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2025年1月

2025年1月31日 (金)

高関税はモロ刃の剣

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トランプの得意は「ディール」deal )なことは知られています。
元来はビジネス用語で、取引やなにかの交渉という時に使われるそうです。
これを政治や外交の世界に持ち込んだのがトランプです。
第1期の時も盛んにつかいましたが、第2期は初めから全開です。
不法移民の引き取りを拒否したコロンビアには、ビザ発給停止と並んで関税バク上げと金融制裁を宣告しました。
これで一気に中南米諸国は抵抗を諦めてしまいました。
そんなことをされたら米国市場から追放されて経済が崩壊するからです。

しかしたぶんこれもブラフでしょうね。
本気でやるかどうかはわかりませんが、やるかもしれない、アイツはクレージーだからな、という恐怖感があります。
例のマッドマンセオリ(狂人理論)です。

コロンビアあたりだと仮に関税バク上げをしても米国民は痛くもかゆくもないでしょうが、相手が中国となると話は別です。
中国には多くの米国の製造業が進出しており、米国ブランドのシューズでも衣類でも、裏返してタグみればメイドイン・チャイナです。
トランプもバイデンもことのほか気を使っている自動車産業もそうです。
サプライチェーンは丸ごとメイドイン・チャイナか、メキシコ、カナダです。
だから関税を2割バク上げなんぞほんとうにすると、アメ車は高騰してしまう結果となります。
それじゃなくても国際競争力がら弱いのに、値上げしてどうします。
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BBC
「アメリカのドナルド・トランプ大統領は21日、中国製の輸入品に対する10%の追加関税、早ければ来月1日から課すことを検討していると述べた。トランプ氏は記者会見で、「(中国が合成麻薬の)フェンタニルをメキシコとカナダに送っているという事実に基づいて」、追加関税について政権内で協議中だとした。
トランプ氏はメキシコとカナダに対しても、25%の関税をかけると脅している。両国について、不法移民や麻薬がアメリカに流入するのを許していると非難している」
(BBC1月22日)
中国製品への10%追加関税、2月開始を検討 トランプ米大統領 - BBCニュース
ダボス会議では中国の丁薛祥副首相が「保護貿易はやめろ。自由貿易を守れ」なんてジョークを飛ばしていましたね。
保護主義とダンピングのお前の国にだけにはいわれたかねぇよ、とトランプは思ったでしょうな。
しかし冗談ではない、止めてくれというのが米国の製造業者だとなると話は別です。
デトロイトのあるミシガン州知事はこう悲鳴をあげています。
「[ワシントン/デトロイト 15日 ロイター] - ミシガン州のグレッチェン・ホイットマー知事(民主党)は15日、トランプ次期米大統領が表明したメキシコとカナダへの追加関税は米自動車産業に打撃を与え、自動車価格の上昇を招くほか、中国の利益となる可能性があると警告した。
ホイットマー知事はデトロイトでの演説で、関税賦課によりサプライチェーン(供給網)が損なわれるほか、生産ラインが停滞し「米・カナダ両国で雇用が減少する」と指摘。関税に関する協力など巡り、オンタリオ州首相や他のカナダ当局者らと活発に協議していると言明した。
同知事はまた、多くの部品が自動車完成までに何度も国境を通過し、カナダと米国間の年間貿易額7000億ドルのうち4分の1がミシガン州デトロイトとカナダ東部オンタリオ州ウィンザーの国境を越えていると説明した」
(ロイター2025年1月16日)
トランプ関税は米自動車産業に打撃、中国の利益に=ミシガン州知事 | ロイター
そうなんですよ、関税を6割にするなんて選挙期間中の演説どおりのことを実行すれば、モロにアメ車のコストに被ります。
部品は哀しくや大部分がメイドイン・チャイナやメイドイン・メキシコやカナダですから。
アメ車はメイドインUSAではなく、アッセンブリー・イン・USAなのです。
だから高関税を支払うのは中国ではなく、まず米国のフォードなんかの自動車産業、そして高くなった国産車を買わされる米国市民なのです。
もちろん物価もスライドして高くなりますから、今FRBが消火に腐心している強インフレもまた再燃するでしょう。


高関税という武器はもろ刃の剣で、自分も斬ってしまうのです。
そもそも関税を外交交渉の武器に使うなんて反則です。
お気をつけ下さい、トランプさん。

2025年1月30日 (木)

トランプ、不法移民の強制送還開始

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トランプが電光石火、疾風怒濤の勢いで仕事をし始めました。
あのヒトのやることは、なるほどるほどというモノとおいおいがゴッチャ混ぜになっています。
ま、彼らしいといえば言えますけどね。

たとえば直近では、不法移民を公約どおりたちどころに送り返し始めましたが、送り返された南米諸国ともめています。
トランプは不法移民を犯罪者とみなしていますから軍用機で強制送還したのですが、これに怒ったコロンビアは「民間機に乗った自国民なら受け入れる。犯罪者のように扱わない」と米国は言っていただろうと怒って、送還受け入れを拒否しました。
コロンビアのペドロ大統領は「移民は犯罪者ではない」と言っていますが、移民ではなく「不法移民」です。
ここは重大な違いがあるで強調しておかねばなりませんが、正規の手続きを踏んで永住権を獲得して入国したのが「移民」、それを一切破って違法に入国したのが「不法移民」です。

さらに、今回トランプが強制送還の対象としたのは、そのうち犯罪歴がある者たちです。
日本にも不法移民を拘留したり送還することを悪のようにいう人たちがいますが、先進国には不法移民を受け入れねばならない道義的義務などありません。
それをあたかも文明国の崇高な義務のようにして受け入れた結果が、今の西欧諸国と米国です。

こういうコロンビアのいきがりに待ってました、とばかりに対応したのがトランプです。
いや、実際にシナリオを書いてシミュレーションしていたのでしょう。
トランプにはこの4年間たっぷり時間がありましたからね。たぶん、次に大統領になれば、やることを順序立てて考えていたはずです。
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BBCニュース

コロンビア政府が、米国内で拘束されたコロンビア出身の不法移民を乗せた米軍機の着陸要請を拒否したとみるや、トランプはこれに激怒し(して見せたんでしょうが)、関税、制裁、渡航禁止などの報復措置を取ると表明しました。
トランプはコロンビアの全輸入品に25%の緊急関税を課すこと、それを1週間後に50%に引き上げること、さらにコロンビア政府高官らへの渡航禁止とビザ(査証)発給取り消し、金融制裁発動、コロンビア国民の国境検査強化などを命じました。
すさまじいね、戦争をするきですか。

「トランプ大統領はこれを受け、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で「緊急かつ決定的な報復措置」を発表。コロンビア政府の職員および協力者や支持者に対し、渡航禁止と「即時のビザ(査証)取り消し」を実施すると述べた」
(BBC2025年1月27日 )
米政府、南米コロンビアへの関税案を撤回 移民送還めぐり合意成立と - BBCニュース

これに対しペトロ大統領はSNSで報復関税を発表し、コロンビアは世界の中心だと叫んで見せました。もちろん、自国民向けです。

「あなたの封鎖は私を怖がらせない。なぜなら、コロンビアは美しい国であるだけでなく、世界の中心だからだ」
しかし数時間のうちに、両国はこの対立を解決した様子。ホワイトハウスは、コロンビアが「トランプ大統領の要求のすべて」に合意したと発表した」
(BBC前掲)

コロンビアが「世界の中心」かどうか知りませんが、麻薬ワールドと不法移民のハブではたしかに世界の中心です。
中米パナマと南米コロンビアの国境に広がるダリエン地峡は、米国に流入する不法移民の拡散センターと化しています。
中南米だけではなく、遠くアジア、アフリカの各地からの不法入国を目指す人々が集まり、ここで密入国業者よっていくつかのルートに分かれて米国に流入していきました。
その数は一年間にざっと200万人といわれ、国境警備隊が遭遇した不法入国者数だけで2023年度で205万人、その前年の22年度は221万人と2年連続で200万人を超えています。
その結果、米国内の不法移民数は、1000万人にも達し全貌が見えないほどです。
トランプが今回第一陣で強制送還したのが4500人ですから、まだ前途迂遠です。
トランプもこんな初手からつまずくわけにもいかず、強硬な姿勢を保ちました。

ペドロは反発したそばから妥協を探っていたようで、両国は26日深夜に不法移民の送還で合意しました。
コロンビアに対するトランプの振り上げたこぶしは、他の中南米諸国を震え上がらせました。
中南米諸国は、どうせ本気でやるもんかとタカをくくっていた節がありましたが、一気に移民の受け入れを拒否すれば制裁を科される、ということが現実になったことで、態度を一変させました。

メキシコはクタクタとひざまずいたようです。

「メキシコ政府は、飛行機の到着も、強制送還者を乗せた飛行機を一定数受け入れる合意も確認していない。
しかし、メキシコ外務省は金曜日、自国民の国外追放をめぐってワシントンと協力する用意があると述べ、メキシコは「メキシコ人の我々の領土への到着を常に両手を広げて受け入れる」と述べた」
(AFP1月25日)
米国移民強制送還便がラテンアメリカに到着 

「外交」というのは平場ではないというのがよく分かる事例になりました。
弱い国には外交はないのです。
だから一国1票の国連が、いかに機能不全であったとしてもなくならないはずです。

このコロンビア、グアテマラ2国に対する強制送還は手始めでしかなく、すでに米国移民・税捜査局は政権発足後精力的に不法移民を拘束しており、そのかずは4500名に登るそうです。

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産経

「米移民・税関捜査局(ICE)は28日、不法移民ら969人を27日に拘束したと発表した。不法移民の大規模強制送還を掲げる第2次トランプ政権が20日に発足後、全米各地で摘発された犯罪歴がある不法移民らは4500人を超えた。
不法移民対策を担うノーム国土安全保障長官は28日、国土安全保障省で職員に対し「国を守るため、あらゆる法的権限を行使する」と宣言し、強硬姿勢を鮮明にした」
(産経1月29日)
第2次トランプ政権発足後の不法移民の摘発は4500人に 1日当たり700人超 - 産経ニュース

バイデン時代は1日平均300人程度だったそうですから、ケタが違います。
現在の強制送還は不法移民として拘束されていたものらが中心ですが、以後、米移民・税関捜査局か社会の中から不法移民を摘発することになるでしょう。
トランプ政権は不法移民で犯罪歴がある者を対象にすると言っていますが、正直、あまり見たくない風景です。

それはさておき、ここでトランプが使ったカードは三つです。
①関税引き上げ、②金融制裁、③渡航禁止、ビザ発給停止などです。
たぶんこんごこの三つを組み合わせて、強弱をつけてトランプの「こぶし」とする気のようです。
この中で最初の関税については明日に続けます。

2025年1月29日 (水)

山路敬介氏投稿 宮古島市長選に見る「オール沖縄」という概念の消滅その3

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(承前)

話をもとに戻します。
選挙選ですが、嘉数陣営としては最初から手ごたえがありました。
フライング気味で選挙戦を始めた若い前里陣営にそのまま勢いが行くと思われましたが、伸びも拡がりも嘉数の方が上回っている事が明らかでした。

嘉数候補はあまり直接的に現職の座喜味市長を批判せず、その事に好感を持った向きもあったようです。
もう一方の座喜味陣営は横綱相撲的な落ち着いた感じで、これもかつての部下であった嘉数氏を批判する事などしない、座喜味市長らしい良い意味で上品な戦い方を展開しました。若く熱烈な運動を展開した前里候補の真逆の雰囲気で、オール沖縄を前面に出した前回選挙と様相が異なったものでした。

しかし、座喜味陣営のこの盛り上がらなさは市議補選に出た国仲昌二陣営に革新系アクティブ部分が集中してしまい、もともと保守であった座喜味前市長の応援が手薄になった事が原因です。
つまり、座喜味=国仲ラインが上手く連携していないのは明らかでした。

この事が示す内実は、市長選候補から降ろされた国仲側による座喜味市長への意趣返しといった単純なものでなく、オール沖縄=革新であるという革新アクティブの誤謬から生じた気味があります。
(一昨年、座喜味市長は海上自衛隊ブルーインパルス招聘のさい、禁断の下地島空港の使用をデニー知事に打診しています。結局は宮古空港を使用しましたが、ゴリゴリの革新人士の怒りは相当なものでした。)
対して嘉数陣営は市議補選候補者の若くフレッシュな大城仁氏との共闘が非常に上手くいっていて、補い合い、次々に繰り出すスケジュールなど密接な調整を経た「二人で一つ」作戦が功を奏した戦いとなりました。

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市民が主役の将来を 座喜味一幸氏が訴え 宮古島市長選 沖縄 - 琉球新報デジタル

座喜味氏の演説で印象的だったのは、「オール沖縄」というくだりがほとんど出て来ない事で、これが前回選挙とは全く異なる点でした。
現職市長の応援演説をしにはるばると本島からやってきたデニー知事にしてからが、知事初当選時の自分の選挙と違い、「オール沖縄としての団結」を訴える強い言葉はありませんでした。
もともとデニー知事でさえ革新ではないのです。中庸の象徴としての「オール沖縄」がきれいごとの建前であったところ、かねひでなど経済界の保守系応援団に見捨てられ、左派に突き上げを食って瀕死の営業を続けてきたのがオール沖縄トップ・デニー知事の実態です。
以上が、少なくも宮古島において「オール沖縄」という概念は消滅したと主張する所以です。

新聞では県内11市において、オール沖縄側の首長が一人もいなくなった事が報道されています。さらに今週末の沖縄市長選、来月の浦添、5月のうるま、この結果において保守系が三タテで勝利するならば、「オール沖縄」という欺瞞が新聞やテレビなどで便宜的に使われるだけの存在である事がさらに明らかになるでしょう。

                                                                                                    (了)
                   文責 山路敬介

2025年1月28日 (火)

山路敬介氏投稿 宮古島市長選に見る「オール沖縄」という概念の消滅その2

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ひさしぶりで山路さんの記事を頂戴しております。
常に冷静、かつ精緻な分析をありがとうございます。
宮古島市長選の勝利についで沖縄市長選挙も行われ、ここでも「オール沖縄」は敗北しました。
デニー知事は平静を装っていますが、外堀は完全に埋め立てられ裸城となってしまったようです。

「【沖縄】桑江朝千夫市長の死去に伴う沖縄市長選は26日、投開票され、無所属新人で前県議の花城大輔氏(53)=自民、公明推薦=が3万1267票を獲得し、無所属新人で前県議の仲村未央氏(52)=共産、立民、社民、社大推薦=を8466票差で破り、初当選を決めた。桑江市政の継承を前面に掲げて支持された。投票率は49・11%だった。
花城氏は「人生の中でこんなにうれしい瞬間ってあんまりない。沖縄市民が桑江市長の人生を評価してくれた。愚直に前に進めていきたい」と喜んだ。(略
県政野党の自民や中立の公明などは、県内第2の人口を擁する市での首長選勝利で、7月に予定される参院選、2026年の知事選に向けて弾みをつけた。玉城デニー知事を支える県政与党は態勢の立て直しを迫られる」
(琉球新報1月27日)
沖縄市長に花城氏 仲村氏を8466票差で破り初当選 市政継承前面、支持広げる 投票率49・11% - 琉球新報デジタル 

かつては翁長の裏切りによってできた保守の一部、共産党を中心とした野党勢力、そして県財界までウィングを伸ばしていた「オール沖縄」は今は見る影もありません。
偽装保守は今はなく、財界は総撤退、残るは共産党だけです。
こんな状況ですから、彼らも「オール沖縄」という言い方は恥ずかしくて出来ず、それを平気で使っているのは本土のメディアだけです。
山路さんのご指摘どおり便宜的名称と化しているようです。

                                                   ~~~~~

 

(承前)

ここで私自身の立ち位置・支持の系譜と、新市長となった嘉数登氏の素顔や印象を話してみたいと思います。
私は、収賄で残念な結果となったけれど保守系市長会を主宰した下地敏彦元市長の元支持者で、とりわけ下地市長時代の長濱副市長に人柄の面でも私淑していました。その下地市長のもとで誕生した下地康教県議も当然支持していて、それは仲井真弘多元知事・西銘恒三郎衆議院議員のラインにつながります。

その下地康教県議が推す嘉数登氏を私が推すのは自然ですが、心配もありました。ひとつは、嘉数登氏がデニー知事のもとでの知事公室長であった事です。ワシントン事務所問題でゆれる県議会で、ともすれば百条委員会に呼ばれかねない地位にあった。二年かそこらですが、デニー氏と近い位置にあった事もや心配です。

また、オール沖縄側の座喜味市長の下での副市長を務めていた事も同様。
このような疑問を抱いていて、それを小さな集まりでご本人に聞く機会がありました。 
時間になり、私が「ご本人がまだ来ていないようですね」と近くの人に小声で問いかけると、後ろの隅っこの方から「私が本人です」と声がしました。

いやはや何ともあっけないくらいな人で、小柄でもあり昭和の政治家的な貫禄など皆無です。そして、ここでは詳らかに申せませんが、私が杞憂とするところは話を聞いているうちに晴れました。
琉大出身者ではなく、有名大学を出ているわけでもない嘉数氏が県庁において、商工労働部長や公室長など枢要な職務について全う出来た事。その間に関わった人々や経緯、事情などを聴くにつれ良く分かりました。
表面的に嘉数氏自身に左右の色はないものの、「国の決めた事柄は国で。地元が協力する事は責務。地方の自主性や役割とは別の事」との考えには得心しました。

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経験を故郷のために 宮古島市副市長・嘉数登さんインタビュー – 宮古新報

嘉数氏を「最速の実務家」として、「どこをどうすれば、いつまでに何がどうなるという事が分かった人」と評した人がいましたが、まさにそうだと言えます。
実際、座喜味前市長には物事のスピード感が欠けていました。やらないワケではないが、下地元市長のように「断固としてやる」というリーダーシップを発揮するでもなく、ようやく実行した時には効果も半減してしまうような状態でした。

                                                                                           (次回完結)
               

2025年1月27日 (月)

山路敬介氏投稿 宮古島市長選に見る「オール沖縄」という概念の消滅その1

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                             宮古島市長選に見る「オール沖縄」という概念の消滅
                                                                          山路敬介


 さる1月19日投開票の宮古島市長選において、オール沖縄現市長である座喜味一幸しが敗れ、座喜味氏の下で副市長職を務めていた保守側の嘉数登氏が当選するという、ある意味「意外」な結果で終わりました。
その「意外」の第一は、現職の座喜味市長は二期目をうかがうところであった事。全国首長の再選率は84%を超えるとされており、特段の失政も見当たらない座喜味氏が敗れたのはなぜか?

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沖縄テレビ

第二に、宮古島市では保守系と革新系がほぼ拮抗するものの、一対一の決戦である場合ならば保守派がやや有利、という見方が従来の不文律でした。
ただ、この不文律は昨年6月の県議選時点において、すでに崩れていたという見方があります。県議会議員席は宮古選挙区においては二議席で昨年6月まで、その一を自民党の下地康教氏が、二議席目をオール沖縄の国仲昌二氏が占めていて、これがしばらく定席になるだろうと思われていました。そこへ現職下地廉教氏と同じ保守系の新里匠氏が立候補したのです。

従来の常識ならばこれでオール沖縄の国仲昌二氏が安泰で、下地、新里の一騎打ちとなるものと思われました。ところがなんと、オール沖縄側の国仲昌二氏が落選。自民・保守系が二議席を占めたのです。ちなみに、ここで落選した国仲昌二氏が負けた翌日に何を思ったか、次の市長選(今回の)に立候補すると宣言してしまいます。

県議選と違い、市長選は一議席をめぐる戦いです。
であるならば、保守自民党は何より候補を一本化する事こそが必勝の道なので、誰をその候補にするかが大問題となりました。
県会議員二人が保守系になった事が逆にアダとなり、新里匠県議が若い前里光健前市議を担ぎ出し、下地康教県議は副市長を辞任した嘉数登氏の後ろ盾となります。

続いて市議の一部から推された元県職の下地明和氏が出馬表明します。さらに二名が加わり、保守自民系か保守系と思われる計5名が立候補への意思表示をする事態となりました。
ここで推薦する候補者を一本化するべく、昨年末には候補者選考委員会を設置。数度会合を開きますが、食い違いや「選考委員会のやり方に問題あり」との声があがり、全然まとまりません。

ここまで混乱すると、頼みの西銘恒三郎衆議院議員も存在感を示せませんでした。やむなく選考委員会は解散し、最終的に「自主立候補」と決定する有様となったのです。さらに悪い事に自民党の推薦が出せないなか、その事を理由に公明党もやむなく自主投票を決めてしまいます。
ここでオール沖縄側は先の県議選で落選した国仲昌二氏を説得。国仲氏を市議補選に回らせ、意思を隠して意欲も見せなかった座喜味現市長に候補は一本化され、二期目の立候補宣言・決意表明をします。

保守が一本化出来ないのなら、勝機は革新・オール沖縄側にあります。
座喜味市長は公明側とも関係が悪くなく、自主投票なら、公明からかなりの票を取り込めるとの思惑もあったでしょう。
対立する革新系の市議からは「保守の分裂が現職のいちばんの応援団だ」との、高笑いともとれる発言が出て来ます。

                                                                                                                                             (続く)

        

2025年1月26日 (日)

日曜写真館 いくたびも仔狐の来る星月夜

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うき恋や狐つらるる雉の美目 浜田酒堂

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おのが影踏み遊びをり檻狐 山田弘子

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おぼろ月狐の檻に狐の尾 黒谷忠

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かごめかごめと田を囲みきつね花 檜紀代

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どこにひそむ金の狐や蕨狩 平畑静塔

 

2025年1月25日 (土)

トランプの常識革命

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トランプが「常識革命」に邁進しています。
このcommon sense revolutionという表現は、就任演説にあったものですが、なるほど言い得て妙です。
トランプは自分がしていることは、今まで米国を、いや全世界を覆っていたポリティカル・コレクトネス(ポリコレ)という急進左派支配から自由を取り戻すのだ、という含意があります。

この常識革命は実に多岐に渡っていて、その大きなひとつが不法移民対策の飛躍的強化です。
これは昨日に触れた国境の警備強化、不法移民の送り返しなどがありますが、もうひとつ重要な柱が出生地主義の変更です。
実はこれが一番大変です。なぜなら合衆国憲法修正14条とぶつかるからです。
さっそく反トランプ同盟の旗振り役のCNNは違憲で差し止めと嬉しげに書いています。

シアトル(CNN) トランプ米大統領が署名した、米国で生まれればほぼ無条件で米国籍を得られる「出生地主義」を廃止する大統領令について、ワシントン州シアトルの連邦地裁のジョン・クーゲナー判事は23日、「明らかに違憲」だとして一時的な差し止め命令を出した。
この大統領令については、同州を含め4州の司法長官らが連邦地裁に提訴していた。クーゲナー氏は大統領令の14日間の差し止めを命じた。(略)
提訴した州はいずれも民主党が強く、この大統領令は米国憲法修正14条に明らかに反していると主張している。修正14条は「米国で生まれ」、かつ「米国の管轄に服する」人については市民権があるとしている。
ワシントン州の司法当局者は、裁判所がこの提訴を審理する間、「出生は止められない」と指摘し、大統領令により市民権が与えられない子どもは「長期的に大きな悪影響を被る」と主張した」
(CNN1月24日)

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トランプ氏の「出生地主義」廃止の大統領令は「違憲」 連邦地裁が差し止め - CNN.co.jp

提訴したのは民主党が支配している20州の司法長官たちですが、違憲だということはトランプは百も承知です。
実は憲法を手直しすくとなると相当にハードルが高く、憲法の修正は大統領が発議できません。
発議権を有するのはあくまでも連邦議会で、両院それぞれで3分の2の賛成が必要で、それを4分の3の州が批准せねばなりません。

今共和党が優勢だといってもそれは薄氷の関係で、到底4分の3には届きません。
やるとしたら、不法移民に限って例外とするというような運用面に手を加えるしかないでしょう。

さて、この出生地主義は日本人にはもっとも分かりにくいものです。
たとえば、たまたま日本に滞在していた外国人女性が産気づいて出産しても、日本人にはなれません。
あくまでもその人の国籍の人として扱われます。
それは日本が国籍は親から受け継ぐという血統主義をとっているからです。

なんだか古臭そうでアナクロと思わないでください。世界の圧倒的多数の国は、条件付きで出生地主義を認めることはあっても血統主義です。
むしろ例外が出生地主義のほうで、その子が生まれた国の国籍を取得できる方式の国は米国、カナダ、メキシコ、アルゼンチン、ブラジル、ペルー、ウルグアイ、ベネズエラ、エクアドルなどです。
共通項があるのに気がつきましたか。これらの国は南北米大陸の国々で、米国を筆頭にして外国から植民者がやってきて作った国家です。
これらの出生地主義をとる国々も、元の国では血統主義の国から来ています。
血統主義をとりたくても外国籍ばかりでは収拾がつきませんし、「国民」としてのアイデンティティが生まれません。
第一、課税したくても誰に課税したらいいのか線引きさえできないし、国は開拓のための人手が必要だったので、国籍付与のハードルをめちゃめちゃに緩めたのです。

これが開拓時代にできた米国憲法に出生地主義が盛り込まれた理由です。
米国では、この考えに沿って市民権の取得条件が定められました。
では、どうすれば米国市民権が取れるのでしょうか?

まずは永住権取得をせねばなりませんが、それには5種類あります。

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アメリカに移住するために必要なグリーンカードとは? | グリーンカードジェーピー

①家族絡み、②雇用・投資絡み、③抽選、④亡命、⑤難民の5つです。
④、⑤は特殊ケースですから省略しますが、実際は②の雇ってもらった米国の雇用者に便宜を図ってもらうか、100万US$を支払って経済力を示すかしかありません。
後は③の抽選です。笑えますが、ほんとうに米国ではコンピューターで抽選しています。

いや、もうひとつ重大な抜け穴がありました、それが①の家族絡みです。
こんなややっこしいことをせずに、米国で出産された子供には無条件で憲法修正14条に基づいて「米国の管轄に入る」ことが可能です。
永住権取得も吹っ飛ばして一気に国籍がもらえます。
ついでにその母親も「米国人の母親」ということで国籍付与に預かれます。
父親はダメですが、永住権という難関を突破することを考えれば、なんというイージーなことよ。

だから、当然のこととして不法入国者はここを狙います。
特に中南米空の不法入国者は、ぜがひでも米国に潜り込みここで子供を作れば自動的に母親も含めてめでたく「米国民」の一丁上がりです。
ですから親が不法移民だとしても、いったん国境から入ってしまって米国で子供を生めば無条件でその子には米国籍が与えられます。

中国共産党の幹部連は揃って海外脱出を狙っていますが、子弟を米国留学させて②の雇用者がらみを狙うか、100万US$など安いもんとばかりに投資するか、妻が若い場合にはグアムで出産します。
そのための弁理士の会社が繁盛しているとか。

しかもそうやって入ったヒスパニック系の場合、人口増加率が圧倒的に多いのです。

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第一生命経済研究所

「移民は米国生まれの住民よりも出生率が高く、全体の出生数を押し上げる要因になっている。2023年の合計特殊出生率は米国生まれが1.51に対して、移民は2.37、うちヒスパニックに限ると2.93と米国生まれの住民よりも2倍近く高い。また、アジア系で比べても移民と米国生まれの住民の間には出生率に明確な違いがある」
バイデン政権下で流入する730万人の不法移民 ~アメリカ人は移民に依然好意的だが、トランプ2.0で移民の大流出へと転じるリスク~ | 前田 和馬 | 第一生命経済研究所

南部国境は、バイデンが警備体制を削減しまくったためにがら空きで、フェンスがあるのはごく一部で大部分はただのボロイ柵という実態では、不法移民はいくらでも浸透してきていったん米国に入るや自然の摂理で子を成します。
するとここに新たな「米国民」が誕生し、その子と母親はもちろん、家族もろとも米国に堂々と住むことが可能です。
これはないでしょう、というのがトランプの意見です。

トランプはリベラルメディアが言うように奇矯なことを言っているのではありません。
大変に常識的なことを述べているだけです。
常識的なことを言うと、それが「革命」になってしまうのが今の米国だというだけのことです。

 

 

2025年1月24日 (金)

トランプ、不法移民対策再開

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フジテレビが全面崩壊行程に突入していますが、因果応報です。
N氏は引退だそうですが、彼の所業の凄まじさを考えれば、そんなことはなんの気休めにもなりません。
本来、示談などという民事的処理ではなく、刑事訴追されるべき事案です。

これを隠蔽しようとしたフジの対応は遅すぎ、小さすぎ、タイミングを逸しました。
虚栄の市であったオールドメディアがくたばろうとどうしようと知ったこっちゃありませんが、あまりに愚かです。

さて、祝祭が終わり、トランプが本格始動し始めました。
いままで口で言っていたことが、急速に形をとりつつあります。
真っ先に手をつけたのが、不法移民問題です。
あらかじめ確認しておきますが、問題は正当な手続きを経て入国した「移民」ではなく、なんの手続きもなく不法入国した「不法移民」ですからお間違いなく。
米国自体が移民国家ですから、移民を拒否しているわけではないのです。

この「不法移民」対策に立て続けにパンチが繰り出されました。
すでに緊急事態宣言と大統領令を出していますが、現実に不法移民の追い出しを始め、南部国境を封鎖しました。

「 トランプ米大統領は、メキシコと接する南部国境からの移民の米入国を一時停止する大統領令に署名した。ホワイトハウスが22日発表した。
トランプ氏は、南部国境を通過する不法入国者を直ちに「撃退、排除、除去」するために必要な全ての行動を取るよう、国土安全保障省、司法省、国務省に指示したという」
(ロイター1月23日)
トランプ政権、移民対策に抵抗する州・地方当局者を刑事捜査へ | ロイター

この米国南部国境は、中南米のみならず世界の移民が浸透する入り口となっています。

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中米パナマ、不法移民待つ死の密林 世界最大のルートに 離散〜ディアスポラ ルポ・決死の逃避行㊤ - 日本経済新聞

たとえば中米パナマと南米コロンビアの国境に広がるダリエン地峡は、ヨーロッパを目指す地中海以上の不法移民のルートと化しています。
ここに米国と接する中南米だけではなく、アジア、アフリカの各地からの不法入国を目指す人々が集まり、いくつかのルートに分かれて米国に浸透していきます。
その数は一年間にざっと200万人。
国境警備隊が遭遇した不法入国者数だけで2023年度(2022年10月~23年9月)で205万人,その前年の22年度は221万人と、2年連続で200万人を超えるなど歴史的な高水準にあります。
その結果、米国内の不法移民数は、1000万人を優に越える数に膨れ上がって、さらに増大しています。

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バイデン政権下で流入する730万人の不法移民 ~アメリカ人は移民に依然好意的だが、トランプ2.0で移民の大流出へと転じるリスク~ | 前田 和馬 | 第一生命経済研究所

この原因は、バイデンの無為無策だと言われています。
バイデンが就任早々にやったのは、トランプの不法移民対策を撤廃し、ルーズな対策に切り換えたことです。
下図の政策比較の表は左がバイデン、右がトランプです。

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第一生命経済研究所

「バイデン大統領は就任直後の2021年1月にトランプ前政権の移民政策を転換する方針を示した。これには米国内で1,160万人に達する不法移民(2021年時点)の市民権獲得に向けた制度改革法案の提案、及びイスラム圏からの入国禁止措置の撤廃などが含まれる」
第一生命経済研究所

その結果が下図に示されています。
バイデン米国は「不法移民に寛容な国」と目され、不法移民は激増した反面、その送還は激減し、移民裁判所の未処理数は激増しました。

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第一生命経済研究所

これらの流入を続けた不法移民は米国社会の最下層を構成しました。
「世界の困った人々を受け入れる多様性に満ちた国」というと聞こえがいいのですが、要は現代の奴隷階級を市民階級の下に作り出したのです。

一般市民がやりたがらない汚れ仕事に低賃金で従事し、犯罪に走る者も少なくありません。
というより、犯罪カルテルが半ば公然と麻薬や人身売買などの犯罪を持ち込むケースが増えたのです。

この状態を作った原因は、民主党系当局者が取り締まりを放棄したことにもあると言われています。
トランプが真っ先にしたのは、不法移民対策に反対する当局者の追放と刑事捜査であったことは象徴的です。

今後、今すでに米国社会に住み着いている膨大な不法移民をどのようにして国に返すのか見当もつきませんが、少なくともバイデンがやってしまった不法移民に寛容な国」というイメージが真逆になったことだけは世界に印象されたはずです。

 

 

 

2025年1月23日 (木)

バイデンが隠したかった新型コロナの秘密

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トランプは派手な船出をしましたが、一方バイデンは最後っ屁をかましてホワイトハウスを去りました。
大統領としての最終日、バイデンがなにをしたかといえば、親族5人に対する予防恩赦でした。
起きていない将来の行為は恩赦できないはずですが、まだ訴訟手続きに至っていない行為を恩赦できるという使い方をすると予防恩赦が出せるというのがバイデンの言い分です。
日本にはこんな変な制度はないのですが、米国には大統領権限に含まれているそうで、かつてカーターが徴兵忌避者数十万人に予防的恩赦を与えたことがあります。
では、自己恩赦もあるのではないか、というとそれはグレーゾーンだそうな。

バイデン米大統領は20日、自分の親族5人に予防的な恩赦を与えると発表した。トランプ新政権下での政治的な報復を防ぐのが目的で、「不正行為に関与したことを認めるものではない」としている。恩赦の発表は退任の数十分前で、異例の対応だ。
ホワイトハウスの発表や米メディアによると、恩赦の対象はバイデン氏の長弟のジェームズ氏とその妻のサラ氏、妹のヴァレリー・バイデン・オーエンズ氏とその夫のジョン氏、次弟のフランシス氏の計5人の親族」
(朝日2025年1月21日)
バイデン大統領退任の数十分前 自身の親族5人に「予防的恩赦」 [トランプ再来] [アメリカ大統領選挙2024]:朝日新聞デジタル

司法の独立もナニもないですな。
またそれとは別に、この3名にも予防恩赦を与えました。
なにをトランプから追及から隠したいのか逆にバレてしまいますね。

・アンソニー・ファウチ前大統領医療顧問
・リズ・チェイニー前下院議員
・マーク・ミリー前統合参謀本部議長

リズ・チェイニーは元副大統領の娘で旧共和党主流派にして、宗教的なまでの反トランプ派で共和党からの亡命といったところ。
マーク・ミリー統合参謀本部議長も同じくトランプを激しく憎悪してファシストとまで呼びすてて、リベラルメディアに取り上げられていました。
ミリーはカマラが勝つことに張ったのでしょうが、いまや在郷軍人会にも呼んでもらえないんじゃないかな。
彼個人に止まらず、トランプに「軍内部もウォーク退治すっかんな」、とトッバッチリを拡げてしまいました。

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新型コロナ対策 ワクチンは?マスクは? 米ファウチ博士に聞く | NHK

残るひとりが、大統領医療顧問のアンソニー・ファウチです。
覚えていますか、例の武漢ラボのウィルス事件に資金を提供していたあのアンソニー・ファウチです。

ファウチは国立衛生研究所(NIH)所長で、米国を代表するウィルス学者で、歴代の大統領の保健政策の顧問を努めてきました。
トランプと大喧嘩して、バイデンが再任して重用しました。

この男が握るのが、あの新型コロナの発生源のひとつと疑惑をもたれている中国の武漢ウィルスラボとの関係です。
の研究のほとんどは、米国では禁止されている遺伝子操作を使って性質の異なるウイルスを作り出すことでした。

この武漢ラボで機能性獲得実験をしていたのが、主任研究員の石正麗とそのグループでした。
コウモリの遺伝子にもっと致死性の高い遺伝子のスパイク(突起)を結合して新たなウィルスを作ったのです。
このウィルスのスパイク(突起)からは、4つのアミノ酸配列が発見され、それらはまるで蛍光ペンで塗ったように光り輝いて見えるそうです。

いうまでもなく、これら4ツのアミノ酸配列は自然界には存在しないものです。

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花王 | 新型コロナウイルスの特徴

「二人は、中国の研究者が中国の洞窟で捕らえたコウモリからそのウイルスの「バックボーン」と呼ばれる部分を別のスパイクに接着させ、より致死性が高く感染力の強いウイルスを造ったと考える。
そのウイルスのスパイクからは4種のアミノ酸の列が見つかったが、こうした構造は自然界のウイルスには見られないことで、人工的なウイルスであることを裏付けるものだとソレンセン博士は言う」
(木村太郎NON FAKE NEWS2023年 5月31日 )

まるで遺伝子操作を使って存在しなかった新恐竜さえ作ってしまった『ジュラシックパーク』のヘンリー・ウー博士みたいですが、石正麗らは本当にやったのです。
このような石らに技術的、資金的バックアップしたのが、なんと大統領医療顧問をしていたアンソニー・ファウチでした。
米国ではウィルスの遺伝子捜査は禁じられていたのですが、ファウチはこともあろうに中国の武漢に「外注」していたのです。

このファウチに対しての追及の刃は、共和党上院ランド・ポール議員の5月13日の公聴会でこうファウチに問い質したところから始まります。

「国立衛生研究所(NIH)は蝙蝠からウイルスを人為的に取り出す実験をしている武漢ウィルスラボに資金提供したのではないか」

これに対するファウチの答弁はこうです。

「NIHは武漢ウィルスラボによる『人間が造ったスーパーウイルスの機能研究』(機能獲得型)に資金を提供したことはなく、蝙蝠のウイルスの遺伝子解析WIVで実施するエコヘルスアライアンスに助成金を授与した。私は中国人が何をしたか説明できないが、中国で何が起こったのか更なる調査に完全に賛成する」

ファウチは「中国人がなにをしたか説明できない」などととぼけていますが、もちろん知っています。
よく言うよ、というもんですが、FOXニュースはこのファウチのNIAID(国立感染症アレルギー研究所)が資金提供して武漢ラボが行った作業が、2017年の助成プロジェクトの発表論文に記載されていることを突き止めました。

そこに表記されている研究者名が、ピーター・ダザックと石正麗でした。

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新型コロナウイルス「研究所流出説」は排除すべきではない 中国の元トップ科学者が主張 - BBCニュース

彼等は、実験室でヒトの細胞をそれらに感染させ、自作の人工ウイルスが機能的ウイルスとして自己複製できる事を示したというわけです。
この機能獲得変異実験が2014年に米国内で禁じられたために、ファウチは外国に委託することにし、その時に相談したのがピーター・ダザックです。

ファウチは、直接に武漢ラボに資金提供せずにいったんダザックの会社であるエコヘルス・アライアンスを迂回して資金提供をしました。
このダザックは、武漢ウィルスラボになんらかの利害関係を持ち、石正麗とはいわば盟友の仲で、ダザック自身も加わって、石グループの機能獲得変異実験をしたようです。
ちなみにダザックは、WHOの武漢調査団に利害関係者でありながら、シレっとして加わっています。

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ANN

上写真の中央の禿頭の男がそうですが、こういう新型コロナをこの世に生み出した製造元のような男さえ加わって武漢を調査したというのですから、いかにWHOという機関が中国の下請けなのかわかろうというものです。
トランプがさっそく脱退するといっていますが、当然です。
堕落した科学者と、いかなる悪魔の所業であろうとも国家目的遂行のためには厭わない国との合作、これが新型コロナ・武漢株なのです。
これに関わってこの悪魔たちのスポンサーをしていたのが、今回予防恩赦されたアンソニー・ファウチでした。

 

2025年1月22日 (水)

トランプ就任演説の確信と楽天性

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トランプの就任演説は、どなたが書いたのか知りませんが、なかなか叙情的、かつ力強く、いい出来でした。
ともかく明るい楽天性が基調です。
ひょっとして作家のベンス副大統領だったったりして。
トランプ米大統領の就任演説全文(1):時事ドットコム 

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トランプ氏「誇り高く、繁栄し、自由な国に」 就任演説で米国第一鮮明 領土拡大にも意欲 - 産経ニュース

冒頭からテッションが高い。

「この日からわが国は繁栄し、世界中で再び尊敬されるだろう。全ての国の羨望(せんぼう)の的となる。米国がこれ以上つけ込まれることを許さない。トランプ政権下の日々、私は非常に明快に米国を第一に据える。
われわれの主権と安全は回復される。正義の均衡は取り戻される。悪意があり、暴力的かつ不公正な司法省と政府の武器化は終わる。最優先事項は、誇り高く、繁栄し、自由な国をつくることだ。まもなく米国はかつてなく偉大で強く、はるかに例外的になる」

冒頭部分は日本のニュースでやたら引用されますが、「米国第1」はいまさらのことです。
「不公正な司法省と政府の武器か」は、全体を通してほとんど影をひそめている民主党政権へのあてこすりですが、上品にまとめたというところでしょう。
選挙戦では言いたい放題言っていましたからね。こういう攻撃的トーンがないのが、今回の就任演説の評価できるところです。
これを受けてこの一句も素晴らしい。

「国家的成功のわくわくするような新時代の幕開けにいるという確信と楽観と共に大統領職に復帰する。変化の波が国中を席巻している。陽光が全世界に注がれ、米国にはかつてないほどこの機会を捉えるチャンスがある」

これなんだよな、トランプのカリスマ性を支えているのは、と思います。
この「確信と楽天性」を反知性主義とあざ笑い、世界は汚濁と破局の中で滅びようとしているといったほうが文化的だと勘違いしているインテリが掃いて捨てるほどいますが、いやいやこの明るさなくしてトランプという政治家は存在しないはずです。
ハリウッド映画があたりまえのように設定している荒廃しきった近未来にはさせないぞ、というところです。

もちろんうんざりするほど山積した課題は覆いがたく存在するわけですが、それはむしろ外的要因よりも国内の「急進的で腐敗した既得権益層が市民を権力と富みを搾取してきた」せいだと言い切ります。
そのために政府が機能不全に陥って、国境すら守れないとトランプは言います。

「政府は外国の国境を守るために際限なく資金を投じながら、米国の国境とさらに重要な自国民を守ろうとしなかった」

そしてハリケーン禍やロスの大規模山火事を例に出します。
実はロスの大規模山火事の1カ月前、ロス市消防士組合は人員削減をこれ以上止めろと市当局に掛け合っていたのです。
しかし市は応じないまま、この大災害となったようです。
これは国土保全、国民保護をないがしろにしてきたリベラル政治の縮図です。

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CNN

「(CNN) 米ロサンゼルス市一帯が大規模山火事に襲われる1カ月弱前、ベテラン消防士の一団が市庁舎に集結し、人員や装備の増強を求めた。自分たちは「もう限界だ」と、そのうちの1人が訴えた。別の1人は、高額な消防車が稼働できない状態にあると明かした。予算削減のせいでそれらを修理する整備士の数が激減したためだという。
ロサンゼルス市消防組合のフレディー・エスコバー組合長は、「私は人々が言えないことを言う」「一つの仕事を削り、一カ所の消防署を削るなら、ロサンゼルスの住民が最終的な犠牲を払うことになる。命を落とす人が出るだろう」と述べた」
(CNN1月15日)
ロス消防署の人員不足、全米最悪レベル 「もう限界」と消防士 - CNN.co.jp

ただし、「外国の国境を守る」という言い方には引っかかります。
たぶん同盟国支援を批判したいのでしょうが、「外国の国境を守ること」とは、すなわち米国の国境の外堀を守ることなのです。
国内の災害に対する強靱化が遅れているということと同盟国との連携を対立的にとらえるべきではありません。
しかしゲル氏よ、やっと2月頭に会えるようですが、ガッポリ宿題持たされますぞ。

それはさておき、就任演説でもっとも物語性を持ったフレーズがこれです。 

「私たちアメリカ人の祖先は、広大な大陸の端にある小さな植民地の集まりを、地球上で最も素晴らしい国民が集う強大な共和国へと変貌させました。これに匹敵する国は他にありません。
 アメリカ人は、荒々しい未開の地を何千マイルも進んだ。砂漠を横断し、山を登り、数え切れないほどの危険に立ち向かい、開拓時代の西部を制覇し、奴隷制度を終わらせ、数百万人を圧政から救い、数十億人を貧困から救い、電気を利用し、原子を分裂させ、人類を天空に送り出し、人類の知識の宇宙を人間の手のひらに載せた。
 私たちが力を合わせれば、できないことは何もないし、達成できない夢もありません。
 多くの人々は、私がこのような歴史的な政治的復帰を果たすことは不可能だと思っていました。しかし、今日ご覧のとおり、私はここにいます。アメリカ国民の声は届いたのです」

これは別な部分で言っている、「私たちの教育制度が、子供たちに自分自身を恥じること」、「私たちの国を憎むことを教える」のをやめるということにつながっていきます。
リベラルがお得意としてきた「米国は先住民を殺戮し、黒人を奴隷とし、強欲な物質文明と暴力で支配した」というテーゼに対する、保守の側の回答がこれです。
皮肉にもわが国は安倍氏以降、激しく左傾化しています。
その陣頭に立つのが、いつのまにか薄ら甘いリベラル政党に変質してしまった自民党なのですからデスペレートです。
したがってじっとりと湿度が高く、暗く、先行きに希望が持てません。

トランプの個々の政策は、それぞれ矛盾して空想的ですらありますが、それを覆い隠しているのがこの楽天性だということだけはうらやましいかぎりです。

 

2025年1月21日 (火)

トランプが日常になる日が始まった

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今日は深夜からトランプの就任式をみておりました。
当然といえば当然ですが、バイデンもカマラもいましたなぁ。役目柄とはいえ罰ゲームみたいです。
そういえば、カマラは副大統領兼上院議長としてトランプの当選確定を議会で宣言することまでやらされて、少々同情しております。

【ワシントン=塩原永久】米大統領選で勝利した共和党のドナルド・トランプ氏(78)が20日(日本時間21日未明)、首都ワシントンの連邦議会議事堂で宣誓し、第47代大統領に就任した。トランプ新政権高官によると、トランプ氏は就任後に国家非常事態を宣言し、国境管理の厳格化やエネルギー増産などの公約実現に乗り出す。バイデン民主党政権が取り組んだ多様性を推進する政策も取りやめるとしている。
新政権高官は20日、メキシコ国境の管理強化などを巡り、トランプ氏が就任後に10本の大統領令を出すと明らかにした。非常事態を宣言して軍の動員を可能にする。多様性・公平性・包括性(DEI)を推進する政策を停止する方針だとした」
(産経1月21日)
トランプ氏、第47代米大統領に就任 国境管理の厳格化やエネルギー増産の非常事態宣言へ - 産経ニュース

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トランプ氏、第47代米大統領に就任 国境管理の厳格化やエネルギー増産の非常事態宣言へ - 産経ニュース

式典は議会内広間で行われました。
理由は、ワシントンでは極寒が予想され、最低気温は摂氏零下11度、最高気温は零下5度の見通しで、こんななかでやると不測の事態がおきかねないということのようです。

なんでも無理やりに屋外でやって、長たらしい演説をして死んだ大統領もいたとか。

いうまでもなくこの議会広間は、2021年1月6日に暴徒によって襲撃されて大惨事になった場所です。
こういう場所でやったのは、たぶんまぁ意図的なんでしょうかね。
たぶんトランプはこういうリベンジのメタファーを好むことでしょう。

これまでに事件に関わった1500人超が警官への暴行や器物損壊の罪などで起訴され、そのうち半数が実刑判決を受けており、トランプ自身も事件を扇動したとして下院で弾劾訴追されましたが、上院で無罪評決となっています。
今回一部を恩赦するとしていますが、違法行為は違法行為として裁かないとトランプが大好きな法と秩序は守れませんけどね。

私にはトランプの2期目を讃える気はいささかもありません。むしろ警戒しています。
カマラがあまりにひどかったから、民主党リベラルがあまりに欺瞞に満ちていたから再び大統領になったにすぎません。
グリーンランドの一件などまるでやっていることはロシアですし、中国の習近平とはすぐに電話会談したとか。

第1期の大統領安全保障補佐官で、激しく対立して追い出されたジョン・ボルトンはこう言っています。

「2期目も、(1期目と同じく)混乱することになると思う。それがトランプ流のやり方だからだ。中国に60%の関税を課すと言ったかと思えば、今度はメキシコ湾をアメリカ湾に改名すると言い出す。次は、紛争をやめさせようとして、イスラエル政府に対してガザでの停戦に同意するよう迫っているが、これはバイデン氏が7カ月も前から取り組んできたことだ。
(中略)というわけで、トランプ政権は大荒れになるだろう。国内政策についても多くの点で同じことが繰り返されることになると思う。何しろトランプ氏には、大統領という職務に必要な規律が欠けているのだから」とボルトンは語った」
トランプ新政権はどうなる? 元側近スティーブ・バノン氏が予測、「歴史に残る2つのこと」とは?|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

だろうな、と私も思います。ただし、2期目はボルトンやマチス、ポンペオのような優秀な止め男がいませんが。
悪魔視も過剰な期待も不要です。是々非々で見ていくしかないでしょう。

などと言っていたら、トランプ政権移行チームがさっそく始めました。

「[ワシントン 20日 ロイター] - トランプ次期米大統領の政権移行チームが、国務省のキャリア官僚10人超に辞任を要請したと、米当局者2人が明らかにした。国務省ナンバー3とされたジョン・バス次官(管理担当)も含まれるという。
当局者1人によると、国務次官および次官補レベルの職員全員が辞任を求められた。これは事実上、国務長官以下にある2層の上級職員員全員を意味する」
(ロイター1月21日)
米国務省キャリア官僚10人超に辞任要請、トランプ氏チーム=当局者 | Start Magazine

各省庁で無慈悲にスイングドアが開いて、リベラル官僚たちを追い出していくようです。
とまれ今日からトランプが日常となります。

 

※改題しました。

 

 

2025年1月20日 (月)

ユン氏の孤独な戦い、支持率が激増

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ユン氏の拘束が長期化するおそれがあります。

「ソウル西部地裁は19日、内乱を首謀した疑い逮捕された尹錫悦(ユン・ソンニョル)韓国大統領の拘束継続を認める令状(拘束令状)を発付した。現職大統領が拘束状態で捜査を受けるのは憲政史上初めて。高位公職者犯罪捜査庁(公捜庁)は、尹大統領による「非常戒厳」宣布後の国民向け談話や自筆の手紙、取り調べ拒否、憲法裁判所の弾劾審判への欠席などを理由に「典型的な確信犯」「再犯の危険性がある」と断じ、長期間にわたる拘束の必要性を主張し、それが認められた」
(西岡省二1月19日)
拘束のまま取り調べ・起訴・裁判…韓国の現職大統領、長期収監の可能性 #専門家のまとめ(西岡省二) - エキスパート - Yahoo!ニュース 

分かりにくい展開です。
ソウル西部地裁は、すでに拘束状態にあったユン大統領にいまごろになって逮捕状を発付しています。
韓国ではこれが不思議ではないようですが、逮捕状をとらないと拘束状態を維持することができないということのようです。
おいおい、ならば初めのはなんだったんですか。

「尹氏は15日に発表した談話で、高捜庁を「捜査権のない機関」、逮捕状を発付したソウル西部地裁を「令状審査権のない裁判所」と呼び、「不法で無効な令状」だと訴えていたが、ソウル中央地裁は、そうした訴えを認めなかった。
尹氏の拘束を延長するためには、15日の逮捕から原則48時間以内に新たに令状を請求する必要があった」
(毎日1月17日)
韓国地裁、尹氏の逮捕不当請求を棄却 尹氏は取り調べ拒否続ける(毎日新聞) - Yahoo!ニュース

ユン氏の主張では、そもそも官邸に侵入して身柄を拘束せんとした公捜庁には捜査権がなく、かつ、それを認めたソウル西部地裁にも令状審査権がないと認識していますから、まったくの不当抑留という認識です。
これでユン氏は、ソウル拘置所の仕切りのあるトイレ、テレビ、マットレス、布団などの備わった待機室から、囚人服を着て、番号を持ったプレートを持たされて指紋を採られ、写真撮影した後に未決犯用収容棟に移されることになります。

まったくの犯罪者扱いです。
おそらく「共に民主党」が捜査を裏で指揮して、こういう強引なことをやらせているのでしょう。
そういえば自称「徴用工」判決の時も、司法は従北派にベッタリでした。

野党は自分らのボスのイ・ジェミョンの裁判は遅らせるだけ遅らせ、ユン氏だけは超特急です。
戒厳令が出た12分後に、なぜか「共に民主党」系の市民だけが通知を受けて、なぜかあらかじ用意されていた大統領糾弾プラカードを持って官邸にかけつけて大集会しているのですから、なんだかなぁです。
こういうじめついた司法権力と親北勢力との結びつきが、国を動かしていることをユン氏は糾弾したかったのでしょうね。
トランプ流にいえば「権力内部のウォーク」というヤツです。

ユン氏はひとり孤独な戦いをする決意ですが、公捜処側は逮捕理由を「非常戒厳」宣布後の国民向け談話や自筆の手紙、取り調べ拒否、憲法裁判所の弾劾審判への欠席、つまりは抗議と抵抗自体が罪に当たるという姿勢です。
証拠隠滅があるなんてことも言っているようですが、官邸に閉じ込められてどうやってできるんだか。
電話使おうにも、盗聴だってしているんでしょうし、PCや携帯だってとっくに押さえているでしょうに。

私は戒厳令騒動当初から言ってきたように、戒厳令そのものには強く反対します。
民主主義の自滅ですし、ユン政権の正統性を既存します。
しかもあの杜撰さでは失敗は必至でした。
ですから結果として、「共に民主党」を勢いづかせ、イ・ジェミョンに政権をくれてやることになりかねませんでした。
現にそう進んでいます。

韓国国民も同じように思うらしく、怒りの矛先はいまや裁判所に向いています。

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「米国や日本が立て直してくれ」 尹錫悦氏の支持者ら激高、逮捕状発付の地裁で破壊行為 - 産経ニュース

この孤独なユン氏の戦いは国民の一定の共感を得ているようで支持率が野党を逆転してしまいました。

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韓国与党の支持率上昇 野党を逆転 - Yahoo!ニュース  

まぁたしかに、大統領弾劾で味を締めた「共に民主党」は、その後大統領代行の首相まで弾劾、その代行であるチェ・サンモク経済副首相兼企画財政部長官まで弾劾をすると脅しており、出しも出したり出した弾劾が30発。
これではユン氏が議会が親北勢力のために正常な運営ができない、というのを戒厳令の理由に上げたのもなるほどということになりますね。
戒厳令には反対していても「共に」のやり方に批判的だった中間派が、支持に回ったのでしょう。

「ソウル西部地方裁判所が、内乱容疑を受けている尹錫悦(ユンソンニョル)大統領に対する拘束令状を発付し、初の「現職大統領拘束」が現実化した。このニュースが伝わり、ソウル西部地法の前に集まっていたデモ隊は、裁判所内に進入し、器物を破損、警察官と物理的に衝突し、連行された。警察は午前6時8分ごろ「現時間で西部地裁の近隣秩序を完全に回復した」と明らかにした。(略)
この日の午前2時59分ごろ、ソウル西部地裁チャウンギョン判事は公捜処が申請したユン大統領の拘束令状を発付した。このニュースが伝わると、午前3時ごろ裁判所の前にいたデモ隊数百人が裁判所に入ろうとした。この過程で警察と現場にいた記者と物理的に衝突し、裁判所の壁を越える試みもあった。警察力のない後門に集まる人たちもいた」
(京郷新聞1月19日)
【速報】「反乱容疑者」 ユン・ソクヨル逮捕...憲法史上初の現職大統領

いかに異議ありといえど、日本では保守勢力が集団で裁判所に押しかけて器物を損壊することなどありえないのでため息が出ますが、こういう院外運動が政治を動かすというのがこの国です。
ユン氏もここに至っては、拒否戦術に頼らずに、堂々と法廷に出て論陣を張ることをお勧めします。

 

 

 

2025年1月19日 (日)

日曜写真館 お稲荷の木暗の姉が呼んでゐる

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冬ざれや稲荷の狐横向いて 山口青邨

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冬されや稲荷の茶屋の油揚 正岡子規 

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冬されや狐もくはぬ小豆飯 正岡子規

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田の中に稲荷の杜の霞みけり 正岡子規

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明神の狐と現じ氷哉 正岡子規 

 

 

 

2025年1月18日 (土)

ガザ戦争停戦、しかしハマスは生き残る

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ハマスとイスラエルが停戦に合意したと報じられています。
CNNによればこういった内容です。

「カタールのムハンマド首相兼外相によると、戦闘停止の合意は19日に発効する。
ホワイトハウスで戦闘停止と人質解放の合意を発表したバイデン米大統領は、戦闘停止の次の第2段階で恒久停戦を話し合う見通しを示した。バイデン氏によると、今後6週間で恒久停戦の条件を詰めるが、期間を過ぎても交渉が続く間は戦闘は停止される。
合意に基づきハマスなどの武装グループは2023年10月7日にイスラエルに奇襲をかけた際に連れ去った人質のうち33人を解放する見通し。バイデン氏によると、米国人の人質も解放されるという。
引き換えに、イスラエルは国内に収監しているパレスチナ人のうち数百人を解放する。バイデン氏は、避難しているパレスチナの人々は住んでいた地区に戻ることができ、ガザへの人道支援物資の搬入も始まると説明した。
また、第3段階で殺害された人質の遺体が家族に返還される可能性があり、大規模なガザの再建計画も始まるという」
( CNN2025年1月16日)
イスラエルとハマス、ガザ戦闘停止で合意 19日発効 - CNN.co.jp

アルジャジーラはもう少し詳しく述べています。要約すれば

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イスラエルとハマスがガザ停戦で合意、19日から段階的に実施 カタールとアメリカが発表 - BBCニュース

①イスラエル軍は停戦の第一段階としてガザ境界の700メートル地点まで撤退する。
②イスラエルは終身刑250人を含む約2000人のパレスチナ人受刑者を釈放する。
③ハマスは33人のイスラエル人捕虜を解放する。
④イスラエルはガザ地区内で負傷した人々が治療を受けるために移動することを許可する。
⑤イスラエルは停戦開始から7日後にガザ南部とエジプトを結ぶラファ国境検問所を開放する。
⑥イスラエル軍はガザとエジプトの境界フィラデルフィ回廊から撤退を開始し、後の段階で完全に撤退する。
⑦カタールとエジプトは合意の履行を確実にするために努力する。
⑧停戦は1月19日(日)に発効する。
⑨ハマス側はパレスチナ人捕虜と引き換えに、この合意の第一段階で33人のイスラエル人捕虜を解放することに合意した。
⑩停戦の第一段階は42日間続く。

よくイスラエルがこんな合意を受けたなと思いました。
この合意の肝は人質の解放です。
人質を解放するというのが、そもそもこのガザ戦争の目的だったはずです。
それがハマス殲滅にとつながり、ガザ地区全体に戦争は拡大し、さらにはハマスと連携してイスラエルを攻撃したヒズボラを追ってシリアまで攻め込みました。

初めの目的だった人質解放は遠のくばかりで、ハマスはこれぞ自分の保険とばかりに握りしめてきました。
そして今に至りますが、ハマスは現在の人質の名簿を伏せたままです。
今回も合意したといいながら、いまだ解放する人質の名簿をイスラエルに提出しておらず、停戦から7日後に提出するとしています。
一方、イスラエルはパレスチナの囚人釈放を、終身刑でイスラエルの刑務所にいる290人、その他の囚人1687人を釈放します。

人質解放と、イスラエルのパレスチナ人囚人の交換は、3段階で行われます。
合意内容をよく読んでほしいのですが、第一段階として「イスラエル軍はガザ境界の700メートル地点まで撤退する」とあります。
この段階でイスラエル軍は、ガザを南北に分断するネツァリム回廊から撤退しており、ハマスが残存している南部ガザに対する軍事的圧力は相当に弱まっています。

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NetzarimCorridor - ネツァリム回廊 - Wikipedia

ハマスが第2段階協議において、かれらがもっとも取り返したいテロリスト指導部のマルワン・バルグーティやハッサン・サラメなどの解放要求を出せば、イスラエルは到底呑めませんから、ここで交渉は中断するはずです。
またハマスが最初に出してくる人質は米国人2名などの外国人と、これ以上ハマスが拘束していると死んでしまうような重病人ばかりでしょう。
国際世論はこれで相当になだめられ、人道的ハマスと称賛するでしょうが(実際にうちの国のメディアならしかねませんが)、まだ大部分の人質はハマスの拘束下にあります。

では、残りの人質をどうやって解放させるかですが、ハマスにとって人質はくりかえしますが「保険」です。
だから全員解放したとしても、自身は「戦後」も残存し得るという保証が必要です。

ガザ地区の「戦後」統治の枠組みが、今回の合意はその部分が欠落しています。
日本のメディアや中東専門家はイスラエルをジェノサイド、殺人嗜好国家とすら呼んでいますから、イスラエルさえ撤退すれば万事解決のようです。
しかしほんとうにそうでしょうか?

方やイスラエルは、ブリンケンが口にしていた「ハマスをガザ復興に関与させない」という保証を求めるでしょう。
バイデンはもはや他人事ですから、「ガザの戦後統治」のありかたこそほんとうの地雷です。
方やハマスは生き残りを保証しろと言い、イスラエルはハマスなきガザを主張する、という問題は解決されたのでしょうか。

たぶんバイデンは、ハマスの保証としていままでどおりUNRWAやパレスチナ自治政府の看板を掲げることを許容したと思います。
国際世論もそれを「ガザを救え」という美名で認めてしまっているからです。
その結果、ハマスは根強くガザにしがみつき、次の機会を狙い続けるはずです。

となると、「2023年10月7日」が再現される温床は残り続けるわけです。
このままだと数年でハマスは戦闘部隊を再建します。
今は壊滅寸前ですが、釈放された囚人たちや、ガザ戦争で恨みつらみを持つ若者を集めて元の勢力をとり戻すことは容易です。
その時にガザ地区にイスラエル軍がいれば、そうそう簡単に復活は難しいでしょうが、そこが停戦会議でどう話されたのか気になります。

しかしこんなことを読めないイスラエルではありませんから、トランプ登場の前にいちおう「停戦」のかっこうだけつけて、その後はハマスの出方を慎重に見極めることでしょう。
イスラエル国内はこの停戦を巡って完全にふたつに分裂したようですが、それも当然です。

 

 

2025年1月17日 (金)

目に余る自民党指導部のコウモリ外交

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凡庸な政治家がふたつの争う勢力にはさまれた場合、どうするでしょうか。
どちらがわが国の国益かということを考えずに、このふたつの国をどうなだめるのかと発想するでしょう。
そしてどちらにも媚を売り、折衷案をひねり出します。
その結果、どちらの側も満足せず、誰もこんな国を信用せずにどちらも失敗します。

ゲル首相が就任式後にワシントン詣でをする一方で、森山幹事長は中国共産党詣でをしました。
このご仁、これを矛盾したことだとはまったく思っていないようです。

なんの目的なのかといえば、なさけないようなことばかりです。

「自民・公明両党の幹事長らは、7年ぶりとなる中国共産党との政党間交流「日中与党交流協議会」などに臨むため、13日から中国を訪問しています。
自民党の森山幹事長と公明党の西田幹事長ら12人の訪問団は、日本時間の13日午後1時前、中国に到着しました。
13日から3日間の日程で北京に滞在し、14日は2018年以来、7年ぶりに再開される中国共産党との政党間交流「日中与党交流協議会」に出席します。
この中では、
▽日本産水産物の早期の輸入再開や
▽拘束されている日本人の解放など
懸案事項について日本の立場を伝えるほか、
▽弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮への対応や
▽両国間の交流の促進などについて意見を交わす見通しです」
(NHK1月15日)
自民党・公明党の幹事長が中国訪問 7年ぶりに中国共産党と与党交流へ 「日中与党交流協議会」に出席 | NHK | 日中関係

なになに、福島の処理水放出をダシに使った日本産水産物輸入禁止を再開してもらって外交的成果としたいですと。
アレはアチラの利害でやっていること。
国際社会でなびく国はありませんでした。あたりまえです。原発保有国でトリチウムを海洋放出していない国などないからです。
つまり相手が為にする言いがかりを解除してもらうために、こちらからもみ手をしてすり寄ろうというのですから倒錯しています。
日本人の拘束については、お願いすることではなく、机を叩いて返せと言うだけしかありません。
中国の北朝鮮に対するか影響力に期待してミサイル発射を止めさせようなど、トンチンカンも極まれりです。
もともと中国にはその気はないし、いまやあんたの国の首都もターゲットにされているよと忠告してやることくらいです。
わが国が言いたいことは山ほどありますが、領海を犯すな、尖閣に手を出すなとだけ言っておけばよろしい。

しかし訪中した森山氏が中国共産党に渡したゲル首相の親書の内容がこれまたドヒャーものです。
「【北京時事】自民党の森山裕、公明党の西田実仁両幹事長らは15日、中国・北京の人民大会堂で李強首相と会談した。石破茂首相から習近平国家主席に宛てた親書を手交。石破氏が早期訪中に意欲を示していることを踏まえ、李氏は「都合の良いときに訪問していただきたい」と歓迎する意向を表明した。要人を含む日中間の人的交流や経済交流の重要性も確認した」
(時事1月15日)

中国首相、石破氏訪中を歓迎=「都合良いときに」自公幹部へ伝達|ニフティニュース
ゲル氏は、要人交流を盛んにし、自分も早期に訪中したいんですと。

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中国に輸入規制撤廃要求 自民森山氏 「成果が必要」 李首相ときょう会談 | 沖縄タイムス+プラス

外務省は森山氏にナニを教えてやっているのでしょうか。
森山氏が会談をするだけではなく、一歩踏み込んで基調講演までしている中国共産党対外連絡部は中国共産党の対外工作機関ですよ。
ドイツの連邦憲法擁護庁によれば、対外連絡部とは、党中央委員会の直属機関として、外国の影響力のある人物を取り込み、中共に有利な発言や行動を促す役割で作られた機関で、外国において中国共産党の政治的目標に賛同する人的ネットワークの構築を目指しています。

こういう相手と協議会を開き、自民党と公明党の幹事長という政権与党のトップらが、「日中関係を進展させるには具体的な成果が求められる」と強調したわけです。
対外連絡部だけではなく、外交トップの王毅相手にも同じことを言っています。

「王毅外相は「両国は一衣帯水の近隣どうしであり、各分野で協力を強めていくべきだ。両国の与党は重い責任を共有して担っている」と述べました。
これに対し、森山氏は「去年11月の日中首脳会談で示された大きな方向性をもとに、課題と懸案を1つでも多く減らし、目に見える形で協力や連携を具体化し、日中関係が発展してよかったと両国の国民が実感できるよう、共に努力したい」と応じました。
また、西田氏は、政党間交流の「日中与党交流協議会」を、次回はことし秋に日本で開催することを明らかにしたうえで「関係改善の勢いを加速していくことが、私たちに課せられた大きな責任と使命だ」と述べました」
(NHK1月14日)
自民 森山幹事長と中国 王毅外相が会談 “目に見える形で協力や連携を” | NHK | 日中関係

公明党の西田氏がいう「今秋にこの日中与党協議会を日本で開きたい」というのは、おそらく公明党や自民党親中派が画策している習近平の訪日のことでしょう。
習が、まだ首席になる前の民主党政権時に訪日したときには、小澤氏が横車を押して天皇陛下と会見させましたが、これでまた日中蜜月を演出したいのでしょう。

中国との戦いを一番に掲げたトランプの就任式1週間前に、その中国共産党と協議会をやって「関係改善に具体的に進もう」と叫ぶのですから、もうトランプからすればケンカ売ってんのか、上等だという気分になるでしょうな。
そのうえこの森山御大は、こんな言わずもがなのことまで言ってしまっています。

「自民党の森山裕幹事長は8日、熊本市での自民県連会合で、国際情勢に関し「世界が内向きになりつつある。内向きのチャンピオンは、間もなく就任するトランプ次期米大統領だ。非常に方向性が気になる」と述べた。米国第一を掲げるトランプ氏の動向を注視する考えを示した。
同時に「世界の国々としっかりと協調し、わが国の発展を果たさなければならない」と語った」
(日経1月8日)
トランプ氏は「内向きのチャンピオン」 自民党・森山氏 - 日本経済新聞

米国大統領を「内向きのチャンピオン」と揶揄し、「世界の国々としっかり協調する」と言った直後にでかけたのが、中国共産党との協議会ですから、「誰と協調する」のかは一目瞭然です。
森山氏は、日本は中国とよろしくやっていく、「内向きのトランプ」を包囲していく、と大ぴらに宣言したことになります。

かといって、凡庸なる自民党領袖たちは米国と手切れになる気はいささかもないようで、就任式に絡めて訪米し、虫がいいことには日米首脳会談をしたいと言っています。

「石破茂首相は2月前半にワシントンを訪問し、1月20日に就任するトランプ次期米大統領と初の首脳会談を開く方向で最終調整する。日米同盟の重要性を新政権との間で確認する。経済や安全保障分野で協力の具体策を話し合う。
2月8、9日の週末や前後の日を使い訪米するのが有力。
(日経1月12日)
石破首相の訪米、2月前半で最終調整 トランプ氏と会談 - 日本経済新聞

へぇ、それでも会うんだぁ、鉄面皮なことよと妙に感心してしまいますが、ナニを話すの、ナニをしたいの、どうして今トランプと合わねばならないのと頭がクルクルしてしまいます。
「日米同盟の重要性の確認」なんて、毎回大統領が代わるごとにやってきていて、そのつど「尖閣は日米安保第5条の範囲内」というご託宣を頂戴して「外交成果」としています。
今やるなら、ぜひゲル首相の持論である「日米安保の双務的発展」をかますべきでしょう。
「米国が内向きチャンンピオンだ」などと泣き言を言っていないで、わが国は米国の世界戦略の絶対的同志だということをじぶんの言葉で言ってきなさい。
そうすればトランプがゲル氏を見る目が、多少なりとも違ってくるはずです。

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【 画像3/4枚 】岩屋外相が訪中し李強首相、王毅外相と相次ぎ会談 歩み寄りの機運:朝日新聞デジタル 

とまれ、ゲル政権中枢の岩屋外相と自民党森山幹事長は、露骨な中国との無節操な融和に動いてしまいました。
岩屋氏が王剛と取り交わしたことにはこのようなものが含まれています。 

「第2回日中ハイレベル人的・文化交流対話
(7) 日本側から、日中外務報道官協議の早期開催に期待を示すとともに、双方は、民間主催のメディア交流を再活性化させることを確認しました。
第2回日中ハイレベル人的・文化交流対話|外務省

ところが同じ7節の中国版にはこうあると山口敬之氏が指摘しています。
たぶんこちらがオリジナルで、これで合意してしまっているはずです。
下線部分がなぜか日本版には欠落しています。よほど日本人には秘密にしたかったのでしょう。

七是加强媒体、智库交流合作,在双边关系中发挥积极作用,着力改善民意和舆论环境。支持双方开展新媒体交流合作,鼓励两国正能量网络创作者相互交流。
メディアやシンクタンク間の交流と協力を強化し、二国間関係において積極的な役割を果たし、世論や国民感情の環境改善に努めることです。双方が新しいメディア交流と協力を展開することを支援し、両国のポジティブなエネルギーを持つネットワーク創作者が相互に交流することを奨励します

これは政府が中国に対して「世論や国民感情の環境改善に努める」、すなわち親中的な発言を強化するという意味にとれます。
このようなことが、言論の自由が確立したわが国でできるものかどうかかんがえなくてもわかるはずです。
それとも岩屋氏は、政府による中国礼賛の言論統制や検閲を肯定したいのでしょうか。
かつての日中国交回復時には、それに近いメディアの「空気」が存在しましたが、またあれを繰り返したいようです。
だからあえて日本版から削除したのでしょう。

それも時をわきまえずに、中国を主敵とするトランプ就任1週間前ですからケンカを売ったも同然です。
仮にご両人がそうおもわなかったら、逆にその鈍さに感心するばかりです。
こんなゲル氏の訪米の「地ならし」をしてしまうと、たぶんトランプは貿易や安全保障で高いハードルを与えて来ることでしょう。

トランプがやらなくてもイーロン・マスクがやります。
いったん敵認定されてしまえば、いくらと同盟国だからといっても情け容赦なく叩きまくります。
カナダのトルドーはトランプとの対談で絶望し辞任に追い込まれましたし、同じ北米のメキシコも対中戦略を大きく転換することを余儀なくされました。

これは北米自由貿易協定(NAFTA)を抜け穴にして、中国がメキシコやカナダからEVを米国へ入れようと画策しているからです。
パナマやグリーンランドで、非常識に見えるようなことを言っているのも一緒です。
ここが米国にとって安全保障上きわめて重要な地域だから、牽制しているのです。

英労働党政権やドイツ社民党政権も、イーロンマスクの標的になっています。
次に標的にされるのはわが国だと心することです。

その前兆は、別記事にする予定ですが、日本製鉄のUSスチール買収計画についても露になっています。
ここにきてバイデンもトランプも買収阻止を言い出し、とうとう買収で日鉄よりはるかに低い額しか提示できなかった米鉄鋼2位のクリーブランド・クリフスが割り込んできました。
このクリーブランドクリフスのゴンカルベスCEOは、言うに事欠いて「日本は中国より悪だ」「1945年以来、学んでいない」など頭のネジが飛んだような発言をしています。
これでは40年前の1980年代の日米貿易摩擦時代の蒸し返しで、たぶんゴンカルベスはトランプの意を汲んでしゃべっています。

この危機感もなく、こともあろうにトランプ会談の前に訪中して、中国共産党と握手してくるなんて、想像絶する凡庸さです。 
なんか既視感があるなと思ったら、あ、そうそうムン・ジェインが似たことをしていましたっけね。

2025年1月16日 (木)

ユン大統領、出頭に応じる

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ユン大統領が自ら出頭に応じて青瓦台を後にしたようです。
たぶん無視されるでしょうから、ユン氏のステートメント全文を乗せておきます。

「韓国の ユン・ソンニョル大統領が、拘束に際して発表した国民向け談話の要旨は次の通り。
私を応援してくださったことに感謝する。
残念ながら、この国の法はすべて崩れた。
捜査権のない機関に令状が発付され、令状審査権のない裁判所が拘束令状と捜索令状を出したのを見て、また、捜査機関がうその公文書を発行して国民を欺く違法の違法の違法が行われ、無効な令状によって手続きを強圧的に進行するのを見て本当に嘆かざるを得ない。
私は今日、彼らが警護保安区域を消防装備を動員して侵入してくるのを見て流血事態を防ぐため、ひとまず不法捜査ではあるものの高位公職者犯罪捜査庁(公捜庁)への出席に応じることにした。
しかし、公捜庁の捜査を認めるわけではない。憲法と法体系を守らなければならない大統領として、違法で無効な手続きに応じるのは流血事態を防ぎたいとの一念からだ。
国民の皆さんがこれまで、特に青年たちが自由民主主義の大切さを本当に再認識するようになり、情熱を見せてくれたのを見て、今は法が崩れて暗い時期だが、未来は希望的だという考えを持つようになった。
国民の皆さん、どうかお元気で頑張ってください。
ありがとうございます」
(読売1月15日)
韓国大統領 拘束で談話「残念ながらこの国の法はすべて崩れた」「流血を防ぐため応じた」 : 読売新聞 

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読売

訣別の辞のように読めてしまいますが、ユン氏はもちろん今後も戦う気満々です。

「大統領権限を代行する崔相穆(チェ・サンモク)経済副首相兼企画財政相は「国家機関間の物理的衝突はいかなる理由であっても許されない」と表明していた」
(産経1月15日)
韓国・尹錫悦大統領の拘束令状を執行、捜査本部 現職大統領で初 「不法捜査だが出頭」 - 産経ニュース

戒厳令の判断は誤っていましたが、この国家機関同士の相討ちという最悪の事態を回避したことは賢明でした。
公捜処(高位公務員犯罪捜査)は実力で青瓦台に入ったようですが、これを見てユン氏側は流血を避けるために自ら出頭したようです。
この拘束の前後にも行き違いがあったようで、ユン氏側はその30分前から捜査に応じる旨を伝えていたようですが、公捜処は強引に実力で押し入ろうとしたようです。

「(ユン氏の弁護人の)ソク弁護士は「夜明けから公捜処と警察が大量に令状執行をすると管轄区内にまで押し入り、官邸の外で市民が怪我をしたという知らせも入ってきて、また警護処職員が大統領に対する令状執行を必ず防ぐという意志をハッキリ示しており、警護処と警察の間に物理的な衝突が生じる可能性も高くなってきたことなどで、大統領としてそのようなことを未然に防止するために、こうしなければならないという心情で決断したものだと説明した。続いて「公捜処と警察が先に官邸から撤収すれば、警護移動準備ができ次第、公捜処に出発する予定だ」とし「出席時間は状況整理や準備などがあるため、もう1、2時間がかかり、今日の午前中は公捜処に到着するようになるのではないかと思われる」と伝えた」
ソク・ドンヒョン「尹、今日は空輸事務所にいます。。」これは違法な逮捕の試みですが、避けられない決定です。

公捜処側は警備側が車両をバリケードに使うと見てレッカー車まで準備し、1000人が突入し、機動隊が3000人包囲したともいわれています。
おそらく警護室と銃撃戦になるとみていたはずです。

大統領側はここでそのような自体になれば、完全に無政府状態になると見て、名誉ある撤退を求めたようですが、結局15日午前10時33分に逮捕状が執行されました。

それにしてもどうして捜査側がここまで大事に演出したいのか理解に苦しみます。
大統領が出頭を拒否したとしても、公捜処側が青瓦台にしかるべき少数の取調官を派遣して効けばいいだけのことで、どうしても公衆の面前で手錠をガチャっとやりたかったとしか思えません。

以後、公捜処は与えられた20日間程度で取り調べをするようです。
大統領を逮捕してまでの案件でありながら、わずかの時間でのスピード捜査です。
想像できるように、これで満足な真実が明らかになるとは思えません。

ユン氏が声明でも述べているように公捜処には内乱罪を捜査する権限がありませんから、憲法裁判所の判断を待たねばなりません。
その結果がでるまでユン氏は「現職大統領」であり続けるわけです。

そもそもユン氏の弾劾理由である「内乱罪」を、弾劾した当事者の議会は取り下げています。

「【ソウル=仲川高志】韓国の憲法裁判所で3日に行われたユン・ソンニョル大統領の戒厳令宣布をめぐる弾劾審判の弁論準備手続きで、野党議員で構成する国会の訴追団が訴追事由から内乱罪を撤回し、戒厳令の違憲・違法性の審理に絞ると表明した。大統領や与党側は「弾劾訴追自体が誤りだ」と反発している。
内乱罪の撤回は、審理の迅速化を図りたい野党の思惑を反映した法廷戦術とみられる。内乱罪の立証には長時間を要するとみられる上、尹氏は、戒厳令宣布は正当な統治行為だったと反論に自信を見せている」
(読売1月4日)
韓国大統領弾劾巡り訴追団が内乱罪立証を撤回、審理迅速化図る…与党側「訴追自体が誤り」と反発 : 読売新聞

おいおい、議会多数派の共に民主党さん、ユン氏を弾劾した最大の理由は戒厳令が内乱罪に当たるということじゃなかったのですかね。
その弾劾理由からヘソの内乱罪を取り下げたら、お前閣議をおろそかにしていただろうという形式犯か、今は戒厳令出す状況じゃなかっただろうという状況判断の主観の問題だけになってしまいます。
ユン氏からすれば、その行き過ぎは認めたとしても「統治行為」で突っぱねることもできるわけです。

ユン氏は獄中の現職大統領として、逆に議会多数派を糾弾するでしょう。
ある意味で振り出しに戻ったとも言えるのです。

なお、ユン氏がこう言っている、ああ言っている、ゲロして積みを認めた、という様な情報がボチボチ出始めていますが、このような検察や警察のリークはアチラの国でも常識ですので、鵜吞みにしないようにしましょう。

 

2025年1月15日 (水)

ウクライナに投じられた北朝鮮兵士の悲哀

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私は北朝鮮軍の兵士に同情することはいままでまったくなかったのですか、今回に限って気の毒ではあるなぁと思います。
ウクライナに派兵されている北朝鮮兵士の実情がだんだん漏れ伝わってきました。
とうとう生き証人とでも言うべき捕虜が捕まり、画像が公開されています。
いままでその推定される損害に較べて確保される捕虜が少ないのが疑問でしたが、どうやら捕まるなら自殺しろと命じられていたようです。

「韓国の情報機関・国家情報院(国情院)は13日、ウクライナ軍との戦闘で戦死した北朝鮮兵士の所持品に、捕虜にならず自爆や自決をするよう北朝鮮当局が命じる内容が見つかったと説明した。国会の委員会に出席した議員が記者団に明らかにした。
北朝鮮の兵士は、ウクライナが越境攻撃をするロシア西部に派兵されている。国情院は最近の事例として、ウクライナ軍に捕らえられた北朝鮮兵が「(朝鮮労働党総書記の)金正恩将軍!」と叫んで手投げ弾を爆発させようとしたと説明した。この北朝鮮兵はその場でウクライナ兵に射殺されたという」
(毎日1月13日)
「金正恩将軍!」と叫び自爆図る ロシア派遣の北朝鮮兵 韓国説明(毎日新聞) - Yahoo!ニュース

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「恐怖に震え自信喪失」ロシア派兵部隊の動揺に北朝鮮当局も困惑(高英起) - エキスパート - Yahoo!ニュース

北朝鮮が昨年秋に、1万2000人規模の兵力をロシアに送り、彼らはクルスク州などでウクライナ軍との戦闘に加わったことは分かっていました。
断片的には彼らがすでに多くの犠牲を出していることは、ゼレンスキーの4日の演説で死傷者は派遣兵力の3分の1に及ぶという演説で知られていました。

「ウクライナ政府は、これまでに1万~1万2000人の北朝鮮兵がロシアに派遣されたとみている。国情院は、これまでに北朝鮮兵300人あまりが死亡し、約2700人が負傷したとの推計を説明した。
ウクライナのゼレンスキー大統領も10日に、北朝鮮の兵士の死傷者が4000人に上ったとの見方を示している」
(毎日前掲)

軍事常識では、確認できるだけで3割の兵士が死傷した場合、組織的戦闘の継続ができないとして「全滅」と判定されます。
このような部隊はできるだけ速やかに後方に撤退させて、損害を補充する必要がありますが、たぶんロシア軍はそのような措置をとらないでしょう。
ロシア軍はクルスク全域を奪還するために、「挽き肉作戦」と呼ばれる非人道的攻撃を繰り返しています。
これはろくな戦車などの支援なしに、損害を省みずにしゃにむに敵陣地の前に生身の体を投げ出す人海戦術ですが、わずかな数キロの土地と交換にして数万規模の損害を出しています。
こんな戦法をとるロシア軍にとって、北朝鮮部隊がすり潰されるのは計算済みのことにすぎません。

バフムト戦線で、ロシア軍がとった戦法が「ゾンビーアタック」です。
そのロシア軍は正規兵ではなくワグネルが担っていました。
ワグネルはプーチン直属の傭兵集団でしたが、アフリカやシリアの汚い戦争に投入され、残忍な爪痕を残してきました。
このウクライナ戦争にも投入され、ここでワグネルが命じられた戦術が、ゾンビーアタック、すなわち人海戦術です。
今どきこんな戦法をとるのは、世界ひろしといえどロシアくらいなもの。
本家の中国ですら一人っ子政策で青年層が薄くなっているのでもうできません。

映画『スターリングラード』をご覧になった方は、主人公がスターリングラードにいきなり連れてこられて体験するので覚えておられるかもしれません。

主人公らは、銃を渡されずに突撃させられ、前の兵士が死ぬとその銃を拾って戦えと命じられます。
機関銃で撃ちまくるドイツ軍になにも持たずに突撃しろというのですから、当然全滅になりますが、それでかまわないのです。
その分しか銃は用意されていないし、兵隊の生命など無価値だと考えているから、銃のような貴重な物資は二人に一丁で充分だと考えていたのです。
バフムトで大損害を被ったワグネルも同様だったようで、ブリゴジンは装備もなしに突撃させるのかと怒り狂い、とうとうキレて叛旗を翻しました。
ですから全滅するのは想定内、弾代わり人間を使うのです。

当然突撃部隊はほぼ全員が死にますが、わずかに生き残った者は命からがら自軍の前線に戻ろうとします。
しかしそこに待っているのは、味方の督戦隊の機関銃です。
戻ろうとした兵士は全員が「逃亡兵」として射殺されることになります。
これは今のロシア軍のなかにも残っています。

このような作戦に投入された北朝鮮兵士こそいい面の皮です。
彼らは21世紀の兵士ではなく、1950年代の朝鮮戦争から一歩も進化していない古生物のような兵隊たちなのです。

彼らに鉄砲一丁持たせて、短期の訓練だけでいきなりクルスクという激戦地に投入するのですからめちゃくちゃです。
北朝鮮指導部にまともな判断力があればこんな劣悪な条件は呑むべきではありませんでしたが、正恩がミサイル技術の餌に釣られて一番乗り気だったのですから絶望的です。

ウクライナの軍事専門家であるミハイロ・サムスはこのように述べています。

「また、ウクライナ軍との戦闘を続ける北朝鮮軍の兵士について、大量の無人機が投入され、電子戦の技術なども求められる現代の戦争には「慣れていない」としつつも「ロシアが戦い方を教え、彼らも訓練をしている。北朝鮮にとっては韓国との戦争に備える上で現代の戦場から教訓を得る機会となっている」と述べ北朝鮮は、今後も多くの兵士を派遣する可能性があると指摘しました」
(NHK1月4日)
北朝鮮兵 ロシア軍装備着用か ウクライナ情勢複雑化 ことしは | NHK | ウクライナ情勢 

たぶん北朝鮮の兵士は、無人機が徘徊し、ドローンが戦場を監視し、適時に攻撃を仕掛けてくるような戦場は考えてもいなかったはずです。
そもそも彼ら北の兵士は石油不足のために、戦車や歩兵戦闘車との共同作戦をした訓練をしてきませんでした。
ですから、ロシアとしては人海戦術ですり潰すしか使い道がないと思ったのでしょう。
かつて、この人身御供にはブリゴージンのワグネル傭兵部隊が使われていましたが、彼らなき後、その代用に北兵士を使っているのです。

そんな前線で戦う兵士の士気は崩壊状態のようです。
下の写真はウクライナ軍ドローンが撮影した、ドローンに追い回されて恐怖に怯える北朝鮮兵士です。

デイリーNKは、兵士たちの現状をこのように伝えています。

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過去1週間で #北朝鮮兵 1000人死傷 米高官「 #人海戦術 」と批判 #ロシア #ウクライナ #毎日新聞 #tiktokでニュース | 北朝鮮 スマホ | TikTok

「ロシアに派遣した兵士たちが死への恐怖でひどく萎縮しており、文化など様々な面でも適応できず、思想的にも変化する兆候があるという文書が先月下旬から伝えられており、(北朝鮮当局の)悩みの種になっている」
この文書によると、思想に問題なく、肉体も鍛え上げられた兵士たちだが、実戦の中で精神的に激しく動揺しているという。
北朝鮮当局は、ロシアに派遣された軍事部門イルクン(幹部)からの報告で、兵士たちが未来への確信を持てず、死に対する恐怖とショックに陥っている状況であることを認識しているとのことだ。
兵士たちはまた、外の世界を一度も経験したことがなく、ロシア軍と共同作戦を行う過程で過度に萎縮してしまっているようだ。初めて接するロシア人など外国人を不思議がったり、過大評価したりしている。
海外からの情報流入を過度に統制してきた体制の在り方が、弱点として作用しているということだ」
(高英起) - エキスパート - Yahoo!ニュース

そもそも北の兵士ほど真空状態で育成された軍人は世界に存在しません。
北朝鮮国内でも、兵舎は市民生活から切り離され、もちろんSNSなど影も形もなく、あるのは貧弱な食事と過酷な訓練だけ。
人的物的リソースは全部弾道ミサイルと核開発に注いでいますから、兵隊は数だけ揃えていれば満足しているという愚かな姿です。
こんな軍隊に名前だけは「暴風軍団」と空威張りな名前を与えて、ロシアに供与したのですから、結果は初めから見えていました。
これは一種の飢餓輸出で、彼らを送った見返りで、ロシアからミサイルや核兵器技術を譲渡される約束をしたからです。

さらに北の兵士たちを待っていたのは、ロシア軍の差別だったようです。

「現地からの報告によると、北朝鮮の兵士に会ったロシア軍兵士の中には『根本的に人として扱う価値がない』と言い放つものすらいたという」(情報筋)
その原因として挙げられたのが言葉と文化の壁だ。ロシア軍内部でも、北朝鮮の兵士に対する不満が高まっており、ロシアとの軍事協力に悪影響を及ぼしかねないとの内容も、報告書に含まれているとのことだ。
「戦死者、負傷者が増えるにつれ、兵士たちがさらに恐怖に震え、精神的に苦しんでいる。(言葉、文化への)適応問題が壁となり落胆しており、いつでも党と国家を裏切り、事をしでかすかもわからないという懸念が取り沙汰されている」(情報筋)」
(高英起) - エキスパート - Yahoo!ニュース

ここまで追い詰めると、これらの北兵士には後は暴発か、脱北しか残されていません。

 

2025年1月14日 (火)

LAの大火災とリベラル政治が残したもの

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今、ロスアンジェルスの山林から始まった大火災が手がつけられません。
このあたりは先住民だった頃から山火事が多い地域で、乾燥していると自然発火する場合があります。

(CNN) 米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊で発生した山火事による死者が少なくとも16人となった。四つの山火事が依然として燃え続けるなか、消火活動の妨げとなる恐れのある強風が予想され、当局は鎮火に向けて取り組みを進めている。
数万人が依然として避難指示の対象となる一方、自宅に戻ったものの全てを失い、再建への長い道のりに直面している人もいる。
郡内4カ所の火災のうち、沿岸部の高級住宅地パシフィック・パリセーズの「パリセーズ火災」は焼失面積が約9600ヘクタールで、鎮火率は11%にとどまっている。
風はいったんやんだ後、朝から再び強まる見通し。警報によれば、乾燥した植生と組み合わさることで、風が新たな火災あるいは既存の火災の素早い拡大や不安定な動きを促す可能性がある」
(CNN1月13日)
米ロス山火事、死者16人に 依然として数万人に避難指示 - CNN.co.jp

衛星写真を見るとその被害状況がわかります。

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「(CNN) 米カリフォルニア州ロサンゼルス郡では各地で猛威をふるう火災により甚大な被害が発生し、これまでに少なくとも10人が死亡した。複数の住宅地が丸ごと破壊され、1万棟の建物が焼失。破壊の様子を上空から捉えた人工衛星画像には、住宅地全体が瓦礫(がれき)と化した様子が写っている」
(CNN1月11日)
米ロス山火事、発生前後の衛星写真を比較 被害まざまざ - CNN.co.jp

隣国のカナダとメキシコは12日までに消防隊の派遣を相次いで発表し、ゼレンスキー大統領すら「ウクライナは米国民の人命救助を支援できる」として、消防隊の派遣準備を進めているそうです。

原因は追々明らかにされていくでしょうが、その大きなひとつに消防に対する1760万ドルもの大規模な予算削減が響いているという士気がされています。

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ロスで発生した大規模な山火事に冷たいトランプ、視察要請にも応えず 宿敵ニューサム知事潰しか、山火事は天災ではなく人災と批判(1/3) | JBpress (ジェイビープレス)

「バス市長を巡っては、火災発生時にガーナの大統領就任式に出席するため国外におり、不在だったことが物議を醸している。加えて、火災発生後に2024-25年度の市の消防局の予算を1760万ドル削減したことが発覚。消火活動中の消防隊員からも消火栓の水が枯渇していると悲鳴が上がっていることが報じられている。現在も3カ所で大規模な火災が続き、7万人が避難を余技なくされているが、鎮火率は0%で今後も被害の拡大は免れず、市の歴史上最悪の山火事となっている。
(日刊スポーツ1月10日)
山火事でロス市長にセレブから非難の嵐「消火栓は空」「交通誘導する警察官が1人もいない」(日刊スポーツ) - Yahoo!ニュース

全滅したパシフィック・パリセイズ地区では消火活動自体ができませんでした。
理由は消火栓から水が出ないからで、その水源であるサンタイネス貯水池は火災が発生した時にはカラッポでした。
現時点ではこの貯水池と消防栓ラインとの関係は分かっていませんが、この貯水湖はすでに2年前から機能しておらず、ロスアンジェルスの公共インフラが崩壊しているかがよくわかります。

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FOX はロス市をこのように批判しています。

「ロサンゼルス市当局は、州史上最も破壊的な山火事の1つに先立ち、消防署から数百万ドルの資金を剥奪していましたが、「ゲイ・メンズ・コーラス」やトランスジェンダーのホームレスのための住宅などのプログラムに数十万ドルが割り当てられました。
今週、南カリフォルニア全域で致命的な火災が発生し、猛烈な風によって増幅され、約10,000軒の家屋や企業が破壊されました。消火栓が水を出さず、家屋が全焼した後、住民は民主党主導の州内指導部に声をかけ始め、ロサンゼルス消防局(LAFD)の資金をわずか数ヶ月前に1760万ドル削減した。
しかし、同省の予算が引き下げられる中でも、Fox News Digitalがロサンゼルス郡の予算を見直したところ、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンのイニシアチブやホームレスに注射器を提供するプログラムに数千ドルの納税者が割り当てられていたことが明らかになりました」
(FOX2025年1月10日)
ロサンゼルス郡は、消防予算を削減しながら、目覚めたプログラムに多額の費用を費やしました |フォックスニュース

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ロサンゼルス市長のカレン・バスとカリフォルニア州知事のギャビン・ニューサム

バスとニューサムは二人共に民主党で、ニューサムは次の民主党の大統領候補を目指している人物です。
彼らのがLGBTやなどにいれあげて、公共インフラの保全を省みず、しかも消防の予算をバサバサ切ったことがこの大火を食い止められない原因だと共和党は批判しています。
この批判が的をえているかどうかは、もう少し検証の時間が必要ですが、たしかに民主党のリベラル政治がなにを残したのかを問う時期に入ったことはたしかです。

リベラル内部の反省も少しずつ出ています。
CNNの人気1位のキャスターであるファリード・ザカリアは、反トランプの旗手でしたが、最近になってこのようなことを述べています。

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CNNで不動の人気「ファリード・ザカリアGPS」特別番組を3夜連続放送 | 株式会社日本ケーブルテレビジョンのプレスリリース

「 同氏は長年のリベラル派の論客としてトランプ前大統領の保守的な政策を手厳しく批判してきた。だが最近では米国民の多数派の保守志向を意識したのか、嫌悪の感情だけでトランプ氏をたたく風潮である「反トランプ錯乱症」(TDS)の欠陥をも認めていた。
 ザカリア氏は今回の論評で、米国民の多くが「進歩的とされる政治家たちに重税や過剰な規制を課され、脅かされる」ことへの不満を高めたと述べ、その結果がトランプ氏の圧勝をもたらした、と論じた。その変化の具体例として、ザカリア氏は民主党のニューヨーク州と共和党のフロリダ州の統治を比較し、住民の税負担、治安、インフラ、教育、不法入国者の扱いなどで後者がはるかに円滑かつ効率的だと強調していた」
(産経1月13日)
米リベラル派も自らの挫折と危機を認め始めた 本紙ワシントン駐在客員特派員・古森義久 - 産経ニュース

やっと認めたのか、というところです。
バイデン政権下、民主統計首長がバカをしまくりました。
ワシントンD.C市長のバウザーは民主党左派ですが、BLMに連帯してペンシルバニア通りを「ブラック・ライブズ・マター・ストリート」(黒人の命は大切通り)とすると発表し、道路のデカイ字でペイントまでしてしまったようです。

Black-lives-matter
西日本新聞

また同時期には、ワシントン州シアトルのキャピトルヒルで過激派が武装して警察署などを占拠し「解放区」を作ってしまいました。
彼らは独立宣言を発して、連邦政府にこのような「要求」をだしています。
それはこのようなものです。

・シアトル警察と裁判所の廃止。退役警察官に払われる年金の停止を含む。
・青年刑務所の廃止。
・警察が抗議者に対して行った行為の謝罪と賠償
・マリファナ関連の犯罪で服役している囚人の釈放
・囚人に投票権
・シアトルの病院では黒人医師と看護師を採用する
・黒人とネイティブアメリカンの歴史の教育カリキュラムで大きく扱う。

まぁ要するに、警察や裁判所をなくしてて無政府状態にして、大麻を解禁し黒人の雇用を大幅に増やせということのようです。
それに対しての民主党系のダンカン・シアトル市長は、連邦政府の州兵派遣要請を拒絶し、これを「愛の夏」と評して連帯しています。

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抗議活動阻止のための軍派遣は「違憲」=米シアトル市長 | Reuters

「[シアトル 11日 ロイター] - 米ワシントン州シアトルのジェニー・ダーカン市長(民主党)は11日の会見で、同市内の抗議デモ排除に向けてトランプ大統領が軍を派遣することは、違憲かつ違法だとの見方を示した。
米ミネソタ州で5月、黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官による暴行で死亡した事件を契機に人種差別に抗議するデモが広がりを見せ、シアトル市内では約500人のデモ隊が議会周辺にバリケードを築き「自治区」を設置したと主張している。
トランプ大統領はFOXニュースで「大都市の主要部が占拠されるような事態を許してはならない」と述べ、必要があれば介入するとの強硬姿勢を示した。また、州知事に対し州兵の動員も考慮するよう示唆した。
これに対し、ダーカン市長は「シアトルが占拠されるという差し迫った脅威はない」とし、「シアトルに軍を差し向けることは違憲かつ違法だ」と反対した」
(ロイター2020年6月12日)

このようなことは民主党系首長がいる地域のどこにでもあったことです。
そしてこの過剰なBLMやLGBTに多額の地方行政の税金を投入、警察や消防や公共インフラの予算を切りまくった結果、治安は乱れ、公共インフラは崩壊の危機にさらされたのです。
多くの国民が、リベラルはキレイゴトを言うだけで我々の生活を守らないと思い、カマラを忌避したのは当然のことです。

 

2025年1月13日 (月)

プーチンを和平会談に引きずり出すには

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ウクライナ戦争の終わらせ方について考えています。
もちろんウクライナの全面勝利で終わり、ロシア軍が自国に戻るのがいちばんいいわけですが、残念ながらその可能性は限りなくゼロです。
ただしロシアが全面勝利する可能性もまたゼロです。

プーチンが夢想したのは、ウクライナを「同民族」と見立ててこれを大ロシアとして合邦することでした。
そしてこれを足掛かりにして旧ロシア帝国の勢力圏を復活させることを構想しました。
今思えば、お笑いですが、この独裁者は真剣にそれが可能だと考えていたのです。
なにひとつ政治的懸案もなく、紛争もないベタ凪状態であったとしても、ひとりの狂人が支配する専制主義国家においては、侵略戦争を起こすことが可能なことを教えてしまいました。

戦争の経過をおおざっぱに見ておきます。
当初ロシアはウクライナ全土の占領を企み、心臓部のキーウを電撃的に占領し、ゼレンスキーを倒して傀儡政権を打ち立てようとして手痛いウクライナ軍の反撃に合い、初手でつまづきました。
そこで侵攻計画を変更して、キーウ攻略に用意していた部隊を東部や南部に転用しました。

その目的は、ウクライナを海から切り離し内陸国に封じ込めることです。
ハルキウを含むドニプロ川東部、ザポリージャ州、ヘルソン州、オデーサを含む南部領域に攻勢をかけまし、これはオデーサを除いておおむね成功しています。

2024年5月から同年12月の間、ロシア軍は占領している北部・東部から占領地を拡大しようとしましたが、この間の24年10月にウクライナ軍にクルスク州に侵攻されるという逆襲にあっています。
一方ウクライナ軍は南部で分断攻撃をしかけましたが、残念ながら失敗しました。

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JBpress (ジェイビープレス)

「ロシア軍は、ウクライナのルハンシク州、ドネツク州、ザポリージャ州で攻勢し、主力はドネツク州全域を占領するように主に2つの方向から攻撃するという構想を立案し、実行している。
この攻撃は、ドニプロ川の線まで突進するものではなく、ドネツク州の境界線までを占拠する程度の攻撃衝力でしかない。
この間、ロシアはウクライナ軍にロシア国境での配備の弱点を突かれクルスク州に進攻された。
そして、ロシア軍はこのクルスク州の奪還を目指しているが、3か月が経過しているものの奪還できてはいない」
ウクライナ戦争は戦争末期へ、ロシア軍の肉弾戦がいよいよ限界に 当初の最小損失・最大戦果が、今や最大損失・最小戦果へと激変(1/7) | JBpress (ジェイビープレス)

現在、ロシア軍はクルスクからウクライナ軍を追い出そうと、肉弾攻撃をくりかえしていますが、1か月間で3.5万~4.7万人といわれる膨大な死傷者を出しています。
ウクライナ軍はクルスク戦線を天王山と心得ていますから、そうそう簡単に奪還されることはなく、プーチンはクルスクが奪還されるまで和平提案には乗れないことになります。
だってそりゃそうでしょう。現時点で「武器を置く」ならば、クルスク州のかなりの部分はウクライナの実効支配に置かれてしまい続けるからで、プーチンのメンツは丸つぶれです。

「現段階では、ロシアという巨大な国家が、最も小さい軍事目標達成(クルスク奪還)のために多大な損失を出している。この努力は無意味である。
現在の戦争を継続すると、ロシア国内の痛みはますます大きくなっていく。
そして、戦争継続の意味は薄まり、ロシア政権内部に不満が高まることになる」
(西村前掲)

そしてそれを心得ているウクライナは、攻撃の無人機や巡航ミサイルの攻撃の矛先をロシア国内の石油関連インフラや軍事産業施設に移しています。
これは軍事目標と違って即効性はありませんが、ボディブローのように経済活動と国民生活の暖房や電気といった冬を迎えた国民生活に大きな影響を出しています。
プーチンが一番望むのは、西側からかけられた経済・金融制裁の解除ですが、これも戦争を続ける限り終わることはありません。
いやそれどころか、ロシアが勝利などしようものなら、いっそう制裁は強化され半永久的なものになるはずです。

プーチンが和平提案に乗るには、ロシア軍が重大な局面の戦闘で完全敗北を喫し、これ以上ウクライナ領土を侵略する力がないという自覚が生まれる必要があります。
具体的には、クルスクという自国領を完全奪還する見込みがないこと、そして今の占領地を温存するので精一杯であることということをプーチンに認識させねばなりません。
クルスクは今連日激しい戦いが繰り広げられており、ロシアはわずかな数キロの土地を得るために人海戦術を採用し、いたずらに膨大な犠牲を積み上げています。

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JBpress (ジェイビープレス)

このクルスク戦線の膠着状況があと数カ月間続くなら、ロシアは疲弊し尽くします。
外人部隊や囚人までといったありとあらゆる人的リソースをぶちこみ、戦後最大の死傷者を出して、なお止むかどうなのか。
たぶんプーチンはここで一撃をかまして敵に重大な損失を与えて、国民を納得させて有利な条件で講和に持ち込むことを考えているのかもしれません。

これがかつての大戦末期の日本にも登場した「一撃講和論」です。
一種の精神錯乱ですから、まともな判断ができなくなっています。

ならば、プーチンに思う存分、国が傾くほど疲弊していただいたらいいのです。
したがってやるべきは、ウクライナ支援の引き剥がしではなく、逆に徹底的なウクライナに対する支援です。

そしてクルスクからのウクライナ軍の撤退と引き換えに、ウクライナの未来に渡る平和の担保を要求すべきです。
すなわちそれがNATO加盟です。
ここまで犠牲となったウクライナ国民を納得させることができることは、これ以外ありません。

オバマ時代駐露大使をしていたマイケル・マクフォールはこう述べています。

「プーチンをなだめることで平和は生まれない。NATO加盟を伴う安全保障と引き換えにウクライナに名目上、領土の一部をロシアに移譲するという妥協だけが恒久的な平和を生み出すだろう。
戦闘で殺された同胞のために戦っているウクライナ兵の多くに武器を手放させるのは非常に難しい。ゼレンスキーとウクライナ国民は、NATO加盟という対価が得られない限り、そのような犠牲を払うことはないだろう。
これは、ウクライナ国民に戦闘をやめるよう説得するためにトランプが使える唯一の切り札だ。ウクライナのNATO加盟は、ロシアとウクライナの国境に恒久的な平和を維持する唯一の方法である」
【ウクライナ戦争終結へ私たちが知っておくべきこと】プーチンとゼレンスキーは痛みを受け入れることができるのか  Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン) 

トランプが選挙戦で言っていたようなウクライナ支援の削減をした場合、プーチンは戦争をやめる理由がなくなり、最低でもクルスクからのウクライナ軍撤退まで戦争を継続しようとするでしょう。
あるいは最悪、かつてのように再び南部、東部占領地からの進撃すらありえますし、そうなった場合ウクライナは徹底的に戦うしか選択肢はなくなります。
これはマクフォールがいう、「プーチンをなだめること」に他ならない下策の極みです。
そもそもこれではゼレンスキーのほうが、和平交渉に乗れないではありませんか。

ある意味で、最大のネックはマクウォールが言うようにトランプがウクライナのNATO加盟に賛成しない可能性が高いことです。

「この和平案のメリットをトランプに納得させるのは容易ではないだろう。しかし、ウクライナをNATOに加盟させることで、トランプは外交政策の優先事項の一つである負担分担において大きな勝利を収めることができる。
NATOに加盟すれば、ウクライナ軍は同盟国の中で最も経験豊富な欧州軍となる。ロシアと国境を接する他のNATO同盟国に、ウクライナ軍が習得した空、海、陸のドローンを供給することもできる。
トランプは、ウクライナのNATO加盟により米国は欧州での防衛費を削減し、アジア太平洋地域で拡大する中国の影響力を抑えるための資源を解放できると米国民に説明できる。トランプがこの和解の仲介に成功すれば、彼が切望するノーベル平和賞の候補になるかもしれない」
(岡崎研究前掲)

トランプはディールを好きなくせに、妙に頭が堅いところがあるので相当に難しいかもしれません。
つまり、トランプ、NATO、そして当事者のロシア、ウクライナといった4者が合意しないと和平会談さえ始まらないのです。
戦争は始めるのは簡単ですが、終わりにさせるのはかくも大変なのです。

 

2025年1月12日 (日)

日曜写真館 湖の枯蓮風に賑かに

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元日の一湖を拓く鴨の陣 原裕

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湖に影のつきくる冬旱 原裕

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湖の高波風に初燕 石井保

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こころにも寄する波あり冬かもめ 伊藤道子

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湖や枯葦に降る白き雪/裕

 

2025年1月11日 (土)

ロシア軍、ウクライナ軍、共に疲労困憊

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トランプはウクライナ戦争を終わりにする気でいます。
それも100日間という短期に和平にまで持っていこうとしています。
ただし半年という言い方もしていますので、就任してみないと決定的なことは見えません。

「米国のトランプ次期政権でウクライナ・ロシア問題の特別代表に指名されているキース・ケロッグ氏は、ロシア・ウクライナ戦争の終結に関する合意はトランプ政権発足後100日以内に達成する可能性を示した。
また同氏は、「私は、人々が理解すべきことは、彼はプーチンないしロシア人に何かを与えようとしているわけではないということだ。彼は本当にウクライナを救い、同国の主権を維持しようとしているし、それが公正だと確信しようとしている」と発言した。

同時に同氏は、トランプ氏の代わりに話すようなことはしたくないとし、「なぜなら、彼は自分のことは自分で話すからだ」と述べた。
また同氏は、バイデン米大統領の最大の過ちは、全面戦争の間一度もプーチン氏との協議を行わなかったことだと指摘した。同氏はその際、「(トランプ次期)大統領は本当に対立者とも同盟者とも話すし、それが容易でないことを知っている」と述べた。そして、同氏は、それは「最終的な結果を達成する上で」不可欠であり、それは「彼(トランプ氏)が行おうとしていることだ」とも発言した」
(ウクライナフォーラム2025年1月9日)
トランプ米次期政権ウクライナ・ロシア担当、露宇戦争の和平合意が100日以内に達成されることを期待  

このケロッグの言い方を見ると、トランプはロシアとディールする気満々です。
というか、トランプはすでに目ぼしいことについてゼレンスキーとの詰めは終わっているようで、ある意味プーチンの出方次第のようです。

長引く戦争に、侵略国のロシア、被侵略国のウウクライナ、双方ともに軍事的には限界に近づいています。
ウクライナは脱走兵がとまらずに、軍の要請で脱走に関する法を強化しました。

「【1月26日 AFP】ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は25日、兵士の命令拒否や脱走の罰則を強化する法案に署名した。
ウクライナ議会のウェブサイトに公開された改正法によると、司令官に対する脅し、戦場からの逃亡、飲酒なども対象とされている。有罪とされた場合、裁判所が減刑したり、執行猶予を与えたりするのも禁止される。
脱走した場合には12年以下、命令拒否や戦闘拒否の場合は10年以下、上官に対する脅迫は7年以下の禁錮刑がそれぞれ科される可能性がある」
(AFP2023年1月26日)
ウクライナ、兵士の命令拒否や脱走の罰則強化 写真5枚 国際ニュース:AFPBB News

たとえばウクライナ軍第155機械化旅団は、西側の支援を受けている精鋭部隊だったはずですが、訓練先のフランスに2000人派遣されたうち50名が脱走してしまいました。
この部隊は5800人規模でしたが、去年3月から11月までの間で1700人が脱走したということです。
軍全体では10万人規模の脱走が起きていると見られています。

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JBpress (ジェイビープレス)

「ロシアによるウクライナ侵略で、欧米メディアが最近、ウクライナ軍で兵士の脱走問題が深刻化し、戦局の悪化を加速させていると相次いで報じた。ウクライナ軍では30万~35万人が戦闘任務に就いていると推計されてきたが、少なくとも数万人規模の脱走が起きているという。同国のゼレンスキー大統領は11月末、脱走兵の帰還を促す法律に署名したが、効果がどの程度出るかは不透明だ」
(産経2024年12月3日)
ウクライナ軍、脱走兵が深刻化 数万~20万人試算も 戦局悪化など要因、苦戦を加速 - 産経ニュース

なんともいえない気分になりますが、これほどまでに戦争が長引くとこれまでただの市民であった兵士たちに厭戦気分が拡がるのはやむを得ないのかもしれません。
これは今のウクライナの置かれた状況をよく物語っています。

国家としてのウクライナ経済は西側支援でやっと保たれている状況です。

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JBpress (ジェイビープレス)

対外債務は戦争の22年ですでに52.4%と激増しています。

「財政赤字の急増を受けて、2022年のウクライナ政府の債務残高は4兆728億フリヴニャ(約14兆7000億円)と前年から52.4%増加した。とりわけ目立つのが、対外債務の急増だ。
国際通貨基金(IMF)や国際復興開発銀行(IBRD)といった国際金融機関による金融支援や米国と欧州連合(EU)による支援が、こうした対外債務の急増につながった」
戦時下で急増する財政赤字、ウクライナの戦時財政はどこまで持続可能か 疲弊したウクライナに債務の返済は非現実的、債務再編に応じる覚悟はあるか(1/5) | JBpress (ジェイビープレス)

注意せねばならないのは、これらの外国からの支援はすべて返済を前提とすることです。
今のウクライナの軍事支出は国債に頼っていますが、国債はわが国とは違い外国人が引き受けています。
仮に戦争が終わっても、国中の破壊された道路や橋、発電所やダムなどのエネルギーインフラを復興させねばなりませんから、また外国からの巨額の借り入れが生じます。

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JBpress (ジェイビープレス)

今のウクライナ経済は典型的な戦時経済と化しており、高いインフレが国民を苦しめています。

「すでにウクライナでは、戦争の長期化に伴って供給力の低下を主因とするインフレが蔓延しているが、中銀の財政ファイナンスはそれを貨幣面から促していると考えられる。
通貨の暴落も懸念されるところで、中銀は2022年7月に為替レートを1米ドル36.5686フリヴニャに切り下げたが、いつまで維持できるか分からない」
(JBプレス前掲)

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露軍は疲弊しつつもウクライナ軍の数倍規模の砲撃を続けており、この火力の格差がウクライナ兵士の勝利への希望を打ち砕いています。
部隊の士気は衰え、勝手に前線の持ち場を離れたり、海外派遣や治療休暇の取得後そのまま脱走してしまう者が数万単位ででています。
また、このような脱走兵が急増したために正常な部隊ローテーションがなされず、数年に渡って戦場に縛りつけられている兵士がが珍しくなくなっています。
このような悪循環がウクライナの継戦能力を奪っています。

一方、ロシア軍はもまた悲惨で、2024年だけで43万人が戦死傷し、3000両の戦車を失ったようです。
ウクライナ国防省は2022年2月の開戦から2024年12月31日時点までのロシア軍の人的損失を79万人と報告しています。
わが国の自衛隊が22万7千人ですから、自衛隊全体の3倍以上の戦死傷者を出したということになります。
ロシアの人口はわが国と大きな違いはなく1億4千万人ですから、推して知るべしです。

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ロシアの戦死者が7万人超す、約2割は義勇兵 BBCなどの調査で明らかに - BBCニュース

「ロシア軍は2024年、侵略を続けるウクライナで新たに国土の0.69%に当たる面積を奪い取ることに成功した。しかし、その代償として約43万人の兵士と3000両の戦車、9000両の歩兵戦闘車を失ったと報告されている。
ワシントンに拠点を置くシンクタンク「戦争研究研究所(ISW)」が衛星画像と位置情報付きビデオ映像に基づいて行った評価によれば、ロシア軍は2024年、ウクライナ東部ドネツク州で徐々に、そして、着実に進軍を続け、4,168平方キロメートルの畑と廃村を新たにウクライナから奪い取ることに成功した。これはウクライナ国土の0.69%に相当、日本でいうと石川県や徳島県の面積に匹敵する」
(ミリレポ2025年1月6日)
ロシア軍は2024年に43万人の兵士と3000両以上の戦車を失った│ミリレポ|ミリタリー関係の総合メディア

一県ていどの面積を奪うために費やした生贄が43万、開戦から79万とは、唖然とする愚かさです。
人的損害が急増しているのは、プーチンが戦勝を急いで裸突撃に等しいような無謀な攻撃を強いているからです。

「ロシア軍は2024年9月から10月にかけて、ウクライナ領及び、ウクライナが制圧したロシア領クルスクの領土約1500平方キロメートルの制圧に成功。2か月間における制圧面積としては過去最大となったが、犠牲を顧みない攻撃で死傷者が急増。死傷者は1日平均1000人を超え、11月には平均が1500人を超えた。11月28日は2030人、12月19日は2200人と過去最高を記録。11月と12月の死傷者はそれぞれ、4万5720人と4万8670人だった」
(ミリレポ前掲)

この死傷者数はすでに1万4453人が死亡し、5万7537人が負傷したアフガン戦争を上回っています。
兵器の損失も驚くほど膨大で、ウクライナ軍参謀本部の報告によると、2024年1月1日から2025年1月1日の間に、ロシア軍は戦車3689両、歩兵戦闘車8956両、砲システム13050門、防空システム407基を失ったとしています。

また、ロシア海軍は艦船5隻と小型船舶458隻を破壊され、フィンランドとノルウェイのNATO加盟によってバルト海が事実上塞がれ、黒海艦隊は黒海の支配権を失い、シリアのアサド政権の崩壊によって地中海とアフリカへの海の出口を喪失しました。
残るは日本に面した太平洋ルートしかありません。
ロシアの残された艦隊である太平洋艦隊は、中国と連動して日本付近でうるさく活動することでしょう。

ロシアは戦時経済をとって、国の人的物的リソースを全部軍事につぎ込んでいます。
軍事物資の生産を急ピッチで進めていますが、戦車の損害が3千両とあまりに大きいために、年間の最大300両ていどの生産数ではまったく焼け石に水です。
ロシア人が「戦場の女神」と崇拝する大砲の弾も不足しており、北朝鮮から支援を受ける有り様です。

ただし、かつては世界第2位を謳った軍事力の背景にあった軍事関連の物資は、旧式であることを問わねばまだ健在です。
新型はほとんど戦線に出されており、それでも昨年12月時点で戦車が約47%、歩兵戦闘車が52%、装甲兵員輸送車が45%残っていると言われています。
ただしこれも状態や年式は不明で、おそらくひどい状態でしょう。

プーチンはクルスクを奪い返す作戦に全軍事的リソースを注いでいます。
それはまさに常軌を逸した攻撃で、たしかに一定の地域を奪い返したものの、わずか一カ月で3万5千から5万という甚大な損失を招いています。
その理由は、堅固に構築されたウクライナ軍陣地に、「肉挽き作戦」と呼ばれるような人海作戦をくりかえしているからです。
北朝鮮からの部隊はこれでその大半を失っています。

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ウクライナ戦争は戦争末期へ、ロシア軍の肉弾戦がいよいよ限界に 当初の最小損失・最大戦果が、今や最大損失・最小戦果へと激変(1/7) | JBpress (ジェイビープレス)

このままこのような戦い方を実施していくと、さすがの全体主義国家ですらたえられない損害が積み上がっていくでしょう。
しかしロシアはまだ継戦能力が残っていると考えていますから、クルスクからウクライナ軍を駆逐しない限り、和平交渉に応じることはないはずです。
ウクライナは国力を出し切りつつつつあり、西側の支援と最後の根性で持ちこたえている状況です。
冷厳に言って、ウクライナは国力が枯渇しきらないうちに交渉に持ち込むのが得策でしょう。
問題は奪われた4州ですが、主権がウクライナに属することが明確になれば応じようがあります。

いずれにしてもウクライナ戦争は終盤に差しかかっています。
トランプが時の氏神となれるかどうか、ここ数カ月が焦点です。

2025年1月10日 (金)

左翼リベラルの世界的崩壊現象始まる

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つまるところ、これは世界の流れなのだとおもいます。
トランプ第2次政権が成立し、10年という長期リベラル政権を続けてきたカナダのトルドー政権が崩壊しました。
ドイツでも社民党政権が崩壊し選挙を迎える中、隣国のオーストリアもファーライトといわれている自由党が政権につきそうな勢いです。
イタリアは既に右派政権のメローニが握っており、フランスの中道政権は崩壊一歩手前です。
つまり労働党の英国と石破氏を選んでしまったわが国を除き、G7各国は雪崩をうつように右傾化しているわけです。

「カナダのジャスティン・トルドー首相(53)が6日、与党・自由党の党首と首相の職を辞任すると表明した。9年間にわたって国を率いてきたが、退陣を求める声が与党内で大きくなっていた。
トルドー氏は記者会見で、「党がしっかりした全国的な競争手続きを通じて次の党首を決めたのち、党首として、首相として、辞任する」と表明した。
「この国は次の選挙で真の選択が必要だ。私が党内抗争を戦わざるを得ない事態になっているなら、それはつまり、私が最良の選択肢ではないということなのだろう。そのことが、はっきりした」と説明した。
トルドー氏は国内で不人気で、10月20日までに実施される連邦選挙を控えた自由党にとって足かせになっていた」
(BBC1月7日)
カナダのトルドー首相、辞任の意向表明 「党内抗争」理由に9年間の政権に幕 - BBCニュース

ジャスティン・トルドーは、ひとことで評するなら「真逆のトランプ」「カマラ・ハリスの男版」です。
絵に描いたようなリベラルで、2015年、カナダ史上2番目の若さとなる43歳で首相に就任するやいなや、矢継ぎ早に気候変動や人種や性的マイノリティーの権利保護、などといった政策を打ち出します。
最初の組閣では先住民や身体障害者などを起用し、閣僚ポストの男女同数を実現しました。

能力と実績で入閣させるのはかまいませんが、彼の場合、その民族的出自、性別で任命したようです。
いわゆる「多様性」を至高の価値とみたてたリベラルらしい組閣です。

大喜びで拍手するハフィントンポストはこう書いています。

「世界中で右傾化が進む中、10年ぶりに保守党からの政権交代となったカナダでは、中道左派政党である若き自由党党首ジャスティン・トルドー首相(43)によって変革が進められている。
総選挙後の勝利宣言演説のなかで「真の変化をもたらす」と約束した通り、11月4日に発表された新閣僚は、首相を除く30人が男女半数ずつ、年齢もバランス良く入閣。さらに、障害を持つケント・ヘ氏、先住民の血を引くジョディ・ウィルソン・レイブルド氏、アフガニスタンから難民としてカナダに移住したマリアム・モンセフ氏(30)など様々なバックグラウンドを持つ議員が入閣した」
(ハフィントンポスト2015年12月20日)
変化するカナダ、先住民族迫害を正式に認め調査開始へ | ハフポスト NEWS

2018年には大麻の所持や使用をG7で初めて国家として合法化し、30万人のウクライナ難民を受け入れると表明しました。
そして気候変動対策を最優先課題に掲げ、いち早く炭素税(カーボンプライシング)を導入しました。
これはEUの脱炭素のための「Fit for 55」と名付けられた一連の施策に先んじたものです。
EUは2030年までに排出レベルを1990年の水準から55%下げることを目的としています。

●EUの「Fit for 55」の主要な提案
・自動車の排出量制限を強化する。これにより、2035年までにガソリン・ディーゼル車の新車販売は実質的に禁止される見込み
・航空燃料に課税するとともに、低炭素の代替燃料を使用した場合には10年間の免税措置を実施
・EU域外からの鉄鋼やコンクリートなどの輸入について、いわゆる「国境炭素税」の導入
・EU域内の再生可能エネルギーの拡大目標の強化
・エネルギー効率の悪い建物の改修を迅速化するよう、加盟各国に要求
EU、気候変動対策計画を発表 2050年までにカーボンニュートラル - BBCニュース

これを全部やったら間違いなく大不況になります。
とうぜんのこととして、産業界は大反発しました。

「鉄鋼やセメント、アルミ、肥料や電気といった産業に対する投資見通しを不安定化する大きなリスクがある」と批判した。
また、国際航空運送協会(IATA)のウィリー・ウォルシュ会長は、「航空業界はグローバル産業として脱炭素化に努めてきた。こうした変化の動機付けのために課税のような罰則的な施策は必要ない」と述べた」
(BBC2021年7月18日)

では、実際にこの脱炭素で突っ走ったドイツはどうなったでしょうか。
いまや製造業の背骨であった自動車産業は見るも無惨に崩壊しつつあります。
ドイツは、今、かつてない解雇の波が訪れています。

「予定されているのが、フォルクスワーゲンの2万3000人、アウディの4500人、テスラの3000人、フォードの2900人、そして、自動車部品のグローバル企業であるZFが1万2000人、同じく世界的な自動車部品メーカーのコンティネンタルが1万3000人、ボッシュが3760人。
また、世界的製鉄会社テュッセンクルップが1万1000人、ソフトウェアの世界的企業SAPが5300人。さらに、ドイツ銀行が3500人、ドイツ鉄道が3万人で、後者は主に貨物部門だ。不況で生産が落ち、運ぶものが減った」
日本も他人事ではいられない…自動車産業が傾いたドイツで「いま起きている」悲惨な現実(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース

これはほんの序の口で、自動車産業は広大なすそ野を持つために次々に解雇の波が波及していきます。
ドイツ自動車産業のフラッグシップだったフォルクスワーゲンが揺れると、その余波は系列の自動車企業に及び、さらに同業他社、そしてサプサイチェーンを遡って部品メーカー、電子産業、鉄鋼産業にまで波及していきました。

原因はいうまでもなく、いままでシュナイダーが敷き、メルケルが教条にまで仕立て上げた脱炭素政策と中国市場に対する過剰な依存体質です。これはドイツに限ったことではなく、トヨタ、ホンダ、日産も、中国市場では販売不振を食っています。
日産は9千人の人員削減、ホンダは2024年第2四半期の営業利益が15%減少しました。
この2社の経営統合は弱体連合だったのです。

原因はひとつです。中国EV企業の大躍進に食われたのです。
いまやBYDは世界有数の自動車企業に成長しています。

「BYDは11月の販売台数が前月に続き50万台を突破し、世界のNEVの単月販売記録を塗り替えた。同社は2024年の年間販売台数を23年の20%増とする計画を明らかにしていた。23年の販売台数302万台をもとに計算すると、24年の年間販売目標は362万4000台以上となるが、1~11月の累計販売台数は375万7300台で、早々に年間目標を達成した」
2024年中国自動車通信簿:余裕のBYD、シャオミ。苦しいXpeng、Zeekr(36Kr Japan) - Yahoo!ニュース 

それは中国政府による中国製EVに対する補助金政策があるからです。
中国のEV補助政策は、購入時の補助金、充電設備設置への補助金、バッテリーや半導体など電気自動車開発への補助金と多種多用であり、中国製EV普及に竹馬をはかせ、外国製EVを駆逐しています。

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電気自動車販売数世界1位のBYDとは?会社概要や経営状況を解説 -海外事業のプロフェショナル集団~プルーヴ株式会社

しかしこれだけ作りまくった結果、中国のEV市場は中国製EVで満杯となり、鉄鋼や太陽光パネルなどと同じように外国へのダンピング輸出をかけています。

「中国では自動車の生産過剰状態が続く一方、中国政府が巨額の補助金を通じて安い価格で自動車を海外にダンピング輸出をしている、との批判を欧米諸国は急速に強めている。
上海のコンサルティング会社オートモビリティと中国乗用車協会(CPCA)によると、中国には現在、年間4,000万台を生産する能力があるが、国内での販売台数はその半分の2,200万台前後にとどまっているという。そして、中国の自動車輸出はわずか3年の間に5倍近くに増え、2023年には約500万台に達している」
(木内登英2024年05月08日)
中国EVの過剰生産問題とテスラの中国戦略 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)

このような仁義なき戦いをする中国企業の前に、中国市場への参入を阻まれたドイツはもはや米国市場を頼みとするしかなかったのですが、そこに大魔神のように現れたのがトランプでした。
トランプが外国車に対して高関税を強いるのは明々白々です。泣きっ面に蜂。

高関税を逃れるには米国内に工場を持ってメイドインUSAにするしかないのですが、フォルスクワーゲンも米国に工場はあるにはあってもそれはEV工場なのです、残念。
トランプはEVへの支援を完全に打ち切ると公約しています。

トランプは、「不都合な真実」のアル・ゴアから続くグリーンニューディール政策を完全否定しています。
具体的には、いままで再エネやEVに対して与えられていた補助金を廃止するとしています。
そもそも、民主党はこのグリーンニューディール利権から政治資金をえており、そのおこぼれがファーレフトの環境活動家に流れている構図です。

そしてこの活動家たちに資金を提供していたのが、去年破綻したSVB(シリコンバレー銀行)でした。
SVBはグリーン関連の債券の約6割を保有しており、融資についても1500件以上の大型グリーン融資をしていました。
そしてSVBはBLMの最大のスポンサーであり、活動資金の9割以上、100億円近い資金を提供していたことがわかっています。
このようなからみあったグリーン利権をトンプは徹底的に潰す気でいます。 

金融界もトランプの意向を受けて、一斉にグリーン関連から資金を引き上げました。

「米銀大手JPモルガン・チェースは7日、銀行の二酸化炭素排出量削減を促す「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」を脱退すると発表した。ゴールドマン・サックス・グループシティグループに続く動きで、ウォール街の大手銀の中では最後となる。
シティグループとバンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン、ウェルズ・ファーゴが昨年12月に相次いで脱退し、1月に入ってからもモルガン・スタンレーが脱退を表明した。脱退は米銀に集中しており、トランプ次期政権による政治的圧力の高まりを懸念した動きとみられる」
(ブルームバーク2025年1月8日)
JPモルガン、銀行の気候変動対策グループ脱退-米大手行では最後 - Bloomberg

このグリーン利権からの資金の巻き戻しの流れに世界の金融業界も追随します。
もはやドイツだけの特殊事情ではないのです。

経済とエネルギー政策の失敗が産業全体を揺らがせ、さらに社会全体を変えていきます。
いままで20年間以上に渡って、我が世の春を歌っていたリベラルの一斉退場が始まったのです。
 

2025年1月 9日 (木)

疑惑のコストコ、イジェミョン

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共に民主党(なんつうネーミング)のイ・ジェミョンは叩けばホコリが出るなんてもんじゃなく、ホコリの中で生活しているようなご仁です。
さながらかつての鈴木某のように「疑惑の百貨店」で、今起訴されているだけでこれだけあります。
イは政治弾圧だみたいなことを言っていますが、ただの背任や収賄にすぎないということがこの人の特徴です。

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 読売新聞

あくまでもこれらは検察が立件しただけですから、たぶんこんなものでは済まないはずです。
もちろんイは輝ける極左の星ですから、北朝鮮がらみの対北送金疑惑というものもやらかしています。
北との関係を作りたかったイが、1919年から20年にかけて京畿(キョンギ)道知事時代副知事と共謀し、800満ドル(約12億6千万円というシャレにならない巨額送金をしました。
北へのコネを求めていた衣料会社に肩代わりさせて、便宜をちらつかせて送金させたものです。

「第三者供賄罪は第三者に賄賂を供与させる罪。検察は李在明氏らが企業側へ対北事業での便宜を約束していたとみている。李在明氏は全面的に否認してきた。
裁判所は7日、この事件に絡んで外国為替取引法違反罪などで李華泳氏に対し、懲役9年6月などの1審判決を言い渡した。
韓国検察は12日、韓国企業が北朝鮮へ巨額資金を不正に渡した事件に絡み、革新系最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表を第三者供賄罪などで在宅起訴した。検察は京畿(キョンギ)道知事だった李在明氏が訪朝という自身の政治的実績をつくるため、北朝鮮に見返りとして巨額の資金を渡したとみている」
(読売2024年9月22日)
韓国野党代表、北朝鮮への不正送金疑惑などで逮捕可決…イメージ低下懸念から造反相次ぐ : 読売新聞

また、イは城南(ソンナム)市長時代の都市開発事業で、民間業者に便宜を図り、市の開発公社に200億ウォン(約22億円)の損害を与えた疑惑ももたれています。

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聯合

「検察は都市開発事業を巡り、城南市長だった李氏が民間業者に便宜を図って計4040億ウォン(約430億円)の巨額の利益を得させ、城南市に損害を与えたとみている。当時、李氏の側近らが民間業者に便宜を図り、利益のうち428億ウォンを受け取る約束を交わし、選挙資金の支援を受けたことにも李氏の介入があったとみている。
城南市長時代に大企業に対し、自身がオーナーを務めたプロサッカークラブ・城南FCに計約170億ウォンの後援金を出させ、見返りとして建築の許認可や土地の用途変更などで便宜を図ったとする第三者供賄の疑いで今月10日にも検察に出頭し、取り調べを受けている5
(聯合2023年1月28日)
韓国最大野党代表が検察出頭 都市開発事業の不正疑惑巡り | 聯合ニュース

いずれも公的地位を利用した職権濫用・背任事案です。
巨額なカネが動いていますが、たぶん相当な額がイのふところに転がり込んでいるはずです。

こういう職権の私的利用が習性となっているタイプの政治家を大統領なんぞにしたら、どうなるのか目も当てられません。
この他弁護士費用建て替え疑惑だのなんだの盛りだくさんの疑惑があって真っ黒黒助なのがこの人です。

でありながらか、あるいはだからなのか、イはゴリゴリの極左反日反米です。
かつては慰安婦運動の旗振りでしたし、最近でも福島第一原発からのの処理水放出は「第2の太平洋戦争だ」と主張したり、自称「徴用工」裁判ではユン大統領の示した解決案を「親日売国政権の日本への降伏文書」なんて言っています。

 

2025年1月 8日 (水)

韓国もはや無政府状態

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まったくどーなってんだろうね。いや、なに韓国の弾劾事件です。
なんとまぁ野党が弾劾ジユウ変更してしまいました。

「【ソウル=仲川高志】韓国の憲法裁判所で3日に行われたユン・ソンニョル大統領の戒厳令宣布をめぐる弾劾審判の弁論準備手続きで、野党議員で構成する国会の訴追団が訴追事由から内乱罪を撤回し、戒厳令の違憲・違法性の審理に絞ると表明した。大統領や与党側は「弾劾訴追自体が誤りだ」と反発している。
内乱罪の撤回は、審理の迅速化を図りたい野党の思惑を反映した法廷戦術とみられる。内乱罪の立証には長時間を要するとみられる上、尹氏は、戒厳令宣布は正当な統治行為だったと反論に自信を見せている」
(読売1月4日)
韓国大統領弾劾巡り訴追団が内乱罪立証を撤回、審理迅速化図る…与党側「訴追自体が誤り」と反発 : 読売新聞

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読売

分かって言っているなら狡猾、分かっていないならただのバカです。
だって内乱だぁとだんがいを成立させたから憲法裁判所も認め、かつ高捜処もやれ身柄拘束だと言って青瓦台に押しかけたんじゃありませんか。
それは死刑ありえる大罪の内乱罪で弾劾されていたからです。

しかしその弾劾理由から肝心要の内乱容疑を取り下げたら、閣議をおろそかにしていただろうという形式犯か、今は戒厳令出す状況じゃなかったろうという主観の問題だけになってしまいます。
すると憲法裁から高捜処、警察は上がった二階からハシゴをはずされるということになっちゃいます。(笑)
そもそも弾劾理由から「内乱容疑」を抜いたら、初めから国会でやり直しに決まっています。

しかし野党は「内乱行為を刑法ではなく憲法違反とするだけだ。そのため再議決は必要ない」(読売前掲)と言い張っていますが、与党は「共に民主党は尹大統領弾劾審判をできるだけ早期に終わらせ、大統領選挙を前倒しする意図がある」と言い返しているようです。
与党としては1日でも伸ばして、イ・ジェミョンが被告となっている裁判で有罪を出させたいとかんがえています。

だってイは裁判を5つも抱えているのです。
それも政治とは関係のない公的なカネの私的流用などでです。

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イ・ジェミョン  東亜日報

去年11月に、すでに一発有罪判決を食らっています。

「ソウル近郊の京畿道知事時代に予算を私的に流用したとして、韓国の水原地検は19日、進歩(革新)系最大野党・共に民主党の李在明(イジェミョン)代表を業務上背任の罪で在宅起訴した。李氏は次の大統領選の有力候補の一人とされるが、この件を含めて5件の刑事裁判を抱えることになり、選挙戦略に影を落とす可能性もある。
水原地検によると、李氏は朝食のサンドイッチなど私的な飲食の費用を京畿道の法人カードで支払うなどして、計1億653万ウォン(約1180万円)を流用したとされる。

李氏は15日、自身の疑惑について虚偽の発言をしたとして、公職選挙法違反の罪で懲役1年執行猶予2年の有罪判決を受けた。他にも3件の刑事裁判が進行中で、うち1件の判決が25日にも言い渡される予定」
(朝日2024年11月19日 )
韓国野党代表、また在宅起訴 「飲食費など私的流用」 訴訟5件抱え:朝日新聞デジタル

この11月の1審判決の控訴審が2月にも出る見通しで、有罪判決が出れば次期大統領選自体にでられなくなります。
野党はイ以外に候補がおらず、なんとしてでも引き延ばしたくないわけです。
そもそも今回の弾劾理由から内乱罪を抜いたのも、内乱罪容疑とすると判決まで時間がおそろしくかかるからです。

だからお手軽に閣議無視みたいなことにすげ替えようとしたのでしょう。

またイは別件の「大庄洞ゲート」の被疑者でもあります。

「李在明は第20代大統領選挙運動中にいわゆる「大庄洞ゲート」の被疑者となった。これは李が城南市長時代、民間不動産ブローカーと癒着したとするものである(市長職権を濫用して城南市に帰属すべき不動産開発利益を同ブローカーに横流した)。
本件の捜査中に自殺した元城南市職員について李は知らないと発言したが、故人と李を撮影した写真が見つかった。李は選挙に不利な事実を隠そうとマスコミに虚偽答弁したとして、公職選挙法違反を疑われた。検察は李に被疑者として出頭するよう要請したが李は応じず、書面答弁書を提出した。このため検察は2022年9月8日、公職選挙法違反容疑などで李を在宅起訴した」
李在明 (政治家) - Wikipedia

この事案でイが100万ウォン以上の有罪確定判決を裁判所で宣告された場合、自動的に現職国会議員の地位を失い、大統領選挙に立候補する資格が剥奪されます。
こういう背中に大量の爆薬を背負っているために、イとしてはなにがなんでも1月の早い時期にユンを青瓦台から追い出して大統領選に持ち込みたかったわけです。

それで焦ったんですな。
出しも出したり弾劾の29連発。やりすぎもいいところ。
大統領弾劾で味をしめ、続いて大統領代行のハン・ドクス首相も弾劾で追い出し、その代行の代行のチェ・サンモク副首相にも憲法裁判所判事にオレらの息のかかった者を任命しろ、さもなくば弾劾するぞと脅し上げ、イ・ジェミンに有罪を出した判事も弾劾、ともうやりたい放題です。
さすがの朝鮮日報も呆れています。

「韓国最大野党・共に民主党は27日、韓悳洙(ハン・ドクス)首相の職務停止により大統領権限代行職を継承した崔相穆(チェ・サンモク)経済副首相兼企画財政長官に対し、「国会推薦の憲法裁判官3人を任命せよ」と要求した。
同党は「我々が要求してきた憲法裁判官の任命などを崔相穆副首相が受け入れなければ、また弾劾訴追を推進する」と言った。同党は政府組織法に基づき、大統領権限代行職を継承する他の国務委員(閣僚)に対しても弾劾訴追を予告するなど、行政府の崩壊も辞さない構えだ」
(朝鮮日報12月28日)
「大統領権限代行の代行」「代行代行の代行」「代行代行代行の代行」…韓国巨大野党の「弾劾断頭台」前に並ぶ閣僚たち-Chosun online 朝鮮日報

野党は、朝鮮日報がいうにように「行政府の崩壊も辞さない構え」なのです。
となると、この弾劾三昧はユンが戒厳令を出した理由にある「親北勢力による国政の停滞」をそのまま国民の目の前で実証してしまったことになります。
韓国民はユンのひとり戒厳令に当初は驚き怒ったのですが、こういう野党の狂態を見るに至って、いや待てよユンが言っていることにも一理あるのではないかと思い始めたようです。

ユンさんは鉄条網とバスでバリケードを作っているようで、おさまらない警察は特殊部隊による武力制圧などと言い出しました。

「昨年12月3日の非常戒厳事態を捜査する警察国家捜査本部は2回目となる尹大統領の逮捕状執行に向け、対テロ部隊である警察特攻隊投入などを検討している。国家捜査本部は1回目の逮捕状執行を試みた際もこれを検討したが、投入を決定はしなかった。しかし最初の執行の試みが失敗に終わってから大統領官邸を囲む警護処の「鉄壁」はさらに強固になった状況だ。警護処は1回目の逮捕状執行失敗後にバスによる壁と鉄条網を追加で配置するなど警備態勢を強化している。警察出身である「共に民主党」の李知恩(イ・ジウン)麻浦甲地域委員長はソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で「警察特攻隊の火力と圧倒的人員で初めから警護官の抵抗意志を粉砕しなければならない」と強調した。高位公職者犯罪捜査処が前日警察に逮捕状執行を一任しようとしたが再び翻意した状況であるだけに国家捜査本部が今回の逮捕状執行で主導権を持つだろうという観測が出ている」
(中央1月7日)
韓国大統領官邸、バスと鉄条網で「鉄壁」作る…警察、2回目は特攻隊の投入検討(中央日報日本語版) - Yahoo!ニュース

やれやれスゴイね。もはや内戦一歩手前。映画『シビルウォー』の世界です。
ここまで既成秩序をぶっこわすと、次の大統領はどうするんだろう。

しかし一方、立て籠もるユンは失職中にもかかわらず支持率がなんと40%越えという椿事が起きました。

「5日の世論調査の結果、国会での弾劾訴追の可決で停職処分を受けた尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の支持率が40%を超えた。昨年12月3日の戒厳令勅令が発令されて以来、尹大統領の支持率が世論調査で40%台に入ったのは初めてだ(中央選挙調査検討委員会の発表による)」
大統領の支持率が40%を超えた...戒厳令以来初めて [韓国世論調査院] 

もはやなにがなんだかわかりませんが、ブリンケンがわざわざ訪韓して、オレらは韓国信用してっからと言わねばならないような無政府状態のようです。
北も今スッチャッカメッチャカですが、韓国はそれに輪をかけて無政府状態のようです。

 

 

2025年1月 7日 (火)

こんな場所にコンクリートの施設を置くな

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事故報告書が出ていない段階で決定的な言い方をすべきではありませんが、原因はいくつか考えられます。
ひとつは昨日ふれたエンジンがバードストライクで停止しまったことで油圧系統がダウンし、このことによって機体は着陸態勢と呼ばれる車輪、フラップ、スポイラーの全部が作動しなくなりました。
これもゴーアラウンドをせずに1回目ですんなり着陸していれば、バードストライクもなくエンジンも止まっておらず、したがって脚も出ていたのですから普通の着陸ができました。
この2回目の復行をさせた責任が誰にあるのかが、今後の焦点となることでしょう。

いずれにせよ事故を決定づけたのが、時速250キロで胴体着陸する機体の真正面にコンクリートの堤防のようなものが設置されていたことです。
これがローカライザーという計器飛行時に空港の位置を航空機に知らせる装置です。

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朝鮮日報

「務安国際空港で昨年初めまで続いた「コンクリート構造物」強化工事は、設計業者が誤って設計したものを韓国空港公社がそのまま受け入れていたことが2日に確認された。務安空港を運営する韓国空港公社は2020年にローカライザー(着陸誘導装置)改良事業に着手した際、壊れやすくする方法で行うよう指針を下しながらも、コンクリート構造物をさらに強化する設計を受け入れたということだ。こうして強化された構造物が今回の事故に決定的な影響を及ぼした」
(朝鮮日報2025年1月3日)
滑走路先の「コンクリート構造物」は業者の設計ミス…韓国空港公社がそのまま認可【独自】 務安空港事故-Chosun online 朝鮮日報

実はこれも韓国航空機がらみですが、同様のオーバーラン事故を2015年4月にアシアナ航空が広島空港で起こしています。
下写真がその事故後の広島空港のローカライザーですが、航空機の衝突でその部分だけ壊れています。

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【航空機事故】アシアナ航空162便着陸失敗事故と今後の対策│飛行機のパイロット

一方ムアン空港の場合はローカライザーのコンクリート土台に激突して爆発炎上しました。
下写真手前にみえるコンクリートの残骸がローカライザーの土手部分です。

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チェジュ航空惨事、死亡179人…韓国で発生した旅客機事故で最大の被害

アシアナ航空機は着陸の際に滑走路を外れ、照明灯とローカライザーに相次いで衝突しましたが、ローカライザーのアンテナ型の構造物が地面に直接設置されていたため、これを破壊しただけで通過できました。
このチェジュ航空機の事故が広島空港で起きたていたなら、ローカライザーのアンテナと誘導灯を破壊してた程度で済んだかもしれません。

では、なぜ滑走路の先にが開放されておらず立ちふさがるようにして土手があってそのうえに頑丈なコンクリート製の施設があったのでしょうか。
それは韓国の航空法では合法だからです。

「務安空港のローカライザーとコンクリート構造物は滑走路から264メートル離れた場所に設置されていた。この構造物について国土交通部は「航空機のオーバーラン(離着陸の際に滑走路から外れる現象)などに備えて設置された『滑走路端安全区域』の外にあるため規定に反しない」と説明してきた。滑走路端安全区域の外にある構造物は空港施設規定の適用を受けないからだ」
(朝鮮日報1月1日)
務安空港のローカライザーと「コンクリートの盛り土」 韓国国土交通部が規定違反-Chosun online 朝鮮日報

しかしいくら滑走路から264m離れているといっても、そもそもムアン空港は他の空港より滑走路自体が短いのです。

「事故原因についてさまざまな要因が指摘されるなか、「短い滑走路」にも焦点が当てられている。務安空港の滑走路の長さは約2.8㎞で、他の空港と比べて800~900mほど短い。
仁川国際空港の滑走路は3.7㎞から4㎞、金浦国際空港も3.6㎞に達する。全羅南道もこの問題を認識しており、開港当初から滑走路延長を要請していたが、たびたび頓挫してきた。
2022年になって、ようやく2兆7413億ウォン(約3000億円)を投じて滑走路を2800mから3160mに延長する工事が来年完成を目指して進められることになった」
(コリアウェーブ12月29日)
「2.8㎞」務安空港の「短い」滑走路…「胴体着陸」のリスクを高めたか(KOREA WAVE) - Yahoo!ニュース

延長工事が遅れていたなら、せめてローカライザーくらい直接に地面に埋め込んで建て直せばよいものを、それを怠って改修作業でかえってコンクリートでさらに固めてしまったというのですから、なんともかとも。

さらに空港付近は韓国で指折りの渡り鳥の中継地ですから、多くの水鳥が飛来していました。
ならば当然バードストライク対策を厳重に行わなければなりません。
わが国では羽田空港などで多くの水鳥と接触する空港があるために国交省がバードストライク対策を定めています。

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国交省

「主として国が管理する空港のうち、バードストライクが多く発生している空港においては、バードパトロール(定期巡回)方式による防除を実施し、それ以外の空港においては随時防除を実施している。
バードストライク専従要員を空港に常駐させ、年間を通じてパトロール(定期巡回)を行い、銃器(実砲、空砲)、鳥類駆逐用煙火、ディストレスコール・スピーカー(鳥が天敵に捕まった時に発する悲鳴)等の機器を組み合わせて防除する方式」。
国が管理する空港では、昭和57年からバードパトロール方式による鳥の防除を行っており、平成21年度中に導入を予定している鹿児島空港を加えると、導入空港は計18空港となる。バードパトロール方式は、最も効果がある防除方法とされており、実施空港と未実施空港の衝突率(離着陸1万回あたりの衝突回数)を比較すると、実施空港においては約半分の衝突率となっている」
航空機への鳥衝突(バードストライク)防止に向けた取組 - 内閣府

ムアン空港はバードストライク警告を出しながらも、鳥を監視するレーダーもなくバードパトロールといった日常的な予防措置もとっていなかったようです。

また初期消防も遅れていました。

「29日、中央日報が確認した務安国際空港消防隊の出動時間現状によると、務安空港管制塔は航空機が午前9時3分に滑走路の外壁に衝突した直後の9時4分に空港消防隊に出張を指示したことが分かった。消防隊は出動受け付け後の午前9時5分、現場に出動した。
これに先立ち、国土交通部の事故調査委員会が発表したチェジュ航空の操縦士のメーデー(遭難信号)の通信時刻は、消防隊の出動時点より6分前の午前8時59分だ。その後、チェジュ航空の航空機は4分後の午前9時3分ごろ、最終衝突した。つまり、務安空港の管制塔は航空機が衝突した後、消防隊の出動を指示したのだ。
消防隊は出動と同時に午前9時6分から32分の間、管内のすべての消防署と病院に緊急連絡を取ったと発表した。出動後、火災の鎮圧に成功したのは午前9時45分だと報告した」
(中央日報12月30日)
事故旅客機「メーデー」宣言したが…務安空港の管制塔は5分後に消防隊出動を指示=韓国(中央日報日本語版) - Yahoo!ニュース

航空空気燃料は発火しやすいので、ゴーアラウンドをした段階であらかじめ滑走路脇に空港消防隊が待機させておかねばなりません。
しかし管制塔が消防隊に出動を命じたのは爆発炎上してから実に4分後でした。
そこからさらに消防活動まで開始までかかりますから、もう事故機はボンボン燃え盛っていました。

わが国の場合のレスポンスタイムは3分です。

「訓練では、出動指令を受けてから滑走路末端まで走行し、放水するまでの時間(レスポンスタイム)を測定しており、3分を超えないことが基準となっています。
結果は基準の3分以内に到達することができ、空港消防隊の日々の訓練の成果が発揮された訓練となりました」
消火訓練(レスポンスタイム測定)を実施しました。 - 青森県庁ホームページ

このようにこの空港は、国際空港とは名ばかりのポンコツだったようです。
それを「国際空港」に許していた国の責任も問われねばなりません。
この国は、カッコウだけはいっぱしの文明国ですが、内実はスカスカなことが多々ありますが、この事故もその象徴のような事故だったようです。

 

2025年1月 6日 (月)

なぜチェジュ航空機は大事故になったのか?

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改めまして明けましておめでとうございます。今年も更新を始めましょう。

さて、ご承知のように、韓国では立て続けにふたつの事件が起きています。
ひとつはユン大統領が青瓦台に立て籠もってしまいましたが、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が官邸敷地内に身柄拘束のために入ったところ警護処の要員ら約200人がスクラムを組んで阻止したそうです。
そして敷地外にはユン氏の支持者が分厚い人間の楯を作ってしまい、執行不可能となったようです。

どうも日本人の感性ではわからないのですが、執行を阻止し続ければ野党のイジェミンの有罪判決が先に出る、出ればアッチも大統領になれないのだからドローだということのようです。

いまひとつはいうまでもなくチェジュ航空の痛ましい大惨事です。
これは2024年12月29日、韓国南西部・務安(ムアン)空港で、韓国LCC大手のチェジュ航空が着陸に失敗し、乗員乗客181人のうち179人が死亡した事件です。
まずは亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。

チェジュ航空機は車輪を出さないまま猛スピードで滑走路を走り、操縦不能のままその先にあったローカライザというコンクリート製の施設にまともに激突し爆発炎上しました。
下写真がその連続写真です。

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ロイター

事故当日、務安空港は無風快晴。
チェジュ航空2216便は出発地のバンコクを離陸後、務安空港周辺まで正常に飛行していました。パイロットは空軍出身の飛行時間6823時間の ベテランでした。
ただし、タイのバンコック空港を離陸したのが午前2時11分(現地時間)、ムアン空港に到着したのが9時7分ごろ(同)ですから7時間の夜間飛行したために疲労していたことはありえます。

2216便は務安空港の南側から最初の着陸進入を開始していましたが。最終進入の途中でゴーアラウンド(着陸復行)を宣言し、再び上昇しながら空港上空を通過して空港北側に向かい、さらに空港北側で方向転換して南に向けて着陸しました。
そして非常事態を宣言発出た6分後に同じ滑走路を南方向に着陸し胴体着陸して爆発炎上しました。

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TBS

1度目の着陸では車輪は出ていますが、着陸復行(ゴーアラウンド)をし、いったん出た車輪を引っ込めて滑走路を周回する2週目に入ったところで午前8時57分から59分の間に鳥の群と衝突したようです。
結果的に1度目でそのまま着陸したほうがよかったことになります。

「務安空港近くの海辺で釣りをしていたチョンさん(50)は、聯合ニュースとのインタビューで、「旅客機が下降する途中、反対側から飛んできた鳥の群れと正面衝突した」とし、「(その後)ごう音とともに右側のエンジンから炎が見えた」と話した。国土交通部はこの日のブリーフィングで「鳥類衝突以降、着陸復行する過程で事故が発生したとみられる」と明らかにした。着陸復行とは、着陸しようとした航空機が正常着陸が不可能だと判断し、離陸することを意味する。 務安国際空港は西海岸の渡り鳥渡来地と隣接している。務安国際空港の付近には113.34平方キロメートルの大規模な務安干潟湿地保護区域が位置している。この干潟には渡り鳥の餌が多く、休息するところも多く、長距離を移動する渡り鳥の中間寄着地の役割を果たす」
(中央日報2024年12月30日)
「鳥の群れとぶつかってからごう音、エンジンから炎が見えた」…チェジュ航空旅客機、機体欠陥の可能性も=韓国 | Joongang Ilbo | 中央日報

鳥も一羽に2羽ではなくV字型で飛ぶ(おそらく雁クラスの大型鳥類)の群と真正面から衝突したようで、吸い込んだ数も相当数になったようです。
グーグルアースで見ると空港の脇には大きな干潟があり、そこは渡り鳥の中継地でした。
空港が定期的に空砲を撃ち、駆逐用煙火、ディストレスコール・スピーカー(鳥が天敵に捕まった時に発する悲鳴)等の機器を組み合わせたバードパトロールをするしかありません。
航空機への鳥衝突(バードストライク)防止に向けた取組 - 内閣府

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Google Earth

当初は右エンジンが停止しましたが、時間をおいて左エンジンも停止してしまったようです。
鳥をエンジンタービンが吸い込んだために3系統ある油圧系統がダウンしたようです。
ボーイング737-800の油圧は3系統で、左エンジン(第1エンジン)を駆動させるためのAシステム、右エンジン(第2エンジン)のためのBシステム、そして予備のためのスタンバイシステムが存在します。
今回動作していなかった車輪、フラップ、スポイラーはAシステムに繋がっていますが、電動ポンプで代行可能ですし、さらに独立したBシステムには油圧で肩代わりできる仕組みがあります。
エンジンが停止した場合、推力を失うだけではなく、エンジンから得られる動力を装置系統類が伝え、車輪や翼の操作ができなくなります。

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日本の航空機産業復活の糸口を考える 『バンカーの目のつけどころ 気のつけどころ』第227回 | ニュース屋台村

エンジンが停止し油圧が効かないと機首と主翼下の3ツの車輪が降りません。
車輪が降りねば制動をかけることが不可能になります。

これが時速250キロもの猛スピードで滑走路を胴体着陸した最大の原因です。

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飛行機はどうやって止まる?~減速に不可欠な部品「カスケード」の秘密~

制動をかけるのは車輪だけではありません。
空気抵抗を増すことで止める翼の装置もついています。それが主翼の上面に展開するスポイラーと下面にあるフラップですが、これも油圧系統のダウンで共に開かなくなりました。
下の着陸時の主翼の写真をご覧下さい、正常に着陸した機体では、スポイラーとフラップが同時に展開しています。
上に開くのがスポイラーで、下向きに開くのがフラップです。

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飛行機の操縦(4)スポイラーとエアブレーキ - 航空機の技術とメカニズムの裏側(11) | TECH+(テックプラス)

スポイラーもフラップも、250キロという強い空気の流れの中に衝立を立てて抵抗力を発生させて速度をおとしています。
今回のチェジュ航空機機は、このどちらも展張しないのが動画で確認できます。

すると残る制動方法はスラストリバース(逆噴射)です。
これはエンジンの中程からジェット噴流を前向きに逆噴射させて制動をかける装置ですが、これも作動しなくなりました。

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飛行機はどうやって止まる?

この3種類の制動装置のいずれもが、このチェジュ航空機では作動していませんでした。
しかしまだ方法は残されています。油圧システム全体が完全に故障して油圧を失ってしまっても、フリー・フォール(自由落下)機構と言って車輪の自重で油圧なしで車輪を降ろす装置がついています。
さらに航空機のエンジンが静止してしまった場合、補助的な動力としてエンジンの再起動のための緊急時の代替動力としてAPU (補助動力装置)も装備されています。
2ツのエンジンが鳥を吸い込んで同時に油圧系統が破壊され、理由はわかりませんが予備のスタンバイシステムとフリーフォールシステム、APUがすべて作動せず、パイロットが電動ポンプを使わなかった理由も不明です。

また爆発炎上を防ぐためにターンアラウンドの際に燃料を緊急投棄するべきでしたが、今回の事故が起きたボーイング737-800は短距離旅客機(リージョナルジェット)のためにそもそも燃料投棄システムがついていませんでした。

いずれにしても、すべての制動をかける手段を失って、チェジュ航空機は250キロというすさまじい速度で、死のコンクリートの壁に向けて突進したわけです。

長くなりそうなので、次回に続けます。

 

2025年1月 5日 (日)

日曜写真館 安らぎは心にありぬ年明ける

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リラックスリラックスして年迎ふ 高澤良一

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世に借りしもの大いなり年迎ふ 目迫秩父

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一草一木を友年新らた 細見綾子

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年迎ふ空万全を期すごとし 高澤良一

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一羽鳩腋しろがねに年新た 野澤節子

 

2025年1月 1日 (水)

明けましておめでとうございます

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明けましておめでとうございます。
昨年中のご支援に篤く感謝いたします。
皆様のご多幸をお祈り申し上げます。

                                           2025年元旦
                                                          ブログ主

※更新再開は5日(日)の日曜写真館からです。

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