• 20250522-022216
  • 20250522-022718
  • 20250522-030230
  • 20250521-004451
  • 20250519-054718
  • 20250519-145622
  • 20250518-093208
  • 20250518-140611
  • 20250518-160806
  • 20250518-162028

« 旧統一教会に解散命令ですとさ | トップページ | 日曜写真館 乱るゝは風の当字や蘭の花 »

2025年3月29日 (土)

ロシアのNATO離脱工作はいまや8合目

016_20220115022701

トランプがウクライナ和平交渉でプーチンが遅延戦術をとっていることを認めました。
うぬぼれが強いこの男としては珍しい弱気ですが、なにをいまさら。

「ドナルド・トランプ米大統領は、ウクライナ戦争の早期終結に向けた自身の取り組みが思うように進んでいないことを認めた。その上で、ロシアが西側諸国からさらなる譲歩を引き出そうと、米国が仲介する停戦交渉を意図的に遅らせているように見受けられると指摘した。
トランプ氏のコメントは、ホワイトハウスが25日に黒海での停戦合意を取り付けたと発表した数時間後に出された。ホワイトハウスが合意を発表すると、ロシアは直ちに、停戦条件として西側諸国からの一段の制裁緩和を要求した。
トランプ氏は、ロシア政府が合意の履行を先延ばしにしていることを問われると、ロシア政府は「時間稼ぎをしている」可能性があると述べた。不動産交渉における自身の過去の戦術になぞらえた。
トランプ氏はニュースマックスのインタビューで、「私が長年やってきたことだ。契約書に署名したくない、ゲームにとどまりたい気持ちもあるが、そこまで乗り気ではない心境かもしれない」と語った。
(ウォールストリートジャーナル3月27日)
トランプ氏、ロシアが停戦合意で「時間稼ぎ」の可能性

プーチンを甘やかしたのは自分ではありませんか。
ゼレンスキーに対して「戦争を起こしたのはお前らだ」という正気とも思えない暴言を浴びせ、「もう勝てる可能性はない」と言ったのは、ロシアの領土要求に応じろという意味です。

20250328-015303

ベーアボック独外相

一方、ドイツのベーアボック外相は26日、こう分析をして見せました。
ちなみにベーアボックは反原発・反戦を掲げる緑の党党首ですが、この党もウクライナ戦争で急速に現実主義に目覚めたようです。

「26日、プーチンやクレムリンは、和平実現の願望について嘘をつき続けており、彼らの意向を真摯だと思ってはいけないと発言した。(略)
そしてベーアボック外相は、ウクライナへの大規模攻撃が続いていることは、プーチンが「戦場における事実を創出」しようとしていることを示していると強調した」
(ウクライナフォーラム3月27日)
対露穀物・肥料制裁など存在しない=ベーアボック独外相

ここでベーアボック独外相が言っている「戦場における事実の創出」とは、要はプーチンがこの交渉という手段を使って侵略地域を確定し、さらに拡大しようとしていることを指しています。
プーチンには停戦などする気はまるでありません。
ここで停戦したら彼が目標としていたウクライナ全土の制圧はおろか、4州の完全支配、クルスクからのウクライナ軍の放逐にははるかに遠いからです。

しかもいまや戦争前まで黒海艦隊が有していた黒海の制海権すら失いかけています。
せめて「非ナチ化」としてゼレンスキーの追放くらいは勝ち取らないと話になりません。
そのためには戦争中にもかかわらず、指導者を代えることを意味する大統領選の実施が必要です。
戦争中に指導者を代えるというのは非常識の極みですが、トランプはゼレンスキーに対して「お前は独裁者だ。選挙をしていない」と罵りました。
トランプの言い草はプーチンの「非ナチ化」要求に応じたもので、いわば大戦中にヒトラーからルーズベルトを代えろといわれてハイハイと従うようなものです。
もうプーチンの言うなりになれば「平和が来る」と思っていたようです。
しかしプーチンはそれほど甘くはなかったようです。

そりゃそうでしょう。
いくら人命が安いロシアだろうと、すでに最低で9万5千人、最大で20万以上の戦死者を出しているのです。
あのソ連崩壊の引き金となったアフガン戦争すら戦死者1万5千人なのですから、推して知るべしです。

「ここ数か月の間に死亡した兵士の遺体の多くは戦場に残されたままである可能性が高いことなどから、ロシア軍兵士の死者数は、14万人から最大で21万1000人以上に上る可能性があると指摘しています」
(NHK2025年2月22日)
“ロシア軍兵士 死者数は9万5000人以上” 英BBC独自調査を報道 | NHK | ウクライナ情勢

これだけの損害を出して収穫なしではいくら全体主義国家だといえど政権が持ちません。
ベーアボックはこう述べています。

「過去3年間、ロシアは、嘘や戦争プロパガンダは言うに問わず、偽りのナラティブもまたたゆまず推し進めてきたと指摘した。
その際同氏は、「ロシアが言うような、穀物や肥料に対する制裁など存在しないのだ。そのような制裁は過去3年間なかった。ロシアは、世界における穀物と肥料の最大の輸出国の1つであり、それは貿易が完全に可能であることを示している」と強調した上で、国連事務総長が技術的問題の解決手段の模索の努力をしていたが、ロシアは繰り返しその提案を拒否してきたことを指摘した。
同氏は加えて、「特に、黒海とウクライナの穀物に関しては、プーチンは世界で最も貧しい人々には一切の関心を示すことがなく、他方で、世界の最も貧しい人々の問題と挑戦を繰り返しもてあそんできた」と喚起した」
(ウクライナフォーラム前掲)

プーチンは平気で嘘をつきます。まるで穀物輸出の激減の原因が経済制裁にあるかのように言っています。
実際は、ウクライナの穀物輸出を妨害してきたのは黒海艦隊とロシアが大量に敷設した機雷が原因です。
2022年7月に「黒海イニシアティブ」という平和的に穀物輸送するための協定がロシアと国連の間でとりかわされました。
しかしこれを一方的に破って、ロシアは翌年7月には黒海での船舶航行制限、封鎖地域の拡大の強硬策に走ったために、実質上ウクライナは自国の港から海上輸出が出来なくなりました。
現在ではいたしかたなくルーマニアまで陸路で運び、そこから海上輸出しています。

ロシアに対して最も効いている経済制裁は原油輸出ではありません。
原油については、中国とインドが買いたたいて引き取ってしまったために問題なく流通しているようですが、問題は海外におけるロシア資産の凍結です。

20250328-041339

CNN

「欧州はこれまでのところ、欧州連合(EU)が押さえているロシア中央銀行の現金2290億ドルに手を付けるのを拒んでいる。この現金は、ロシアのプーチン大統領が2022年にウクライナへの全面侵攻を行った後で凍結されたものだ。
しかし先週、フランスの議員らは政府に対し、ロシアの凍結資産の使用を求める法的拘束力を持たない決議案を可決した。使用目的は「ウクライナの軍事支援並びに復興の資金に充てる」ことで、とりわけ利息による収益ではなく資産そのものの活用を明言している。
米国とカナダは既に政府の権限を強化する法律を導入。ロシアの凍結資産の差し押さえを可能にしている。米国ではバイデン前政権の最後の日々、欧州の同盟国に向けて、動かせない状態にあるロシアの資金を差し押さえるよう説得を試みてもいた。
その方面では先週、一定の進展がみられた。欧州議会が同意した決議は、ロシアの凍結資産をウクライナの「防衛と復興」のため差し押さえるという内容だった。現時点で決議の文言に関して、欧州議会議員による採決はまだ行われていない」
(CNN3月22日)
ウクライナ支援の資金が必要な欧州、ロシアの資産に手を付けない理由は - CNN.co.jp

現時点で、ヨーロッパはロシア海外資産を差し押さえていますが、現物そのものに手を着けずその利息のみをウクライナ支援に当てています。
それも不都合だから全面的に経済制裁を解除しろ、これがプーチンの和平条件です。

プーチンの主敵はNATOです。
ヨーロッパとは国境を接しており、歴史的にも確執を繰り返してきた地域です。
旧ソ連の時の最大版図(そのなかにはウクライナやバルト三国も含まれていましたが)を回復させ、近隣国をバッファにしてロシア、東欧、中欧に及ぶ広大な勢力圏を回復するのがプーチンの目標です。
米国はNATOの後ろ楯となり、強大な軍事力を提供しているから問題なのであって、実は二の次の敵にすぎません。
いくら頭のおかしな独裁者でも、米国と真正面から核戦争をする気はないのです。

ですから、ロシアの最大の戦略目標はNATOの解体です。
とりあえずはウクライナのNATO加盟を阻止し、米国のウクライナへの軍事援助停止させ、しかる後に米国のNATO離脱を実現したいと考えてきました。

米国がNATOから離脱すれば、NATO体制は崩壊するでしょう。
米国が西側諸国に対する覇権を喪失して世界を安定させているパックス・アメリカーナも同時に崩壊します。
そうなればいわゆる「西側陣営」は瓦解し、その後に現れるのは、ロシア圏、西ヨーロッパ圏、中国圏、そして縮小して米国だけとなってしまった米国圏というブロックです。
このブロック間の合従連衡が21世紀中葉の世界地図となるかもしれません。まさに悪夢です。

おそらくプーチンは今までありとあらゆる機会を通じてトランプの耳にNATOへの不信を吹き込み、離脱をそそのかし続けたはずです。
実は第1次政権時代の2018年にもトランプはホワイトハウス内で何度も「NATOからの離脱」を口にしたと言われていますが、その都度ジョン・ケリー首席補佐官、ジョン・ボルトン、ハーバート・マクマスター国家安全保障問題担当補佐官らの猛反対に遭い、引き下がらざるをえませんでした。
このことはただの噂ではなく、ボルトンが本に書いています。

トランプは第1次政権当時から、プーチンとは深いつながりを持っていたようです。
側近やスタッフを部屋から追い出して、プーチンと電話で話しこんだことも何度も目撃されています。
とまれこのようなプーチンとの関係を、トランプは深い信頼関係と考えており、今回の和平交渉もスラスラといくと考えていたようです。
それがこのザマです。
いまやこのロシアの工作は8合目まで到達しました。もう一息で西側陣営は崩壊します。

もういいかげん眼が冷めて欲しいものです。

 

 

« 旧統一教会に解散命令ですとさ | トップページ | 日曜写真館 乱るゝは風の当字や蘭の花 »

コメント

 ボルトンは前々から、トランプのディール外交を「国家指導者同士の取引で決まるものと勘違いしていて、その意味で専制的な指導者のみがトランプの好みとなる」と本質を言い当てていました。正恩とのときもそうで、危ういところで周りがトランプを羽交い絞めして止める事が出来た。それがトランプは相当恨めしかったんでしょう。ボルトンやポンペオへの要人警護を解きました。これじゃ、WHの誰もトランプにご注進に及ぶ人間がいなくなる。

先週だったか、このブログ主はトランプ支持派だったのでは?と批判的なコメントありましたけど、数年前とは世界の状況が変化しており2期目のトランプには「止め男」がいません。忠犬のワンコしか周りにいませんから。
バイデンの無力ぶりを批判しただけでトランプ擁護派扱いはありえません。
私もそうです。状況次第で物事は是が日々にかわりますよ。
で、現在は軍事機密情報がSNSに漏らしたり、欧州での秘密会議に夫人を同伴させたりというスキャンダルになっています。

で、今度は輸入自動車に25%の追加関税を掛けると決めた上で各メーカーには昨夜「クルマ値上げすんな!」です。
もう本当にトランプさんは商人なのかすら疑われる発言。そんなの無理に決まってますよ。国内支持層向けに「オレはこんなに発言力があるんだ」アピールなのだろうけど、さすがに無茶でしょう。
安くしろと言うなら米国政府がその分を補助するしか無いです。つまり「関税」というのは米国民の税金から払われる物だということを分かっていないようで···。

さらに元々窮地だった独VWなんかは、ここに来て生産ラインを戦闘車両に切り替えるとか。マトモに稼働するのはかなり先でしょうけど。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 旧統一教会に解散命令ですとさ | トップページ | 日曜写真館 乱るゝは風の当字や蘭の花 »