トランプの田舎成り金的視野狭窄
トランプとベンスはあのホワイトハウスゼレンスキー追い出し事件で盛んに「感謝しろ」と叫んでいました。
こんな調子です。
「君はもうたくさん話した。君が勝つことはない」と、トランプ氏がゼレンスキー氏にある時点で告げた。「感謝しなくてはならない。君には切り札がない」と。
これに対してゼレンスキー氏は、「私は(カードゲームの)トランプをやっているのではありません」と答えた。「私は大まじめです、大統領。私は戦時下の大統領なのですから」。(略)
ヴァンス副大統領は「この会議中で君は一度でも『ありがとう』と言ったか? 言っていない」と重ねて非難した」
(BBC3月1日)
ホワイトハウスで激しい口論 ウクライナとアメリカ大統領の間で何が - BBCニュース
これほどまでにくどくどと被侵略国の元首に「感謝しろ」なんて言わなければ、そりゃ有り難うございましたでお終いにすべきです。
ゼレンスキーも同じだったろうと思いますが、「お前が勝つことはない」とか「オレがいなければ3日でこの戦争は終わってた」「感謝が足りない」なんて言われれば、江戸ッ子ならずともてやんでぇ、ベラボーめ、血を流して戦っているのはこちとらだ、と思って当然です。
BBC
では、このホワイトハウスの主のいうことは丸々ホントでしょうか。
もちろんウクライナ支援の多くは米国が出したこと自体は事実です。
しかしそれは半分だけホント、半分は言わないでおこうね、という類にすぎません。
見せたくない反面とはなんでしょうか。
ウクライナ支援について米保守系シンクタンクアメリカン・エンタープライズ研究所の調査が出ているので参考になります。
ウクライナ支援の概要 |アメリカン・エンタープライズ・インスティテュート - AEI
このレポートはこう結論づけています。
「ウクライナ支援総額の約70パーセントは、米国または米軍に費やされている」
上図の青色が米国内への支出で、黄色部分がそれ以外です。
2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以来、米国がウクライナに提供した援助所は1750億ドル(約26兆3600億円)、うち約70%が米国内の軍事企業と米軍に費やされています。
高橋浩祐氏(米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員)が解説しておられます。
氏によれば、この「米国のウクライナ支援」として一括りに言われているものはいくつもに分かれています。
「例としては、大統領権限による米軍備蓄の放出分(PDA)、対外軍事資金プログラム(FMF)、ウクライナ安全保障支援イニシアティブ(USAI)などが含まれる。
PDAはウクライナに武器を供給し、その在庫を補充するために米国企業に資金を提供する。FMFは外国に米国企業から武器を購入するよう促すことで、米国企業に対する需要を高める。USAIは多くの場合、米国企業との契約を通じて、ウクライナに情報と兵站支援を提供する。追加の援助は、海外での米軍のプレゼンス強化に充てられる」
トランプ氏「ウクライナは感謝しろ」 でも米国によるウクライナ支援の7割が米国内か米軍に費やされている(高橋浩祐)
たとえば米国はミサイルや砲弾を米軍備蓄から供与し、米国軍事企業にそれを補充することで米国経済の利益としています。
米国のウクライナ支援パッケージには必ず「装備提供」と「弾薬提供」の両方が含まれています。
HIMARS向けGMLRS弾(誘導型MLRS弾)
米国陸軍
むしろ弾薬提供の割合が大きく、レズニコフ国防相は「HIMARS向け弾薬と155mm砲弾×75,000発が含まれている」と言及しています。
このHIMARS向け弾薬(GMLRS弾)は1発16.8万ドル(約2530万円)と非常に高価で、フル装填(6発)のランチャーでHIMARSが攻撃すると1回100万ドル(1億5,586万円 )ものコストがかかります。
ただし精密攻撃ができるためにウクライナは大量供与を要望し、米国は数万発提供したと言われています。
しかし米軍とてこれほど高価な兵器の備蓄が無尽蔵にあるわけではないので、一時米陸軍ですら備蓄不足を来したようです。
「米国指導部はウクライナへの支援をやめるつもりはなく、定期的に新たな援助パッケージを作成している。 GMLRSミサイルも含む。その結果、配備されるミサイルの総数は増え続けており、米軍の予備軍は減少している。
2022年末に遡ると、米国は既存の在庫からの武器と弾薬の供給を通じたウクライナへの支援の悪影響について話し始めた。このようなプロセスは、遅かれ早かれ、彼ら自身の埋蔵量を危険なレベルまで枯渇させることになるだろう。将来的には、米軍自体が弾薬不足の問題に直面する可能性すら出た」
GMLRSミサイル製造:大きな計画と新たな問題
このGMLRS弾はノースロップ・グラマンを主契約者として多くの下請けで製造されています。
国防総省はこの備蓄不足に対して補填を開始しましたが、その時に使われた財源が前述のPDA(大統領権限による米軍備蓄の放出)でした。
米国はウクライナに対しての供与によって需要を創出していたわけです。
備蓄が減れば、減った分米国企業が儲けるという仕組みです。
トランプという御仁は貿易赤字の事もそうでしたが、私企業の親父体質がぬけきらないところがあります。
貿易赤字なんぞ、国内重要の引きが強いから輸入しているわけで、国家指導者としては歓迎すべき経済現象なのに、ぎゃーぎゃー騒ぎ立てます。
このウクライナ支援手もしっかり米国産業は儲かっているのですから経済が回ってウェルカムとならねばいけないのに、「米国はお前らにあまりにも支援しすぎて貧しくなった」なんてトンデモなことを言い出します。
そりゃ企業なら資産ストックがどんどん減れば経営が傾きますが、国家規模の経済ではひとつの不足は別の需要を生み出しているのです。
軍の備蓄放出は当該の産業にとってウェルカムなはずですが、なぜこんな簡単なことがわからないのでしょうか。
そしておおいばりで「俺様がお前にを助けてやったんだ。感謝しろ」と恩を着せるんですから、たまったもんじゃありません。
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バイデンが良く言ってました。「ウクライナ支援は米国経済に貢献している」と。トランプは反民主党である事と親露が同義と考えているようで、いまやグラマンに限らず米軍需産業体からの批判が絶える事はありません。そりゃそうで、トランプの政策のせいで米国製軍需品の売り先が細ってしまってどうしようもない。
頼みのプーチンはトランプを前政権時代から小馬鹿にしている事おびただしく、そうした真実をいまだ知りもしない「ロバ耳の王様」化しています。VOAを解体したり、極めつけはロシアが連れ去ったウクライナの子供たちの探索部門まで廃止。
下劣な上にバカが付く品性のなさ。こんな者をいつまでも持ち上げている共和党は、まちがいなく大敗を喫します。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2025年3月19日 (水) 18時13分
以前はトランプを応援してませんでしたか?
あの時に反対してた人の切実さがやっと理解できたのではないでしょうか。
投稿: tt | 2025年3月19日 (水) 20時20分