トランプ、不法移民の強制送還開始
あのヒトのやることは、なるほどるほどというモノとおいおいがゴッチャ混ぜになっています。
ま、彼らしいといえば言えますけどね。
トランプは不法移民を犯罪者とみなしていますから軍用機で強制送還したのですが、これに怒ったコロンビアは「民間機に乗った自国民なら受け入れる。犯罪者のように扱わない」と米国は言っていただろうと怒って、送還受け入れを拒否しました。
ここは重大な違いがあるで強調しておかねばなりませんが、正規の手続きを踏んで永住権を獲得して入国したのが「移民」、それを一切破って違法に入国したのが「不法移民」です。
さらに、今回トランプが強制送還の対象としたのは、そのうち犯罪歴がある者たちです。
それをあたかも文明国の崇高な義務のようにして受け入れた結果が、今の西欧諸国と米国です。
こういうコロンビアのいきがりに待ってました、とばかりに対応したのがトランプです。
いや、実際にシナリオを書いてシミュレーションしていたのでしょう。
トランプにはこの4年間たっぷり時間がありましたからね。たぶん、次に大統領になれば、やることを順序立てて考えていたはずです。
コロンビア政府が、米国内で拘束されたコロンビア出身の不法移民を乗せた米軍機の着陸要請を拒否したとみるや、トランプはこれに激怒し(して見せたんでしょうが)、関税、制裁、渡航禁止などの報復措置を取ると表明しました。
トランプはコロンビアの全輸入品に25%の緊急関税を課すこと、それを1週間後に50%に引き上げること、さらにコロンビア政府高官らへの渡航禁止とビザ(査証)発給取り消し、金融制裁発動、コロンビア国民の国境検査強化などを命じました。
すさまじいね、戦争をするきですか。
「トランプ大統領はこれを受け、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で「緊急かつ決定的な報復措置」を発表。コロンビア政府の職員および協力者や支持者に対し、渡航禁止と「即時のビザ(査証)取り消し」を実施すると述べた」
(BBC2025年1月27日 )
米政府、南米コロンビアへの関税案を撤回 移民送還めぐり合意成立と - BBCニュース
これに対しペトロ大統領はSNSで報復関税を発表し、コロンビアは世界の中心だと叫んで見せました。もちろん、自国民向けです。
「あなたの封鎖は私を怖がらせない。なぜなら、コロンビアは美しい国であるだけでなく、世界の中心だからだ」
しかし数時間のうちに、両国はこの対立を解決した様子。ホワイトハウスは、コロンビアが「トランプ大統領の要求のすべて」に合意したと発表した」
(BBC前掲)
コロンビアが「世界の中心」かどうか知りませんが、麻薬ワールドと不法移民のハブではたしかに世界の中心です。
中米パナマと南米コロンビアの国境に広がるダリエン地峡は、米国に流入する不法移民の拡散センターと化しています。
中南米だけではなく、遠くアジア、アフリカの各地からの不法入国を目指す人々が集まり、ここで密入国業者よっていくつかのルートに分かれて米国に流入していきました。
その数は一年間にざっと200万人といわれ、国境警備隊が遭遇した不法入国者数だけで2023年度で205万人、その前年の22年度は221万人と2年連続で200万人を超えています。
その結果、米国内の不法移民数は、1000万人にも達し全貌が見えないほどです。
トランプが今回第一陣で強制送還したのが4500人ですから、まだ前途迂遠です。
トランプもこんな初手からつまずくわけにもいかず、強硬な姿勢を保ちました。
ペドロは反発したそばから妥協を探っていたようで、両国は26日深夜に不法移民の送還で合意しました。
コロンビアに対するトランプの振り上げたこぶしは、他の中南米諸国を震え上がらせました。
中南米諸国は、どうせ本気でやるもんかとタカをくくっていた節がありましたが、一気に移民の受け入れを拒否すれば制裁を科される、ということが現実になったことで、態度を一変させました。
メキシコはクタクタとひざまずいたようです。
「メキシコ政府は、飛行機の到着も、強制送還者を乗せた飛行機を一定数受け入れる合意も確認していない。
しかし、メキシコ外務省は金曜日、自国民の国外追放をめぐってワシントンと協力する用意があると述べ、メキシコは「メキシコ人の我々の領土への到着を常に両手を広げて受け入れる」と述べた」
(AFP1月25日)
米国移民強制送還便がラテンアメリカに到着
「外交」というのは平場ではないというのがよく分かる事例になりました。
弱い国には外交はないのです。
だから一国1票の国連が、いかに機能不全であったとしてもなくならないはずです。
このコロンビア、グアテマラ2国に対する強制送還は手始めでしかなく、すでに米国移民・税捜査局は政権発足後精力的に不法移民を拘束しており、そのかずは4500名に登るそうです。
産経
「米移民・税関捜査局(ICE)は28日、不法移民ら969人を27日に拘束したと発表した。不法移民の大規模強制送還を掲げる第2次トランプ政権が20日に発足後、全米各地で摘発された犯罪歴がある不法移民らは4500人を超えた。
不法移民対策を担うノーム国土安全保障長官は28日、国土安全保障省で職員に対し「国を守るため、あらゆる法的権限を行使する」と宣言し、強硬姿勢を鮮明にした」
(産経1月29日)
第2次トランプ政権発足後の不法移民の摘発は4500人に 1日当たり700人超 - 産経ニュース 。
現在の強制送還は不法移民として拘束されていたものらが中心ですが、以後、米移民・税関捜査局か社会の中から不法移民を摘発することになるでしょう。
トランプ政権は不法移民で犯罪歴がある者を対象にすると言っていますが、正直、あまり見たくない風景です。
それはさておき、ここでトランプが使ったカードは三つです。
①関税引き上げ、②金融制裁、③渡航禁止、ビザ発給停止などです。
たぶんこんごこの三つを組み合わせて、強弱をつけてトランプの「こぶし」とする気のようです。
この中で最初の関税については明日に続けます。
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