な、なんと大法院、イ・ジェミョン無罪判決を差し戻す
先日、99.9%イ・ジェミョン(李在明)で次期大統領は決まり、と書いたのですが、その0.1%の可能性が発生してしまいました。
「韓国大法院(最高裁判所に相当)全員合議体は1日、共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)候補の公職選挙法違反容疑で無罪を宣告した二審を破棄し、審理を有罪の趣旨でソウル高裁に差戻した。ソウル高裁は大法院の判断の趣旨に従わねばならないため、李在明代表に対して有罪を宣告しなければならない。100万ウォン(約10万円)以上の罰金刑であれば、李在明候補は被選挙権がはく奪され大統領選挙に出馬できない」
(朝鮮日報5月2日)
被選挙権がないのに大統領になったらどうするつもりなのか【5月2日付社説】 共に民主・李在明候補の無罪破棄-Chosun online 朝鮮日報
わ、はは、もう笑うっきゃありませんね。
韓国司法は元来が左巻きな上に、時の権力に対してネコのように従順なことで知られています。
あの自称「徴用工」判決が典型です。
しかし今回信じがたいことに、イ・ジェミョンに対する無罪判決を差し戻しました。
差し戻された高裁はこれを拒否できないので、事実上これでイ・ジェミョンの有罪は確定し、自動的に被選挙権も消滅し、大統領に出馬できなくなります。
これでもう決定的かと思われていたイの大統領への道は、いきなり暗雲がたちこめたことになりました。
「前回の大統領選挙の際、李在明候補は「(故キム・ムンギ城南都市開発公社処長と)海外でゴルフをしなかった」「国土交通部の脅迫でペクヒョン洞敷地の用途を上方修正した」などと発言したが、大法院はこれを虚偽と判断した。二審はこれらの発言について「主観的な認識」「意見の表明」として全て無罪としたが、大法院は「(二審は)法理を誤解して判決を出す過ちを犯した」として「(無罪宣告は)全て破棄すべきだ」との判決を下した」
(朝鮮日報前掲)
ここで大法院は、高裁の事実審理の誤りを指摘しています。
韓国最大野党代表、「選挙法違反」すべての容疑で無罪…大統領選挙に弾み : 政治•社会 : ハンギョレ新聞
イが訴追されていたのは、ことごとく政治的なものではなく汚職がらみのものです。
検察が城南市長時代のイの計画的虚偽とした部分は、ふたつあります。
ひとつめは大庄洞開発の実務を担当した城南市都市開発公社のキム・ムンギ開発処長のことを「知らない」と言い続けた点です。
実は大庄洞プロジェクトのことをイは、「建国以来最も成功した土地開発事業」と自画自賛し、自分の最大の功績としていました。
しかし蓋を開ければ、いままで何の開発計画もしたことがない「火天大有」という新興企業に事業権をすべて集中させた結果、一社だけで数千億ウォンの利益を得るという不正が起きてしまいました。
イはこの責任をすべて実務陣に押し付けて口をぬぐっていました。
「大長洞開発事業特恵疑惑は、城南市の都市開発事業関連者と民間業者が結託し、民間業者に有利な事業構造を設計して公社が受けなければならなかった適正配当利益に及ばない1830億ウォンの確定利益だけを配当させることで、公社に4895億ウォンの損害を与えた疑いなどで現在刑事裁判が進行中の事件だ」
(韓国・毎日経済2014年11月4日)
京畿城南都市開発公社が「大長洞開発事業特恵疑惑」と関連した不当利得還収のために当時城南市長だった共に民主党のイ·ジェミョン代表と華川大有資産管理大株主のキム·マンベ氏などを相手に損害賠償請求訴訟を提起.. - MK
イはキイパーソンである「大壮洞開発疑惑のキム・ムンギ元処長は知らない」と答えていましたが、下のようなイとキムが一緒に写っている海外旅行の写真まで出てくる始末です。
韓国・毎日経済
「イ最高委員が城南市議員時代に公開したこの写真はイ代表とキム前処長が2015年1月オーストラリア·ニュージーランド出張でゴルフウェアを着て撮った団体写真です。
与党ではこれについて「キム前処長とイ代表が一緒にゴルフをした」と主張し、写真はイ代表公職選挙法違反疑惑裁判で主要証拠として活用されてきました」
(韓国毎日経済2025年4月1日)
[狙撃-63] 共に民主党のイ·ジェミョン代表の2審宣告結果を巡り論難が続いています。裁判所がイ代表と故キム·ムンギ城南都市開発公社1処長が一緒に撮られたゴルフ写真について「一部操作された」という判断.. - MK 。
すると、これはニセ写真だとイ側は言い出しました。
まぁどっちでもいいのですが、自分の側のものはホンモノ、不利なものはニセモノというわけで、ご都合主義なことよ。
ちなみに、このキム前処長は自殺に追い込まれています。
もう1つの虚偽は、この大庄洞開発とそっくりの柏峴洞(ペキョンドン)開発の経緯に対する疑惑です。
この柏峴洞開発疑惑とは、政府機関の移転で空き地になった柏峴洞地域に高層マンションを建てた民間業者が数千億ウォンの利益を得たことにまつわる事件です。
本来この地域はグリーンベルトを確保するために開発が制限されていたにもかかわらず、当時城南市長をしていたイが4段階も土地用途を引き上げたために起きました。
この民間開発業者と城南市を斡旋して70億ウォンもの大金を受け取ったロビイストがキム・インソプといい、この人物はイの元選挙参謀でした。
キム・インソプは大法院において収賄で5年の実刑が確定しています。
イはこれについても、パク・クネ政権から圧力を受けてやむをえず行った、と白ばっくれていました。
両方の疑惑に共通しているのは、ことごとく権力を使った贈賄汚職です。
その他にも、イは城南FCに対する違法後援金、北朝鮮への送金問題など豊富な汚職メニューを取り揃えております。
ことほど左様に、イ・ジェミョンという政治家は、右とか左という以前に権力を与えてはいけない男なのです。
これに対して1審は有罪を認めたものの、今年3月の2審では1審判決をすべて覆し、ゴルフ場の写真に対しては「一緒にゴルフをしなかったという趣旨ではなく、写真を捏造されたといっただけ」という解釈して無罪、柏峴洞事件に対してもイがパク政権から「脅迫と受け入れたかもしれない」として、「表現の自由」として無罪を宣告しました。
これについて大法院はこう述べています。
「李氏は土地の不正用途への変更について「国土部(部は省に相当)からの要請があった」と主張している。これについて判決文では、「国土部からの要請・圧迫を受けて、李氏は仕方なく不正用途へ変更したに過ぎないとの印象を選挙人に印象付ける」点で、被選挙人に有利になる虚偽発言にあたるとしている。
そのうえで、この発言について李氏は表現の自由のもとに行っていると主張するが、大統領候補として名乗りを上げている以上、その主張は「受け入れられない」と断じている。
判決文のなかで最も注目すべきなのは、李氏の発言は韓国の民主主義を揺るがすという内容の文言である。それが次の部分である。
「民主主義の要は公的関心事に対する自由な意思の表現と活発な討論にあり、民主主義を実現するプロセスたる選挙の過程においても、選挙の公正性を害さない範囲内において、政治的表現の自由が忠実に保証されなければならない」」
(平井敏晴5月3日)
韓国大混乱!大統領選目前に激震、最有力・李在明を最高裁が痛烈批判…虚偽発言で「民主主義が危機」(JBpress) - Yahoo!ニュース
まともすぎてびっくりするくらいです。
そもそもこの真っ黒、黒助の汚職疑惑をすべて無罪にするなんて、さすが韓国司法界でもありゃやりすぎだと言われていました。
そりゃそうですよね。こんなことをしていたらユン弾劾裁判の正当性すら疑われてしまいますもんね。
では1審、2審で分かれた判決のどちらを取るのかと大法院は問われることとなって、出した答えが今回の2審差し戻しです。
大法院の裁判官は合議制で、10対2で1審裁判官の判断を正しいとしました。
差し戻された2審高裁も、ズルズルと審理を先のばしして、6月の大統領選後にするのではないかといわれていましたが、これまたなんと5月15日午後2時で、イを召還するようです。
イの極左仲間であるハンギョレ新聞は、大法院前でシュプレッヒコールする「共に民主党」議員らと声を揃えてこんなことを叫んでいました。
ハンギョレ
「共に民主党のイ·ジェミョン大統領候補の公職選挙法違反事件破棄差し戻し審の初公判が15日午後2時に開かれる。 最高裁判所の判決翌日に裁判所の配当から初公判期日指定、召喚状発送まで電光石火のような速度で進行される。 李候補の上告審が異例に速いスピードで処理されたのに続き、破棄差し戻し審も急迫している。 大統領選挙の局面で、李候補の司法リスクがさらに浮き彫りになる見通しだ。 法曹界では、司法府が大統領選挙に無理に介入しているように映りかねないという懸念が出ている」
(ハンギョレ5月2日)
李在明(イ・ジェミョン)氏の帰国裁判も電光石火の速さ... 「大統領選挙を通じて裁判所は有罪を示している」
なにが「司法リスク」だ、これまたご都合主義な。
「共に民主党」は、有罪が出ようとどうしようと大統領になったが勝ちとばかりに、係争中の人物が裁判中だった場合、その裁判が停止されるというトンデモ法まで作ろうとしています。
またそれでもダメなら大法院判事10人を全員弾劾すると宣言しており、またまたユンを苦しめた弾劾を連発するようです。
その他、この弾劾が不可能な場合は、大法院判事の定年基準を大幅に引き下げて、保守系判事らを早期に辞任させる計画もあるようです。
こういうのを司法への介入というのでしょうが、もう手近にあるものを投げ散らして錯乱しているようなものです。
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