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2025年2月 1日 (土)

トランプとサウジの6000億ドルディール

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トランプは積極的な中東外交をしています。
その主眼はサウジです。目のつけどころがすごい。

「サウジアラビアが年内にも原油の減産方針を転換し、増産にかじを切るとの見方が急浮上している。サウジが主導する石油輸出国機構(OPEC)プラスの供給シェア回復を狙って生産を増やせば、原油価格の下落要因となる。原油安は消費国の日本には恩恵が大きい。
サウジはこれまで石油収入を十分に確保するため、市場の需給調整役として供給を減らし原油価格を下支えしてきた。原油安の局面ではOPECプラスを主導し、減産方針」
(日経2024年10月17日)
「逆オイルショック」の足音 サウジ動向次第で原油急落も - 日本経済新聞

仮にこれが成功したら原油価格は暴落し、先進工業国は一挙にエネルギー問題を解決でき、かつ、原油輸出一本に依存しているロシアは窮地に陥ります。
実はサウジのサウド皇太子とトランプは、今白熱の交渉のま最中なのです。

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サウジアラビア、米国の新規投資と貿易に4年間で6000億ドルを計画 |ロイター

サウジの官報です。

「皇太子兼首相のムハンマド・ビン・サルマン・ビン・アブドゥルアジーズ・アル・サウード王子殿下は、今夜、アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領と電話会談を行いました。
電話会談で、アル・フセイン皇太子は、二聖モスクの守護者に対し、彼がアメリカ合衆国大統領に就任し、大統領に就任したことについて、閣下に祝辞を述べ、友好的な米国民の進歩と繁栄を願った。
電話会談では、中東の平和、安全、安定を確立するための王国とアメリカ合衆国の協力方法や、テロと戦うための二国間協力の強化について話し合いました。
また、皇太子殿下は、大統領政権が米国で予想される改革により、前例のない経済的繁栄を生み出す能力があることを指摘し、王国がパートナーシップと投資の機会を活用しようとしていることに言及し、今後4年間で投資と米国との貿易関係を6,000億ドル拡大したいという王国の願望を強調しました。
米国大統領は、二聖モスクの守護者と皇太子殿下が彼らを祝福してくれたことに感謝と感謝の意を表し、サウジアラビア王国の指導者と共通の利益に役立つすべてのことについて協力することへの熱意を強調しました」
政治家/皇太子殿下が米国大統領に電話をかける 

砂漠の国だからというわけではないのでしょうが、仰天するほどドライなやりとりです。
さすが帝王型大統領とアラブの王様の駆け引きは違うと、妙に感心してしまいました。

要は、今後4年間で6千億ドル(約93兆7942億)米国に投資すれば、米国はお前の言う願いを聞いてやるぞということです。
ロイターはこんなことを報じています。

「報告書は、サウジアラビアはこれらの条件を利用するために投資を望んでいると述べました。6000億ドルの出所、それが公的支出か民間支出か、また資金がどのように使われるかについては詳述しなかった。
投資は「さらなる機会が生じれば、さらに増加する可能性がある」と、同機関はビン・サルマンがトランプに語ったと引用した。トランプ氏は1期目でサウジアラビアを含む湾岸諸国との緊密な関係を育んだ。トランプが退任した後、国はトランプの義理の息子で元補佐官のジャレッド・クシュナーが設立した会社に20億ドルを投資した」
(ロイター日 )
サウジアラビア、米国の新規投資と貿易に4年間で6000億ドルを計画

クシュナーが絡んでいそうですが、この人物こそ第1期トランプ政権のノーベル平和賞級の外交成果だったアブラハム合意の立案者です。
第2期には入閣していませんが、なんせ娘婿ですからね。
トランプは2017年に大統領に就任したとき、サウジを最初に訪問しました。
それはサウジが米国製品を4500億ドル買うことに同意したからであり、今回は5000億ドル分買うならまたサウジに行くよと、言ったわけです。わかりやすい。

そうしたらサウドは、いやいや1000億ドル上乗せして6000億ドルにしましょうと答えたわけです。

その代わりにお願いがふたつあるとして提案したひとつが、イエメンのフーシー派のテロ組織再指定です。
第1期トランプ政権が指定したのに、これをイランに融和的なバイデンがひっくりかえしたのです。
信じがたい馬鹿ですね。

イランが喜ぶまいことか、ただちにフーシー派に武器と資金を提供し、たちまちハマス、ヒズボラと並ぶ中東地域凶悪テロ組織三兄弟となってしまったのはご承知のとおりです。

サウジにとって非常に困るのは、イエメンが一衣帯水の隣国だということです。
フーシー派はサウジ王家打倒を掲げサウジの石油施設に執拗な攻撃をしかけています。
業を煮やしたサウジはイエメン内戦に介入しています。
ですから、こんなフーシ派を撃滅できれば、6000億ドルなんてお安いものということです。
一方トランプにとっても安いもの、直ちにこの要請に応じて再指定されます。

もうひとつのサウジの要求は米国との防衛協定でした。
これについてはバイデンもまんざらではなく、そうとうなところまで煮詰まっていた案件ですが、トランプがゴールに蹴り込む役となったようです。

「ワシントン 20日 ロイター] - 米ホワイトハウスは20日、サウジアラビアとの2国間防衛協定で最終合意が近いと明らかにした。サリバン米大統領補佐官が先週末にサウジのムハンマド皇太子らと会談し、協議が大きく進展したという。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は、2国間協定での合意に「これまで以上に近づいている」とし「最終に近い」と述べた。
協定はサウジが中国製兵器の購入を停止し、中国からの投資受け入れを制限する見返りに、米国がサウジ防衛を正式に保証するとともに、サウジがより先進的な米国製兵器にアクセスできるようにする内容になる見通し。
米当局者によると、合意の一環として米国からサウジに対するF35戦闘機などの武器売却も協議している。
2国間協定が成立すれば、イスラエルのネタニヤフ首相に提示する、より広範な枠組みの一部となる。ネタニヤフ氏はサウジとの関係正常化を実現するために譲歩するか決めることになる」
(ウォールストリートジャーナル2024年6月10日)
米、サウジに防衛協定を提案へ イスラエルとの関係正常化に向け - WSJ
これが締結されると、米国はサウジの安全保障に大きく関わることになります。
具体的にはフーシー派撃滅に軍事的支援をすることになります。
そしてこういう背景を受けて、でてきた大技が、冒頭のサウジの生産の原油増産による原油価格の引き下げですが、長くなってので次回に回します。

 

 

 

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コメント

最近の日本語圏のネットではトランプのグリーンランドやパナマ運河に対する発言やウクライナ戦争での態度などのを持って反トランプの声が高まっていますね。中にはアメリカも中国もロシアも同じだとか言う親露派丸出しの発言をする人達もチラホラいます。これからトランプ批判に絡めた日米離間工作が活発化していくでしょう。注意が必要です。

いつも楽しみに拝読しております。
来週石破首相が訪米し、トランプ大統領と面会するようですね。石破首相はとてもディールができるような人ではありませんし、石破政権は中国とも二股外交ですから、コテンパンにやられて無理難題を背負いこんで帰ってくる姿しか浮かんできません。ヤレヤレ。

いつもありがとうございます。

原油相場は長らく70~80ドルのレンジですね。

原油値下げが米国さらに世界のインフレ対策に不可欠なことですが、
そのために最強のステイクホルダーに直談判して、
原油値下げの見返りにサウジの安全保障を提供する。
実現すれば素晴らしい仕事になります。ノーベル経済学賞をあげたいくらいに。

日本も麻生氏や外務省の唱える「自由と繁栄の弧」に資するのですから、
協力して欲しいと思います。

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