トランプ外交、なんでも有料
トランプは根ッからの商人です。
損になることはしないし、儲からないことはしません。
基本的には平和主義者ですが、それはパシフィズムの信奉者だからではなくカネがかかることが大嫌いなだけです。
ですから仮にするにしても、その代償をしっかり要求します。
ある意味、大変にわかりやすいキャラです。
今までの米国大統領は、たとえばバイデンなどは去年6月のノルマンディー上陸作戦80周年でこう演説しています。
「この中でバイデン大統領は、作戦に参加した兵士たちは自由と民主主義のために戦ったとたたえたうえで「われわれは第2次世界大戦以降、どの時期よりも、民主主義が世界中で危機にさらされている時代に生きている。われわれは、自由と民主主義をともに守っていくのか。私の答えはイエスだ」と訴えました。
その上でロシアによるウクライナ侵攻について「ウクライナは支配をもくろむ暴君によって侵略されているが並外れた勇気をもって戦い、大きな損失を被りながらも決してひき下がっていない。アメリカは、ウクライナとともに立ち、決して離れない」と述べてNATO=北大西洋条約機構の加盟国などとともにウクライナへの支援を続ける考えを強調しました」
(NHK2024年6月6日)
バイデン大統領 ノルマンディー上陸作戦から80年に合わせて演説 “民主主義が危機”ウクライナ支援継続強調 | NHK | アメリカ
正調合衆国プレジデント節とでもいいますか、「兵士たちは自由と民主主義のために戦った」とし、ひるがえって「米国はウクライナと共に立ち、決して離れない」としています。
それに対してトラ親方の言い草はこうです。
「トランプ氏はゼレンスキー氏について「彼は選挙を拒否し、ウクライナの世論調査での支持率は非常に低い」と一方的に投稿し、「選挙なき独裁者、ゼレンスキーは早く行動した方がいい。さもないと国は残らないだろう」と強調した。
米国に3500億ドルを費やさせ、勝てるはずもなく、始める必要もなかった戦争に突入させた」とし、ロシアの侵略を招いた要因がウクライナ側にあるとの認識も示した 」
(読売2025/02/20)
トランプ氏、ゼレンスキー氏を「選挙なき独裁者」と批判…「勝てるはずもない戦争に突入させた」 : 読売新聞
まるでプーチンの悪態を聞いているようですが、トラ親方は「戦争を始めたのはウクライナだ」といい、さらに「独裁者が支配している」とまで言っています。
これはプーチンの「非ナチ化」が戦争終結の条件とすることと平仄があっていますが、トラ親方にかかるとなにもかもウクライナが悪い、戦争を起こしたのもゼレンスキー、勝てる見込みがない戦争に3500億ドルも出させたゼレンスキーが悪い、ということになるようです。
さぞかしゼレンスキーは腹がが煮えくり返ったことでありましょう。
そしてこの文脈でトラ親方は鉱物資源を寄こせ、と言ってきたわけです。
しぶといウクライナの交渉で米国に鉱物資源を独占されることはブロックしましたが、安全保障の確約は取れていません。
トランプ氏、教皇姿のAI画像を投稿 カトリック教徒から批判の声(CNN.co.jp) - Yahoo!ニュース
さて、ここで重要なのはトラ親方のプーチンへの友情ではなく、ここで言っていることがすべて損得勘定、ソロバンの世界だということです。
トラ親方にとって、自由世界をウクライナが守っている、などというバイデンの世界認識は皆無です。
だから「法の支配」とか「国境の武力による変更の禁止」なんて自由社会の標準語で説得しようとしても無意味です。
言語体系が違いますから。
むしろロシアにさっさと負けて、ウクライナ全土を属領としてくれたほうがいいくらいに考えています。
そして和平プロセスに関与するのは、いままでかけた軍事支援を取り返したいからにすぎません。
つまり、有料なのです。
だからほかのことでも、同様な発想で対処しようとします。
グリーンランドには、不動産屋気質丸出しで売れと言い、売り物じゃないと拒否されると軍事的手段もあるでよ、と脅かして見せます。
米国はグリーンランドには工作員を入れているようでデンマークから警告を受けました。
「デンマークのラスムセン外相は7日、トランプ米政権がデンマーク自治領グリーンランドに関する諜報活動の強化に着手したとする米紙報道に「懸念」を示し、駐デンマーク米大使を召喚する意向を表明した。地元メディアが伝えた。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(6日、電子版)によると、ギャバード国家情報長官に仕える複数の高官が先週、中央情報局(CIA)や国防総省の国防情報局(DIA)、国家安全保障局(NSA)などの情報機関の責任者に対し、グリーンランドの独立運動や米国の資源開発に対する現地の反応を探るよう指示する文書を送った。
指示文書では、米政権が目指すグリーンランド領有に向けて協力を期待できる人物の特定も求めた。
情報当局者が同紙に語ったところでは、グリーンランドが米諜報活動の対象となるのは初めて」
(産経5月8日)
デンマーク外相、米国大使召喚へ トランプ政権による「グリーンランド諜報活動」報道受け - 産経ニュース
最近では、フーシー派のペルシャ湾でのやりたい放題の船舶攻撃に対する米軍の攻撃の後に、言ったせりふがこうです。
「米国のトランプ大統領は26日、SNSへの投稿でパナマ運河とスエズ運河について、「米国の船舶は軍用か商用かを問わず、無料で通航できるようにするべきだ」と主張した。「両運河は、米国なしには存在しない」とも述べ、ルビオ国務長官に対応を指示したと明らかにした」
(読売4月27日)
トランプ氏、スエズ運河の無料通航も主張…建設はフランス人・現在はエジプト政府が管理 : 読売新聞
ついでにフーシー派攻撃の料金は10億ドル超だとしています。
これは米中央軍が、対フーシ派作戦でB-2爆撃機や空母打撃群を派遣し、戦闘機を2機も海中に落した料金のようです。
その見返りにエジプトがスエズ運河をタダにするのは当然だべぇ、と不動産王は言っているわけです。
え、エジプトは中東世界でのもっとも重要な同盟国で、これを取り込むには大変な時間と手間を歴代の米政権はかけてきたのですし、スエズ運河からの航路は世界有数の重要ラインなのですが、そんなことはトラ親方の脳裏にはまったく浮かびません。
あるのはソロバンだけ。フーシー派でエジプトが困っているから10億ドルも出してやっつけてやったんだべぇ、したらスエズ運河をタダにするくらい当然だんべ、ということに尽きます。
ことほど左様にすべてゼニカネがらみです。
そう思ってトランプの言っていることを見ると、彼のわけのわからない行動や発言も分かりやすくなるかもしれません。
ただし言うまでもありませんが、非常に単純化して言っている話なので、そのつもりで。
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