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2025年4月22日 (火)

中国コンテナヤードがガラガラ

S24-055

中国が深刻な経済停滞に襲われているようです。
これまでの過剰生産をなんとか強引な輸出でカバーしてきたものが、このトランプ関税で一気に宿痾の病が吹き出しようです。
強気の中国政府とは裏腹に、関税戦争の波をもろに食らって、大量の商品が輸出できずに港湾のコンテナヤードに滞留している様が報告されています。
米国への輸出企業は受注ゼロとなり、また輸出産業だけではなく、多くの関連企業が今月末からのメーデー連休明けに仕事を止めるか、労働時間を圧縮することを選択せざるを得なくなっています。
この現象は輸出企業が集中する浙江省だけでなく、蘇州、江蘇省、東莞、広東省などにも広がっています。

20250421-054646

東経

「米中貿易戦争が激化する中、中国の主要輸出省である浙江省は、かつてない課題に直面しています。 大量の商品が滞留し、海外からの注文が急激に減少したため、多くの企業がメーデー後の業務停止や労働時間の短縮を余儀なくされています。 この現象は浙江省だけでなく、蘇州、江蘇省、東莞、広東省などにも広がりました。
中国の「メーデー」休暇が近づき、何百万もの外国貿易工場が米中貿易摩擦の影響を受け、米国の注文はほぼゼロに戻りました。 浙江省、江蘇省、広東省、その他の南東沿岸地域の外国貿易企業は、前例のない「集団休暇の潮流」を先導しています。
Douyinプラットフォームで拡散された複数のビデオによると、メーデー以降、浙江省の外国貿易企業の50%以上が長期休暇のために仕事を停止します。 この現象は、浙江省から蘇州市、江蘇省、東莞市、広東省、その他の重要な輸出都市に広がり、現在の中国の対外貿易の寒い冬の縮図となっています」
(ラジオフリーアジア2025年4月17日)
外国貿易企業「集団休日の潮流」中国の貿易業者:「数十年ぶりの経済状況」 – 北京語ホームページ 

ラジオフリーアジア(RFA)は米国が流している宣伝放送なので割り引いてみていましたが、中国の独立系メディアである「財新」からの別の情報も届いています。

「埠頭のコンテナヤードに、空きコンテナが溢れんばかりに積み上がっている。こんな光景は何年も前から見たことがない」。中国最大級のコンテナ港である上海港で荷役作業に携わるオペレーターは、そう困惑した表情で話す。これは上海港だけの話ではない。中国各地の大型コンテナ港に、うずたかく積まれた空きコンテナの山が出現しているのだ」
(東経2月27日)
中国の港に「空きコンテナの山」が積み上がる事情 コロナ禍での不足から一転、深刻な供給過剰に | 「財新」中国Biz&Tech | 東洋経済オンライン

中国経済は米国市場をアテにして作られてきました。
たとえばこの浙江省は中国の主要な対外貿易地域であり、2024年には輸出が省のGDPの実に70%を占めています。
つまりほとんどが米国向けで省の経済が成り立っていたのです。
これは習近平が打ち出した「双循環」政策といって、国内経済循環と国外経済循環をリンクさせた戦略が破綻したことを意味します。
国内の輸出企業の85%以上が国内販売もしていますが、輸出が主で内需が従であるために、企業本体の経営が行き詰まってしまいました。

「浙江省嘉興市では面積2万平方メートルの倉庫内で、対外販売が滞留している商品が山積みになっている。ある動画で、撮影者が、米国では売れば本来数十ドルする商品が、今や数ドルの値段でも誰も欲しがらない、と嘆いていた。」「関税戦争によって、外国に輸出できずあぶれた商品は、まったく悲惨な状況で、米国で一着100ドルで売ることができていた洋服が、今や一トンいくらで投げ売りされている。一着平均、数セントぐらいになって、この2万平方メートルの倉庫で塩漬けなっている」
(RFA前掲)

習近平の経済政策は土地を担保にジャンジャン低利で融資して、過剰生産もなんのそので安価で売りさばいて相手国の市場を独占してしまうという方法でした。
普通の自由主義経済ですと、過剰生産は国内市場の需要の収縮により在庫過剰となって頭打ちとなるものですが、中国は無制限な海外輸出をかけることで過剰生産を続けたのです。
スゴイね、この国。まるで19世紀の野蛮な帝国主義国家だよ。マルクス先生もビックリ。
ついでに南シナ海要塞のように領土侵略もするのですから、まがうことなきリッパなオールドタイプの帝国主義です。
それはさておき当然ダブついているものを輸出しているのですから叩き売り、ダンピングです。

その結果、起きたのが市場の飽和による価格低迷と輸入国の怒りでした。

「中国指導部でさえも危惧している。中国共産党最高幹部が先月末に開いた会議では、企業間の「悪質な競争」を抑制する方針が示された。
ここ数カ月、産業界の過剰生産能力を巡る状況が一段とひどくなっている。中国の工場が生産できるリチウム電池やソーラーモジュール、鉄鋼の全てを吸収できるだけの世界需要はない。しかも、これは企業利益を犠牲にしている。
ゴールドマン・サックス・グループによると、ソーラーやEV、鉄鋼、建設機械の産業供給で半分余りが利益を上げておらず、状況は前年から急激に悪化。消費財を生産している企業にも恩恵はない。例えば、牛乳はここ14年間で最長の価格低迷に陥っており、経済をむしばむデフレの憂いが強まっている」
(ブルームバーク2024年8月22日)
【コラム】中国の過剰生産能力、習氏の統制も力及ばず-シュリ・レン - Bloomberg

中国の過剰生産はどこの国でも摩擦を呼びました。
あたりまえです。とんでない価格で売りさばくのですから、まともな競争が成立しません。
国内企業はことごとく敗北し、マネできないような高度の技術をもった高級品を作る企業しか国内には残らなくなりました。
今のわが国の国内企業が普及品は中国製造へ、国内生産は高級品にシフトしているのはそのためです。

図表1 中国鉄鋼の過剰生産能力と輸出量



(出所)中国国家統計局、税関総署、CEICより、みずほリサーチ&テクノロジーズ作成


 

(出所)中国国家統計局、CEICより、みずほリサーチ&テクノロジーズ作成

図表2 中国の設備稼働率(四半期)


「2024年4月上旬に訪中した米国のイエレン財務長官は、中国における鉄鋼やEVなどの過剰生産能力に対して懸念を表明し、中国政府による政策転換の必要性を強調した。バイデン大統領も同月17日、演説において「中国の鉄鋼会社は、中国が必要とするよりもはるかに多くの鉄鋼を生産し、過剰な鉄鋼を不当に安い価格で世界市場に投入している」と非難し、米通商代表部(USTR)による調査で反競争的な貿易慣行が確認され次第、中国製の鉄鋼・アルミ製品の輸入関税を3倍に引き上げると表明した。
欧州では、欧州委員会が2023年10月以降、欧州市場を席巻し始めた中国製EVについて、中国の不当な補助金が競争を阻害していないかの調査を継続しているが、2024年4月に入ってから、太陽電池関連と風力タービン関連の中国企業に対する政府補助金についてもそれぞれ調査を開始すると発表した」
中国経済の宿痾たる過剰生産能力 ─ 鉄鋼や「新三様」が貿易摩擦の火種に ─ | みずほリサーチ&テクノロジーズ

このような習近平指導部が意図的に作り出してきた過剰生産の山は、自転車操業よろしく輸出先の国の産業をなぎ倒してしまおうと、当該政府からダンピングだと提訴されようとどうしようと、カネが入ってくるうちはよかったのです。
それがトランプ関税でピタリと止まってしまったのですから、彼らの周章狼狽ぶりはハンパではなかったことでしょう。

いまや米国市場をせき止められたために、輸出製品を詰め込んで港を出て行くコンテナより海外から戻ってくる空きコンテナのほうが多くなってしまったのです。
そして中国の主要コンテナ港は、いずこも空きコンテナで埋まり、その置き場不足で港沖のコンテナ船にまで積み込んでいるとか。
ざまぁないですね。

長いので後半は次回に回しました。大幅に加筆します。

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