やる前から負けていた日米交渉第1ラウンド
SUMさん、「国家自由主義経済」とは私の造語ですが、共産党が統制する専制的で独裁的な国家経済のことです。
自由主義圏のそれのように、国家の干渉や統制を最小限にするリベラルな経済と対称させて使っています。
さて、第1回目の日米交渉が終わりました。
なんにも決まらなかったようですが、完全に米国ペースです。
「日米両政府は16日(日本時間17日午前)、米政権の関税措置を巡って閣僚級の交渉を米首都ワシントンで行った。交渉に先立ち、赤沢亮正経済再生担当相がトランプ米大統領とホワイトハウスで会談した。赤沢氏は閣僚交渉後に記者会見し、米国側から関税の取り下げについて確約を得られず、継続協議になったことを明らかにした。
赤沢氏は会見で、閣僚交渉で米政権による一連の関税措置が「極めて遺憾だ」と伝え、見直しを求めたと説明した。トランプ氏は赤沢氏と会った際に、対日交渉を最優先で進める意向を示したという。
両政府は今月中に次回の閣僚会合を調整し、事務レベルでも協議を進めることで一致した。日米双方が早期に妥結し、両国首脳による合意発表を目指すとした。
閣僚交渉には、米政権からベセント財務長官とラトニック商務長官、通商代表部(USTR)のグリア代表が出席した」
(産経4月17日)
日米交渉、関税取り下げは継続協議 トランプ氏「大きな進展」、赤沢担当相は「遺憾」伝達 - 産経ニュース
たぶんこんな中国貿易の制限も言われたでしょうね。
「トランプ米政権は関税交渉を利用し、米国の貿易パートナーに中国との取引を制限するよう圧力をかける計画だと、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。
事情に詳しい複数の関係者の話としてWSJが報じたところによると、ホワイトハウスが課す貿易・関税障壁を削減することと引き換えに、貿易相手国から中国経済を孤立させる上での確約を引き出すのが狙い。
米政府関係者は70カ国余りとの交渉を通じ、中国が自国経由で商品を輸出するのを認めないことや、中国企業が米関税回避のため拠点を置くのを防ぐこと、中国の安価な工業製品を自国経済に取り込まないことを要求する計画だという。
こうした措置は、中国経済に打撃を与え米中首脳会談を前に中国側の交渉力を弱めるのを目的としており、具体的な要求内容は各国の中国経済への関与により大きく異なる可能性があるとしている」
(ブルームバーク4月16日)
トランプ米政権、関税交渉を利用し中国を孤立させる計画-WSJ紙 - Bloomberg
なぜ日本が最初の交渉国になったのかわかりますね。
最弱の交渉国だからです。
余裕の笑みを浮かべるトランプの横でコチコチになって突っ立っているのがわれらが赤沢氏です。小者感満載。
自分で「格下の私に会って頂いて」というようなことを赤沢氏は言っているようですが、どうして突然予定になかったはずのトランプが飛び出てきたのかわかりますでしょう。
相手を呑んだんです。
そもそも、こんな第1回交渉に赤沢氏などという「大臣もどき」を出すこと自体非常識でした。
外交交渉には暗黙のプロトコルがあって、向こうが大統領というトップを出したら首相を出すのが礼儀です。
ベセント財務長官が出てくるのが分かっていましたから、日本からはカウンターパートの加藤財務大臣が行くべきです。
財務大臣なら関税は所轄ですしね。
できないならば、財務、外務、総務、経産、防衛という主要閣僚から選ぶか、自民党の幹事長、ないしは幹事長経験者が妥当でしょう。
最良なのは、かつての安倍政権下でシビアな交渉をしぬいた茂木氏だったでしょう。
茂木氏なら前回の日米交渉の裏の裏まで熟知し、交渉も英語でできるというこれ以上ないキャラでした。
あの人は首相という器ではないが、外国との交渉をまとめることにかけては今の自民で頭ひとつ抜けています。
赤沢氏が1番バッターで出たとき、世界はため息をついたことでしょう。
ああ、これでトランプの横暴がまかり通る、次の交渉国が大変だ、とね。
ゲル氏は、経済再生担当相という所轄官房を持たない人物を送ってどうするつもりだったのでしょうか。
ですから交渉役は、麻生氏か加藤氏、茂木前幹事長が妥当だったはずなのになんで赤沢氏を送ったのか、ゲル氏がいかに党内で頼れる「友達」がいないのか分かります。
第1回交渉役は、交渉の範囲を決定する重要な1番打者ですから、米国はトランプ御大を送ってきて一瞬で交渉範囲を確定させてしまいました。
やる前から負けです。
そもそもゲル氏くらい交渉ごとが苦手な人はいませんから。
彼の得意は評論です。
たぶん日米交渉は、対中貿易制限を呑まされて、日米安保の「おもいやり予算」を増額させられ、ドル高を容認させられ、米国武器やエネルギーはしこたま買うことになり、結局関税はほとんど負けてもらえないということになりそうな予感がします。
そして自民党、夏の参院選で大敗して下野。
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中国に近い同盟国で経済規模が大きくて、一番チョロそうな日本が真っ先にやって来た!と世界向けに宣伝する目的で急遽トランプ大統領ご本人をぶつけて来たんでしょう。
赤沢さんなんてそれこそ小物ですけど、会談後に自ら言うって···そんな謙った態度なんか日本人の美学かもしれませんが、外交では通用しませんって。。それこそ笑いものです。
それにしても、「とりあえず強く当たっておいて、あとは流れで」の後に用意しといた罠に追い込むトランプスタイルの凄まじさ。今や誰も止めないし、朝令暮改なんか普通で反感買えばイーロン・マスクですらすぐに切られる。さらに司法までやりたい放題というのは大統領権限としては強すぎます。
日本は何も抵抗出来ないからご機嫌取りするしか無いというBBC他のメディアの読み通りに今の所なってますね。。
宥めすかしたり間違いを丁寧に指摘して笑顔で握手出来るような人材が今の日本政府にはいないです。。
投稿: 山形 | 2025年4月18日 (金) 08時00分