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2024年12月 2日 (月)

シリアアサド政権崩壊危機

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シリアでアサド政権に対して反撃が開始されました。
どうやらアレッポでは反政府側が支配し、アサド政権軍が逃亡したとの映像が出ています。
なお、アサドも家族と共にロシアに逃亡したという未確認情報があります。

情報はこれを書いている午前2時時点では錯綜していますが、アサドは帰国したもののクーデターに遭遇したという情報も入っています。
クーデターの帰趨はわかりませんが、ダマスカスでも戦闘が起きているようです。

「アサド政権の総合安全保障局長、ハッサム・ロウカ准将は、現在、アサドに対するクーデターを指揮している。#Damascus、首都#Syria.彼はのグループを率いています#Syrianアサド一家を捕らえようとしている陸軍兵士たち」
XユーザーのBabak Taghvaee - The Crisis Watchさん

シリアは重要な地中海に面した軍事拠点でしたが、ロシア軍はアレッポ、ハマ、デリゾールなどの基地を閉鎖して、唯一地中海沿岸のフメイミム空軍基地に立て籠もっているようです。
シリアが失陥すると中東のみならず、地中海に進出していた拠点のすべてを失います。

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Syria insurgents enter Aleppo in a surprive offensive against Bashar Assad's forces | DW News

「シリアの反政府勢力ハヤト・タハリール・アル・シャーム・グループとその同盟者たちは、バッシャール・アル・アサド大統領が支配するアレッポに対して大規模な攻撃を開始した。反政府勢力は、シリア軍の複数の地域、武器庫、装甲車両を占領した。
数十人のシリア軍兵士、ハヤト・タハリール・アル・シャーム(HTS)グループとその同盟者が衝突で殺害された。シリア人権監視団は、最近の衝突で約100人の死傷者を報告した。死傷者には、HTS戦闘員44人、同盟グループから16人、シリア軍から37人が含まれている。
ハイエト・タハリール・アル・シャームの指導者アブ・ハッサン・アル・マアラも、シリア軍によって殺害された人々の一人だ。反乱軍グループは、アレッポ郊外から10km前進し、ヒズボラが支配する2つの町の近くで報告しています。HTS武装集団は、バッシャール・アル・アサドが支配する10の地域を占領した。HTSはアルカイダの分派であり、シリアの地元の目標に対して穏健であると自らを描いていますが、米国はこのグループをテロ組織リストに載せていました」
DW News 

ただし、この反政府側もイスラム過激派テロ組織であるHTS(ハヤト・タハリール・アル=シャーム機構 )ですので、念のため。
かつてはアルカイーダの一派だとみられていましたが、今は分離し、戦車やドローンを有した組織に変貌しています。

シリアは典型的な独裁国家です。
完全にアサド家によって国家が支配されていましたが、2011年の「アラブの春」で民主化を求める内戦が発生しました。
当初は武力紛争ではなく民主化を求めるデモ運動に過ぎませんでしたが、これをアサドが武力弾圧し、かえって全国に火の粉を拡大しました。
この過程で近隣国から様々な支援を受けて自由シリア軍が結成されました。

一時期、アサドは危うく国外逃亡一歩手前まで追い詰められました。
これを支えたのがロシアとイランのコンビです。
2015年、シリアのアサド政権は、反政府派によって劣勢に立たされると、2015年にロシアに軍事支援を要求しました。

「元々、中東・アフリカにはロシアの幾つかの民間軍事会社が進出していたが、ワグネルとしては15年、ロシアがシリアのアサド政権を救うため軍事介入してから本格化した。プーチン氏との親密な関係をテコにワグネルをロシア軍の別動隊として拡大させていったのが今回の反乱の首謀者であるプリゴジン氏だ。内戦や紛争につけ入って独裁者らの警備を担当し、時には反政府勢力の掃討作戦に参加し、数百人規模の虐殺にも加担したと非難されてきた」
(佐々木伸  7月4日)
ワグネル反乱で影響必至の中東・アフリカ情勢(Wedge(ウェッジ)) - Yahoo!ニュース

ロシア政府は空軍を派遣し、反政府派都市の無差別爆撃を行います。
この指揮をとったのが、「アルマゲドン将軍」ことプリゴジンの盟友であるスロビキン将軍です。
スロビキンは、ウクライナ戦争におけるマウリポリを焦土とした戦闘でも再び登場します。
ロシアは空軍を派遣し、反政府地域を無差別爆撃して回りました。
また、禁止されている化学兵器などの使用も確認されています。

「これまでにシリアに派遣されたロシア兵は6万3000人に上り、ピーク時には1日100回以上の攻撃を行っていた。民間軍事会社の人員が多数、前線で親政府派勢力と共に戦っていたとも言われている。シリア内戦は、ロシア軍にとって重要な実地訓練の場となり、ミサイルや爆撃機Tu22Mなど武器の試験を行うこともできた」
(AFP2019年10月4日)
シリアに腰を据えるロシア、中東での影響力拡大の足掛かりに 写真26枚 国際ニュース:AFPBB News

このような過剰なシリアに対する介入の目的は、ソ連時代の中東から地中海における軍事的プレゼンスの復活にありました。

「ほぼ明らかなことは、アサド政権を軍事的に打倒することは不可能になったということと、ロシアが今後ともシリアへの軍事プレゼンスを維持するということである。
すでにロシアはフメイミム基地の長期租借協定を結び、基地の大拡張を完了しているほか、今後は地中海のタルトゥース港に設置された小規模な補給・整備施設を本格的な海軍基地へと拡張することも決定している。ロシアはエジプトとの間でも飛行場の使用に関する協議を行っており、かつてのソ連が地中海から中東に掛けて有していた程度の軍事プレゼンスを復活させようとしているように見える」
(小泉悠々2018年1月4日))
在シリア・ロシア軍基地に過去最大規模の攻撃か (小泉悠) - エキスパート - Yahoo!ニュース

ロシアは2016年にはタルトゥスに恒久的海軍基地の建設を開始しました。

「(CNN) ロシアのパンコフ副国防相は10日、シリア西部のタルトゥスにある補給基地を拡張し、恒久的な海軍基地とする計画を明らかにした。ロシア国営タス通信が伝えた。(略)
タルトゥスはシリアの地中海沿岸部にある港湾都市で、南にレバノン、北にトルコを望む。ロシアの海軍施設はソ連時代から存在していた。

この基地には埠頭(ふとう)が1つあるだけで、地中海での任務に派遣されるロシア軍艦船のための修理所や補給拠点として主に使われてきた」
(CNN2016年10月11日)
ロシア、シリア海軍基地の恒久化を計画 - CNN.co.jp

また、反政府軍支配地域への空爆には北西部ラタキア付近にあるフメイミム空軍基地を使用しており、ここも恒久的基地です。
現在これらの基地ち3000人の兵員が駐留していると言われています。

今回、ロシアがシリアに軍事力を投入できないと見た反政府軍は、突如HTSがアレッポ進軍を開始し、不意をつかれたアサド政権軍はなすすべもなくアレッポを無血開城させてしまったようです。
またイランも、革命防衛隊の指導層がことごとく討ち取られてしまっている上に、第1の舎弟であるヒズボラは壊滅寸前に停戦のゴングで救われている状況であり、第2の舎弟のハマスも余所を助けるどころか助けて欲しいくらいな状況でタオル一歩手前といったていたらくです。
共にこの2組織共に、指導層はことごとく空爆で死んでいます。
これでアサドなんぞにかまっていられるはずがありません。

かくして「力の真空」とでもいうべき状況が一時的に中東に発生し、アサドの尻に火が点いたというわけです。
今後の行方についてはまだ不透明ですが、ロシアにとっていかにウクライナ侵略が割に合わなかったかよくわかります。
今、かつて世界第二位と呼ばれたロシア海軍は出口を失いつつあります。
フィンランドとスウエーデンがNATOに加盟してしまうことでバルト海方面は閉ざされ、黒海艦隊はクリミアを失いつつある中で、数少ない出口は地中海方面と太平洋方面のみでした。
シリア失陥でこのひとつを失うとすれば、ウクライナ4州の強奪は高いものにつきました。

 

 

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コメント

アサド政権遂にも終わりかねえ。
10年前にロシアは支援として好き放題やったけど、今はそれどころでは無い。
バッシャールよりも親父さんが冷酷な独裁者で国を治めて、レバノンにも散々介入。
本来は兄貴が後継ぎだったので、ボンボンのバッシャールは実は医者になりたいけど「血を見るのが大嫌い」で、英国留学で眼科医目指してたんですけど。兄貴急死で帰国。
んで独裁体制引き継いだけど、まさかの「アラブの春」や「IS台頭」という予想外の事態だったでしょう。それまではノンビリと王様だけやって、仕事は側近達に任せていれば良かっただけなのに。。
若干同情的に思うとは言っても、その後やったことには全く容赦の欠片もありませんが。

で、アサド政権を打倒したらとうなるのか?
リビアみたいになったら本当に救えない話です。。

 頼みのロシアはシリアなどに構っていられる状態でなく疲弊し、ヒズボラやイランはイスラエルに頭を押さえられ、状況は反政府勢力に格好の機会を与えたという事ですね。
ダマスカスまで取られれば革命は成就しそうなものですが、自国が焦土になる事を厭わないアサドは相当にしぶといはず。やはり、ダマスカスにいると思われるアサド個人を処理しないと決着しないか。
ちなみにHTSは非アルカイダであって、今は聖戦主義とも決別しています。トルコもHTSは支援しやすく、欧米やサウジなど湾岸産油国はロシア傀儡のアサドがいなくなれば万々歳です。

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