問題はむしろ保守系のほう
さて、イ・ジェミョンが大統領選に出馬できない可能性が浮上しました。
前回私は99.9%でイ・ジェミョンと言っていたので、今回は慎重に「可能性」ていどにしておきます。
あの鏡の国のことですから、あんがい大法院判事弾劾が成立して差し戻しが無効となったり、2審がやっぱりアレは正しかったなんて仰天の判決を出すかもしれませんからね。
実際、世論調査では「共に民主党」のほうが優勢だったのです。
この差し戻しの前の世論調査では10ポイント差をつけています。
「先月28~30日の3者対決仮想調査で、李氏は相手が誰であっても45~46%の高い支持率を記録した。また、1日に発表した調査では、政権交代が行われるべきとする意見が49%、保守が引き続き政権を担うべきとの意見が39%だった(エムブレインパブリック・ケイスタットリサーチ・コリアリサーチ・韓国リサーチの全国指標調査)」
(武藤正敏5月3日)
急転回、大統領選「独走」の李在明に最高裁「無罪判決の棄却差し戻し」の爆弾直撃、中道系の韓悳洙も選挙に名乗り(1/4) | JBpress (ジェイビープレス)
仮にイがダメでも代わりの者が出てくるでしょうが、イのような強烈なキャラではありません。
ただしイは従北左翼層からは熱烈な支持があるものの、中間層にはそれほどではないのも事実のようです。
保守層も左翼層も固定してほぼ拮抗しているので、流動するとすれば中間層でしょう。
「これまでの長い期間、李氏の支持率は35%前後で横ばいであった。これは革新系支持層の支持は揺るぎないものの、支持が中間層に広がっていないことを意味していた。それが、先の支持率推移でみたように、支持層の拡大が見られ始めていた時だけに、李氏の司法リスク再燃が中道層に与える影響は否定できない」
(武藤前掲)
一方、保守系の「国民の力」はどうでしょうか。
一応候補者はキム・ムンス(金文洙 )に一本化は出来ました。
キム・ムンスはユン前大統領を支えた最後のひとりのような人で、本来ならこの人で決まりなのですが、勝てるかとなると別問題です。
テレ東
「韓国で6月3日投開票の大統領選挙に向け、保守系与党「国民の力」は党大会を開き、金文洙前雇用労働相を大統領候補に選出しました。金氏は尹錫悦前大統領の弾劾に反対するなど、保守強硬派として知られています。ただ、世論調査で独走する革新系最大野党「共に民主党」の候補、李在明氏に支持率で差を付けられていて、韓悳洙前首相と保守系候補として一本化が進むか注目されます」
(テレ東5月3日)
韓国与党「国民の力」が大統領選挙の候補を選出
キム・ムンスはユン政権の雇用労働大臣で、かなり強い保守系の考えの持ち主ですが、キム・ムンスで勝てるかといえばはなはだ不安というのが、武藤氏の見立てです。
「今般の大法院の判決は、テレビで生中継された。韓国のメディアは保守系を批判する報道が多くその影響を受けてきたが、最近の若者はSNSから情報を得て、革新系への支持が薄れていると言われている。そのうえ国民が注目する李在明氏への判決をテレビが生中継したことで、有権者は同氏有罪の心証を強め、大統領選での投票行動にも影響が出てくるのではないか。
保守系にとって今後の選挙戦の最大の課題は、中道層にも刺さる候補者を出せるか、であろう」
(武藤前掲)
「国民の力」が統一候補としたキム・ムンスは中道との候補者統一を否定してはいないようです。
ハンドクス(韓悳洙)は老練な外交官出身の政治家で、ノムヒョン政権で総理、ユン政権でも大統領代行となっています。
韓悳洙 - Wikipedia
ハンも出馬する気はあるようで、彼が出てくるとなると情勢は一転します。
「大統領代行を務めていた韓氏は1日、首相(大統領代行)を辞任した。韓氏は国民向けの談話で「われわれが直面している危機を克服するために私ができること、しなければならないことをしようと職を辞すことを決めた」と述べ、大統領選への出馬を示唆した。そして翌2日、大統領選に無所属で出馬することを正式に表明した」
(武藤前掲)
このように情勢は流動的ですが、なにぶんこの国のことですから確たることは言わないようにしましょう。
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