中国第2列島線を越えて内海化へ
中国空母2隻が、第2列島線を越えて活動を拡大しています。
事実を積み重ねて見てみましょう。
先日の日経のフェンタニルを扱った大スクープは、OSINT(オープン・ソース・インテリジェンス)といわれる手法で書かれています。
誰もが入手可能である一般公開情報を組み合わせて分析し、全体像を理解する手法です。
これを活用することで、一般人でも外郭を知ることが可能で、私もかねがねこき手法を取っていました。
第1列島線とは、日本から台湾、フィリピン、ボルネオに至るラインを指し、第2列島線はさらに太平洋を進んでグアムなどを含むラインを指します。
「防衛省によりますと、7日から9日にかけて沖縄や小笠原諸島周辺の太平洋で中国海軍の空母2隻が確認されました。中国の空母2隻が太平洋に同時に進出したのは初めてで、防衛省が警戒と監視を続けています。
防衛省によりますと7日午後、中国海軍の空母「山東」やミサイル駆逐艦など合わせて5隻が、沖縄県の宮古島の南東およそ550キロの太平洋を航行しているのを海上自衛隊が確認しました。
9日には小笠原諸島の沖ノ鳥島の北の日本のEEZ=排他的経済水域の内側で、「山東」から戦闘機やヘリコプターの発着が行われたということです」(NHK2025年6月10日)
中国の空母2隻 初めて太平洋に同時進出 警戒監視続ける 防衛省 | NHK | 防衛省
しかも中国空母艦載機は、監視活動をしている自衛隊哨戒機に対して異常接近を、実に80分間も行っています。
P3Cの外側エンジンのすぐ脇を、中国のJ15が幅寄せしてきているのが写真でも確認できます。
ここは公海上空で、中国領空でもないのにこの乱暴狼藉です。
「防衛省は、今月、太平洋上空を飛行していた海上自衛隊の哨戒機が、中国軍の戦闘機から接近されたり前方を横切られたりしたと、11日夜に発表しました。「特異な接近は偶発的な衝突を誘発する可能性がある」として、中国側に深刻な懸念を表明し、再発防止を厳重に申し入れたということです。
防衛省によりますと、今月7日と8日、日本周辺の太平洋の上空で警戒監視を行っていた海上自衛隊のP3C哨戒機が、中国軍のJ15戦闘機から追尾されたということです。
戦闘機は中国海軍の空母「山東」の艦載機で、追尾された時間は、7日がおよそ40分、8日がおよそ80分だったとしています。
いずれの日もおよそ45メートルの距離まで接近されたほか、8日には哨戒機の前方およそ900メートルを戦闘機が横切ったということです」
(NHK6月12日)
海上自衛隊の哨戒機に中国海軍空母「山東」の艦載機が接近 統合幕僚長「偶発的衝突 誘発の可能性も」 | NHK | 中国
また同時期、もう一隻の中国空母「福建」は、黄海で軍事演習をおこなっています。
ちなみに空母は3隻でワンセットです
中央日報
「軍当局によると、「福建」は中国が先月22-27日に西海で実施された軍事訓練に参加戦力として名を連ねた。これに先立ち中国はこの期間、PMZ内の3カ所を航行禁止区域として一方的に設定し、軍事訓練を予告した。
6日間ほど進行された訓練はPMZ内外を行き来しながら進行されたとみられる。
「遼寧」と「山東」に続く中国3隻目の空母「福建」は、中国の台湾侵攻を想定すると必須戦力に挙げられる。グアムと日本列島の米軍基地、南シナ海に同時に圧力を加えるに空母3隻以上が必要であり、中国は2022年6月に進水した「福建」の戦力化に拍車を加えている。昨年5月から現在まで「福建」は少なくとも8回の海上試験をしている」
(中央日報6月7日)
西海に空母まで投入した中国…「米軍遮断も考慮」 | Joongang Ilbo | 中央日報
これだけではありません。
これより少し前の5月25日から26日にかけて「遼寧」空母打撃群は、東シナ海の尖閣諸島周辺海域で戦闘機やヘリの離着陸訓練を実施していました。
つまり中国海軍空母打撃群が総動員された、広範囲かつ現実味を帯びた実戦訓練だったのです。
何のための実戦訓練でしょうか。
台湾という補助線を引いて見るとわかります。
軍事力を急速に増強する中国は、日本列島と台湾をつなぐ第1列島線以西から米軍を排除する能力を構築しています。
下図は2021年頃のモデルですが、第1列島線防衛は現在きわめて緊迫しており、さらに中国は米本土やグアムからの来援を阻止するために第2列島線まで押し返そうとしています。
中国侵攻に強い危機感 日米声明「台湾」52年ぶり明記の背景 - 産経ニュース
「今回のP-3Cへの急接近は、中国側で事前に準備していた節があります。日本は事態を把握したのち、今月10、11日に外交と防衛の両ルートから中国に抗議を申し入れました。中国は予期せぬ出来事が起こった場合、ホットラインに応じないことがあると指摘されているのに、今回は外交部と軍で歩調を合わせてそれに反駁(はんばく)してきた。空母2隻による初の本格的な訓練の情報を海自に取られたくなかった中国は、あらかじめP-3Cを威圧し追い払う算段をしていたと考えられます」
(防衛研究所地域研究部主任研究官・杉浦康之)
「中国は日本のレーダーの電子情報を調べている」 中国製ドローンの“侵入”の狙いとは (デイリー新潮) - Yahoo!ニュース
今回の3空母打撃群の実戦訓練は、中国が以前から周到にこれを計画化していたことを物語っています。
そして第2列島線に近い沖ノ鳥島付近では、空母遼寧が活動するのと合わせて、中国の海洋調査船が日本のEEZで活動しています。
「日本最南端・沖ノ鳥島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内で中国の海洋調査船が活動したと日本側が発表したことについて、中国外務省の毛寧報道局長は27日の記者会見で、沖ノ鳥島は島ではなく岩だとする従来の主張を繰り返し、中国船の活動に「日本が干渉する権利はない」と述べ、活動を正当化した」
(産経2025年5月27日 )
中国、沖ノ鳥島周辺での活動を正当化 「島でなく岩」「日本が干渉する権利はない」 - 産経ニュース
日本人はつい尖閣にまで目が行きがちですが、遠く沖ノ鳥島まで含めて中国は迫ってきているのです。
では、なんで日本にはこんな「空の海賊行為」を仕掛けてくるのでしょうか。
理由は簡単です。
絶対に自衛隊が反撃してこないことを知っているからです。
一般の国なら、必ずこのような空の海賊行為」に対しては同等、ないしはそれ以上の反撃を食らわせます。
しかし、わが国だけはどんなにやられても黙っています。
外交官僚が「遺憾です。再発防止をお願いします」というだけ。
そんなモンは、力の信者である中国にはまったく空念仏なことは言うも愚かです。
いくらメチャクチャな論理で叩いても反撃もせず、叩かれぱなしになっている国。
ぜったいに実力で反撃してこない国。
中国内の日本企業が焼き討ちにあっても、口頭の抗議しかしない国。
大使館が投石されて河原のようになっても、大使召還さえしない専守防衛という信仰を持つ国。
海上保安庁の船に中国漁船がぶつけても、後難を恐れて船長をすぐに返してしまう腰抜けの国。
与党幹事長と外務大臣が親中派の国。
メディアが親中派で占められている国。
これが中国が経験則で熟知している日本という国です。
ずいぶんと馬鹿にされたもんです。
試されているのは、日本の側、いやもっと特定すれば石破氏だということを忘れないように。
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だからゲームチェンジャーたる、長射程のミサイル、極超音速ミサイルの開発配備が着々と進んている。空母がいる港湾石油施設等が破壊できる装備化がもうすぐなる。これは大きな抑止力。
第二列島線内で、米中の空母決戦?。発想が古いですね。未だ中国海軍は沿岸への接近阻止。もうすこし日本の配備も交えた議論にしてほしいですね
投稿: Sum | 2025年7月 1日 (火) 09時04分
それ、何年後の話のでしょうか?
現在ドクトリンは何も変わってあませんよ。時代遅れだと対艦弾道ミサイルや極超音速ミサイルをあくまで「想定しているだけですよね。」では、そのシステムやミサイルシーカーのシステムぐらいは丁寧にご説明くださいな。
他人を馬鹿だ古臭いと見下げるのは簡単で爽快だったでしょか。今現在のはなしです。
投稿: 山形 | 2025年7月 3日 (木) 10時34分