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2025年6月10日 (火)

トランプ、ロスに州兵投入

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トランプがカリフォルニア州ロスアンジェルス市に州兵を投入しました。
州兵であるにもかかわらず、州知事、あるいは当該のロス市長の了承なしの措置で、このふたりは強く反対を唱えています。

「米カリフォルニア州ロサンゼルスに8日、トランプ大統領の指示を受けて州兵部隊が到着し始めた。同州の指導部は政治的動機に基づく不要な派兵だと主張しており、対立がエスカレートしている。
同地域では過去2日間にわたり、当局による大規模な不法移民取り締まりを巡って抗議活動が続いていた。トランプ氏は米北方軍に対し、カリフォルニア州兵の指揮権を掌握するとともに、兵士2000人を「60日間、または国防長官の裁量で」派遣するよう命じた。ホワイトハウスが発表した。  カリフォルニア州のニューサム知事は8日午後、「違法な」州兵派遣は緊張をあおるだけだとして、ホワイトハウスに対し、撤回して部隊を自分の指揮下に戻すよう正式に要請したと明らかにした。抗議活動参加者に対しては、「声を上げよう。平和的に冷静でいてほしい」とX(旧ツイッター)に投稿。「暴力を用いず、平和を守るために最善を尽くしている法執行官を尊重してほしい」と呼びかけた。
これに先立ち知事は、今回の決定について事前の相談はなかったと述べ、「連邦政府は混乱をあおり、それを口実に事態をエスカレートさせようとしている」とXに投稿。「これは文明国家のやることではない」と述べていた」
(ブルームバーク6月8日)
トランプ大統領、LAに州兵2000人派遣-州知事は政府に撤回要請 - Bloomberg

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州兵配備の米ロサンゼルス 衝突激化、移民摘発に抗議のデモ続く - CNN.co.jp

暴動そのものより深刻なのは、連邦政府と当該の州及び市(民主党系)との対立です。
バス・ロス市長は州兵動員を強く批判し「最悪の事態」と呼んでいます。

「ロサンゼルスのカレン・バス市長は8日、州兵の派遣によって混乱がエスカレートしていると批判。「(州兵派遣は)私たちの市にとって最悪。抗議デモは引き続き平和的に」とXに書き込んだ。
これに対して国土安全保障省はXの公式アカウントで、バス市長に「吐き気がする」と投稿。同市長が「米国市民と社会の安全を犠牲にして暴徒と犯罪不法外国人を保護し続けている」と書き込み、「市の指導者がやらないのなら、トランプ大統領と(同省のクリスティ・ノーム長官が)ロサンゼルスの法と秩序を取り戻す」と強調した」
(CNN6月9日)
州兵配備の米ロサンゼルス 衝突激化、移民摘発に抗議のデモ続く - CNN.co.jp

安全保障省長官のクリスティ・ノームはバリバリのトランプ派で、サウスダコタ州知事時代、共和党が主導するテキサス州の国境警備強化に向け、数十人の州兵を派遣しているほど不法移民移送には熱心な人物です。
自身も米国とメキシコの国境を数回訪れており、1月には同地域を「戦場」と形容したことで注目を集めました。
この姿勢を評価されての安全保障省長官への就任でした。

かたや、ロス市長のカレン・バスはソーシャルワーカー出身で、治安を守る姿勢は弱く、むしろ警察や消防の予算をカットし続けており、ロスの大火を招く原因を作ったと批判されました。

「市長は昨年2024年7月から始まった2024-2025会計年度で、消防局(LAFD)の予算を1,760万ドル(約27億円)削減。これは市の部局全体を見ると、道路サービスに次いで大きい削減額だった。
市長は火災発生後、予算の削減は火事への対応に影響していないと主張していたが、消防局長のクリステン・クロウリーはこれに反論。「私たちには適切な資金が与えられていなかった」と「FOXニュース」に対して発言している。また、局長は消防士だけでなく、消防車も不足していると主張。整備費用などをカットしたことで整備士がいなくなったおかげで、消防車が100台ほど稼働できない状態にあるとした」
ロス山火事で起きたもう一つの「炎上」 ー 明暗を分けたセレブの対応の違い(MEN’S CLUB) - Yahoo!ニュース

当然の流れとしてバスは、不法移民移送に対しては消極的であったと推測されます。
2023年の夏に中南米から10万とも言われる巨大な移民の行進が米国を揺るがしましたが、その時米国の対応が割れました。
これを州の平和と秩序を脅かす安全保障上の問題として考え、大量の移民をニューヨークなど全米各地に移送したのはテキサス州のグレッグ・アボット知事とフロリダ州のロン・デサンティス知事という共和党系知事でした。

一方これを人権問題としてとらえたのが、ユタ州などの民主党系知事でした。
ユタ州の労働サービス局長マリオ・キヤヨはこう述べています。

「「先進諸国が率先してより多くの難民を受け入れなければならないのは明らかです。決して簡単に達成できる数字ではないが、目標達成のためには、それぞれの関係部署、国全体が一丸となって目標に向け足並みを揃え、資金面などしっかり準備を整え、取り組む必要があるでしょう。
難民危機はどこかの市が単体で解決できる範囲を超越している。今こそ、全米が一丸となって取り組まなければならない人権問題だ。問題をどう解決するかは、リーダーたちの手腕にかかっている」
10万人の移民が殺到「NYを崩壊させる」と市長は戦々恐々。受け入れ超過に市が悲鳴(安部かすみ) - エキスパート - Yahoo!ニュース 

治安維持か人権かという問題は、今回も州・市と連邦政府を分けた溝でした。
トランプは州と市が治安維持に熱心ではなく、州兵を投入することを控えていることに苛立って、一定期間州兵を連邦軍の指揮下にいれる措置をとりました。

「トランプ大統領は今回、大統領が州兵を連邦政府の指揮下に置くことができる三つの状況を列挙した合衆国法典第10編第12406条に基づき、知事の要請という手順を回避した。これによると、アメリカが「外国に侵略されているもしくは侵略される危険がある場合」、政府に対する「反乱もしくは反乱の危険」がある場合、あるいは「大統領が通常当局によって合衆国の法律を執行することができない」場合に、州兵を連邦政府の指揮下に置くことが認められる」
(BBC6月9日)
【解説】 アメリカ大統領はどういう場合、アメリカ国内に州兵を派遣できるのか - BBCニュース

ニューサム知事は、州兵投入に対して強硬に反対し、「意図的な扇動」であり、緊張をさらに高めるものだ」とし、バス市長も連邦政府による「戦術はわれわれのコミュニティーに恐怖を植えつける」と非難しました。
まるでトランプの州兵投入こそが、治安を攪乱し市民を恐怖に陥れていると言わんばかりです。
果たしてここまで言っていいものか迷うところですが、一方こんな暴力デモていどのレベルで当該州の頭越しに州兵を動員してまで鎮圧するというトランプもいかがなものかと思われます。

ロス市警察自身、このていどの暴動は警察力でコントロール可能だといっています。


「ロサンゼルス市警察(LAPD)は、抗議デモはおおむね平和的だと説明した。地元当局も、衝突は暴力的なものもあるが、対応可能だとした。だが、そんなことは関係ない。
トランプ政権は、入国管理当局の職員が標的にされ負傷したと主張し、現地の警察などの対応が遅すぎたと批判している」
(BBC6月9日)
【解説】 トランプ氏が待ち望んでいた政治的な戦い 米ロサンゼルス抗議デモに介入 - BBCニュース

トランプはこのような事態を待っていたようです。それにしても軍隊投入に敷居が低すぎます。
いかに閃光弾や催涙弾などの非致死性武器を使用したとしても、安易な軍隊投入は悪いクセになりかねません。
つまり軍隊に頼った政権維持となるのです。

また今回のトランプ関税もそうでしたが、なにかというとすぐに「国家の安全保障上の理由」を挙げるわけですが、理由付けが安易で短絡的です。
このていどで州兵投入なら、じぶんがやった議事堂占拠事件などどうなるのやら。
本当に州兵投入が必要なケースは、かつてのシアトル占拠事件のような場合です。
トランプは自らの移民移送に賛成していない民主党系首長を政治的にマウントするために、本来州の権限である州兵をあえて連邦軍に繰り入れたのでしょうが、大いに禍根を残すことになりそうです。

 

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コメント

陳腐などっちもどっち論。事態収拾に消極的な市や州に対する批判がイマイチなのは何故?

名無しさんの、どっちもどっち論とは?

州兵の設立から存在目的すら知らないようで。
むしろ連邦政府が海兵隊投入するのならば州知事が州兵を動かして対抗するのが本来の姿なんだがバカなのですか?

ロシアや中国、北朝鮮相手にはTACO、TACOと揶揄されすぎて、腹いせにこういう非対称なパワーバランスの事案には躊躇なく軍隊を投入する。本当に情けないタコじじいです。

ウクライナにも、似たような理由で軍隊派遣せい。そしたらそれこそ、24時間でこの無意味で虚しいだけの狂った侵略戦争も終結するよ。タコトランプ。

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