• 20250317-110432
  • 20250318-013343
  • 20250316-080941
  • 20250316-082159
  • 20250316-160913
  • 20250316-162254
  • S-061_20250315055201
  • S-066_20250315055301
  • S-079
  • S-083_20250315055001

« スウェーデンの現実的新エネルギー政策 | トップページ | 日曜写真館 一茎の小夜の紫蘭にペンを擱く »

2025年2月15日 (土)

石破政権、尖閣のブイを撤去させてしまう

S-020_20240914025901

まぁ、なにやってんでしょうね、うちの国の政府。
中国様にありがたくもかたじけなくも、尖閣のEEZに作ったブイを撤去させてしまいました。
書き間違いではありませんよ。「させてしまった」のです。
わが国の主権内に作られた主権侵犯ブイを、まるでとうぜんのことのように中国が「勝手に」撤去したのです。

「日中間ではビザをめぐり双方が条件を緩和するなどして関係改善の動きが続いており、今回の発表はその流れを確かなものとしたい中国側の姿勢を反映したものといえそうだ。
中国外務省の郭嘉昆・副報道局長は同日の定例会見で「海洋気象観測ブイ」は「元の位置での運用任務を終えた」と説明。
ただ、設置については「中国の国内法や国際法にのっとったもの」と述べ、正当化した。中国は尖閣諸島を「釣魚島」と呼んで領有権を主張している」
(朝日2月11日)

中国、尖閣周辺のブイを撤去 日本側も確認 関係改善の姿勢反映か:朝日新聞

ダメでしょうって。あの違法ブイはわが国が撤去せねばならないものなのです。
極端に言えば、中国公船が撤去しようとしたら、それを阻止してでもわが国が撤去せねばならないことなのです。

しかし朝日さんの書きっぷりだと、まるで「関係改善の動き」、つまりは日中友好が進んでよかったね、万歳、ということに転じてしまっています。どーしてそうなる。
中国はあくまでもあの違法ブイ設置は「国内法と国際法に則ったせのだ」とシラばっくれており、そこの部分を世界に問うて行かねばならないのです。
それをみすみす手をこまねいて放置し続け、「勝手に」中国に撤去させてしまったのですからなんともかとも。

林官房長官など、まるでこの違法ブイが天然自然にそこに浮いていたとでもいわんばかりに「存在しないことを確認した」なんて言っています。

20250214-014540

ANN

「2023年7月に東シナ海の我が国排他的経済水域内で設置が確認されておりましたブイがEEZ内に存在していないことを海上保安庁が確認をしました」
また、林長官は東シナ海の日本のEEZの外に別の新たなブイが設置されていることを確認したと説明しました」
(ANN2月12日)
尖閣諸島周辺の中国のブイ撤去 与那国島南EEZ内のブイは残ったまま

違うでしょう。
あれは中国が尖閣水域を「国内・国際法」上中国の主権下にあると認識しているから設置したのです。
その主権侵害を問わず、口先で「毅然として対処する」と言うだけで撤去には小指一本動かさなかったために、勝手に中国に「撤去されてしまった」のです。
中国の言い分ときたら「任務を終了した」ですから、まるで予定通りの主権の行使だったみたいです。
こういうふざけことを言わせたら負けです。
日本の手によって撤去せねばならないものを、みすみす中国自身にさせてしまったのですから、そのノーテンキぶりにはほとほと呆れます。

いいかげん中国様のやり方を覚えなさい。

①初めはなんでもいいから言いがかりを吹きかけてくる。ネタは尖閣でも「放射能汚染水」でもなんでもよい。科学的根拠や国際法など気にしなくてよい。日本がいちばん嫌がる場所に現物を置くこと。
②世界に向けてその言いがかりネタをプロパガンダし、本来火のない所に煙は立たずなのに交渉案件にしてしまう。
③日本が口先で抗議してきても、柳に風と取り合わない。どうせ口でしか言えない腰抜けなのだ。
④ひとしきり騒ぎ立てて国際問題化して、てきとうに長期化したら、日本に貢ぎ物を持って来るように仕向けて一区切りつける。
⑤その頃にはオバーラップして新しい紛争ネタを作り出し、①に戻る。

20250215-001818

共同通信

ところで現実の経過はこのようであったようです。
違法ブイが設置されているという読売のスクープに対して、岸田政権幹部はこう答えたそうです。

「尖閣諸島の海域は、当然日本の海域だが、中国側も同様の主張をしているため、国連海洋法条約上、確定ができていない。国際海洋法条約では『他に主張する国家がない』ことが、EEZ認定の前提となるからだ。
 確定ができていない場合、ブイは公路障害物となって、設置した側が回収するのが国際法のルールだ。日本は普段、世界に向けて『法の支配』をアピールしているため、厳密に国際法に照らせば、できるのは中国側に撤去を要求することまでなのだ」
(近藤大介2025年2月25日)
【ようやく撤去】中国が尖閣付近に設置した観測ブイを1年7カ月も“放置”した日本政府、見透かされてしまった胆力 東アジア「深層取材ノート」(第270回)(1/4) | JBpress (ジェイビープレス)

EEZを国際海洋法では他に主張する国がいない場合にのみ認定するが、その「確定」ができていない、のだとか。
したがって「設置した側が撤去する」のが国際法である以上、中国が撤去するのを待っているしかない、とことのようです。
そのうえに、政府の船舶ではなきないので民間委託となるとめんどくさいことが派生する、と政府はこぼします。
いわく

「仮に強権を発動して撤去するにしても、政府には専用の回収船がないので、民間に委託することになる。その際、どの官庁が委託業務を担当するのか? 民間船が撤去業務を行う際の身の安全を、どうやって保証するのか? 中国側の不測の事態にどう対処するのか? ブイの撤去は、簡単なことではないのだ」
(近藤前掲)

いつまでも国際法とやらをコネくり回している愚かしい官僚どもめ、というところです。
明確な侵犯の意志をもって日本の主権を侵害する中国に対して戦わずして負けています。
というか、戦う気が初めからありません。いつもなぁなぁ、まぁまぁ、前例踏襲、すべてこの世は事もなし。

国際法を主権を守る武器としてとらえず、保身と責任をたらい回しの具にしているのが、わが国の凡愚の政治家と官僚たちです。
この違法ブイの件ならば、直ちに日本政府が堂々と事務的に、冷やかに、あたりまえのような顔して撤去するべきでした。
これができないのは政府主導にならず、官僚主導になっているからです。
民間委託するにしてもどの官庁がするのかでまよってなにもしないのですから、絶望的に暗愚な政府です。

要は、中国様を怒らせるとコワイということに尽きます。
中国は「力の信者」です。強く出れば引っ込みます。弱くでればつけあがります。
まるで子供のようですが、そのような国だと思ってつきあうしかない。

これが理解できないから、日本は負け続け、主権を削り取られていくのです。
気がついたら与那国島の久部良港にブイを置かれますよ。
なにせいまやこの時期に政府が習近平を国賓で招きたいと言っているのだから、ヘルプレスです。
こんな体たらくでトランプに「尖閣は安保第5条だから守ってくれ」などとよく言えたものです。
自ら守らない者がなにを言っているのやら。

宮古海峡を4万t級の新造したばかりのユーシェン級揚陸艦が、艦隊を引き連れてこれ見よがしに通過していきました。
こんなものをわが国との境界すれすれを航行させて、なにが友好ですか。
自衛隊が「中国海軍の巨艦」を確認! 空母のような強襲揚陸艦が宮古島沖に現れる ミサイル駆逐艦や補給艦も(乗りものニュース) - Yahoo!ニュース

 


 

« スウェーデンの現実的新エネルギー政策 | トップページ | 日曜写真館 一茎の小夜の紫蘭にペンを擱く »

コメント

ブナガヤさんこんにちは

 中国の対日戦略について非常に的確な分析だと思います。岸田政権で起こった諸問題、すなわち日本人ビザ手続き停止や福島原発処理水の海洋放出を理由とした日本産海産物の輸入停止もその背景は「政治的意図に基づく戦略的アプローチ」である可能性が高いです。

 またこのアプローチは韓国の対日姿勢にも類似の傾向が表れています。慰安婦問題の蒸し返しや所謂徴用工問題などがその典型です。

 そして問題なのはこのアプローチは繰り返されるほどに日本側の譲歩が膨らみ、時には主権が侵害されるような、さらなる要求にエスカレートする可能性があるということです。日本がどこまで譲歩できるかは未知数ですが、いつかその限界に到達した場合、重大な政治危機に発展してしまうでしょう。

JBpressの記事中で「毅然とした対応」の比較対象になっているフィリピンの場合は、中国の領有権主張を2016年国際法廷の判決が退けた海域に中国が設置した、ブイで固定されたロープと網で展開するバリアなので、条件が違うと考えます。
我が国が件の中共ブイを強制撤去したとして、その先で起き得ることは、海洋の科学的調査に基づく日本の観測ブイ、或いは、海保が運用する自律型海洋観測装置などを中共側が撤去ないし鹵獲を行なっても、我が国には返せる言葉がない、という状況です。
条約がEEZで批准沿岸国に認めるのは、
・天然資源の探査、開発、保存及び管理等のための主権的権利
・人工島、施設及び構築物の設置及び利用に関する管轄権
・海洋の科学的調査に関する管轄権
・海洋環境の保護及び保全に関する管轄権
です。(海上保安庁ホームページから引用)
「主権」ではないので、区別して「主権的権利」となっています。天然資源や海洋の科学調査についてに限り、法律を制定して罰則を設けられます。
外国が他国EEZで調査活動をするには相手国の同意が必要と条約で規定されていますが、その規定に反した海洋構築物設置に対して物理的対応ができる明確な規定や判例は無いところと、EEZの主張が重なり合っていて、撤去の根拠となる国内法が我が国に無いところを中共は突いているので、我が国がやれること・やった方がいいことがあるとすれば、国連海洋法条約にある穴をどう塞いでもらうことができるか。或いは、曖昧な海域にどう線を確定させるかと、国内法をどう整備するか。いずれも波高し。
今は「我が国は同意していない。中国の規定違反である」と常に表明し、撤去要請を伝え続けるしかないし、規定を破らず手続きを蔑ろにしないでいること、ぶっちゃけ、「だからといってそれをやっていいことにはならない」行動を、中共にさせて我が国はやらず、よりクリーンな被害者でいることで、条約批准国や自由世界の国際社会が我が国の味方をし易くするよりない。
私や誰かの気に入ろうが入るまいが、それが今現実にできる対応になります。これから何処へどう繋げていくか。
イギリスの歴史家トーマス・フラーThomas Fullerは「キツネを相手にするならキツネのように考えて振る舞え」'With foxes we must play the fox'と書いたそうですが、同じ狐になってしまってはいけない、その境目を歩くのは難しい。
キツネの目論見が、キツネ自ら選んだリスクのせいで破綻すれば、願ったり叶ったりなのですけれど。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« スウェーデンの現実的新エネルギー政策 | トップページ | 日曜写真館 一茎の小夜の紫蘭にペンを擱く »