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2025年2月11日 (火)

ビジネス・プレゼンのような首脳会談

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ゲル氏の訪米について続けます。
共同声明はこんなところです。

「黄金時代」というキラキラワードは大藤領就任式演説冒頭の一句を頂戴したのでしょうが、内容的には凡庸にして新味ゼロです。

整理すれば
①対中シフトのために南西諸島の防衛力強化。
②在日米軍と自衛隊の指揮・統制の一体化。
③防衛装備品の共同生産や維持整備に関し、日米の防衛産業の連携。

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安倍氏に及ばずも…石破首相、トランプ氏と相性の良さ見せる 掛け合いで会見場で笑い誘う - イザ!

当然のことながらゲル氏提唱の「アジア版NATO」構想などという空疎なものは影も形もなく(あたりまえだ)、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて共に協力していきたいに止まりました。
ただし、北朝鮮の非核化と台湾海峡の安定は会談ではあったようです。

米国は世界の盟主でありながら、同盟関係の国は日英しかなく、英国が労働党政権になってしまっために、これ以上の孤立は避けたいのが本音です。
トランプとしても、いいときに来たね、というわけで、ここで日本は忠実な同盟国であるぞという宣言をしたかったのでしょう。

実は米国に行く前から、外務省と国務省の担当官同士の細かい打ち合わせがあって出来ているのです。
これだけ大きな会談では、共同声明の概要から字句の調整まで徹底的に洗われていまから、意外性はありません。
決まっておらず直接の交渉となったのは、おそらくUSスチール問題くらいではなかったのかと思います。
だからツルッと行くかと思うとそうではないのです。
なんせ相手が最終的にはトランプ御大だからです。

トランプとの首脳会談はプレゼンのような部分がありました。
ともかくトランプは忙しいのです。
あれだけ強引なリベラル狩りをしながら、カナダやメキシコとは貿易戦争を開始しようとし、ネタニヤフを呼んではガザの相談し、ゼレンスキーとはウクライナ戦争の落とし所を探り、その他もろもろと普通の首脳の100倍くらいは忙しい。

そしてなにより野心的な首脳がそうであるように、自分が決めねば納得しないタイプなのです。
確かにマルコ・ルビオが国務長官をしていますが、なぜ彼にしたのか。
理念が近いのは当然として、前政権時のバランスがとれた国務長官のマイク・ポンペオや、頑固一徹の安全保障補佐官のジョン・ボルトンでは、自分が決められないからイヤなのです。

たとえばトランプは北朝鮮の正恩との直接交渉で、危うく核兵器の完全な放棄を担保できないまま妥結しようとしました。
止めたのはボルトンです。
また在韓米軍の撤退をすると何度か口にしてポンペオなどから、今はその時ではないと制止されたことか。
ですから、今のマルコがトランプの止め男になれるかどうかといえば、そうとうに不安です。
トランプその人に納得してもらわねば、なにも始まりません。

周囲に止められた場合、トランプは自分の息のかかった人物に特使の形で割り込むことをするでしょう。
実際にガザ問題では、ユダヤ系の富豪ステーブン・ウィトコフを特使に任命して送り込んでいます。
この人物はユダヤ系以外になんの実績もなかった民間人です。
トランプは直接対応したい場合、こういうことをする人なのです。

だからマルコがいくらバランスの取れた外交政策を持っていたとしても気休めにしかなりません。

「ルビオは中国のことを、「米国がこれまで対峙した中で最も強力でほとんど同レベルの力を持つ敵」と呼び、「21世紀を定義付ける脅威」と呼んでいる。
台湾については、「中国から台湾を防衛することは、米国にとって「必須(Critical)」」とし、「米国は、台湾を抑圧し、脅迫し、中国が望むように行動することを強要するためのあらゆる努力を拒否する」。そして、「中国は台湾にちょっかいを出すことを止める必要がある」としている。
同時に、「米国は1979年から一貫している『一つの中国政策』を継続する」とも発言している。これらの発言は、冒頭発言の中ではなく、その後の上院議員とのやり取りで出てきたものであり、ルビオの対台湾政策に対する関心の深さと準備の周到さが見て取れる」
「日米同盟だから」はもはや米国には通用せず!トランプと微妙に異なるルビオ国務長官候補の考えとは?  Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン) 

ですから、岩屋外相が訪米してこういう言質をとっても眉に唾をつけておいたほうが無難です。

「訪米中の日本の岩屋毅外相は1月21日、ルビオ氏と首都ワシントンで日米外相会談を行った。両外相は、今後も日米同盟を新たな高みに引き上げるとともに、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、日米で協力していくことで一致した。経済分野についても意見交換を行い、日本企業による対米投資や経済安全保障を含む日米経済関係の重要性を確認した」
ルビオ米国務長官就任、米国第一主義の外交政策追求、日米外相会談も実施(日本、米国) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ

ありていに言って、トランプの頭には「日本」の二字はなかったはずです。
今の日本はいちおう世界第4位ですから、経済的脅威とはみなされていないラッキーな位置にいます。

中国がいまのようなモンスターではなく、わが国が世界第2位だった70年代から80年代にかけていじめまくられました。

今はいい位置にいて、脅威とは目されずに、日米間は凪。USスチール問題以外に懸案がありませんからね。
では、懸案がなければいいのかというとそうではありません。
いままでの民主党系大統領なら自動操縦に任せておけばよかったので、就任初の首脳会談もただの表敬訪問でした。

しかしトランプは違います。
岡崎研究所はこのように述べています。

「さらなる問題は、トランプ政権の選択的関与の姿勢である。ルビオは公聴会の冒頭発言の中で、「トランプ大統領の下で国務省の最大の優先事項は、常に『米国』だ」と明言している。これはある意味当然だが、それ以上に、全ての計画や政策に使う資金は、米国を安全にするか、強くするか、裕福にするかの3点で評価される」としている。
この意味することは、「同盟だから」といって特別な下駄をはかせることは無い、ということだ。元々は、同盟関係に入ること自体それが米国のためになるとの判断があってこそのはずなので、これらの3つの要素に資するはずである。
日本のような同盟国にとって重要なのは、同盟関係を当然視せず、同盟の維持・強化が米国のためになることを常に説明していくことだろう」
「日米同盟だから」はもはや米国には通用せず!トランプと微妙に異なるルビオ国務長官候補の考えとは?  Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン) 

だからこそ、ゲル氏は徹底的にいかにUSスチール案件が、「米国を安全にするか、強くするか、裕福にするかの3点」であることを懇切にプレゼンしたのです。
ここさえ落とし込めば、あとの日米同盟や対中政策などは自ずと答えは決まっています。

 

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コメント

 金正恩が「寧辺の核施設を廃棄するので制裁を解け」といって、実際に入口付近を爆破したショーを見せられた時がありました。
「合意する事」そのものが目標になっていたトランプ、それを羽交い絞めして止めたのはジョン・ボルトン。今はボルトンもポンペオもおらず、あろうことか警護を解いた。こういう裏切りをすると、ルビオも思い切った反対には出られなくなります。
トランプによれば、「対人関係は友情かカネ」だそう。なんとも薄っぺらい考えですが、これに付き合い続けられるのは自身の信条を棚上げ出来る人だけかも知れません。

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