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2025年6月18日 (水)

イランはホルムズ海峡を封鎖するか

031

G7が共同声明において、今回の攻撃をイスラエルの自衛戦争であると認め、イランの核保有を許さない立場を明確にしました。

「我々G7首脳は、中東の平和と安定へのコミットメントを改めて表明する。
この文脈において、我々はイスラエルが自国を防衛する権利を有することを断言する。我々はイスラエルの安全保障に対する支持を改めて表明する。
我々はまた、民間人の保護の重要性も認める。
イランは地域の不安定化とテロの主な発生源である。
我々は、イランが核兵器を持つことは決してできないと一貫して明言してきた。
我々は、イラン危機の解決がガザでの停戦を含む中東における敵対行為のより広範な緩和につながることを強く求める。
我々は、国際エネルギー市場への影響を引き続き注視し、市場の安定を守るために、同じ考えを持つパートナーを含む関係者と連携する用意がある」
イスラエル・イラン間の最近の進展に関するG7首脳声明 |カナダ首相

日本は早々にイスラエル非難声明を出したわけですが、これでひとつ決着したわけです。
ただし、このような国際社会の支持は、10.7ハマステロの時にもあったわけですが、その後のあまりに過剰なガザ地区への攻撃により雲散霧消してしまいました。
イスラエルの今回の作戦は終わっていませんが、分別をもって戦うことをG7は要求しているのです。

さて、イスラエルがイラン石油施設を攻撃した理由は、言うまでもなくイラン経済の大動脈を遮断することです。

「イランの石油の確認埋蔵量は世界有数で、今年度の国家予算の約35%を占め、税収を上回る。2018年に米国が経済制裁を復活させた以降も、 迂回輸出し、生産量と石油輸出の収入はともに伸びている。イスラエルにとって、イラン経済の封じ込めに最も効果的なのが、石油関連施設の破壊であることは確かだ」
(読売6月15日)
イスラエル、石油・ガス施設標的…イランの基幹産業攻撃し体制揺さぶり狙う : 読売新聞

読売は14日、イラン国営放送が反米・保守強硬派の重鎮エスマイル・コウサリ議員が、イランがホルムズ海峡の封鎖を真剣に検討していると報じています。
紅海の出入り口を扼するホルムズ海峡は、世界の石油関連製品の消費量の20%が通過する石油輸出の大動脈で、封鎖されれば原油価格は高騰します。

今回もいままでの低迷から、一気に70㌦を突破しました。

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マーケット|SBI証券

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原油価格、サウジなどへの混乱波及が焦点 - 日本経済新聞

ただしこの市場の混乱も一時的でしょう。
いままで何度も紅海は戦乱に巻き込まれており、それに懲りたサウジやUAEは既にここを迂回してアラビア半島を横断するイースト-ウェスト石油パイプラインを作っています。


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East-West石油パイプライン - Wikipedia

日本の石油はこのサウジとUAEが主で、イランは元来が少ない上に制裁で途絶しています。

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日本はどこから原油を輸入しているのか(不破雷蔵) - エキスパート - Yahoo!ニュース

イラン原油輸出先の大手は中国とインドです。

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米国、イラン経済制裁を再開  - 化学業界の話題

ホルムズ海峡を封鎖されてもっとも困るのは中国で、中国の石油備蓄は35~50日程度なので厳しい状況に置かれる可能性があります。
イランが、最大の買い手であり、IAEAのイラン非難決議でロシアと共に反対票を投じてくれた貴重な友邦である中国の利害と敵対してまで、封鎖に走るか見物です。
また、米国を戦争に巻き込むリスクが飛躍的に高まります。
いまでも関係がよくないサウジなど湾岸諸国との関係改善は絶望的でしょうから、たぶんやらないのではないと思います。

そしてもうひとつの攻撃理由が、これによりイラン国民がイスラム原理主義体制を変革する手助けをすることです。

「イスラエル国防軍は6月14日、ブーシェフル州にあるイランの天然ガス精製所2カ所を標的にした。ソーシャルメディアのユーザーは、6月15日にテヘランのガソリンスタンドに長蛇の列ができたと報告した。
イランのエネルギー部門の混乱は、同国で進行中のエネルギー危機を悪化させ、より広範で頻繁な電力不足や停電につながる可能性が高い。イラン人は以前、エネルギー不足に対応して政権に抗議してきた。2017年と2018年のガソリン価格の上昇をめぐるデモは、より広範な反体制抗議行動にエスカレートした」
(国際戦争研究所6月15日)
イラン・アップデート特別レポート 2025年6月15日 朝刊 |戦争研究所

ブルームバークはこう書いています。

「23年10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエル奇襲攻撃以来、イランの代理勢力を解体するために「体系的で慎重かつ組織的」な方法でイスラエルは取り組んできたと、ネタニヤフ氏は述べている。
この作戦はハマスの壊滅から始まり、イランが支援するレバノンのヒズボラを標的とした攻撃や指導者暗殺へと続いた。「約束通り中東の様相を変えている」と、ネタニヤフ氏は昨年12月に語り、これは常とう句となっている。(略)
イランのペゼシュキアン大統領の元顧問で、長年にわたり体制改革を訴えてきた経済学者、サイード・ライラズ氏は「イランの限界点が私の予想よりずっと早く訪れたように見受けられる」とし、「イランにはこれよりはるかに大きな耐性があると思っていた」と明かした」
(ブルームバーク6月16日)
イラン指導部に迫る審判の時-イスラエルの攻撃激化でジレンマに直面 - Bloomberg

この攻撃によりイランの体制が打撃を受けたことはたしかでしょうが、これが一気に体制変革に繋がるかは未知数です。

 

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コメント

そして欧米がイスラエルを甘やかすおかげで、ロシアは息を吹き返し、ウクライナは民間人をミサイルとドローンの雨から自国民を守れず国が滅びる、と。

めでたし、めでたし。

↑そんな単純に事が運ぶと本気で思ってるの?

9:23の「名無し」さん(いつの間にOKになってたんですね。ブログに同調的なら許される?)

私の書いた一つのシナリオにピンポイントで行き着く可能性は低くとも(それでもゼロではないですね)、そこに至るまでに起こり得る悲劇は十分に「ことが運ぶ」と思いませんか?

「こーんなやんごとなき事情があるから先制攻撃もやむなしなんだぁ、これは綺麗な国際法違反なんだぁ」の方が単純に思えた次第です。

 イランがホルムズ海峡を封鎖したところで、さしあたり大きな混乱は生じないという事。象徴的な事件として大々的に報道はされましょうけど。
たしか2020年事に「すわ、イランがホルムズ海峡封鎖か!」って事がありましたが、それでもイランは出来なかった。そしてその後の利用周辺国は対策をしていたし、ワリを食うのは主として中・印です。
ブログ主様の見立てのように、おそらくは回避されるでしょう。

それと、ねこねこさん。
同調的かどうか?で、ここのブログ主が何かを「許す」、「許さない」という判断をされる事はありませんよ。
たしかに名無しはルール違反としていますが、これまで同様にそうとう寛容に扱っていたとおりです。

むしろ、ねこねこさんにこそ聞きたい。
あなたは「イスラエルが十年と持たない」とか、「ウクライナという国が滅びる」とか極端なコメントをされています。
そのような事実を示す根拠、あるいはソースは何処にあるのでしょうか?
昨近の状況をつぶさに見れば、いかに本ブログ記事が内外多数のソースに当たり、慎重かつ誠実に論を紡ぐ努力の結果であることか? 分かるんじゃないでしょうかね。

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