さぁ、韓国のケイオスが始まった
一回、こちらをアップしたのですが、ダマスカス陥落・アサド亡命の重要性から昨日の記事を優先しました。
さて、ご承知のように弾劾案は与党の議場退場で廃案となりました。やれやれ。何度も同じことを書いていますが、今の韓国では、大統領が戒厳令を発動しても国会が過半数の決議で無効にできるのです。
ですから大統領は「親北朝鮮のスパイ」を拘束するためには直ちに国会を解散して、野党議員を逮捕しないとダメです。
あるいは国会そのものを開けなくするしかありません。
そのために戒厳軍を国会に入れる蛮勇があるなら、そのままなんといわれようと軍が占拠し続けねば戒厳令が完遂しないのです。
同時に一切のメディアを強力な統制下に置かねばなりません。
勿論、デモなどは完全禁止、外出禁止は当然です。
これだけやらねば戒厳令なんぞできるものではありません。
だから私は近代民主主義国家では不可能だと思っています。
民主主義に反しているって、そのとおり、戒厳令は民主主義の一時的凍結だからです。
だから憲法に規定があっても事実上できないし、やるなら失敗したら民主主義の敵として縛り首になる覚悟でするしかないのです。
聯合
「(ソウル=聯合ニュース)イ・ユミ記者=尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する弾劾訴追は、定足数不足のため7日の国会本会議で採決されなかった。今日の午後、本会議に提出された尹大統領の弾劾については、300人の議員のうち195人しか投票に参加しませんでした。
ただし、定足数がないため、投票はカウントされませんでした。その結果、弾劾動議は自動的に破棄されました。弾劾決議は、下院議員300人の3分の2、つまり200人の賛成で承認されなければならない。
また、投票には民主党を含む汎野党の議員192人、国民の力の党員、アン・チョルス、キム・サンウク、キム・イェジの議員195人しか投票に出席しなかった。
全体会議に先立ち、国民の力は、尹大統領の弾劾と金堅熙(キム・ゴンヒ)大統領夫人の特別訴追について「提案の拒否」を確認した。
弾劾法案は採決前から否決されることが確実視され、国民の力(PPP)は「金堅熙(キム・ゴンヒ)特別検察法」の再投票に参加し、尹大統領に対する弾劾法案の採決前に退席した」
(聯合12月7日)
【第2報】「崔大統領弾劾」の採決は否決...與 不登校に対する「反対票」
与党の苦肉の策です。
与党も野党に転落して、野党にいびり倒されたくはないし、そんなことになればユン氏と一蓮托生となって自分らも落選の憂き目にあってしまいます。
自分らは死なないように、ユンさんは座敷牢に入れてしまうからご勘弁を、というのが「国民の力」のプランです。
「【ソウル=時吉達也】韓国の韓悳洙(ハン・ドクス)首相と与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表が8日午前、合同で国民向けの談話を発表した。韓代表は尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権について「秩序ある早期退陣で国民の混乱を最小化する」との方針を示した上で、尹大統領が今後、「外交を含め国政には関与しない」と強調した。
韓首相は、不安定な国際情勢の下で「韓米同盟を堅固に維持し、韓米日の安全保障協力を力強く進めることが重要な課題」だと指摘。「外国のあらゆる経済関係者が韓国を見つめている」として、野党側に予算案の通過を含む国政運営への協力を求めた」
(産経12月8日)
韓国大統領、外交や国政に関与せず 首相と与党代表が合同談話 - 産経ニュース
ユン氏には外交も内政も触らせない、しかし辞めさせないというわけで、すごいね、まさに座敷牢。
ほんとうはここまで大統領から権限を奪ってしまうと職務委譲の手続きとかなんかがいるのでしょうが、そんなことは後から考えようというケンチャナヨ精神です。
なんとも虫がいい案ですが、ハン首相がいうように「世界の経済関係者が見つめている」ような権力の空白が続いて、デモ天国になればウォンは投げ売られ、株も暴落するでしょうからね。
だからここで、野党にも信頼されているような首相が介入して一気にとりまとめようというのですが、うまくいかないでしょう。
野党はユン氏の首を取り、内乱罪で法廷に引きずり出すまで手をゆるめないでしょうかね。
検察が捜査しているそうで、ユン氏は出国禁止。
え、韓国に首相なんかいるのかと思った方も多いでしょうが、いるんですよこれが。
聯合 ハン・ドクス首相
ハン・ドクス首相は、平時は昼行灯の人でしたが、政治歴は長い。
左派政権のノムヒョン時代には首相を経験し、その後も米韓FTAを結んだり、駐米大使になったりと政界の重鎮ではありました。
いわゆる大統領タイプではないために、政治的色気に乏しく、しかしいまのような「新たな内戦」(by野党)という時期にはうってつけとみられたのでしょう。
韓悳洙 - Wikipedia
「(ソウル=聯合ニュース)ホン・グッギ記者=首相府は、8日午後に韓徳洙(ハン・ドクス)首相が議長を務める予定だった臨時閣僚会議が非公開の「国務院会議」に変更になったと発表した。
首相官邸は、「議題についての審議・決定ではなく、現状をどう改善するかについて国務院議員間で議論するという点でスケジュールを変更した」と説明した。
政界の一部は、国務院の会議への形式変更を、内閣が会議に対する野党の批判を意識していたことを示していると解釈している。
これに先立ち、国民の力のハン・ドンフン委員長と韓首相は同日、公演を通じて国民政府に空白がなくなると発表し、これに対し、民主党は「第2の内戦」と呼び、祖国革新党は「第2のクーデター」と呼び、憲法上の権限のない違憲ルールと批判した」
(聯合12月7日)
もちろん時間稼ぎの彌縫策でしかありませんし、野党は4分の1の数で臨時国会を30日間招集できますから、どこまでも弾劾決議を出し続けることでしょう。
いや、ほんとうに日替わり定食よろしく毎週出すみたいですよ。(笑)
この国には「一事不再審」の原則が存在しないので、新たな証拠がなくてもなんどでも起訴できるのです。
日本では一回不起訴、ないしは無罪と決定したら、新しい証拠が見つからない限り再審はありません。
日本では「既判力」という法概念があります。
「既判力とは、判決が確定した場合において、その後同一の事件が裁判で問題になったとしても、前の裁判で確定した判断と矛盾する主張をすることができず、裁判所も前の裁判の判決と矛盾する判決をすることが禁止される制度的な拘束力のことをいいます。
このような既判力によって、民事裁判においても、原則、同一の当事者に対する、同一事項についての再度の争いが禁止されているのです」
(ベーリーベスト法律事務所)
一事不再理とは何か。再審との違いなどを解説
一回弾劾法を廃案にしたので、ユン氏の弾劾を成立させるに足る新たな証拠がみつからない限り、今回の国会での判断と矛盾した主張をすることができません。
ですから、日本では何度も同じ案件を蒸し返して弾劾することは不可能です。
しかし、できちゃうんだな、この国は。
近代法の概念が欠落していますから。
たとえば近代国家では、その案件が発生した時点で法にないものは罰せませんが、韓国はいくらでも遡及して今の法律で過去を裁くことが可能なのです。
典型的なケースは、自称「徴用工」での韓国最高裁判決です。
これには国民感情で裁くという隠し味も加わって、「日帝」時代を糾弾して賠償金を支払えという判決を出しました。
よく韓国のことを未熟な民主主義国家だといいますが、それはこういうことなのです。
今回の大統領糾弾案件でも、なんどでも臨時国会で毎日つるし上げては弾劾決議案をぶつけ、30日間という会期一杯ぶつけては否決されまたぶつけ、表では民労総と共に民主党といった従北派が大規模デモを仕掛けることでしょう。
師走だろうが年を越そうが、三が日でもデモをするんでしょう。
このデモが自然発生的に生まれたなんて思わないで下さいね。
大規模デモは組織的に動員体制を取らないとできないものなのです。
それをうちの国のメディアときたらこうです。
韓国・尹大統領の弾劾めぐり国会前で抗議集会 国民の怒りは最高潮に(日テレNEWS NNN)|dメニューニュース(NTTドコモ)
「午後9時半頃、正門前に設置された大型モニターで不成立が伝えられると、悲鳴が上がった。抗議活動はその後も続き、韓国中部の テジョン市から駆けつけた会社員イ・ミソンさん(46)は「弾劾されるべきだ」と憤った」
(読売12月
ソウルの国会前で抗議の市民は弾劾不成立に悲鳴…野党猛反発、混乱収束の兆し見えず : 読売新聞 。
なにが悲鳴だ、喜びすぎて悲鳴がでたんでしょう。ウルトラ敵失ですからね。
30日間の臨時国会の間、毎日やるんですな。さすがは「東アジアのラテン」(実は東アジアの病人ですが)といわれた韓国の伝統芸だけあります。
というわけで、どこで落していいのかわからないケイオスが始まりました。
まぁ正直、いつまでもやっていなさい、という気分ですがね。
« アサド政権完全崩壊 | トップページ | アサド政権陥落、トルコとイスラエル »
コメント