高関税はモロ刃の剣
トランプの得意は「ディール」deal )なことは知られています。
元来はビジネス用語で、取引やなにかの交渉という時に使われるそうです。
これを政治や外交の世界に持ち込んだのがトランプです。
元来はビジネス用語で、取引やなにかの交渉という時に使われるそうです。
これを政治や外交の世界に持ち込んだのがトランプです。
第1期の時も盛んにつかいましたが、第2期は初めから全開です。
不法移民の引き取りを拒否したコロンビアには、ビザ発給停止と並んで関税バク上げと金融制裁を宣告しました。
これで一気に中南米諸国は抵抗を諦めてしまいました。
そんなことをされたら米国市場から追放されて経済が崩壊するからです。
不法移民の引き取りを拒否したコロンビアには、ビザ発給停止と並んで関税バク上げと金融制裁を宣告しました。
これで一気に中南米諸国は抵抗を諦めてしまいました。
そんなことをされたら米国市場から追放されて経済が崩壊するからです。
しかしたぶんこれもブラフでしょうね。
本気でやるかどうかはわかりませんが、やるかもしれない、アイツはクレージーだからな、という恐怖感があります。
例のマッドマンセオリ(狂人理論)です。
コロンビアあたりだと仮に関税バク上げをしても米国民は痛くもかゆくもないでしょうが、相手が中国となると話は別です。
中国には多くの米国の製造業が進出しており、米国ブランドのシューズでも衣類でも、裏返してタグみればメイドイン・チャイナです。
本気でやるかどうかはわかりませんが、やるかもしれない、アイツはクレージーだからな、という恐怖感があります。
例のマッドマンセオリ(狂人理論)です。
コロンビアあたりだと仮に関税バク上げをしても米国民は痛くもかゆくもないでしょうが、相手が中国となると話は別です。
中国には多くの米国の製造業が進出しており、米国ブランドのシューズでも衣類でも、裏返してタグみればメイドイン・チャイナです。
トランプもバイデンもことのほか気を使っている自動車産業もそうです。
サプライチェーンは丸ごとメイドイン・チャイナか、メキシコ、カナダです。
だから関税を2割バク上げなんぞほんとうにすると、アメ車は高騰してしまう結果となります。
それじゃなくても国際競争力がら弱いのに、値上げしてどうします。
サプライチェーンは丸ごとメイドイン・チャイナか、メキシコ、カナダです。
だから関税を2割バク上げなんぞほんとうにすると、アメ車は高騰してしまう結果となります。
それじゃなくても国際競争力がら弱いのに、値上げしてどうします。
BBC
「アメリカのドナルド・トランプ大統領は21日、中国製の輸入品に対する10%の追加関税、早ければ来月1日から課すことを検討していると述べた。トランプ氏は記者会見で、「(中国が合成麻薬の)フェンタニルをメキシコとカナダに送っているという事実に基づいて」、追加関税について政権内で協議中だとした。
トランプ氏はメキシコとカナダに対しても、25%の関税をかけると脅している。両国について、不法移民や麻薬がアメリカに流入するのを許していると非難している」
(BBC1月22日)
中国製品への10%追加関税、2月開始を検討 トランプ米大統領 - BBCニュース
ダボス会議では中国の丁薛祥副首相が「保護貿易はやめろ。自由貿易を守れ」なんてジョークを飛ばしていましたね。
保護主義とダンピングのお前の国にだけにはいわれたかねぇよ、とトランプは思ったでしょうな。
保護主義とダンピングのお前の国にだけにはいわれたかねぇよ、とトランプは思ったでしょうな。
しかし冗談ではない、止めてくれというのが米国の製造業者だとなると話は別です。
デトロイトのあるミシガン州知事はこう悲鳴をあげています。
デトロイトのあるミシガン州知事はこう悲鳴をあげています。
「[ワシントン/デトロイト 15日 ロイター] - ミシガン州のグレッチェン・ホイットマー知事(民主党)は15日、トランプ次期米大統領が表明したメキシコとカナダへの追加関税は米自動車産業に打撃を与え、自動車価格の上昇を招くほか、中国の利益となる可能性があると警告した。
ホイットマー知事はデトロイトでの演説で、関税賦課によりサプライチェーン(供給網)が損なわれるほか、生産ラインが停滞し「米・カナダ両国で雇用が減少する」と指摘。関税に関する協力など巡り、オンタリオ州首相や他のカナダ当局者らと活発に協議していると言明した。
同知事はまた、多くの部品が自動車完成までに何度も国境を通過し、カナダと米国間の年間貿易額7000億ドルのうち4分の1がミシガン州デトロイトとカナダ東部オンタリオ州ウィンザーの国境を越えていると説明した」
(ロイター2025年1月16日)
トランプ関税は米自動車産業に打撃、中国の利益に=ミシガン州知事 | ロイター
そうなんですよ、関税を6割にするなんて選挙期間中の演説どおりのことを実行すれば、モロにアメ車のコストに被ります。
部品は哀しくや大部分がメイドイン・チャイナやメイドイン・メキシコやカナダですから。
アメ車はメイドインUSAではなく、アッセンブリー・イン・USAなのです。
だから高関税を支払うのは中国ではなく、まず米国のフォードなんかの自動車産業、そして高くなった国産車を買わされる米国市民なのです。
もちろん物価もスライドして高くなりますから、今FRBが消火に腐心している強インフレもまた再燃するでしょう。
部品は哀しくや大部分がメイドイン・チャイナやメイドイン・メキシコやカナダですから。
アメ車はメイドインUSAではなく、アッセンブリー・イン・USAなのです。
だから高関税を支払うのは中国ではなく、まず米国のフォードなんかの自動車産業、そして高くなった国産車を買わされる米国市民なのです。
もちろん物価もスライドして高くなりますから、今FRBが消火に腐心している強インフレもまた再燃するでしょう。
高関税という武器はもろ刃の刃剣で、自分も斬ってしまうのです。
そもそも関税を外交交渉の武器に使うなんて反則です。
お気をつけ下さい、トランプさん。
そもそも関税を外交交渉の武器に使うなんて反則です。
お気をつけ下さい、トランプさん。
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諸刃の剣、ですね。細かいとこスミマセン。
投稿: ねこねこ | 2025年1月31日 (金) 12時12分
関税は議会の承認なしで大統領が機動的に発動できる数少ない武器です。また、短期的には国内の特定の産業を保護するメリットがありますし、そこに安全保障問題がからんでコロンビアのような小国はひとたまりもないって事でした。
でも、長期的には米国経済全体にマイナスになる事が明らかです。
で、過去に中国に対して発動してどうなったか?
中国はムキになって対抗せざるを得ないメンツの国なので、関税合戦が行われ、これがいわゆる貿易戦争と言われる事態に突入したのでした。
すると何が起こったかと言えば、不安定な中国から逃げ出す企業が続出。他のアジアの国に製造や材料の調達先として移転して行くという現象が起きました。これが中国サプライチェーンの分断です。
でも、こんな前回のような事は序の口、まだまだ不十分だったので、もっと徹底的にやるぞ!というのがトランプの考え方でしょう。
トランプ関税政策は安定志向の日本には考えられないトランプの劇薬であって、私自身としても支持しづらいです。
ただ、中共のやり方を容認しないのであれば、この道しか思い浮かびません。企業はいつでも中国を見限れるようなスタンスで代わりを準備すべきであり、被害を最小限にする努力をするしかないでしょう。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2025年1月31日 (金) 19時15分