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2025年3月21日 (金)

そして誰もいなくなった

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先日の記事にしたように、トランプはヨーロッパを「敵」に回してしまいました。
もちろん今はそんなことを口にするほど愚かではありませんが、前々からくすぶっていた米国への不信感が一気に脅威へと駆け上がったようです。
今でこそヨーロッパ各国は表面的には米国との正面対決は避けて穏便に済まそうとしていますが、明瞭に米国離れの準備を始めています。
EUは共通債発行することで、米ドルに代わる世界の準備通貨としてユーロを強化し、それを財源として独自軍事力の強化に進もうとしています。
いままで最小限にしていた軍備を飛躍的に増強しようという大転換です。

「欧州連合(EU)は全欧州的な防衛を強化するため、1500億ユーロ(約23兆4000億円)の融資を提案する予定だ。トランプ米大統領が欧州大陸への安全保障提供を後退させていることを受け、長年にわたる防衛費の過少投資を補う。
EUの行政執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長が4日ブリュッセルで発表した」
(ブルームバーク3月4日)
EU、1500億ユーロの融資を提案へ-全欧州的な防衛強化に向け - Bloomberg

これは表面的には、トランプの要求の防衛費増額要求に沿ったものですが、 いままでならこの新規の23億4千億円の軍事投資の多くは米国製兵器に流れたでしょうが、今回は違います。
ヨーロッパは自前の武器を開発し、製造することを目指しています。
たとえばヨーロッパの戦闘機は米国製アムラームに代わって欧州製ミーティアを搭載するようになるでしょう。

すでにその兆候は現れています。
象徴的な例が最新鋭ステルス戦闘機F-35です。
この機体は空自も運用していますが、一定以上増やすつもりはないようです。
なぜならこの機体は西側汎用戦闘機として作られたために、米国の意志次第で生かすも殺すも自由だからです。
F-35は機体のハードよりもその運用ソフトのほうが重要です。

高度なセンサーとアビオニクス、ネットワーク機能などのソフトウェアは、逐次定期的なアップデートがなければただのドンガラと化します。
このソフトのアップグレードの支配権を握っているのは米国です。
米国が以後お前の国のF-35はサポートしないからといわれればそっれっきりです。

いままでは、トルコのようにロシアから迎撃ミサイルシステムを導入するなどという背信行為をしない限り米国はそのようなことをしないという大前提に立っていましたが、トランプとなって一切の前提が崩壊しました。
同盟国のデンマーク領グリーンランドを併合する、軍事力行使も厭わないと言ってみたり、隣国カナダには「米国の51番目の州になれ」と脅したかっと思うと、ウクライナ戦争の原因はウクライナとヨーロッパにあるとも放言、徹底的にプーチン側につきました。

そしてそれに抵抗したウクライナには、軍事支援と軍事情報提供を停止したためにウクライナはそれが原因でロシアのクルスクの大部分をロシアに奪還され、その際ウクライナ軍は多くの戦死者を出しました。
このように仲介するといいながらロシアに有利に事を運び、その責任をウクライナとヨーロッパになすりつけたわけです。
このような所業はいままで米国が一度たりともしたことのないことで、ヨーロッパはトランプこそ「脅威」そのものであると認識したのです。
トランプなら気に食わないことをした同盟国のF-35のサポートを突然停止するくらい朝飯前だと感じたのです。

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【解説】ロシア国内ではトランプ・プーチン電話会談はロシアの勝利と BBCロシア編集長 - BBCニュース

ポルトガル空軍は米国製F35の導入を止め、欧州製に切り換えました。

「ポルトガル空軍はF-16戦闘機の後継機としてNATO主要国であるイギリスやドイツ、イタリアなどと同じようにアメリカのロッキード・マーティン社が開発生産するF-35戦闘機の購入を計画していたが、地元メディアのパブリコによれば同国のヌーノ・メロ国防相は、メディアのインタビューに応じ「F-35を採用するか?」との問いかけに、「選択をする際に地政学的環境を無視することはできない。NATOにおける米国の最近の立場を考えると、同盟国の予測可能性は考慮すべきより大きな資産であるため、最善の選択について考える必要がある」と答えたと報じられており、今のアメリカからF-35を購入する事は地政学的に危険であり、信頼できる欧州から購入する事を検討する事を表した形だ」
(ミリレポ3月15日)
米トランプ政権信用できず!ポルトガルがF-35購入を見直し│ミリレポ|ミリタリー関係の総合メディア

今後このような流れは止まらないでしょう。
米国はわずかの期間にヨーロッパにおける外交資産のほぼすべてを失ったのです。
それと同時に米国軍事産業もまた巨大なお得意を失ったことになります。 

また同時に米国の核の傘からの離脱も開始され、英仏が代わってヨーロッパの核の傘を提供するようになるでしょう。

「フランスのマクロン大統領は5日、自国の核抑止力を欧州同盟国の防衛に活用することについて協議に入ると明らかにした。
マクロン大統領はテレビ演説で、「フランスの核抑止力を通じて欧州大陸の同盟国を防衛する戦略的議論を開始することを決断した」と述べた。  欧州連合(EU)首脳は6日にブリュッセルで緊急会合を開き、ウクライナ情勢と欧州大陸のより広範な安全保障に関して協議する。マクロン大統領は、ドイツのメルツ次期首相からの要請を受けて今回の決断に至ったと述べた。
EUと加盟国はロシアによる侵略の脅威に対抗するとともに、トランプ米大統領が欧州安全保障への米国の関与を劇的に後退させたことを補うため、数兆ユーロの追加防衛費の確保を急いでいる。米国の核安全保障の傘はこれまで欧州にとって中核的な抑止政策だった」
(ブルームバーク3月6日)
フランス、核の傘を欧州同盟国に拡大する協議開始へ-マクロン大統領 - Bloomberg

そういえば、日本に対しても「オレが守ってやっている。お前の国はオレを守らない」と言っていますが、心底ダーッとなりました。
トランプは、米国の国際戦略と日本の防衛がうまくマッチングしていることがわかっていないのです。
日本も心したほうがよさそうです。
米国は日本をカードにして中国とディールするかもしれませんよ。
ウクライナでわかるとおり、彼の頭には小国の主権などみじんもありませんから。

 

 

 

 

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コメント

バラク・オバマが「米国は世界の警察である必要はない」とかなんとか語るなどパクス・アメリカーナの時代が終焉を迎えつつあることは肌感覚として分かりつつありました。日本のような平和ぼけ国家でも「自国のことは自国で」という機運が高まり始めたのもその証左でしょう。

とはいえ、痩せても枯れても米国は諸外国にとってスーパーマンやアンパンマンたり得るとの希望もあったわけですが、ここへきて露わになってきたことは、残念ながら正義の味方どころではなく単なる「ジャイアン」であった、ということでしょう。それも規模的に見れば一番やっかいなジャイアンで、民主主義という立て付けで救われるところはあるもののそれはそれは巨大なジャイアンであったと。

笑うに笑えませんけれど・・・。

 次世代戦闘機開発を英・伊と組んで開発する方向性は、正しかったようです。

記事、最後の三行。ここが重要です。
国家情報長官のトゥルシーギャバードは「中国と戦争になる場合、それは日本が仕掛けた時だ」とのたまいました。1945年から変わっていない歴史認識に啞然としますが、こういうのがあらゆる情報を整理して大統領に出しているので、「ウクライナ戦争はウクライナが仕掛けた」という事になるワケです。 
また、なかった事にされているようですが、ヘグゼスは在日米軍予算の削減を言いました。こんな輩たちが米政府の中枢なのに、「来るべき対中強硬方針のために、ロシアと組むのだ」などと我が国保守派は言うのか? 暗澹たる気分にもなります。

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