独仏、同時政権崩壊危機
世界同時政権瓦解が起きています。
G7だけでも、米独仏加で政権が交代し、日本もご承知のような少数与党の状況です。
韓国はG7ではないものの、政権崩壊しました。
これだけ一斉に世界の政治が揺れ動いたことはなかったと言われています。
まずはフランス。政治的混迷が止まず、年内の予算成立に不安が出て、経済にまで悪影響がでてきます。
「フランスの政局が混迷。2025年度予算が緊縮的な内容であったことから審議が難航し、12月上旬には内閣不信任案が可決。9月に発足したばかりのバルニエ内閣は早くも総辞職に追い込まれる事態に。これを受け、12月13日にマクロン大統領が中道派のフランソワ・バイル氏を首相に任命。もっとも、議席の過半数を占める政党が不在である議会構成は変わらないうえに、フランスの政治制度では、前回選挙から1年経過するまで総選挙を実施できないことから、当面は議会が膠着状態に陥る公算大」
(日本総研2024年12月16日)
高まるフランスの政情不安 ― マインド悪化や金利急騰が景気下押しも ―|日本総研
マクロンは息も絶え絶えながら大統領制が故に易々とは退陣せずに、しぶとく新首相を任命しました。
大統領は議会の融和を図るため、中道右派の共和党、中道左派の社会党などの穏健派を集めて意見交換を行ったものの合意形成に失敗しました。
この大統領のひ弱さの原因は、マクロンが少数与党だからです。どこかの国でも聞いた構図ですね。
政権党は第1党でなければまともな政権運営はできません。
政策を出すごとに、野党との合意形勢をせねばならないからです。
今、ゲル氏が脂汗を流しているのは自公で過半数を押さえられていないからです。
マクロンの今年7月の国民議会選挙では3党に甘んじている始末です。
とにもかくにもマリー・ルペン率いる国民連合を第1党にしないために、中道と左派で連合を組んでいちおうなんとか凌いだものの、主要3党はどれも単独過半数を獲得できず、深刻な混乱となりました。
フランス議会下院選挙で左派連合「新人民戦線」が最大勢力 議会の多数派形成は難航も | NHK | フランス
「フランス国民議会(下院、定数577)の選挙は、7月7日に決選投票が行われた。6月30日の第1回投票(2024年7月2日記事参照)でトップに立った極右「国民連合(RN)」は単独過半数獲得による政権交代を目指したが、エマニュエル・マクロン大統領を支持する中道の与党連合と左派連合「新民衆戦線(NFP)」が反RNで共闘し、RNは改選前の議席数を大幅に増やしたものの、第3勢力にとどまった。投票率は66.63%と、前回2022年の投票率を20ポイント以上も上回った」
(ジェトロ ビジネス短信2024年7月9日)
フランス下院選、左派連合が最大勢力に、極右は失速(フランス) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ
そもそも与党連合は政策的にはアッチとコッチ。
第1党となった新人民戦線(NFP)自体が、急進左派から共産党、中道左派まで幅広い勢力が参加している闇鍋ですから、まとまった政策が出る道理がありません。
マクロンがやたらスポーツ選手の激励に走るのは、たぶん急速に失われている求心力を得たいのでしょう。
しかし、この政権の先行きは真っ暗です。
ところでドイツはもっと深刻です。シュルツ社民党が率いる連立政権が瓦解しました。
原因は、社民党が連立を組む自由民主党(FDP)から出ているリントナー財務相(党首)を解任したことで、これで過半数割れをして一気に政権が崩壊し、なんと20年ぶりの総選挙だそうです。
来年2月に総選挙ですが、ここでイーロン・マスクご推奨の「ドイツの選択」(AfD)などに政権を明け渡すととんでもないことになるでしょう。
トランプ再選で「ドイツ経済悪化」3つのリスク 1期目より2期目のほうがリスクが大きい理由 | トランプがくる! | 東洋経済オンライン
「ドイツ連邦議会で12月16日、オラフ・ショルツ首相の信任投票が実施され、反対多数で否決された。この結果を受けて、ショルツ首相はフランク=バルター・シュタインマイヤー大統領に議会の解散を提案した。2025年2月23日に20年ぶりとなる議会解散に伴う総選挙が実施される見通しとなった。
信任投票では、反対が394票で過半数に達した。反対票を投じたのは、最大野党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)をはじめ、連立パートナーだった自由民主党(FDP)など、ほぼ全ての野党勢力だった。ショルツ首相率いる社会民主党(SPD)は賛成、ともに連立政権を担っている緑の党は棄権した」
(ジェトロビジネス短い信号2024年12月19日)
ショルツ首相の信任投票が議会で否決、20年ぶりの解散・総選挙へ(ドイツ) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ
ドイツは気候変動対策の最優等生国としてCOP29を主導せねばならない立場でしたが、痛恨の欠席となりました。
メルケルからシュルツまで脱炭素の旗振りをしてきたドイツのCOP29欠席は、まさに今の世界にとって象徴的な出来事です。
この原因はひとえにドイツ経済の破局的状況によります。
よく日本の人口の半分のドイツがGDPで日本を抜いたぞ、ドイツすごいぞ、日本落ち目という者がいますが、それは為替レートが作り出したイリュージョンにすぎません。
ドイツの主力産業である自動車産業は壊滅的打撃を受けており、この動揺に移民問題などが被った形になりました。
ドイツだけで長くなったので切り離しました。
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