プーチンに利用された昭恵夫人
やっぱりダメだよ、安倍昭恵夫人。
昭恵夫人がプーチンに面会して「旧交」を温めたそうです。
ロシアはホクホク顔でこんなことを言っています。
「ロシアのプーチン大統領が安倍元総理大臣の妻の昭恵さんと面会したことに関連して、大統領府の報道官は「日本には、ロシアとの関係修復が必要だと考えている勢力も残っている」と述べました。プーチン大統領としては、昭恵さんを歓待することでウクライナ侵攻で悪化した日本との関係改善に取り組む用意があると強調するねらいがあったとみられます。
ロシアのプーチン大統領は29日、クレムリンを訪れた安倍元総理大臣の妻、昭恵さんに対して花束を渡して歓迎したあと「安倍元総理がロシアと日本の協力関係の発展に果たした貢献を忘れることはない」などと述べました」
(NHK5月31日)
プーチン大統領と安倍昭恵さん面会 “日本に関係修復望む勢力も残っている”ロシア報道官 | NHK | プーチン大統領
NHK
いま、ロシアはウクライナ戦争による制裁で深刻な孤立状態にあります。
この時期、モスクワに行く理由があるとすれば、直ちに停戦を受諾せよ、占領地から出て行けという以外ないわけで、「旧交」を温めることなんかではありません。
昭恵氏の台湾にもでもインドにでも呼ばれれば行く、亡き夫の遺志を継ぎたいという気持ちには常々敬服していますが、ロシアだけは別です。
安倍氏が存命していた最晩年にウクライナ侵略は起きたのですが、そのとき安倍氏は「これで北方領土交渉はないのとなった」という意味のことを言っていました。
そのとおりで、ウクライナ戦争を境にして、ロシアを巡る日本の立ち位置はまったく別次元のものとなったのです。
今回の昭恵氏の訪露を見て、泉下の安倍氏は私と同じ失敗をするなと言うのではないでしょうか。
かつて私は2島先行返還論に傾いていました。
2島先行返還論の主要な論客である佐藤優氏はこう述べています。
「ロシアのプーチン大統領は4日、昨年7月に改正された憲法に領土割譲を禁止する条項が盛り込まれたことを踏まえ、北方領土問題について「憲法を考慮しないといけない」と述べた。この条項が領土交渉に影響する可能性を認めた格好だ。一方で「(日本との)平和条約交渉を止めるべきだとは思わない」とも語り、交渉継続に意欲を示した」
(毎日 2021年6月11日佐藤優 『北方領土交渉に対するプーチン大統領の意欲』)
北方領土交渉に対するプーチン大統領の意欲 | | 佐藤優 | 毎日新聞「政治プレミア」
佐藤氏はあの分厚い顔で、ロシアの懸念のトゲだけ抜けば、2島は還って来る、ここを踏み台にして4島全部を返還させるのだ、と説きました。
その懸念するトゲとは、返還された2島に米軍を置かないことです。
ここだけ安保条約から除外することで、米国が中距離ミサイル配備をさせないと日本がいうことで、2段階で北方領土は返還されるというの佐藤氏の意見でした。
「プーチン氏は2000年の大統領就任直後、日ソ共同宣言の履行に前向きな姿勢を示したが、日本側が4島返還を求めたことに反発し、交渉が停滞した時期がある。
一方、「日露とも戦略的観点から平和条約締結に関心を持っている」とも強調。ただ、米軍による日本への中距離ミサイル配備の可能性には改めて懸念を表明した」
(佐藤前掲)
同じ主張をした政治家は、佐藤氏の盟友の鈴木宗男氏でしたが、彼はこの平和条約を進めつつ並行して経済開発で信頼醸成し、2島先行返還交渉を具体化していくという戦略でした。
安倍氏はまんまとこのプランに乗ってしまいました。
外交的な天才だった安倍氏にして、この2島先行返還論はそれほどまでに現実的尖閣選択に見えたのです。
この時期はウクライナ戦争でプーチンがその悪魔的本質を暴露する前であったことに留意してください。
日本人はロシアを甘く見ていたのです。
いまさら言う必要もありませんが、まったくの空論でした。
ロシアにはテンから北方領土を返還する気などなく、返してもいいというそぶりはフェイントにすぎず、その裏にはなにかの政治的意図が針のように隠されていました。
ありていにいえば、ラブロフがいうようにロシアには「北方領土問題」など存在しないのです。
したがって、交渉そのものが無意味です。
わが国はロシアが1990年代のソ連崩壊直後のように疲弊にあえぐ時に機敏に再交渉するしか道はないのです。
にもかかわらず、日本は北方領土交渉においてロシアに対して甘すぎました。
そして残念ながら、安倍氏も同じ轍を踏んでしまい、プーチンに騙されました。
今回の昭恵氏の訪露は、民間人を使ったプーチンの西側陣営分断工作であるのは明々白々です。
昭恵氏はその善意を、プーチンに利用されたにすぎません。
ですから、政府はこのような対応をしてはならないのです。
「[東京 4日 ロイター] - 岩屋毅外相は4日の衆院外務委員会で、安倍晋三元首相の妻・昭恵さんがロシアのプーチン大統領と5月29日にモスクワで面会したことについて「親交のあった元首相夫人とプーチン大統領が旧交を温められたことは良いことではなかったか」と述べた」
(ロイター6月4日)
安倍昭恵さんとプーチン氏、旧交温めたのは良いこと=岩屋外相 | ロイター
良いことのはずはありません。
« どーでもいいですが、イ、ジェミョンが当選 | トップページ | トランプ翁と怪人マスクの大喧嘩 »
残念ながらこの人は、この先どんどん狂っていくでしょうね。諌める子供もいないので…
これからも、もっとずっと、「自分のことを『安倍晋三の遺志を継ぐもの』と思い込んでいる精神異常者」として、悪の枢軸陣営のプロパガンダに利用され続けるでしょう。
投稿: ねこねこ | 2025年6月 6日 (金) 10時08分
安倍総理は日本の歴史において、偉大な総理だったと認識していますが、完璧な人間など存在しません。
ロシアとの交渉は、彼の大きな失敗のひとつでしょう。
しかし、仮にもアメリカ大統領であるトランプですらロシアの口車にまんまと乗っかってしまったことからも、プーチンの弁が立つことだけは確かなようです。
それでも、ウクライナが必死に戦ってくれているからこそ、ロシアが戦争を終わらせることができない状況を構築できています。
ウクライナの人々には、感謝しかありません。
彼らは命をかけて、民主主義を守るための戦いを何年も続けてくれています。
ウクライナのために、ひいては民主主義を守るために、日本国民として、次の選挙で自民党に意思を表明しなければならないと思う日々です。
投稿: エントランス | 2025年6月 6日 (金) 10時59分