく、シリアのロシア軍に軍事ソースを使わせてウクライナ戦線に対する圧力を減らすことです。
今ここでアサド政府軍が崩壊危機になれば、メンツにかけてプーチンはアサドを支援せねばならないからです。
トランプが就任すれば、彼はバイデンの長距離兵器使用制限を捨てて、ロシア国内への攻撃を容認するでしょう。
だから、プーチンにとってウクライナを徹底的に叩くならこの2カ月間しか残されていないのですが、この時期にシリアに戦力を割かねばならないことになるとはプーチンは予想だにしなかったはずです。
プーチンは地団駄踏んでいるはずですが、米国がどのように出るのかまだ動きはありません。

 

 

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