• 20251113-025530
  • 20251110-002933
  • 20251111-015831
  • 20251109-154714
  • 20251109-160613
  • 20251109-161458
  • S2-033_20251108153901
  • S2-034
  • S2-036_20251108153801
  • S2-040_20251108153801

« トランプの意地悪なオファー | トップページ | 世界の半分の米軍展開を支える日本列島 »

2024年12月19日 (木)

次の駐日米国大使が決まる

116

次の駐日米国大使が決まりました。
駐ポルトガル大使の経験もあるジョージ・グラス氏です。
もちろん大口献金者であるので、論功行賞であるのはあたりまえです。
そんなことは歴代民主党もいつもやってきたことであって、駐英大使や駐日大使などの大きな大使ポストはそのためにあるというのは常識です。
問題は、今度の大使がどのような姿勢なのかということです。

「16日の記者会見では、1期目のトランプ政権で駐ポルトガル大使を務めたグラス氏について、「非常に尊敬されている人物だ」と称賛した。「彼は以前にも大使を務め、素晴らしい仕事をした。われわれは日本を重視している」とも述べた。 
トランプ氏は主要国の大使を次々と決定。今月初めには駐中国大使に元上院議員のデービッド・パーデュー氏を指名すると発表した。主要ポストの幾つかに対中強硬派を起用する一方、日本などの友好国にも影響を及ぼし得る追加関税の実施を打ち出して関係の再構築を目指している。   グラス氏はポルトガル大使在職中、中国による対ポルトガル投資を批判していた。駐日大使への起用は、日本製鉄によるUSスチール買収計画の先行きが不透明な中で発表された。同案件は政治問題化しており、日米関係に重くのしかかっている。バイデン米大統領は同買収計画に反対の意向を示し、阻止する計画だと伝えられている。トランプ氏は大統領就任後に買収を完全に阻止する方針を表明している」
(ブルームバーク12月17日)
トランプ氏、次期駐日大使にジョージ・エドワード・グラス氏を指名 - Bloomberg

20241218-051307

Bloomberg

上の写真を見ると、うわー、頑固そう。手ごわいネゴシエーターのようです。
日本のメディアは、日本とのつながりがどうしたとか、グラスの子供が日本にいたからどうのとか書いていますが、関係ありません。
駐日大使が日本という米国最大の海外戦略拠点に駐在する意味はひとつです。
すなわち、駐日米国大使の仕事は安全保障を堅牢にすることであって、米国で流行のLGBTの宣教をすることではありません。

バイデンが送り込んだ現大使のエマニュエル氏は、とことんそこをはき違えた人でした。
エマニュエル氏はオバマの首席補佐官でもあった人でしたが、 シカゴ市長時代からLGBT運動のアクテビストで、デモでレインボーフラッグを振っていたような人です。
任地にきてもこの調子。

「米国のラーム・エマニュエル駐日大使が、LGBTQなど性的少数者の人権保障をテーマに、本紙の単独取材に応じた。先進7カ国(G7)で唯一、差別禁止を定めた法律がなく、同性婚を認めていない日本に対して「早期に法律を制定すべきだ」と強調。法整備に向けた一歩として、与野党が国会提出を目指している理解増進法案の成立に期待感を示した」
( 東京5月1日)
エマニュエル駐日米大使 同性婚「早期に法制化を」本紙に強調「排除する社会は未来を築けない」:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

あのー、これリッパな内政干渉なんですけど。
おたくの国がどうであろうと日本は日本。安全保障や貿易問題など相互の利害が共通の場合は、どうぞクチバシを突っ込んで下さい。
ですから日米外交案件で発言するのはありえても、赴任国の国内法の制定についてとやかく言うのは越権もいいところです。
価値観の押し売りですが、これをそのままコピーして法制化した首相もいるのですから情けない。

それはさておき、トランプ第2期政権が、対中包囲網強化と日本の安全保障レベルの嵩上げを要求してくるのは当然の流れです。

「駐日大使の役割は主に日米同盟を支えることであり、中国や北朝鮮が軍事力を増強する中で日本に安心感を与えることだ。米軍は日本に最大の海外常設軍事基地を配置し、全国の基地に約5万5000人の軍人が駐留している。
日米両国は在日米軍駐留費を日本がいくら負担するかを協議することになっている。この問題は、トランプ政権1期目の発足当初に負担の増額を要求するきっかけとなった。いわゆる「ホストネーションサポート(在日米軍駐留経費負担)」に関する新たな5年間の取り決めは2026年までに合意される予定」
(ブルームバーク前掲)

グラス新大使の任期中にある最大の日米懸案は、ホストネーションサポート(接受国による支援)です。
俗にいういわゆる「おもいやり予算」です。
前回の2015年の交渉では

[東京 12日 ロイター] - 在日米軍駐留経費の日本側負担、いわゆる「思いやり予算」の改定をめぐる日米交渉は、前週に開いた3回目の協議でも溝が埋まらなかった。不均衡とされてきた日米同盟間の軍事負担が、安全保障法制の成立で是正されるとの立場を取る日本は減額を求めているが、「リバランス(再均衡)」でアジアへの戦力集中を目指している米国との見解に距離があり、調整は難航している。   
5年に1度見直しが行われる同予算は、根拠となる特別協定が来年3月に改定期限を迎える。日米は今夏から見直し交渉を開始し、10月5日の週までに3回の協議を開いた。日本が来年度予算案を編成する12月末までに合意する必要があるが、日本の政府関係者は「全く折り合っていない」と話す。
日本が減額を求め、米国が反対する構図は5年前と同じだが、今回は今年4月の日米防衛協力の指針(ガイドライン)改定で自衛隊の役割が拡大。9月の安全保障法制成立でその実効性が担保された点が異なる。日本の領域外で米軍が攻撃を受けた場合も自衛隊が防護や反撃ができるようになるほか、米軍に対する自衛隊の後方支援が地理的範囲、内容ともに広がる」
(ロイター2015年10月15日)
「思いやり予算」の改定交渉、3回目も日米の溝埋まらず | ロイター

3回協議しても妥結しなかったそうですが、結局、例によって日本が泣いて終わったようです。


「日米両政府は16日、在日米軍駐留経費(思いやり予算)の今後5年間の水準を現行水準に比べ実質増とすることで合意した。2016~20年度の総額は9465億円。15年度までの5年間を133億円上回る」
(朝日2015年12月17日)

先進国一のビンボーで有名なわが防衛省としては、「新安保法制で自衛隊の役割を強化する努力をしているんだから、ちっとは減額してくれてもいいじゃないの」と言えば、米国から「ホンならお前ら、オレたちにアジアにリバランスしてほしくねぇのかよ」とすごまれるという構図です。

トランプの持論は第1期から一貫してこの調子です。
はっきり言って幼稚そのもので、民主党系大統領以下です。


「トランプ氏は同じ演説で同盟国の日本が自国防衛をアメリカに頼る一方、経済面でアメリカに挑み、勝ちを制しているのは不公正だと強調した。1980年代の日本に対する「防衛ただ乗り」批判に似た粗雑な糾弾のようでもあった」
(週刊文春2015年9月3日)

要は、「日本は米国が守ってやってんじゃねぇか。それで浮いた金で米国を輸出で攻めていやがる。ファックだぜぇ!」というわけで、こういう論法を「片務論」と呼びます。
きっとさらにカッカっしてくると、これに韓国に対して露骨に言っているような「ただ乗り論」まで加わってくるでしょう。
さすが日本が地球の半分の地域への戦力投射の策源地だくらいは分かっているので、そこまではいいません。
トランプの認識はある意味で米国人の平均値で、だから一般受けるのだという話もありますので、実際こんなものかもしれません。

実態は、防衛省の在日米軍駐留経費負担の資料にあります。

20241218-121456

防衛省・自衛隊:同盟強靱化予算(在日米軍駐留経費負担)

・在日米軍駐留に関する費用・・・4311億円
・SACO関係費用      ・・・116億
・米軍再編関係費用    ・・・2130億
小計           ・・・6557億

日本の防衛費は7兆9496億円ですからバカにならない額です。
これは米国の同盟国の中でも突出して大きなものです。

「日本は在日米軍の駐留経費として、別枠計上の米軍再編関連予算などを除き、平成28年度予算で約5818億円を計上し、地代や周辺対策費、基地で働く人の人件費などに充てている。
そのうち、しばしば取り上げられるのが「思いやり予算」と称される接受国支援(ホスト・ネーション・サポート)だ。日米地位協定上は支払い義務のない負担で、昭和53年度から計上され、平成11年度に2756億円とピークを迎えた後は漸減。28年度は1920億円となっている。
そうした日本の負担が、米軍が駐留する国の中で突出して高いことは、米国防総省が2004年に公表した報告書が示している。報告書によると、02年に日本が駐留米軍1人当たりに支出した金額は約10万6000ドル(約1155万円)。日本側の負担割合は74.5%でサウジアラビア(64.8%)や韓国(40%)、ドイツ(32.6%)などを大きく上回っていた」
(産経2016年5月25日)
【日米同盟が消える日(下)】「安保ただ乗り論」は本当? 駐留費負担、実は世界でも突出…米軍人を日本の傭兵にする気なのか- 産経

20241218-124457

産経ニュース

トランプの安保ただ乗り論はただの謬論にすぎません。
トランプはかつて7割では少ない100%にしろとバカなことを言っていましたが、それは米軍将兵の人件費や作戦費まで日本が負担することを意味します。
分かって言っているのかな、これは在日米軍将兵が日本政府のカネで生活する「傭兵」となるということですよ。
日本が支払える負担金は既に上限に達しています。きちんと反論して、いくらグラス新大使が強面であろうとノーと言わねばなりません。
たぶん新大使も高めの球を投げ込んでくるはずなので、心しましょう。

明日に続けます。

 

 

« トランプの意地悪なオファー | トップページ | 世界の半分の米軍展開を支える日本列島 »

コメント

 民主党にしても共和党であっても対日要求はして来るもので、それはカナダであれメキシコで対してであっても変わりません。トランプの場合、特にそのエグさが認識の誤謬と相まって喧伝されますが、日本の実情に合わないLGBT法を押し付けたエマニュエルよりはマシだと思っています。
これからのポイントは二つで、一つは脱中国化を明確にして達成する事。もう一つは、強固な米国のパートナー国としての立ち位置を明確に共有しつつ、日米関係発展の阻害要因である憲法の改正を速やかに実行すべきところ。当座の関係性を維持するためにするお茶を濁すような不要で高額の武器の購入をする事ではなく、米・イスラエル間防衛産業のような相互依存的な関係性を目指すべき。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« トランプの意地悪なオファー | トップページ | 世界の半分の米軍展開を支える日本列島 »