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2025年7月

2025年7月31日 (木)

安倍米国議会演説の凄味

102

石破氏が80年談話をどうしても出したいようです。
彼が8月15日以前に辞める可能性はほぼありません。
石破氏は周囲に旧安倍派幹部が退陣を要求していることに激怒しているそうで、そういえば今回の敗戦責任は旧安倍派の「裏金」問題でしたっけね。
森山幹事長に「旧安倍派の裏金問題が国民に反発されて敗北した」という検証を出させて、3連敗の口を拭うつもりでしょう。
どこまで安倍キライなことやら。
そして念願の90年目の「8月15日」に居すわろうと言う魂胆です。

どのような「80年談話」を準備しているのかわかりませんが、この人物のうすら甘い歴史認識を知っている者からすれば、ゾっとする話ではあります。
ただし歴史認識には踏み込まないという報道もなされてはいますが、どうなりますことやら。

「石破茂首相は戦後80年の節目にあたり発出する予定の「見解」で、先の大戦に関する歴史認識には踏み込まない方針を固めたことが10日、分かった。見解は戦前の旧日本軍に対する文民統制(シビリアンコントロール)の実態を検証した上で、現行憲法下での自衛隊の位置付けを問い直すことを焦点としたい考えだ。複数の政府関係者が明らかにした」
(産経6月1日)
<独自>石破首相「歴史認識」踏み込まず、戦後80年で「見解」 自衛隊の文民統制焦点に - 産経ニュース

戦前のシビリアンコントロールね、ここまで見苦しく総理の座にしがみついてでも出したいもんなのかね。
この男のつまらない訓詁のために、ここまで日本の政治がダメになろうとは。

さて、70年談話というものがありました。
米国議会での安倍首相の演説がそれに相当します。

政治家の演説とは、人が人に語りかける始源的な力によって、政治的意図を伝えることです。
シンプルが故に難しく、挨拶の伝統はあってもスピーチの経験の乏しい日本人にとって苦手だと言われてきました。
ですから、「政治的意図を伝える」というということを妙に短絡させてしまって、ただのテンプレート的作文になりがちです。
そんなことをやりたいのだったら、外務省にプレスリリースさせておしまいにすればいいのです。

さて、10年前の安倍演説は、慎重なロジック構築がなされていました。

[パート1]戦争犠牲者に対する慰謝
[パート2]寛容による和解
[パート3]敵対から同盟へ

当時、安倍氏が真っ先に米国議会で語らねばならなかったことは、先の大戦における戦死者に対する慰霊でした。 
これはあくまでも戦争全体に対する一般的「謝罪と反省」などといった、紋切り型のものであってはなりません。 
もし、安倍氏が抽象的に、米国議会人に対して、「戦争は悲劇です。私たちはこの悲劇を二度と起こしてはならない」といったありきたりの台詞を口にしたとしても、それは「ふーんアベ、そんなアタリマエのことを、わざわざ言いにきたんか」と思われるだけです。 

ましてや、米国とはなんの関係もない韓国人の慰安婦(それも真偽に乏しいときていますが)への謝罪などしても、米国人は、「一体、なんのこっちゃ。ここは米国だぞ。韓国に謝りたいなら韓国でやれ」と感じたでしょう。 
そりゃそうです。慰安婦問題を取り上げているのは、米議会の極少派でしかないチャイナ・コリアロビーのマイク・ホンダたち、ひと握りの議員たちだけだからです。 
チャイナ・コリアの紐付きではない多くの米国人が求めていたのは、あくまでも米国人の青年たちの死に対して、どのようにかつての敵国首相が語りかけるのかということに尽きます。 

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安倍氏は冒頭にこの言葉を置きました。やや長いですが、当該部分を引用します。
※外務省米国連邦議会上下両院合同会議における安倍総理大臣演説「希望の ... 


「先刻私は、第二次大戦メモリアルを訪れました。神殿を思わせる、静謐な場所でした。耳朶を打つのは、噴水の、水の砕ける音ばかり。
 一角にフリーダム・ウォールというものがあって、壁面には金色の、4000個を超す星が埋め込まれている。
 その星一つ、ひとつが、斃れた兵士100人分の命を表すと聞いたとき、私を戦慄が襲いました。
 金色(こんじき)の星は、自由を守った代償として、誇りのシンボルに違いありません。しかしそこには、さもなければ幸福な人生を送っただろうアメリカの若者の、痛み、悲しみが宿っている。家族への愛も。
 真珠湾、バターン・コレヒドール、珊瑚海…、メモリアルに刻まれた戦場の名が心をよぎり、私はアメリカの若者の、失われた夢、未来を思いました。
 歴史とは実に取り返しのつかない、苛烈なものです。私は深い悔悟を胸に、しばしその場に立って、黙祷を捧げました。
 親愛なる、友人の皆さん、日本国と、日本国民を代表し、先の戦争に斃れた米国の人々の魂に、深い一礼を捧げます。とこしえの、哀悼を捧げます」

見事です。感動的だと言っていいでしょう。これが[パート1慰謝]の部分です。
そして安倍氏は、このフレーズの後に、演説に同席している硫黄島で70年前に大尉として戦った93才のローレンス・スノーデン海兵隊中将と、栗林忠道大将の孫にあたる新藤義孝衆議院議員を紹介します。 


「中将は、硫黄島で開く日米合同の慰霊祭にしばしば参加してこられました。こう、仰っています。
 「硫黄島には、勝利を祝うため行ったのではない、行っているのでもない。その厳かなる目的は、双方の戦死者を追悼し、栄誉を称えることだ」。
 もうおひとかた、中将の隣にいるのは、新藤義孝国会議員。かつて私の内閣で閣僚を務めた方ですが、この方のお祖父さんこそ、勇猛がいまに伝わる栗林忠道大将・硫黄島守備隊司令官でした。
 これを歴史の奇跡と呼ばずして、何をそう呼ぶべきでしょう。
 熾烈に戦い合った敵は、心の紐帯が結ぶ友になりました。スノーデン中将、和解の努力を尊く思います。ほんとうに、ありがとうございました」

「歴史の奇跡」・・・、選び抜かれた言葉です。この言葉が示すものは、[パート2寛容による和解]です。
おそらく今まで日本の政治家が発した、多くの戦死者ヘの慰霊演説の中で、最も人の心を揺さぶり、共感へと導くものに違いありません。

安倍演説は、戦争犠牲者がその死の状況とは関係なく、一様に国境を越えて慰霊されるべきであって、「悼む」という人間の根源的感情において、敵国とも共感し得るのだと言っているのです。
これが、死者に笞打ち、墓を暴いて唾を吐きかけ、千年先まで恨んでやると言う東アジアの燐国と、私たち日米両国の大きな文化的違いです。

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そして、安倍氏は戦争犠牲者に対しての慰霊と、反省をこのように語っています。


「戦後の日本は、先の大戦に対する痛切な反省を胸に、歩みを刻みました。自らの行いが、アジア諸国民に苦しみを与えた事実から目をそむけてはならない。これらの点についての思いは、歴代総理と全く変わるものではありません。
 アジアの発展にどこまでも寄与し、地域の平和と、繁栄のため、力を惜しんではならない。自らに言い聞かせ、歩んできました。この歩みを、私は、誇りに思います。
 焦土と化した日本に、子ども達の飲むミルク、身につけるセーターが、毎月毎月、米国の市民から届きました。山羊も、2,036頭、やってきました。
 米国が自らの市場を開け放ち、世界経済に自由を求めて育てた戦後経済システムによって、最も早くから、最大の便益を得たのは、日本です。
 下って1980年代以降、韓国が、台湾が、ASEAN諸国が、やがて中国が勃興します。今度は日本も、資本と、技術を献身的に注ぎ、彼らの成長を支えました。一方米国で、日本は外国勢として2位、英国に次ぐ数の雇用を作り出しました」

ただ謝罪して坊主懺悔するのではなく、その反省に基づいて、日本が戦後アジアの興隆にいかに尽力してきたのか、それが今のアジアの勃興にいかに力になっているのか、むしろ誇らしげに述べています。
言い換えれば、安倍氏は、「謝罪と反省」の先にもストーリーはあった、それか今の環太平洋経済圏の基礎になっているのだと、米国人に話しかけているわけです。

参考までに、かの村山首相談話と比較してみます。 
村山談話は1945年8月15日から一歩も先に踏みだしていません。今もなお、永遠の罰を受けるべきだと、彼は信じているようです。


「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。」
(村山談話1995年8月)

あー、内容ウンヌンの前に、悶死するほどダサーっ(苦笑)。勘弁してほしい。 
たぶん外務官僚に頼んで、村山氏が「アジア諸国の人々」「侵略と植民地支配」「謝罪と反省」などといった文言を散りばめた作文をしてもらったのでしょう。 
まるで心のこもらない、無味乾燥の役人臭い死んだ言葉の羅列です。どうせ謝るのなら、もっとマシに謝れよ、相手に伝わるように謝ったらどうなんだ、と言いたくなります。
お暇なら、1985年5月のドイツ連邦議会ヴァイツゼッカー大統領演説と、比較してください。まるで文学者と、中学生の反省文です。

ヴァイツゼッカー演説のからくり: 農と島のありんくりん

そして、安倍氏は演説の結びで、わが国の兵士・民間300万の命を奪った敵国である米国の寛容こそ「希望」であり、米国との同盟はまさに「希望の同盟」なのだと結びます。
自分たちの寛容ではなく、米国の寛容さに救われたと言っています。これは大変に高度なレトリックです。

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演説の最終部分です。これが[パート3敵対から同盟へ」に相当するのは説明する必要がないでしょう。


「まだ高校生だったとき、ラジオから流れてきたキャロル・キングの曲に、私は心を揺さぶられました。
 『落ち込んだ時、困った時、...目を閉じて、私を思って。私は行く。あなたのもとに。たとえそれが、あなたにとっていちばん暗い、そんな夜でも、明るくするために』。
 2011年3月11日、日本に、いちばん暗い夜がきました。日本の東北地方を、地震と津波、原発の事故が襲ったのです。
 そして、そのときでした。米軍は、未曾有の規模で救難作戦を展開してくれました。本当にたくさんの米国人の皆さんが、東北の子供たちに、支援の手を差し伸べてくれました。
 私たちには、トモダチがいました。
 被災した人々と、一緒に涙を流してくれた。そしてなにものにもかえられない、大切なものを与えてくれた。
 ――希望、です。
 米国が世界に与える最良の資産、それは、昔も、今も、将来も、希望であった、希望である、希望でなくてはなりません。
 米国国民を代表する皆様。私たちの同盟を、「希望の同盟」と呼びましょう。アメリカと日本、力を合わせ、世界をもっとはるかに良い場所にしていこうではありませんか。
 希望の同盟――。一緒でなら、きっとできます」

演説とは、武力を用いない言葉の力を使った外交手段です。
当時、左翼系ブロッガーが、「アベはまた口先で騙している」と書いていたものがありましたが、外交とはそもそも「騙す」ものなのです。
「騙す」という表現が悪いのならば、自国の国益を最大限にするために、手練手管を使うということです。

当時、安倍氏は米国のリバランス政策、つまりアジア回帰を強く支持するという目的があって米国訪問をしました。
そして、そのためには喉にひっかかったトゲである大戦を慰霊し、そして今は共通の価値観を持つ同盟になったのだと宣言する必要があったのてす。
そして、それは米国で受け入れられました。

日本人が最も苦手とする言葉を使った外交の分野で、素晴らしい先例が生れたことをひとりの日本人として素直に歓迎します。
かくしてもう日本人には戦後談話はいらないのです。

 

 

2025年7月30日 (水)

トランプ関税という迷宮

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すさまじい暑さで、当地はとうとう36度の平熱
体温を越すとさすがキツイですね。そろそろ夏休みを頂こうかと思っていますが、ゲルの野郎がのたくっていやがって踏ん切りがつきません。

それはさておき、ゲル氏が手柄顔をしていたトランプ関税妥結ですが、果たしてほんとうに妥結したんでしょうか。

「赤沢亮正経済再生担当相は27日放送のNHK番組で、日米関税交渉合意に関する共同文書作成について「今、作るとまずい」と否定的な考えを示した。関税引き下げに時間がかかる可能性があると指摘。米閣僚とトランプ大統領の間で確認作業が生じ、合意内容に影響を与えかねないとの認識も示した。
石破茂首相と与野党7党首らによる25日の会談では、各党党首から、日米で合意を巡る解釈の違いが生じる懸念があるとして合意文書を交わすべきだとの要求が出ていた」
(共同7月27日)
日米合意文書に否定的 赤沢氏「作るとまずい」(共同通信)|dメニューニュース(NTTドコモ)

ね、赤沢さんも言うように、今回は変則づくめなんです。
まず、このような関税が一時は35%になるなんていう大きな関税交渉には、こちらも政治家と官僚が交渉団を作るのが通例ですが、今回の赤沢さのんは劇団ひとりならぬ「交渉団ひとり」で、米国に行くとわらわらといる米国の官僚どもをかき分けるようにしてしゃべっていたそうです。
完全なアウエー状態で、これはきつい。

一般的な関税交渉は、タリフコード(関税番号)といって関税品目全部に番号を振りあてて、ひとつづつ例えば自動車部品ブレーキディスクはどうするとか決めていくものだそうです。
TPPでもEPAでもみんな同じで、関税交渉とはそういう細かい積み重ねのことなのです。

ところが今回はウルトラアバウトです。
なんせトランプしか決定権者がおらず、ベッセントなど飾り物。
彼が言っていたように、トランプが気分壊すとこの15%もひっくり返るよ、という危ない世界です。
いみじくも甘利氏かこうXしていました。

「赤澤大臣は頑張ってますが、①決めるのはトランプ大統領。三閣僚ではない②トランプ氏主張の「不公平」を解く③大事なのは「俺だから出来た感」④伝えるべきは「敵か味方か」⑤それぞれを2分以内に説明出来る論理を」
Xユーザーの甘利 明さん

ゴチャゴチャと、えー、トラックの関税はですね、なんてやってもトランプは聞いていない。
オレは忙しいんだ2分で言え、と遮られる。
日本の秀才官僚が得意のペーパーを積み重ねても読まない。
ですから「自動車15%でいいから」ってトランプが言えばそうなり、「5500億ドル規模(80兆円)の投資を日本がしてその9割を米国が取る」と言われれば、メチャクチャな話だと思いつつそういうことにしておきましょう、と黙っているしかないわけです。
だって異議申してると、トランプが気分壊すんだもん。

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東京新聞

実はその「対米投資」の内容は、野党が言っているような日本政府が「税金から80兆円も出す」というようなものじゃなくて、「出資・融資・融資保証」にすぎません。
だから税金で投資するわけではないし、まして9割も贈呈することにもなりません。
いさき進一元議員(安倍政権での財務副大臣)が的確な説明をしてくれて助かります。

「本件は、政府の投資・金融機関である日本貿易保険(NEXI)や国際協力銀行(JBIC)の融資枠の話です。投じられる資金は、こうした機関が調達する資金であって、税金ではありません。
しかも出資や融資なので、当然、一定の審査もあるし、出した分のリターンもあります。
何よりも重要なのは、あくまでプロジェクトを進めるのは日米の「民間企業」であるということです。決めるのはすべて、民間企業なんです。日米の企業から共同プロジェクトを進めたいという申請があれば、政府機関としてバックアップできる枠を、「80兆円」まで用意しますよ、という趣旨です。80兆円をそのまま突っ込むわけでもありません。
本件は、政府の投資・金融機関である日本貿易保険(NEXI)や国際協力銀行(JBIC)の融資枠の話です。投じられる資金は、こうした機関が調達する資金であって、税金ではありません。しかも出資や融資なので、当然、一定の審査もあるし、出した分のリターンもあります 」
Xユーザーのいさ進一 前衆議院議員 

なるほどなるほど、そうだったのね。
これがトランプにかかると、「日本は米国に80兆円投資する。しかもその9割は米国の利益となる」と話を盛るわけです。
ボーイングの航空機を100機買うぞ、という話も、なにも日本の航空会社が100機買うという太っ腹な話じゃなくて、たぶんオリックス、SBI、三菱HCキャピタルなどの会社が航空機リース事業の中で捌いていくのがホントの話です。
なんなら、防衛省が戦闘機を買って、フィリピンあたりに貸し出してもいいしね。

このようにトランプが個人的な趣味で始めた関税交渉は、あくまでも一般のWTOで定めたルールには則っていない番外篇なのです。
だから合意文書も出ないし、細かいことはこれから詰めるのです。
 

トランプ米政権、日本との関税協議の合意に関するファクトシート公表(日本、米国) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ



2025年7月29日 (火)

石破降ろし第1幕終わる

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とくになにも期待していませんでしたが、やはり両院議員懇談会はガス抜きてきていどの内容でした。

「自民党は28日、参院選の惨敗を受け、党所属国会議員の声を聞く両院議員懇談会を開いた。石破首相(党総裁)は「政治空白を生むことがないよう責任を果たしていきたい」と述べ、退陣表明の時期を明確にしなかったため、出席者から退陣要求が相次いだ。首相は閉会間際に、責任の取り方について「議論を踏まえ適切に判断する」と語った。森山幹事長は8月中を見込む参院選の総括後に引責辞任する可能性を示唆した」
(読売7月28日)
石破首相「責任果たす」と退陣表明時期を明確にせず…両院議員総会の開催きょう議論 : 読売新聞

まぁ強いて言えば、森山氏が引責辞任の可能性を示唆」したことくらいですか。
それも、いまさら検証もないもんだと思いますが、(この人の「消費税は絶対に下げない」発言が敗因のひとつですからね)、検証委員会なるものを作って8月末まで引っ張るのだそうです。
つまり、森山氏は8月15日の終戦記念日で石破氏にナニかやらせる時間を与えたということになります。

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「石破降ろし」勢い止まらず 自民、両院懇で亀裂表面化 幹事長辞任示唆で政権運営厳しく - 産経ニュース

さて、この懇談会自体には意味がありません。
あくまでも「その先」があって意味をもつので、それは総裁選をして新総裁を選出し、今の石破体制を完全に払拭することです。
では、その道筋はついたのでしょうか。
総裁選に持ち込むためには、いくつもの関門を突破する必要があります。
まず、党の正式決定機関である両院議員総会を開催するための署名を集めることです。
開催を求めるために必要な議員数は100人です。
これはすでに集まったようです。

「両院議員総会は党大会に次ぐ重要会議で、緊急事項の議決権がある。所属国会議員の3分の1以上の要求があれば「7日以内に招集すべきもの」と定めており、現状では約100人の賛同を得る必要がある。
署名を集める議員らは当初、懇談会を総会に格上げすることを目指したが、時間の問題もあり方針を転換。28日の懇談会で進退をめぐる首相の姿勢を見極め、その後の対応を決める考えだ」
(朝日7月25日)
自民の両院議員総会、開催の署名数に届く 若手らが石破氏に退陣要求 [自由民主党(自民党)][石破政権]:朝日新聞

この両院議員総会を開催を決定するのは、形式的には両院議員会長の有村治子氏で、7日以内の開催を決めることになります。
実質は執行部のようですが、
ここで総理が拒否した場合、開催を強制できるだけの権限があるかどうかはわかりません。
だって、こういう粘り方をしたブッ飛んだ総理なんかいままでいなかったんだもーん。
だから規定もないし、慣例もないのよ。

この場合、「関税交渉妥結を花道にして自ら決す」というような温情な形での辞任は通用しなくなります。
すると、石破氏進退はリコールに突入してしまいます。
まことにおいおいで、いままでこんなケースはありませんでした。

リコールは理論上はできないことはありません。
今でも都道府県連の半数及び議員の半数で成立させることはするからです。

しかしここまでするのか、自分らが一票を投じて選んだ総理を力づくで辞めさせるのか、というためらいは吹き上がることでしょう。
自民党はドロドロした利権集団で、思想や理念を置き忘れていましたが、いままでそこまでのことはなかったからです。
だから派閥ボスの談合で決めていた時代もあったのです。

リコールは諸刃の刃でやられた方も当然として、リコールをかけた側も返り血を浴びます。
国民の信を失いかねないからです。
国民が自民党に求めるのは、安定と秩序。それを自ら破壊しかねません。

そして例のイシバ応援団が自民党本部近くに大量に集結し、ドンドンチャンチャンと騒ぎ、毎日や東京などの左翼メディアが同調した場合、どうなるかわかったもんじゃありません。
国民+石破vs反石破、なんていうお笑いの構図になりかねません。

石破シンパの大物から署名した議員を引きはがしたりする動きも出ることでしょう。
こういうことを読んで、反石破派はコトを荒立てずに穏便に、できるならば自主的に辞めて頂きたいのです。

この関門を乗り越えたとしてめでたく総裁選になった場合、緊急時だということで大がかりなフルスペック総裁選は開かれず、議員だけのものにるでしょう。
おそらくその間20日から1カ月間はかかるはずです。
となると、最短でも両院議員総会は8月5日付近で、そこから総裁選を告示して新総裁が決まるまでさらに1カ月をみておいたほうがいいかもしれません。
すると9月5日にまで、新総裁は決まないという政治的空白が生じます。
これが石破氏が盛んに辞めない理由としている「政治的空白を作らない」という意味です。

この空白期間に丸々8月15日の終戦記念日が入ってしまいます。
総裁選が決まったら、自動的に現職の権限や行動には自ずと制限がかかるはずですが、なんせあの人のことですからね。
今は穏便に辞めていただくのが一番ですが、どうなりますことやら。
それにしてもスゴイ人選んじゃたったね、前回総裁選で彼に一票入れた議員諸公、猛省せいよ。

 

 

2025年7月28日 (月)

石破政権に第2の河野談話を出させるな

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今日には自民党が両院議員懇談会をする予定です。
石破氏には辞任する意志はなく、この「懇談会」にも総裁選を含めた重要事項の議決をとることはできません。
石破氏としては選挙戦の総括でお茶を濁し、「両院議員総会」にもつれ込まさずに、ガス抜きを図る腹でしょう。

「自民党は28日、参院選の大敗を受け両院議員懇談会を開催する。石破茂首相(党総裁)は、自身の進退は表明しない見通しだが、首相への批判は強まっており、懇談会の内容次第では重要事項の議決権がある両院議員総会の開催も視野に入る。懇談会は、首相ら党執行部への責任追及で紛糾する展開が予想される」
(産経7月27日)
自民、両院議員総会も視野 28日に懇談会開催、首相の責任追及で紛糾か - 産経ニュース

一方、茂木前幹事長が辞任をはっきりと口にしました。
総裁選候補としては初めてのことです。
たぶん両院議員総会まで突き進むことでしょうが、それでも辞任が表明されない場合、自民党としては打つ手がなくなります。
なぜなら、議院内閣制の制度の下で自民党が出した総理だからで、自らが出した首相を自分で否定することはできないからです。
野党に不信任を出してもらって、それに反石破の議員が同調するしかなくなるという目覚めの悪いことになります。
そのくらい総裁が辞任を拒み続けた場合、辞めさせることは難しいのです。

実はこのパターンは一度過去にありました。
宮澤内閣が倒れて細川内閣に代わった1993年のことです。

「当時の宮沢内閣では政治改革を巡り自民党が分裂し、6月18日、野党が提出していた内閣不信任決議が可決された。宮沢首相は衆院解散を選択したが、7月18日の衆院選で自民は大敗して過半数割れに陥り、その後宮沢首相は辞意を表明した。
自民は引き続き比較第一党だったが、同29日に非自民勢力が細川護熙連立政権の発足で合意し、自民の下野が確定した」
(産経7月26日)
どうなる石破首相検討の戦後80年「見解」32年前の慰安婦「河野談話」も政権末期で相似 - 産経ニュース

羽田・小沢派ら自民党議員39名が賛成、16名が欠席する造反により不信任案は255対220で可決され、宮澤首相は衆議院を解散しました。
そして行われた衆院選において自民党は過半数割れし、新生党、日本新党、新党さきがけの3新党が躍進し、宮澤内閣は瓦解し、細川が首班の政権が誕生します。

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産経

そして自民党総裁には河野洋平が座りますが、その政権移行期間のどさくさに突っ込まれたのが、河野氏が官房長官談話として出したの「河野談話」です。

当時、朝日新聞は1991年8月11日の植村記事で女子挺身隊=慰安婦と報じ、次いで12月の2回目植村記事で金学順さんの提訴を報じ、さらに92年1月11日に、吉見義明氏が、「政府が関与していた。にげられない日本政府の責任」とキャンペーンを張っていました。
この慰安婦問題記事を待ってましたとばかりに、二国間外交交渉の第1議題に据えて、謝罪と賠償を求めたのが韓国でした。
当事者である朝日新聞第三者委員会自身に解説してもらいましょう。


「92 年1 月11 日の朝日新聞報道は、宮沢首相の訪韓と首脳会談にも影響を与えた。
記事中でも「宮沢首相の16 日からの訪韓でも深刻な課題を背負わされたことになる」と述べているように、取材記者の意識はともかく、宮沢訪韓に向けた一定の政治的意図が働いていた、と指摘されても否定はできないであろう。
少し後になるが、93年8 月5 日の朝日新聞のソウル発記事は、「韓国外務省高官」の情報として、92 年1月、当時の大統領府の有力首席秘書官が「慰安婦問題を訪韓する宮沢首相に突きつけて、日本側から貿易収支不均衡問題の政治的決着を得ようとした」と紹介している。少なくとも韓国側は対日交渉にこの問題の利用を意図していた」
http://www.asahi.com/shimbun/3rd/3rd.html   

このような朝日が政治的意図をもって作り出した「慰安婦問題」に、腰を抜かしたのが「お公家さん集団」と呼ばれていた宮澤首相と、その官房長官だった加藤紘一氏ならびに河野洋平氏たちでした。
彼らは、20分間に8回の謝罪をするというギネスブックに果敢に挑戦したのみならず、韓国政府の言いなりなって作ったのが河野談話でした。

河野談話は「強制連行は確認できない」と言いつつ、河野氏が独断で政府に諮ることなく記者会見で強制連行の事実があったかと問われ、「そういう事実があった」と述べてしまったのです。 
一国が、戦時公娼で隣国に土下座するという、世界外交史上空前絶後の事件でした。

しかし慰安婦に強制性があったと証言する吉田証言が、92年4月の秦郁彦氏の済州島の実証調査で完全否定されるとなると、めげずに今度作ったロジックが「慰安婦問題の本質は女性が自由を奪われ、尊厳を踏みにじられたことである」という「広義の強制性」というなんでも詰め込める不思議な概念でした。
この「広義の強制性」という造語を作ったのは朝日92年1月の「政府関与資料発見」の記事に登場する吉見義明氏です。吉見氏はこう述べています。

「たとえ本人が自由意思でその道を選んだようにみえるときでも、実は植民地支配、貧困、失業など何らかの強制の結果なのだ」(慰安婦裁判訴状)

この論理は無敵で、この論理では慰安婦の自由意志による就業であろうと、女衒に連れられていこうと、賃金が高額であろうと、外出や買い物をする自由があろうと、すべて軍と政府がなんらかの「関与」していれば、「強制性による拉致」だと言えてしまうからです。
これについても、朝日新聞第三者委員会は手厳しくこう断じています。


「以降、92年に吉田証言に対する信ぴょう性に疑問が呈されるまで、前記のような意味での『狭義の強制性』を大々的に、かつ率先して報道してきたのは、他ならぬ朝日新聞である。
1997年の特集紙面が、『狭義の強制性』を大々的に報じてきたことについて認めることなく、『強制性』について「狭義の強制性」に限定する考え方を他人事のように批判し、河野談話に依拠して「広義の強制性」の存在を強調する論調は、のちの批判にもあるとおり、『議論のすりかえ』である」

この朝日と吉見氏の「女子挺身隊=慰安婦」、そして「広義の強制性」、そして日弁連の「性奴隷」という三つのおぞましい武器をしっかりコピーした韓国政府・女性家族部の公式見解はこうです。


「慰安婦」とは戦時中に日本の旧植民地朝鮮台湾など)や占領地(中国フィリピンインドネシアなど)から強制募集され、意に反して性奴隷として奉仕させられた若い女性に対する婉曲表現である。日本軍、官憲及び民間業者が20万人もの女性を騙し、誘い、あるいは連れ去って、日本の植民地や占領地の至る所で性奴隷として売春を強要した」

ここにも「日本軍、官憲ないしは民間業者が20万人もの女性を騙し、誘い、あるいは連れ去って」「性奴隷にした」とあります。
行き着いたのがとうとう「性奴隷」ですが、この反日プロパガンダは世界に拡散し、いまや定着してしまいました。
このようなことの発端を作ったのが河野談話でした。

石破氏が出そうと目論んでいる「見解」がいかなるものかわかりませんが、政権末期のどさくさの中で生まれたという共通の匂いがあります。
このらうな最後屁を許してはなりません。

 

 

2025年7月27日 (日)

日曜写真館 さきいても声おとなしや蓮の風

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あの世にて逢ふ人あまた蓮ひらく 林翔

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おのづから鄙めく恋や野に蓮咲き 伊丹三樹彦

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かくれ咲くひとつの蓮や稲の花 水原秋櫻子

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うとうとと骨肉わけて蓮紅し 飯島晴子

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一花一仏傾くもあり蓮の花 山口青邨

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そよ風に 座る者待つ 蓮の花 伊丹三樹彦

2025年7月26日 (土)

辞めるな、石破首相、支持の声拡がる、だそうです

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石破首相に退陣要求が日に日に募っているようですが、とんでもない、国民の支持の声は盛り上がっていますぞ。
とうとう官邸包囲デモにまで燃え盛り、自民党議員よ、聞け、この声を!

「退陣論が浮上した石破茂首相(自民党総裁)を巡って、25日午後7時から首相官邸前で激励デモ「#石破辞めるな 官邸前激励0725」が予定されている。X(旧ツイッター)上では赤、黒、白の3色をあしらったデザインの告知が拡散されている。自民党内では参院選大敗に伴い、石破首相の求心力が急低下しており、外部から首相を支えたい構えとみられる」
(産経7月24日)
「#石破辞めるな」官邸前で25日夜にデモ予定 「抗議でも褒め殺しでもなく、激励です」 - 産経ニュース

昨夜のデモでは主催者が、石破氏を「近年の自民党でまれな言葉が通じる政治家」だそうです。

「呼びかけ人の女性は首相について「近年の自民党にまれな言葉が通じる政治家だ。歴史修正主義者ではない」と強調。「ポスト石破」候補とされる高市早苗前経済安全保障担当相について「極右」、小泉進次郎農林水産相を「ポピュリスト」と指摘し、首相について「はるかに首相にふさわしい。迫っているファシズムの防波堤として頑張ってもらいたい」と訴えた」
(産経7月25日)
「#石破辞めるな」官邸前でデモ 「近年の自民党にまれな言葉が通じる政治家」 - 産経ニュース

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 産経ニュース

ただ残念ですが、いま起きていることは自民の総裁選びというプライベートなものなんですよ。
このデモに来るような人は、かつて安保法制反対なんかで押し寄せた人たちでしょうから、自民支持者はほぼ皆無でしょう。
いわば共産党党首選に、自民支持者らが「シイを辞めさせるな」と押しかけたようなもの。
したがって、いま大詰めを迎えつつある石破辞任騒動に対しての影響力はこれまた皆無でしょうがね。
むしろ石破さんの立場が悪くなる一方じゃないかな。まぁどーでもいいけど。

政界極道の小澤一郎氏はこう檄を飛ばしています。

「小沢氏は「目下、自民党内は石破総理辞めろの大合唱。」と切り出し、「だが、退陣要求している議員をよくよく見ると、裏金議員だったり、統一教会癒着議員、旧安倍派だったりと、一体どの口が言うのかという話。」と指摘。「石破総理が辞めれば次の総裁は更にひどいのが出てくる。いま自民党という組織そのものが断末魔を迎えている。」とした。
さらに、小沢氏は連続投稿。改めて「自民党議員達は自分らの裏金やら悪行三昧を棚に上げて『石破総理が全部悪い、とっとと辞めろ』の大合唱。ついこの前、選んでおいてこれ。」とした上で、「今や石破総理の最大の敵は野党ではなく自民党。最後にこの12年半の自民党の闇の全てを暴露すれば、歴史に残る総理となるだろう。」と〝逆エール〟を送った」
(よろずー7月24日)
小沢一郎氏が石破首相に〝逆エール〟「自民党の闇を暴露すれば歴史に残る総理に」退陣要求に「どの口が」(よろず~ニュース) - Yahoo!ニュース

おお、なんと、政界で最も金権の頂点に登り詰めた小澤氏以外、この台詞は言えないでしょう。(涙)
いわく、「退陣要求しているのは旧安倍派だ」「全部統一教会だ」「自分の悪行を石破首相になすりつけているのだぁ!」
なるほどなるほど、魂を揺さぶって吐き気すら催しますなぁ。

一方最初に石破支持の狼煙を上げた極左芸人のラサール石井氏は、軽量級ながらも意気軒昂。
石破氏こそ反戦平和の首相だったと激賞。

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産経ニュース

「ラサール氏は23日、Xで「石破首相、退陣へ」とする一部報道を取り上げ、「世論誘導だろう。首相はまだ決断していないのでは」と疑問を呈した。首相について「答弁はメモを読まず、沖縄には追悼し、戦争はおきてはならぬと主張する。ここ最近の自民党の首相では1番まとも」と高く評価した。
米国との関税合意を受けた自民内の動きに関し「一区切りと退陣要求するのだろうが成果は成果。政治的空白を作るな。辞めたら極右政権が生まれる。それだけは避けたい」と訴えた。「#石破やめるな」とも投稿した」
(産経7月24日)
社民・ラサール石井氏は石破首相の続投を支持「一番まとも」「政治的空白を作るな」 - 産経ニュース

また、しばき隊を率いた菅野完氏は、石破氏こそ官邸に入り込んだ日本会議を駆除した大功労者だと支持を訴えています。

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「石破おろしの首魁はやはり日本会議の連中だったってことよね。
日本会議の連中が官邸の中に入り込んだのは安倍政権以降。石破はその弊害を除去し、自民党を健全化しようとしてるだけ」
Xユーザーの菅野完さん

共産党からは小泉恵杉並区議がやめないでぇ、と大絶叫。

「考え得る限り、#戦後80年 #被曝80年 を日本が迎えるにあたり自民党の中で一番総理にふさわしい人です!石破首相、まだやめないで!お願いだー!!」
小池めぐみ🇵🇸🏳️‍🌈🏳️‍⚧️日本共産党杉並区議団(@KoikeMegumi_may)さん / X

そうそうここですよ、ここ。石破氏が粘る理由は。
石破氏が安倍70年談話を上書きする80年談話をしてくれなければ誰がするのですか。
石破氏にはなんの実績もない。
安倍の墓に泥を塗る、村山談話を継承する80年談話を出す、これが彼の「歴史的使命」なんです
それまでは石にしがみついても辞めましぇん。
このように見てくると、アチラの業界からは圧倒的支持があったことが改めてわかりました。

ちなみに女性誌の日刊ゲンダイと呼ばれる「女性自身」が選んだ「なって欲しくない首相第1位」は

「1位に選ばれたのは、高市早苗前経済安保担当相(64)だ。総裁選では1回目の投票で首位に立ったものの、決選投票で石破氏に21票差で敗れた。
‘22年に亡くなった安倍晋三元首相の路線を継承する積極財政派で、改憲論者という、党内でも屈指のタカ派として名高い。そのほかに、選択的夫婦別姓導入の反対など安倍氏と共通する部分が多く、安倍氏を支えた岩盤保守層からの支持も厚い。
“対中強硬派”としても知られ、石破政権下で行われた中国人の日本滞在ビザの緩和措置について、安全保障上のリスクを指摘。また、首相・閣僚の靖国神社参拝には、中国からたびたび反発が起こるが、高市氏は首相に就任した場合でも、“普段通り淡々と”参拝する意向を昨年の総裁選前に話していた。今回のアンケートでは、高市氏の保守的な価値観への抵抗や、外交上の不安を挙げる回答が多かった。
《右傾化しそうだから》
《靖国参拝でアジアと悪くなりそう》
《あまりにも右寄りなので国際的には反感を招かないか心配だ》
《中国との外交不安があるから》
《偏見ではなく、いまの状況を切り開くには「女性首相」ではなく、保守的でもない、野党の意見を聞きバランスの取れた政治を進められる首相が良い》」
(女性自身7月25日)
首相なってほしくない 1位は|ニフティニュース

なるほどなるほど、こういう人らが石破さんを「首相になってほしい政治家第1位」にしてたのね。
裏返しにいえばこうなります。
「左傾化しそうで」「靖国参拝は拒否し」「あまりにも左よりで」「中国と親しい」首相だったから石破氏を応援しているんですね。わかりやすいこと。

なお、両院議員総会に必要な署名が3分の1に達しました。

「参院選で大敗した石破茂首相(自民党総裁)の責任を問うため、両院議員総会の開催を求める署名が党所属議員の3分の1を超えたことが25日、分かった」
(産経7月25日)
両院議員総会求める署名、自民所属議員の3分の1超える 一層強まる首相への辞任圧力 - 産経ニュース

さてさて、どうなりますことやら。

 

 

2025年7月25日 (金)

石破首相進退問題続報

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石破首相進退問題の続報です。
石破氏の進退については、要するに当人の心の内の話なのでなんとも言えません。
かなりはっきりと退陣を決意と書いているのは、今のところ読売と須田慎一郎氏だけです。
だだし、この両方共にいわゆる飛ばしをする所ではないので、なんらかの証拠があるのでしょう。

ただ、石破氏が言っていることも右往左往しているのもまた事実です。
例の首相経験者との会談の後に、石破氏はこう言っています。

「参院選で歴史的大敗を喫した自民党の石破茂首相(総裁)は23日午後、麻生太郎最高顧問、菅義偉副総裁、岸田文雄前首相の首相経験者と会談した。自らの出処進退について「一切話は出ていない」とし、月内にも退陣を表明するなどとした一連の報道内容を否定した。会談後、自民党本部で記者団に語った」
(ブルームバーク2025年7月23日 )
石破首相、自らの出処進退「一切話は出ていない」-退陣報道を否定 - Bloomberg

たぶん嘘とまで言うのは気の毒ですが、眉唾だというのは、3人からの伝聞から浮かび上がってきます。
もっとも鮮明に退陣を要求したのは麻生氏のよう、他の2人も似たトーンだったようです。

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参議院選挙 2025【全議席】自民党・公明党 過半数割れ 石破総理は続投の意向 国民民主党・参政党は大幅増 | NHK | 参議院選挙

「党重鎮」の話としては

「会談で麻生氏は「石破自民党では選挙に勝てないことが明らかになった。対応をすべきだ」と迫ったという。(略)
岸田氏は首相が参院選総括に意欲を示したのに対し、「選挙の検証も大事だが、その後のシナリオも明らかにすべきだ。そうでなければ党内はもたない」と訴えた。
菅氏は首相の辞任を求める複数の自民議員が、総裁選を前倒しして実施する「リコール」や、両院議員総会の開催に向けた署名集めを実施していることを踏まえ、党の分裂に強い危機感を示したという」
(産経7月24日)
<独自>麻生氏「石破自民では選挙勝てない」首相に進退迫る 岸田氏同調、菅氏分裂危機感(産経新聞) - Yahoo!ニュース

たぶんこの3人の発言は事実の可能性が高いと思われます。
石破氏は「選挙の総括」なることを展開しようとしたようですが、おもうに任せなかったようです。
麻生氏が前々から石破政権と距離を置いていたことは知られていますが、岸田氏が言っていたとされる「その後のシナリオ」とは、仮に石破氏がしがみついても、今後の政権運営が不可能だという意味でしょう。
参院だけなら野党から4議席引っ張ってくればなんとか済みますが、前回の衆院選の大敗で215議席であり、過半数の233議席に18議席も足りません。

したがって好むと好まざるとに関わらず、何がなんでも野党の一部と協力関係を結ばねばならないのです。
さもないと、予算案はおろか政権の日常的運営すら支障を来すことになります。
具体的には、立憲は論外として(一部に大連立を望む声もあるようですが)維新と国民民主ですが、どちらからも拒否されています。
衆院選直後ならまだしも、参院選で両政党ともに順調に議席席を伸ばしており、泥船と化した石破政権にあえて同乗するメリットがありません。
むしろ旗幟を鮮明にして、案外早く来るかもしれない衆院選に備えるのが筋でしょう。

菅氏が「党を割ってはならない」という立場だったという伝聞も信憑性があります。
これは石破氏が重要選挙に3度続けて大敗して、衆参両院で過半数割れという非常事態を作ってしまったことに対して責任をとらないことから始まっています。
総裁は辞めろと言われてするものではなく、自ら進退を決するというのは自民党の美学、あるいは紳士協定でした。
それに真正面から逆らっているのが石破氏です。

使われたことはありませんが、いちおうリコール条項としては、自民党規約第33条1項にあることはあります。
それがいま話題となっている両院議員総会を使ってリコールする方法です。

●自民党規約第33条1項
両院議員総会は、党の運営及び国会活動に関する特に重要な事項を審議決定するものとし、特に緊急を要する事項に関しては、両院議員総会の決定をもって党大会の議決に代えることができる。ただし、党大会の議決に代える場合は、構成員の三分の二以上の出席がなければ審議決定することができない

いま、この両院議員総会の開催を求める動きが活発化しているのはご承知のとおりです。
そしてその場で総裁選の前倒しを決議します。
根拠は6条2項です。

●自民党規約6条2項
総裁が任期中に欠けた場合には、原則として、前項の規定により後任の総裁を公選する。ただし、特に緊急を要するときは、党大会に代わる両院議員総会においてその後任を選任することができる。

これらを使えば石破氏を解任し、総裁選を開催することが可能です。
すでに両院議員総会を開くための3分の1の署名は集まったという情報もあります。
実際に両院議員総会を開いてリコール動議を出した場合、菅氏の「分裂してしまう」という危惧が表面化するのは事実ですから、署名した議員たちもこれを使わせるなというのが本音なはずです。
しかし石破氏が総理の椅子にしがみつく限り、そうならざるを得ないわけです。

いずれにしてもここ数日がヤマです。
さもなくば、自民党は石破氏と共に終了です。
ドンマイ、ドンマイ石破さん、あなたを支援する声も出始めています。
発信元は社民党のラサール石井氏やしばき隊の菅野完氏など、「いままででもっともまともな政権」だそうです。

 

2025年7月24日 (木)

ゲル氏、七転八倒

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昨日は体調もパっとしなかったところにもってきて、ゲル氏の二転三転、七転八倒騒ぎがあったところに、かぶったようにトランプが関税妥結を海の向こうからガナってくるというアクロバティックな展開でした。
ほとんど書き上げていた原稿をボツにして書き直す羽目に。あーしんど。
私もそれなりに長く政治を見てきたつもりですが、こんな奴は見たことがない、いやかつてアキカンというゲテモノが一匹いましたが、それを除いては日本の政治風土が生んだハズレ者です。
ゲテモノは死ぬに際して毒を吐き散らして死ぬようで、前回の1号は再エネ法というトンデモ法を置き土産にして、国民を数十年苦しめ続けました。

さて今回ですが、日米関税交渉15%で合意という報道が駆け巡っていますが、まだ詳細な内容はわかっていません。
追って調べてみます。
Xでのトランプの発表。

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「アメリカのドナルド・トランプ大統領は22 日、自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に、日本と関税をめぐって「大規模な」取引で合意したと投稿した。日本がアメリカに対して5500億ドル(約80兆円)を投資し、日本からの輸入品に15%の「相互関税」を課すことになるとした。石破茂首相も23日午前、合意に至ったことを認めた。
トランプ氏は投稿で、日本がアメリカ製の乗用車やトラック、米、特定の農産物などに対して市場を開放することになるとも付け加えた。
アメリカとの交渉を担う日本の赤沢亮正経済再生担当相は、日本時間23日朝、ホワイトハウスを訪問したことを、「任務完了」のハッシュタグを付けてソーシャルメディアに投稿した」
(BBC7月23日)
トランプ氏、日本との貿易交渉で「大規模な」合意と 「相互関税」は15% - BBCニュース

これも本来なら、日米同時に国家のトップが発表すべきことですが、こちらは自分の進退でカチカチ山のたぬき状態でした。
しかしこれで関税交渉を辞任拒否のひとつに上げていたことが自動消滅したことになります。

ところで、初めはゲル氏は8月末までには辞めると言ってました。

「石破茂首相は23日、自民党が8月にまとめる参院選の総括を踏まえ、同月までに退陣を表明する意向を固め、周辺に伝えた。首相は同日、自民党の麻生太郎最高顧問、菅義偉副総裁、岸田文雄前首相と会談し、自らの進退を巡り協議するとみられる。
ただ、参院選大敗直後に続投の意向を表明した首相に対し、党内から退陣要求や批判の声が高まっているため、判断時期が前後する可能性もある。 首相に対しては、各地の地方組織が退陣や党の体制刷新を求める他、中堅・若手議員からは党大会に次ぐ意思決定機関「両院議員総会」を開催し、総裁選の前倒しの議決を求める声も出ている」
(毎日7月23日)

当然すぎるほど当然、というか遅すぎたくらいで、フツー衆議院選、都議会議員選、そして参院選と重要選挙を続けて三つ落としたら即刻、殿ご落城です、お腹をお召す時でございますという忠臣のひとりもいるべきでしたが、その「忠臣」が森山腹黒タヌキですからな。
甘利氏がイラついてこういうXをしていました。

「これ以上ない低い責任ラインを自ら設定し、それすらクリア出来ない二度の惨敗の果てに『比較第一党の責任』なる珍説で政権にすがろうとする。最後のシンパまで失いますよ」

そうそう「比較第1党の責任」なんて言っていましたね。
あるいは「大地震が来るから辞めない」(笑)とまで言っていたのは見苦しさを通り越して、ほとんどギャグでした。ただし笑えませんが。
自民党丸から多くの仲間の船員を海に投げ出しておいて、船長はパンツ一枚で死にたくな~いと言っているようなモンです。
まるで乗客の高校生を大量に死なせて、自分ひとりパンツ一丁で逃げたセウォル号の船長みたいです。

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韓国セウォル号沈没裁判、船長「私は死刑で当然」 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

そして首相経験者3人との面談の後には一転してオラ、やめねぇぞですからたまげました。
そもそも麻生内閣が選挙で大敗したとき、閣僚でいながら辞めるべきです、って「正論」吐いて足をひっぱったのはあなたでしょうに、どのツラ下げて

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産経

「一方、みずからが周辺に辞任する意向を伝えたなどとする一部報道については「会談で私の出処進退については、一切、話は出ていない。そのような発言をしたことは一度もない。報道されているような事実はまったくない」と、強く否定しました」
(NHK7月23日)
石破首相 続投の意向 重ねて示す 一部の辞任報道は否定 麻生氏 菅氏 岸田氏の総理大臣経験者と会談 | NHK | 参議院選挙

わ、はは、こんどは辞めないってさ。
麻生さんと辞めろとハッキリ言ったみたいだし、菅さんは党がもたないと言ったとか。

ユーチューブでは、いかに辞めないと言っている首相を辞めさすのは大変か、高橋洋一氏が解説していました。
両院議員総会で総裁を解任してもそれは自民党内の人事ですから総理までは解任できないそうです。
直近の国会で野党に解任動議を出してもらって、それに同調するしかないという変則なことになるそうです。

いっそ「今日のゲル」や「明日のゲル予報」という特設コーナーでも作ってもらいましょうか。
メディアさん、また「首相にしたい政治家」なんてアンケート取っているようですが、安倍さんの時にズッと一位だったのはどこの誰でしたっけね。

 

2025年7月23日 (水)

今週一杯が山場でしょう

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まぁ、誰がどう考えても今週一杯が山場でしょう。
いえなに、自民党総裁の件です。石破氏の「負け逃げ」を許してしまったら、自民は政党として「信なくば立たず」になってしまいます。
 国民の為政者への信頼がなければ、国家も人も成り立つものではない、という意味だそうですが、まさにいまの状況がすっきりコレです。
世論調査も出ました。

「読売新聞社は参院選後の21~22日、緊急全国世論調査を実施した。石破内閣の支持率は22%(前回6月調査32%)に急落、内閣発足以降最低となった。石破首相が目標に掲げた公明党との与党50議席を下回り、参院の過半数を割り込んだ結果を受け、首相は辞任するべきだと「思う」は54%と半数を超えた」
(読売7月22日)
石破内閣支持率22%に急落、「首相は辞任するべきだ」54%…読売世論調査(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース

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読売

支持層ごとの石破内閣支持率はこんなかんじです。

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読売

自民支持層の反応が鈍いのが気になりますが、3回も国民から信用できん、と突きつけられて、自浄できなかったら自民党本当にお終いだって分からないのかしら。

ついでに政党支持率も見ておきましょう。

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読売

「読売新聞社は参院選後の21~22日、緊急全国世論調査を実施した。自民党の政党支持率は19%(前回6月調査23%)だった。調査方法が異なるため単純比較はできないが、毎月の調査を始めた1978年3月以降の自民党政権下での最低は、橋本内閣時代の98年7月(面接方式)の21%だった」
(読売7月22日)
自民党の政党支持率19%、自民政権下で最低…読売世論調査 : 読売新聞

内閣支持率22%+政党支持率19%で、青木率は41%。完全な政権運営不能ラインです。

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石破政権、「青木の法則」で50%割れ 01年以降3番目の早さ:朝日新聞

議員でもパラパラでてきてはいます。
いつも元気なコバホークは

「自民党の小林鷹之元経済安全保障相は21日、自民、公明両党が20日投開票の参院選で大敗し過半数を失ったことに言及した。「国民から最後通牒をつきつけられた思いだ。信頼が失墜したことを重く受け止めるべきだ」と述べた。千葉県内で記者団に語った。
石破茂首相(党総裁)の進退に関し「最終的には総理総裁が判断されることだが責任の重さは党のトップとしてしっかり受け止めていただきたい」と話した。
早急に敗因を分析して総括することが重要だとの認識を示した。自民党として軸を明確にし、保守政党に回帰すべきだと訴えた」
(読売2025年7月21日 )
自民・小林鷹之氏「信頼失墜重く受け止めるべき」 参院選大敗で - 日本経済新聞

だよね。慎重な言い回しだけれど辞めろということです。
言語明瞭な河野太郎氏はXで

「木原誠二選対委員長に、私の委員長代行の辞表を預けました。
関税交渉の最中に総理がお辞めにならないのは理由があるにせよ、選挙の責任者である幹事長がまだ辞表を出していないのはおかしい。こういうところから直していかないと、自民党の再生はありません」
Xユーザーの河野太郎さん

まぁ、これでなにも起きなかったら自民は死んだということです。

 

2025年7月22日 (火)

自民の勝負勘のなさは致命的です

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見ませんでしたが、石破さんが辞めないということを改めてテレビで言ったそうです。
恥の上塗りですな。

「21日午後2時から東京・永田町の自民本部で行われた記者会見。石破首相は冒頭、「自民党総裁として深くおわび申し上げる」と静かな口調で切り出し、頭を下げた。
その後、進退や責任論に質疑が集まったが、「喫緊の課題がたくさんあり、責任をもって対応しなければならない」と重ねて強調。党役員人事や内閣改造の可能性も否定し、約30分後、うっすらと笑みを浮かべて会見を終えた」
(読売7月21日)
「政権維持しても次大敗するだけ」「死に体なるのは目に見えている」…首相続投表明に市民や党内から批判の声(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース

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読売

それにしてもこわばった蝋人形のようになってしまった菅さん、大丈夫かしら。
鋼鉄の官房長官、コロナ五輪を乗り切った強靱な首相から一転、充分に晩節を汚したのですから、静にご静養ください。

ゲル氏の言い分に反論するのもばかばかしいのですが、関税交渉か「喫緊の課題 」と言っているなら、それは真逆です。
石破さん、あなたの存在自身が障害なんです。

そもそも超死に体のあなたなんか、誰も交渉相手だとは思っていませんから。

トランプ政権は、この数カ月ポイントをハズしまくっている石破政権にイライラしていました。
いままでも書いてきましたが、関税交渉のポイントは、①自動車②コメ③消費税の三つです。
トランプは米国製品や農産物を買わせたいのですから、①はトヨタが助け船を出してくれたように、米国工場で作って日本に逆輸入し、国内のディラーでアメ車を流すていどの目に見えるパーフォーマンスをしなければ納得しないでしょう。

②コメは自由化するしかありません。せっかくトランプが自分がヒールになるからと言っているのですから、コメ自由化に踏み切る時期です。
JAも今回のコメ騒動で、はからずもJAが悪者扱いにされることに業腹のはずです。
よくテレビは5反歩ていどの農家に意見を聞いて自由化したらコメは壊滅だぁなどと言わしていますが、アレは全部兼業農家です。
コメは村のおつきあいでやっているだけ。
聞くなら最低でも数十ヘクタール以上の主業コメ農家に聞いてくることです。
たぶんいま自由化されたら困るとは言うでしょうが、将来的に外国産のコメと対決しなければならないことは理解しているはずです。
国はコメの大胆な集約化、大規模化を支援すべきです。

③の消費税が関税外障壁だというのはトランプの持論です。
日本の消費者の購買力がまだまだ弱くてインフレに追いついていないのですから、社会保険の負担を軽減して手取りを増やすなり、減税するなり、やり方はいくらでもあるはずです。
それを全部ネグってしまったあげく、結局ショボイ給付金2万円ポッチを配ってお茶を濁そうとするような腐れ根性だからどーしようもありません。
しかも減税には財源がないの一点張りのくせに、はしたカネを配る余裕だけはあるという二枚舌。

思えば、この「年収の壁」の攻防こそが、今回の参院選の前哨戦でした。
国民民主は所得税が上がり始める「年収103万の壁」を撤廃し、178万にすることを自民に強く求めて予算案を盾にして食い下がっていたのですが、自公に裏切られました。
おそらく玉木氏としては、この政策を自民が呑めば自公と閣外協力する選択もアリだと内心思っていたはずです。
この時に国民民主と歩調を合わせることができるていどに自民が柔軟ならば、いま頃は同じ負けでもまだ光明は残っていたはずなのに自らオジャンにしてしまいました。

自民党森山裕幹事長は8日、熊本市内で講演し、所得課税の最低ライン「103万円の壁」の引き上げに関して「財源の裏付けのない政治は国をおかしくする」と訴えた。国民民主党が求める178万円への引き上げに消極的な姿勢を示した形だ。
自民・公明両党は昨年の税制改正協議で、178万円に引き上げれば7兆~8兆円の税収減になると主張。政府与党は、いったん123万円でまとめた経緯がある」
(朝日2025年1月8日)
「財源の裏付けない政治、国おかしくする」自民幹事長、年収の壁巡り [自由民主党(自民党)][年収の壁]:朝日新聞

このふたりが選んだのは、維新の主張する高校無償化で、これで予算案を通してしまったのです。
勝負勘がないんですね、石破-森山のご両所は。

この国民民主の減税案は国民の多くに支持されていただけに、石破政権の人気はガタガタ、一時は自民に肉薄していた支持率も雲散霧消してしまいました。
この時期に、いままでは市議会にすら議員を送れなかった党と、国民民主の支持率が入れ替わります。

「朝日新聞と大阪大の三浦麻子教授(社会心理学)と共同でおこなったネット意識調査で、参院選比例区国民民主党に投票するつもりだと答えていた人の2割が、5月以降に投票先を参政党に変えていたことが分かった」
(朝日7月20日)

国民民主は、例の山尾女史を擁立するという大チョンボで評判を落としたところに、この「所得の壁」の攻防に失敗したことから、支持利率を参政党に奪われることになります。

「投票先に国民民主を選んだ人は、2~3月には13.7%おり、4~5月には15.0%まで上昇して自民党に肉薄したが、今月18日には10.1%まで減っていた。(略)
ネット意識調査では、4~5月に国民民主だった人の2割はその後、投票先を参政に変えていた。そのほかの党に流れた人も合わせ、国民民主は結局、3分の1を失っていた。

一方、参政に投票するとしていた人は、2~3月には1.2%、4~5月でも1.4%だけだったが、今月18日には7.4%と急増。数カ月で5.3倍になり、政党別の順位も8番から4番になった。増えた分の半数は国民民主からの流入だった」
(朝日前掲)
参政の急伸、半数は国民民主から流入 比例区投票先、ネット意識調査 [参院選(参議院選挙)2025]:朝日新聞

 国民民主は惜しいことをしましたね。
石破-森山などというコンクリートの増税脳が相手でなければ、もう少し違った展開になったでしょうに。

政治家という商売は「勘」が命です。
あるいは「状況を見通す眼」といってもいいかもしれない。
石破氏にもっとも欠けるのはこの勘です。
彼が生涯一番輝いていたのは、野党転落した後の自民幹事長だった時です。
追及は鋭く、堂々と理路整然、かつ揺るぎませんでした。
彼を幹事長に据えたのは誰でしたか?

残念ですが、ウチの国の政治家は身内政治に馴れすぎました。
ムラ内のつきあいがうまければ、なんとか身過すぎ世すぎができてしまう。
これを一概に悪いとは思いませんが、これを長く続けると木は見えるが森が見えない連中がはびこることになります。
いまの自民を見ていると、まさにコレです。

その意味で、「地球儀外交」と宣言した漢、つまり石破氏を幹事長に抜擢した人は偉大でした。
日本の歴史を世界史の中に置く、外交を地球儀の中で見る、見るばかりではなくイニシャチブをとる。
彼が非業の死を遂げた後、それを理解しない連中によって再び自民はかつてのオールド自民党に先祖返りしてしまいました。
今回の参院選を、泉下の安倍氏がどのように見ているか知りたいものです。

 

 

2025年7月21日 (月)

石破政権惨敗、でも辞めないですと

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先週のうちから予定稿を書けるような参院選でした。
壮絶なまでの自民惨敗です。
これを書いている7月21日午前3時現在の得票結果です。

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NHKニュース 速報・最新情報

「20日に投票が行われた第27回参議院選挙は開票作業が進んでいます。これまでのところ、自民・公明両党の獲得予想議席はあわせて38議席から51議席となり、選挙前の66議席から大幅に減らし、目標としていた参議院全体での過半数の維持に必要な50議席を確保できるか微妙な情勢です。
石破総理大臣は、比較第1党の重さを自覚しなければならないとして続投する意向を示しました」
(NHK7月21日)
【速報中】参議院選挙 2025 自民党 公明党 過半数維持は微妙な情勢 国民民主党・参政党は大幅増か 投票率は | NHK | 参議院

自民の惨敗は予定コースで、特に驚くに値しません。
やや驚いたのは石破首相が辞任を拒否しそうなご様子だということです。さすがタダ者じゃないねぇ!

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NHK

「石破総理大臣は午後10時すぎ、NHKの開票速報番組で、参議院選挙で自民・公明両党が目標としていた過半数の維持に必要な50議席を確保するのは難しい情勢となっていることについて「厳しい情勢であり、謙虚に真摯に受け止めなければならない」と述べました。その上で自身の進退を問われたのに対し「現状で比較第1党の議席を頂戴している。もう1つは、全国で選挙期間中に訴えてきた 物価高を上回る賃金上昇や厳しい安全保障環境への対応、防災対策、地方創生、人口減少対策など国家のために果たしていかなければならない責任がある。比較第1党の責任はよく自覚していかなければならない」と述べました」
(NHK7月21日)
【速報中】参議院選挙 2025 自民党 公明党 過半数維持は微妙な情勢 国民民主党・参政党は大幅増か 投票率は | NHK | 参議院選挙

かつて民主党政権にアキカンと揶揄された首相がいましたが、この男は政治能力はゼロ以下なのに、一度握った権力は絶対に手放したくないという御仁でした。
このヒトを引きずり降ろすために党内でひと騒動あった挙げ句、再エネ法と引き換えにやっと退陣していただいたという一幕もありました。
石破氏もこの伝のようで、政権口開けの衆院選で大敗北、これで辞めるのが筋なのに政権にしがみついた結果がこの大敗です。
2連敗しても辞めない、その理由が
「国家に対して果たすべき責任」なんて大仰に言っていますが、ハイ、それは辞めること以外ありません。

だって物理的に無理じゃありませんか。
自民は改選52議席を大きく下回り、石破首相が周辺に漏らしていたとされる「45議席取れれば」というはかない希望にも手が届くかどうかといった悲惨な状況です。
おまけに自民政権にコバンイタダキよろしくくっついてきた公明も、改選14議席の維持困難。
したがって、自公連立与党政権は、議会の過半数を押さえられなかったのですから、単独での政権運営は不可能となり、その都度、野党を取り込まねばならなくなりました。

その後のパターンですが、これしかありません。

①自公+野田立民
②自公+国民
③野党野合政権

まず③という民主党の再現ですが、幸いにもありえません。
旧民主党系の2党派である国民民主は、立憲と元のサヤに収まったら最後、それは自らの存在理由の破壊だということをよく理解しています。
増税や安全保障といった大きなテーマで国民民主と立憲は大きな隔たりがあり、そうそう簡単に埋められるものではありません。
国民民主の議席が減少したならともかく着実に伸ばしていますから、立憲なんぞと組む必然がありません。
維新に至っては立憲との政権なんぞ悪い冗談でしょう。
ですから、いくら野田氏が太鼓を叩いても他の野党は絶対に乗らないはずです。
万が一そんなモンができても、1カ月ともちません。

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産経

残る可能性としては①の大連立か、②の自公プラス国民か維新というパターンしかないことになります。
①の大連立は、岸田-石破ラインならやる可能性はゼロではありません。
石破氏が辞任しない、幹事長の森山氏も辞めないということになれば、それは敗北を認めないという意味です。
別の言い方をすれば、今の党主流である岸田-菅-石破-森山ラインの党内での立場がなくなるということになります。
逆にこれをやったら自民党が完全に保守政党であることを止めたということですから、保守系議員と保守支持層は黙ってはいないと思います。
ここで自民を割って保守新党を作る元気が残っているかどうか、ですがどんなもんでしょうか。

問題は、「石破の次」が見えないことです。
それに代わる首相を出すべき主流派を担うべき派閥がないのです。
本来ならここで最大派閥の安倍派が政権を担うべきはずですが、雲散霧消してしまっています。
たぶん、老獪な岸田氏はこういう状況を見通して安倍派を潰しておいたんでしょうな。
かろうじて生き残っているのは麻生派ですが、河野太郎氏くらいしか候補になりそうにないのです。

本来なら、能力があり、力量も確かな茂木氏が立つべきでしょうが、率いる派閥(平成研)が消滅しています。
去年5月時点の派閥状況ですが、ご承知のように安倍派も平成研も消滅しています。

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自民党・茂木派「解散」へ 岸田文雄首相の派閥解消方針受け - 日本経済新聞

わかりましたか、自民の派閥は諸悪の根源のようにメディアが叩いていましたが、派閥なき自民は危機に際してガバナンス不全になるのですよ。

では②の自公+国民民主あるいは維新かといえば、これは早々に拒否されています。

「国民民主党の玉木雄一郎代表は20日夜、テレビ朝日番組で、参院選の結果を受けた連立政権入りについて「約束を果たせないような石破政権と組むことはあり得ない」と否定した」
(毎日7月20日)
国民・玉木代表「石破政権と組むことあり得ない」 連立政権否定 | 毎日新聞

そして維新はというと、こちらもにべもありません。

「日本維新の会の吉村代表は、午後9時半ごろ、大阪市で記者会見し、政権の枠組みをめぐって「現時点で、自民党と連立することは考えていない。野党とは、政策ごとの協議はあると思うが、ちょっと難しい。共産党など、憲法的な価値観がまったく違うところと、国家の屋台骨を運営していけるかというと、現実的ではないのではないか」と述べました」
(NHK7月20日)
維新 吉村代表「自民党と連立 現時点で考えていない」 | NHK | 参議院選挙

というわけで、いまのように見るも無惨に国民からの支持を失った石破氏のピンチに手を貸す政党は皆無なのです。
というわけで、残るは強制的に引きずり降ろすしかありませんが、自民党所属国会議員の3分の1による発議を経て両院議員総会を開いて、総裁辞職勧告を決議するという方法もあるにはあります。

さらに所属国会議員および自民党県連の過半数の賛成が必要です。

フツーの神経の政治家なら、こういう動きが出ただけで恥ずかしくて辞任するのですが、気の弱い陰キャラなくせにツラの皮だけは異常に厚いゲル氏ですから、辞めないはずです。
たぶん最後のプロセスまで引きずるのではないでしょうか。
やれやれ。その間、わが国はなにも決められない国として漂流することになります。

 

2025年7月20日 (日)

日曜写真館 ありあまるゆゑにくづほる薔薇と詩人

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くれなゐのバラにして金をふくみたる 山口青邨 

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いさかひて仲なほりして薔薇の花 日野草城

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たれこめて薔薇ちることも知らさりき 政岡子規 

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いつ癒ゆる薔薇大輪にのぼり咲く 角川源義

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うす紅に霑ふ薔薇の末ら葉かな 飯田蛇笏

2025年7月18日 (金)

NATO式国防費5%とは

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先頃、NATOが国防費5%を決めたと効いた時、ほほーと感心しました。
これは、例によってトランプ翁の安保ただ乗り論から来ています。

「トランプ大統領は2%では不十分だと言っている。NATO各国が脅威に対応できるよう、5%まで引き上げる必要性について議論していく、ことし2月、ベルギーで開かれたNATO国防相会合。
アメリカのヘグセス国防長官は、NATO加盟国に対して、国防費をGDP比で5%にまで引き上げるよう求めた」
(NHK7月15日)
アメリカ トランプ大統領が“予定調和”?NATO首脳会議 国防費5%の舞台裏 ロシアと戦うウクライナ支援は? | NHK | WEB特集

NATOからすれば、つい最近2%にしようと決めたばかりで、いきなりその倍プラスですかと渋るかと思いきや、意外や意外あっさりとそれではそのようにと呑んでしまいました。やや驚きましたね。
というのは、何度か国防費は増やさねばならんという議論は内部であったのですがうまくいかなかったからです。
2014年、ロシアがウクライナ領土のクリミアに侵攻して併合した時も、2%以上に引き上げようという掛け声はあったのですが、その時代はさっぱりやる気ナッシングでした。
ロシアは無血で併合したし、今後もさらなる武力侵攻はしないよ、戦車より福祉に、そういう妙に楽観的な考えが根強かったために2024年時点で達成できたのは加盟国32か国中22か国にとどまりました。いかにブッたるんでいたかわかります。

それがいきなり今回のウクライナのあからさまな武力侵略を見て、さすがに青ざめて2%への歩調が揃いました。
しかし、それでも足りないというのがトランプです。

「NATO関係者
「引き上げないといけないが、5%は現実的ではない」
「実際には3%か3.5%が現実的だと思う。とにかく引き上げる意欲を示すことが大事だ」
(NHK前掲)

うーん苦しい、「引き上げる意欲あり」という精神論ではトランプの猛攻に勝てませんよ。
そもそもあの男は、NATOとのあり方を見直すと公言しており、プーチンと良好な関係を築けるのは自分だけだ、と豪語していたのですから。
トランプのディールは、基本ヒトとヒトの交渉という属人的な発想に基づいていて、彼にかかると「トランプ政権下ならウクライナ戦争は起きなかった」などと吹いており、「自分なら24時間以内にウクライナ戦争を解決できる」とまで言っていました。

ご承知のように、24時間どころか7カ月たってもプーチンは停戦会談にすら応じようとしていませんし、今後も戦争をやめる気がないことがハッキリしました。
フツー、これだけビッグマウスしてハズしたら恥ずかしくて昼間に道を歩けないもんですが、トランプに限っては別。
では、攻め口を変えてNATOをいたぶろうと思いついたようでです。
そこで、法外な関税との合わせ技で軍事費5%を突きつけました。
ということで、冒頭に戻ります。

実はこれはこれで、米国から見れば筋が通った要求です。
つまり、自分で自分を守る意欲がない者は守らない、条約があるからといって自動的に守ってもらえると思うなよ、というスパルタンな考え方です。
たとえば先だって6月22日、トランプはイランの核施設を空爆しましたが、それはイスラエルが「立ち上がる獅子作戦」で徹底的にイランを空爆してみせたからです。
アレがなければ、米国はバイデン流で空爆に尻込みしたことでしょう。
ちょうどクリントンが北朝鮮の核施設を空爆しなかったように。
言い訳はいくらでもあります。空爆は予防戦争だから国連憲章違反なんで、できないとかね。
むしろ「やる」理由が必要なのです。
しかし、当時の韓国も日本もまったく無力で、かくて北の核は東アジアの脅威として君臨してしまったのです。

だから、ヨーロッパも自らを守る意志とカネを見せねばならなかったのです。
当初、NATO首脳はアタマを抱えて「意欲はあります」といった精神論で乗り切ろうとしたようですが、ここで妙案を出したのが事務総長のルッテでした。

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NHK

「首脳会議まで残り1か月半ほどとなった5月初め。NATOのルッテ事務総長が、加盟国にある提案を持ちかけた。
「GDP比で国防費を3.5%、国防関連費を1.5%として、2032年までにあわせて5%に引き上げる」
つまり、戦車の購入費用など純粋な「国防費」以外に、サイバー対策や軍の機動力を確保するためのインフラ整備といった「国防関連費用」も「5%」の中に含める、というものだった」
(NHK前掲)

あ、なるほどこう来ましたか。
実は国防費の算出の仕方は世界とりどりなんです。

通常はこのように規定されています。

「軍事費とは、ある国家から見て、戦争が起きていない時(=平時)においては、軍の維持費という性格を持ち、戦時においては戦費という性格を持っている。
軍事費は狭義には、陸軍海軍空軍人件費給料、採用の費用 等)、装備の維持や拡張などのための経費を指す。よっておおむね陸・海・空各軍の所管経費を合算したものを指す。広義には治安部隊や国境警備隊沿岸警備隊(日本では海上保安庁)といった準軍事組織、軍事に活用できる技術の研究開発(R&D)投資なども含む」
軍事費 - Wikipedia

広義と狭義があるようです。
NATOの場合、戦車や航空機、大砲などといったハードとは別に、サイバーセキュリティや国内の軍事インフラ整備まで入れてトータルで5%にしようという案でした。
徹底的に広義で5%をとる、なるほどこれは妙案です。
もちろん戦車も増やすが、それだけではなく、いままで記事にしてきたようなドイツに見られる戦争に備える体制を作り出していく、そのためにはカネと手間を惜しまない。
これを見て、さすがの米国も納得したというわけです。

 

ロシア国民、プーチンと一緒に地獄に落ちる気がおありか?

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ロシア人はプーチンが大好きなようです。
いくらウクライナの前線で100万人が死傷しようと、世界の孤児となろうと、唯一の友だったトランプから愛想を尽かされようと気にしない。
BBCはモスクワ近郊で、この「特別軍事作戦」について質問しました。
結果は、もうお分かりですね、ハラーショ一色です。

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BBCニュース 

「平和的に戦争が終結するのを望むとの声もある一方で、ロシアの勝利で終わると確信していると話す人もいた」
(BBC7月15日)
「ロシアが勝利」、「停戦で平和的に」 ウクライナでの戦争終結をロシア国民はどう考える - BBCニュース 

信じがたいことには、多くのロシアにとって戦争は他人事、ウクライナ人を殺し続けている痛みなどどこ吹く風のようです。
侵略されたウクライナでは、連日の無差別空襲で多数が毎日死傷し、軍事占領された土地では過酷な軍政が敷かれています。
言い逃れのしようもなく国際法上の犯罪国家であり、国際社会からはボイコットされ、オリンピックにすら代表を送れなくなっています。

つまり勝とうと負けようと、ロシアは今後半世紀はかつてのナチスドイツ扱いになるということです。
まぁ、負ければ賠償を支払わねばならないでしょうがね。
いずれにしても地獄ですが、そもそもなんの紛争も起きていない他国に攻めこむという行為をたいした覚悟も無しに始めてしまったあなた方が愚かなのです。

経済は戦争経済で焼きつき、戦争を止めたら最後超インフレが襲い国家破綻するのは目に見えています。
しかしそんなことは一向に気にならないようで、もうすぐロシアは勝利し偉大なロシア帝国は再び蘇ると信じています。

全体主義だから、ロシア国民は嫌々服従しているのだろうって。とんでもない。
ちゃんと選挙制度があります。ただし相当に歪められていますけど。
去年3月にあった大統領選挙では、大部分のロシア人がプーチンを熱狂的に支持したことをお忘れなく。

「政府系の全ロシア世論調査センターが11日にまとめた選挙終盤の情勢動向によると、プーチン氏の得票率見通しは82%。6%の同率で並ぶ2位のダワンコフ氏とハリトノフ氏を圧倒する。プーチン氏の当選は揺るがない状況だ。
足元でプーチン氏の支持率は伸びている。ロシアの民間世論調査会社レバダセンターの調査では、プーチン氏の2月の支持率は86%と、2022年2月のウクライナ侵攻開始後で最高となった」
(日経2024年3月13日)
プーチン氏、ロシア大統領選挙で圧勝演出 3月15日から投票開始 - 日本経済新聞

言うまでもありませんが、メディア統制は徹底しており、報道の自由などという概念はとっくに死語と化しています。
政党は複数存在しますが、大統領選にはプーチン政権を支持する「新しい人々」、ロシア共産党、自由民主党しか出られません。
民主化団体はあるにはありますが、弾圧によって弱体化しています。

「大統領選ではかねて選挙の不正が独立系メディアなどで報告されてきた。過去の選挙で与党の不正を暴露した選挙監視団体「ゴロス」の共同代表者は23年8月に拘束された。拘留は延長されており、ゴロスの実質的な弱体化を狙っているとみられる」
(日経前掲)

民主化指導者のアレクセイ・ナワリヌイは、極北の牢屋の中で不審死を遂げました。

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アレクセイ・ナワリヌイ
読売新聞

「ロシアの独立系メディア「インサイダー」は29日、ロシアの反政権運動指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏が露北極圏の刑務所で今年2月に死亡した際、露当局が調査報告書を改ざんしていたと報じた。専門家は、毒殺が疑われる症状を隠蔽し、自然死に見せかける意図があった可能性を指摘している」
(読売2024年9月30日 )
ロシア当局、ナワリヌイ氏の死亡調査報告書改ざんか…毒殺の症状を隠蔽する意図があった可能性 : 読売新聞

プーチンの支持率推移を見てみましょう。
ウクライナに侵攻したのは2022年2月24日ですが、それまで7割を切っていた支持率が一気に80%を越え、24年には85%に達しています。

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日本経済新聞

得票率87.3%だったそうです。
ゾっとする高得票率ですが、まともな対立候補がいるフツーの選挙でないことを白状しています。

したがってCNNはこう続けています。

「対立候補はほとんどが死亡、投獄、亡命、または出馬を阻まれている。22年2月にロシアがウクライナに侵攻して以来、反体制派は実質的に非合法化され、プーチン支配に対抗できる勢力は存在しない」
(CNN2024年3月24日)
ロシア大統領選、プーチン氏の圧勝確実 30年間の支配固め - CNN.co.jp

ナワリヌイ氏が暗殺されたのは選挙直前でした。
民主化勢力共すべての望みを捨てよ、ということのようです。

そしてかつて側近グループを作ってプーチンを支えていたオリガルヒ(新興財閥)も次々に暗殺されています。

「オリガルヒ(新興財閥)の一人ボリス・ベレゾフスキー氏は、プーチン氏を政治的に支援していたが決裂。13年に、亡命先のロンドン郊外の自宅で首をつった状態で見つかった。
15年には、野党指導者のボリス・ネムツォフ氏がモスクワ中心部で射殺された。エリツィン政権時代の第1副首相で、プーチン大統領の最大の政敵と呼ばれる人物だった」
(朝日2023年8月24日)
お茶に放射性物質、不審死…プーチン政権、刃向かえば次々消される? [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル (asahi.com)

そしてロシアの陸軍総司令官には人海戦術が大のお気に入りというアンドレイ・モルドビチョフ大将が任命されました。

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ウクライナ侵攻が新段階 ロシア、戦果求め大規模攻撃 - 日本経済新聞

もう行くところまで行くしかないのでしょうか、ロシア国民。その先は地獄ですよ。

 

2025年7月17日 (木)

次は岸田氏だとさ(悲鳴)

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「全体の勝敗を分ける改選定数1の「1人区」32選挙区のうち、自民が優勢なのは、石川、福井、鳥取・島根、山口の4選挙区のみにとどまる。序盤では7選挙区だったが、群馬、岐阜、奈良の3選挙区が接戦に転じた。東北、四国、九州では、全ての1人区で激戦から抜け出せていない。 
改選定数2以上の複数区ではそれぞれ議席を確保できそうだが、大阪は厳しい戦いとなっている。
全選挙区に候補者を立てた参政党に保守票を奪われている面もある。自民が過去最低だった1989年(宇野内閣)の36議席を割り込む可能性も浮上している」
(読売7月15日)
[参院選終盤情勢]自公の過半数厳しく、立民堅調・国民大幅増 : 読売新聞

まぁ、参政党に食われるでしょうな、と思ったらそのとおりの展開です。
自民は常に独自の世論調査を調査会社を使ってやらせていますから、執行部はお通夜だったんじゃないでしょうか。
選挙期間中に森山幹事長は消費税死守」みたいなことを言ってしまうし、二階ジュニアは「和歌山にパンダを」が選挙公約です。(爆笑)
落城するときは一瞬、と諸行無常の風が吹く。

原因を自民党は都議選敗北の総括どおり「政治とカネの風に負けた」なんて分析しているようですが、こんなこと言っているうちは負けてもぺんぺん草も生えてきませんぞ。
もうゲル氏続投なんて芽は、完全に消えています。
森山、岩屋、林の各氏は一蓮托生で退陣として、問題は次を誰にするかですが、中堅議員が盛んに政治資金不記載聞問題が逆風だったと言っているところをみると、岸田氏の再登板が有力なんじゃないでしょうか。ナンマンダブ。
岸田氏が再登板なんて道を選ぶと、自民党の寿命は長くはないかも知れませんね。

ま、もっと最悪なのは、「野党転落よりいいや」とはばかりにゲル・森山氏続投というパターンですが、ここまでバイタルが落ちたらほんとうに長くはないでしょう。
ナントカ降ろしとやっているうちは、生命力も残っているわけですからね。

ところで、多くのヒトが気がついているでしょうが、岸田氏こそ、いまのような弱い自民党を作った元凶です。
岸田氏は、かつての小泉パパ以上に文字通り「自民党をぶっ壊した」のです。

彼は安倍氏暗殺事件を党内政敵の安倍派の一掃に無理やりにこじつけました。
本来は、初めから安倍氏を暗殺した外道野郎の言うことなど一切無視するべきでした。
テロリストに報酬を与えるな、与えてよいのは絶望と無力感だけだ、これが民主主義国家の大原則です。
ロをやってもなにも変わらない、政府は微動だにしない、一切の交渉もしないし、テロリストに物語すら語らせない、名前すら開示しない、動機も聞かない、一切を黙殺する、これが先進国のテロ対応の大原則のはずでした。

ところが奈良県警は警備の失態を隠蔽するためにベラベラと捜査情報をリークし、それをもとにメディアはテロリストの悲話を作って流布しました。

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岸田首相、露出多い女性ら招いた自民党懇親会は「不適切で遺憾」 - BBCニュース

なによりもひどかったのが岸田氏でした。
ワイドショーを見て政治を方向を決めていた岸田氏は、旧統一教会と自民党の代議士との関係などという、まったくどうでもいい方角にこの事件を誘導し、あげく宗教法人解散まで突っ走ってしまったのです。
そしてなぜテロを許してしまったのか、という肝心要なことはまったく振り返られもしませんでした。

米国の、2001年9月11日に起きた中枢同時テロ事件に対しての対応はこうです。
米国ではこのような大事件が起きた時、徹底検証し、責任者は責任を取らされます。
2004年7月に最終報告書を発表するまでの1年半余りの間に12回の公聴会が開催され、160人の要人、専門家が招かれて証言しました。
証言者はコリン・パウエル国務長官、ドナルド・ラムズフェルド国防長官などといった政府要人までも含まれていました。
その結果がテロリズム予防法としてまとめられ、ブッシュ政権はそれを実行に移すことを求められました。

一方、わが国は警察庁が2022年8月に出した「警護についての検証及び警護の見直しに関する報告書」ペラ一枚だけであり、それも内容的には警備のあり方に限ったものでした。
テロリストと宗教団体との関係、危機管理体制のあり方も含めた徹底検証は、本来なら政府が独自の調査委員会を立ち上げて調査すべきを、ことあれかしを願うメディアに丸投げし、そのいうがままに岸田政権は動いてしまいました。
いやそれどころか、岸田氏はそれを自分の政敵排除に利用さえしました。
そして自民党内での「統一教会関係者狩り」を政府自民が率先して行ったのですから、自民党が弱体化して当然です。

そしてその後は、共産党が火を点けた政治資金規正法の未記載をことさら大きく取り上げて、とうとう自民党の主流派だった安倍派を完全解体に追い込んだのですから、念がいっています。

これだけ自党を弱体化させて、その仕上げに反安倍のヒーローだったゲル氏を首相にしたのも、この岸田氏だといわれています。
ほんとうは自分がやりたかったのでしょうがね。
岸田さん、よかったね、待った甲斐がありました。
あなたの思惑どおり自民は見事にぶっ壊れて、いまや崩壊寸前です。



2025年7月16日 (水)

本気でウクライナ戦争を止めたいなら

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やっぱりトランプは2次制裁にまで踏み込みませんでした。
予想の範囲の最小円で、特に「重大発表」とか「転機」とか言うほうがおかしいのです。

「[キーウ/ワシントン 14日 ロイター] - トランプ米大統領は14日、ホワイトハウスで北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長と会談し、ロシアの侵攻を受けるウクライナにNATO経由で最新鋭兵器を供与すると明らかにした。同時に、ロシアが50日以内に和平合意に応じなければロシアに制裁を科すと表明。これまでのロシアへの対応を大きく転換させた。
トランプ大統領は大統領執務室でルッテ氏と並んで座り、ロシアのプーチン大統領に失望していると記者団に述べた上で、数十億ドル相当の武器がウクライナに提供されると表明。「最先端の兵器を製造し、NATOに送る」とし、NATO加盟国が武器代金を負担すると述べた。
NATO経由でウクライナに提供される武器には 防空システム「パトリオット」ミサイルが含まれる。トランプ氏は「バッテリーを含む完全なセットだ」とし、「数日以内に、極めて迅速に」ウクライナに送られる可能性があると述べた」
(ロイター7月15日)
トランプ氏、ウクライナに兵器供与 50日以内の和平なければ対ロ制裁 | ロイター

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トランプ氏、ウクライナに兵器供与 50日以内の和平なければ対ロ制裁 | ロイター

このていどの軍事支援などバイデン政権時代にはフツーに行われていたことで、それをいきなり停止したおのれの判断がおかしかったのです。
なにをいまさらプーチンが戦争を止めないと泣き言を言っているのか。
プーチンが変わってしまった、というようなことを言っているようですが、違いますよ、あんたがただのアホウだっただけだよ。
こともあろうにロシアナラティブになって、ウクライナが戦争を仕掛けた、なんてタワケたことを言っていたのはどこの誰だったことやら。

こんなことは初めから分かりきっていたのに、トランプの眼鏡がプーチンへの贔屓の引き倒しで歪みきっていただけのことです。

本気で戦争を止めたいなら、石油輸出を止めねば意味がありません。
いままでここまで戦争を長引かせたのは、制裁に合意していない中印への輸出が大きな抜け穴だったからです。
だから、侵略国を支える国に対しての2次制裁が実現しないかぎり、ウクライナ戦争は止まりません。
2次制裁にまで踏み込んだリンゼイ・グラハムらが提出した法案は、今週の木曜に審議されるそうなので、それを待ちましょう。

「リンゼイ・グラハム上院議員(共和党)は、トランプ氏を含む共和党指導者たちに、彼が提出したロシアに新たな制裁を課す法案を進めるよう、何カ月も圧力をかけてきた。最近、グラハムは、法案が現在、トランプと上院多数党院内総務ジョン・スーン(共和党)の両方から支持を得ていることを示唆しました。
トランプ氏は木曜日、上院が制裁措置を可決することを期待していると述べた。「これは上院が通過させている法案で、ご存知のように、大統領がやりたいことを何でも非常に敬意を持って行うことができます」と彼は言った」
(NBC7月11日)
Trump readies blanket tariffs as he brushes off inflation worries

まぁ、トランプの怒りが限界に達したのでしょうね。あの人、沸点が低いですから
トランプはプーチンが決断しない、と怒っています。
トランプが愛好するのは「決断」と「ディール」だけて、したがって要求する答えはイエスしかありません。
じらして引き延ばせば譲歩を引き出せるとともったら大間違い。
逆に怒りを増幅させるだけで、交渉打ち切りを通告されるだけのことです。
どこかの国の関税交渉みたいですね。

ノーと言ったら、条件をレイズされ、いっそう困難になるだけのことです。
プーチンは表面的にニコニコ笑って友情をふりまきつつ、実際はなにもしようとしませんでした。
戦争が国家経済に構造化されてビルトインされてしまったからです。

経済はこの間書いてきているように、戦争経済をしているために強インフレが加速しています。

「ロシアが受けた経済的損失も大きい。ロシアは侵略で欧米諸国などから大規模な経済制裁を科され、先進技術のサプライチェーン(供給網)から切り離された。重要な外貨獲得源だった石油や天然ガスなどエネルギー資源の輸出では、主要顧客だった欧州が購入を大幅に減少させた。ロシアは中国やインドへの輸出を拡大しているが、足元を見られて割引価格での販売を強いられており、対欧州輸出の減収分を補えていないとみられている。
ロシアの国内景気は軍需生産の拡大で活況を呈し、賃金も上昇しているが、その反動としてインフレが加速している。露中銀によると、24年のインフレ率は9%を超える可能性がある。中銀はインフレを抑えるために24年秋、政策金利を21%に引き上げた。借入金を抱える企業は高金利のために利益を出すのが難しくなっており、銀行借り入れによる新規投資にも慎重になっている」
(産経1月2日)
ロシア、ウクライナに「もし勝利」でも大損失が確実 地政学・軍事・経済の全てで〝赤字〟 - 産経ニュース

今のロシアはウクライナ戦争に全振りした戦争経済にシフトしています。
やや意外感がありますが、ロシア経済は「好調」です。
24年の経済成長率はなんと3.2%もあるのです。

「世界銀行は10月17日に発表した欧州・中央アジア経済見通しで、2024年のロシアの実質GDP成長率を3.2%、2025年は1.6%、2026年は1.1%と予測した。
2024年6月に同行が発表した世界経済見通しと比較して、2024年は0.3ポイント、2025年は0.2ポイントそれぞれ上方修正し、2026年は据え置いた。その理由として、消費者心理が好調なことや、実質所得の増加や防衛、インフラを含む政府支出の大幅な増加により、成長率が潜在成長率を大きく上回っていることを挙げた」
(ジェトロビジネス短信 2024年10月25日)
IMF、ロシアの2024年経済見通しを上方修正(ロシア) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ

これをもってしてロシアラバーの人たちは「西側の経済制裁は効いていない」、「モスクワやサンクトペテルブルクなとでは消費活動が活発で平時と変わらない」などという話をよくします。
プーチンの強気はこういう好調な経済に支えられているのだ、ロシアはまだまだどこまでも戦えるぞ、一方ウクライナを見ろ、もうタオルを投げてもらいたがっているじゃないか、トランプ和平を欲しているのはゼレンスキーのほうだというわけです。

ホントでしょうか。
「景気がいい」というのをGDPの成長率だけでみれば、それは事実です。
だって戦争経済やっているんですから、あたりまえじゃないですか。
日本がおこなった過去の戦争の場合を例にとると、1894年に起こった日清戦争では、当時のGDPに対して軍事予算は17%、1904年に始まった日露戦争ではGDPの実に60%もの費用がかかっています。
また1941年から始まる大戦では、なんと880%(!)という仰天する数字となります、つまりGDPの8.8倍も軍事費を使っているのです。

ロシアの場合、6.1%に膨れ上がりました。
砲弾を作っても、鉄砲の弾を作ってもGDPとしてカウントされるんですから、そりゃGDPは激増しますね。
ロシア軍はウクライナ軍の軽く10倍もの砲弾を戦場に注いできました。

「アメリカのCNNテレビは11日、NATO=北大西洋条約機構の分析として、ロシアの砲弾生産能力が、欧米の3倍近い年間およそ300万発に達している可能性があると報じました。欧米がウクライナ向けに生産する砲弾は年間120万発で、NATOの高官は、「われわれは生産戦争に直面している。ロシアの生産面での優位性が、戦場での優位性をもたらしている」と危機感を語りました」
ロシアの砲弾生産能力 欧米の3倍か 年間およそ300万発 NATO危機感(2024年3月12日)

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ロシア、兵器増産テコ入れ 軍需工場員に兵役免除示す:朝日新聞

今、ロシアは全力で武器を大増産していますが、一発の砲弾の材料を作るためには火薬を作る工場が要り、大砲や砲金を作る会社などが必要で、そこに支払いが生じます。
同時に、工員には労賃が支払われますから、国が全力で砲弾や戦車を作り始めたら巨額の公共投資が発生します。
極端にいえば、戦死者の墓穴を掘ってもGDPは増えます。

今、ロシアは徴兵された者に手当てを支払い、戦死者に弔慰金を支払っています。
これは地方の貧困層にとって一種のばらまきとなって、地方経済を「活性化」させています。
戦争前の不景気はどこへやら、表面的には消費活動も旺盛になり「景気がよくなる」ように「見える」るのです。

しかしその代償として、戦死傷者は100万を越えると推定されています。
英国国防省によれば、撃破された戦闘車両は1万両以上、備蓄してきた大部分を喪失し、いまや新型戦車は怖くてウクライナには送れない有り様です。
ウクライナ戦争の海上戦力の主体だった黒海艦隊は、旗艦「モスクワ」など主力艦の多くが撃沈されほとんど解体状態で、いまやクリミア半島突端のセバストポリ軍港には怖くて艦船を置いておくこともできません。
空軍は対空ミサイルが怖くて使えないので温存されていますが、少しウクライナに飛ばせば直ちに落とされます。
戦略爆撃機はまとめて爆破されてしまい、今は極東に逼塞しています。

また本来の目的だったロシア勢力圏はボロボロとなり、南カフカス地方の同盟国であるアルメニアがアゼルバイジャンに係争地ナゴルノカラバフを奪還されてしまい、同盟関係が崩壊しました。
また24年12月には、ロシアを後ろ盾としてきたシリアのアサド政権が反体制派の攻勢を受けて崩壊しました。
これでロシアがシリア国内に租借してきた海軍基地と空軍基地の処遇は不透明となり、中東、地中海、アフリカへの足掛かりを喪失しました。
双方ともに駐留させていたロシア軍を引き抜いて、ウクライナに突っ込んだからです。
そして中東最大の友好国であったイランは、事実上米国の軍門に下りました。

ロシアと国境を接するフィンランドやバルト3国、スウエーデンは、いままで中立を保ってきましたが、ロシアがこうまで露骨な侵略をする国だとわかるや一斉にNATO加盟に踏み切りました。
このためにロシアのバルト海艦隊は、北海への出口を封鎖されてしまうこきとになりました。
そのNATOも揃って軍事費を嵩上げしました。

つまりロシアはすでに「敗北」しているとも言えるのてすから、これ以上戦争をする意味がないのです。
しかし戦争経済という熱病にかかっているために、止めるに止められない。
戦争経済とは一種の麻薬だからです。
自発的に止まらない以上、強制的に止めさせるしかありません。
そのためには国庫を完全に干上がらせるしかないのです。
つまり完全な原油止めです。
これ以外、ウクライナ戦争を止める方法はありません。

 

2025年7月15日 (火)

なにが飛び出すか、トランプの「重大発表」

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14日といいますから今日ですが、トランプ御大のロシアについての「重大発表」があるとのことです。(ワクワク)
米国のニュースサイトのアクシオスは、「トランプ氏がウクライナへの新たな兵器の供与計画を発表し、モスクワにも到達可能な長距離ミサイルが含まれる可能性が高い」と報じています。

リークも一部されていて、共和党のリンゼイ・グラハムがこんな投稿をしています。

「ビッグニュース - 「今後数日間で、ウクライナが自衛するための武器と弾薬が大量に、記録破りの流れを目にすることになるでしょう。アメリカは、ヨーロッパのために大量の兵器を購入し始め、それらはウクライナに移転されるだろう。凍結されたロシアの資産に関するニュースから目を離さないでください-プーチンは私たちとヨーロッパが疲れることを望んでいましたが、それはまさに彼が致命的な間違いを犯した場所です」 —共和党上院議員リンゼイ・グラハム」
XユーザーのVisionerさん

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トランプ大統領「ウクライナに装備送るが支払いはEU」 「パトリオット」の追加供与を明言 14日にはロシアに関する重大発表へ(FNNプライムオンライン(フジテレビ系)) - Yahoo!ニュース

まぁ、こんな程度の内容ならトランプは記者団に歩きながらしゃべっていますから、これが本命ではないはずです。
日経がこんな記事を配信しているのが気になります。

「トランプ米大統領は14日、ウクライナ侵略を続けるロシアを巡る「重大な声明」を発表する方針だ。米連邦議会はロシアへの追加制裁法案の月内可決を視野に動く。融和姿勢から圧力強化に転換するのか。政権発足から20日で半年になるトランプ氏の対ロ政策は岐路に立つ」
(日経7月14日)
トランプ氏、ウクライナに攻撃用兵器を供与か 米報道 - 日本経済新聞

パトリオットなどの防空システムや一定の支援予算は当然するでしょうが、ここで日経が書いている「米連邦議会はロシアへの追加制裁法案」という箇所がポイントです。
それはなにかといえば

連邦議会では、側近のグラム上院議員(共和)らが超党派で、ロシア産の石油や天然ガスなどを購入した第三国にも強い経済制裁と500%の関税をかける法案を提出している。これまでは強い関心を示してこなかったが、この日は法案について「検討している。完全に私の裁量に委ねられていて、可決も廃案もすべて私の裁量次第だが、真剣に検討している」と述べた」
(朝日7月9日)
トランプ氏、対ロ追加制裁「真剣に検討」 プーチン氏を「でたらめ」 [トランプ再来]:朝日新聞 

さらにこの制裁のターゲットが興味深い。
すばり中国です。

2022年にロシアがウクライナに侵攻した際、EUはロシア経済を弱体化させるため、ロシア産原油やガスの購入量を減らしました。
具体的には、ロシアとドイツなどを繋いでいたノルドストリームを止めたのです。
しかし結論を言えば、スカでした。
ロシアが中国やインドにディスカウントして輸出し、それがEU輸出ができなくなった分を充分に補ってしまったからです。

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読売

「中国が2023年にロシアから輸入した原油が、22年比で3・5%増の606億ドル(約9兆円)となった。ウクライナ侵略が始まる前の21年比で約5割増加しており、ウクライナ侵略で制裁を受けるロシア経済を中国が下支えしている構図が一段と明確になった。
中国税関当局の発表資料によると、サウジアラビアからの原油輸入額は22年比17・1%減の538億ドルと落ち込み、ロシアがサウジアラビアを抜き、中国にとって最大の原油の輸入相手国となった。原油の全輸入額に占めるロシアの割合は17・9%で、22年から1・9ポイント上昇した。ロシアからの天然ガスの輸入額も約6割増の64億ドルとなった」
(読売2024/01/22 )
中国の原油輸入、ロシアが最大相手国に…天然ガスの輸入額も6割増 : 読売新聞

ロシアが第2次大戦以降最悪の戦死傷100万人を越える大失血を被りながら、戦争が継続できるのは国家財源の大部分を占める原油輸出が「好調」だからです。
今回の2次制裁法案を主導している議員は、「この法案はロシアを貿易で孤立状態に追い込む。中国やインドが石油の購入をやめればプーチンの軍は機能しなくなる」と主張しています。
今回の法案が仮に施行されれば、ロシアへの直接制裁ではなく「セカンダリーサンクション(2次制裁)」として、ロシアを原油を買うことで事実上支援している中国を対象としています。
これが可決されれば中国とインドには500%の関税が課せられます。
実はトランプはこの2次制裁に尻込みしていました。なぜでしょうか。
たぶん影響が巨大だからです。

インドはちょっと置いて、中国を考えてみましょう。
今、バブルが弾けてデフレになっている中国にとって、選択肢はそう多くありません。
ダンコ拒否してプーチン原油を買い続けるか、ロシア産原油の輸入を停止するかです。
前者ですか、熱い中露連帯は、ロシアを大いに勇気づけるでしょうが、代償はとてつもなく大きい。
それは、中国経済が米国市場に輸出が不可能になり、経済の破綻を意味するからです。
そこまでしてプーチンの義理を果たすかどうか見物です。

後者ならば、中露派関係は冷却し、世界ならず者兄弟国家は、イランなきあと完全にバラバラになります。
大変にけっこうなことですが、安いロシア産原油を得てなんとか維持してきた中国経済がガタガタになるのは目に見えています。
実は3番目として、台湾侵攻というのも考えられなくはないのですが、やれば今のロシアと同じ制裁対象となるでしょから、経済は壊滅します。

つまりどっちにころんでもアウチです。

というわけで、なにが飛び出すか大いに楽しみではあります。
といってもあの人のことだから、大言壮語してなにもしないというのもありえますけどね。

 

 

 

2025年7月14日 (月)

ウクライナの空をどう守るか

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トランプが一部のウクライナ支援を再開しました。

「ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は11日、アメリカが一時停止していた軍事支援を再開したと述べた。ドナルド・トランプ米大統領は10日、米NBCニュースに対し、ロシアによるウクライナ空爆の激化を受け、アメリカが北大西洋条約機構(NATO)を通じてパトリオット地対空ミサイルシステムをウクライナに供与することで合意したと話していた。トランプ氏はさらに、14日にも「ロシアに関する重大な声明」を発表すると予告している」
(BBC7月12日)
アメリカがウクライナへ軍事支援再開とゼレンスキー大統領 - BBCニュース

この発表の直後、ロシアは夜間に過去最大規模となる728機のドローンでウクライナを攻撃しました。
防空部隊がほぼ全てのドローンを撃墜しましたが、極超音速ミサイル6発の一部が被害を引き起こしたようです。

このところ、トランプのプーチンへの「友情」は変化しているようですが、まぁ放っておきましょう。
あの気分屋は、どうまたころぶかわからないからです。
そもそもこの支援再開も、ウクライナに対して直接おこなったものではなく、いったんNATOに「売った」形にして、代金はNATOから回収すると言っています。
要は、これはただの戦争ビジネスなんだ、と言いたいようです。

「我々はNATOに武器を送っており、NATOはそれらの兵器に対して100%支払っている。ですから、私たちがやっているのは、出される兵器はNATOに送られ、NATOはそれらの兵器を[ウクライナ]に渡し、NATOはそれらの兵器の代金を支払っているのです」とトランプは述べて。彼は、取引は先月のNATOサミットで達成されたと付け加えた。
「我々はNATOに武器を送り、NATOはそれらの兵器の全費用を弁済するつもりだ」とトランプは言った。
トランプが、一部のNATO加盟国がウクライナに代わって米国製兵器を購入する可能性について最近浮上したアイデアに言及しているかどうかは不明であり、これにより米国がコストを負担しなくて済むようにした」
(NBC7月10日)
Trump readies blanket tariffs as he brushes off inflation worries 

下品なのはいつもどおりですからいまさら驚きませんが、自分の支持層のMAGAの連中から、ウクライナなんかにカネ出しやがってと言われないように予防線を張っているからこういう品性下劣な言い方になります。
それよりも、むしろこの支援が従来のハイマースやエイブラムス戦車なとの陸戦用兵器から、防空にシフトしているのに注目ください。

プーチンはウクライナの「蜘蛛の巣作戦」に怒り狂って、報復ドローン攻撃を激化しています。
特に首都キーウに対してミサイルと自爆型ドローンで攻撃を実施し、6月の1か月間で約300発を撃ち込んでいます。
ちなみに6月以前の5カ月は月に半分の150発程度でしたから、2倍に膨れ上がっているわけです。

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プーチンの怒りに任せた報復攻撃で露呈、ロシア軍息切れの兆候 この先ロシアの攻撃力は漸減へ、懸念は米国の支援削減・停止(1/4) | JBpress (ジェイビープレス)

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ロシア、ウクライナ首都をミサイルとドローンで攻撃 ハルキウなどでも爆発 - BBCニュース

「ウクライナ人権監視団の6月報告書の概要部分に書かれている
報告によれば、2025年6月は民間人死傷者数が少なくとも1575人(死者232人、負傷者1343人)で、この3年間で死傷者数が最多となったという。また、死者だけでは、6月は過去ほぼ1年で最多だったという。
また監視団は、6月の民間人死傷者数の半数以上(53%)は、都市部でのミサイル及び徘徊型弾薬(自爆型無人機)の長距離攻撃によって引き起こされたと伝えた。例えば、ドニプロ、キーウ、ハルキウでは、攻撃によりしばしば1件の事案で複数の死傷者を出すことが多く、特に負傷者数の数が非常に多かったという。2025年6月のロシアがウクライナに発射したミサイルと無人機の数は、2024年6月の10倍以上に上ったという」
(ウクライナフォーラム7月13日)
今年6月のウクライナの民間人犠牲者数、過去3年で最大=国連人権監視団

ウクライナ側のドローン攻撃も、いまやロシア深部に及んでいますが、目標は純粋の軍事施設に限定されています。
それに対してロシア側のドローン攻撃は、ほとんどすべてが民間の住宅、商業施設、あるいはエネルギー施設に集中しています。
これは軍事施設が、その性格上守りが厳しいので、民間住宅に撃ち込んでオダを上げているのです。

西村金一氏によれば、「蜘蛛の巣作戦」により、戦略爆撃機が壊滅的打撃を受け、残存部隊が極東コラ半島付近まで後退したために、Tu-22爆撃機が発射していたマッハ4のKh-22/32空対地ミサイルの発射がゼロになったようです。
その代わり増えたのが、このウンカの如く飛来してくるドローンでした。

ところで、朗報です。
実はドイツはすでに新たな支援パッケージとして、ウクライナが喉から手がでるほど欲している対ドローン防衛システム「スカイネックス」を供与しています。

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ニューズウィーク スカイネックス

「ドイツによる新たな軍事支援で、ウクライナの防空能力が大幅にアップする。
1月4日にドイツ連邦政府が発表した新たな支援パッケージには、ドイツ製の短距離対空システムであるエリコン・スカイネックスの供与が含まれている。ドイツは2022年12月にスカイネックスの製造元であるラインメタル社と約2億ドルの契約を結んだと発表。契約内容に含まれるスカイネックスのうち最初の2基を2024年前半にウクライナに届けると約束していた」
(ニューズウィーク2024年1月9日)
群れで襲うドローンスウォームも秒で撃ち落とす独防空システム「スカイネックス」がウクライナを強くする|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

ドローンがコワイのはその数なのです。
たいした工業水準がなくても回転焼きよろしくパカパカできちゃうので、ともかく安価。
「蜘蛛の巣作戦」で使われたウクライナのFPVドローンなんて1台約7万円ですから、対地ミサイルの(ピンからキリまでありますが)仮にトマホーク巡航ミサイルなら一発約7200万円ですから、比較になりません。
だから、これでもかというくらい撃ってきます。

それに対していちいちパトリオット(一発約1620万円)や戦闘機を使っていたら、いくらカネがあっても足りるわけがありません。
それに発射機の数も限られていますから、空軍基地や弾薬庫などに重点防御するしかないのです。
その点、このドイツ製のスカイネックスは、発射装置の値段がパトリオットの10分の1、そのうえ使用弾はABM弾といって、内部に収められた多数の重金属ペレットを高密度で投射するタイプです。

「ABM弾(Air Burst Munition)は、主に近接防御火器システムに使用することを前提に開発された中小口径の弾丸
発砲時に初速測定と同時に電磁コイルを経由して最適な起爆時間を信管調定できるため、空中での起爆位置が高精度にコントロール可能。内部に収められた多数の重金属ペレットを高密度で目標前方に投射する。
ABM弾の例としてエリコン・コントラバス社開発の35mm/30mm AHEAD弾(Advanced Hit Efficiency And Destruction)や30mm Pyrotee弾、57mm 3P弾がある」
ABM弾とは - わかりやすく解説 Weblio辞書 

だから安い上に、広範囲をカバーできます。
パトリオットは、マッハ4で突入してくるKh-22/32空対地ミサイルや、イスカンダルのような弾道ミサイルに使用し、うじゃうじゃ飛んでくる虻のようなドローンはスカイネックスが対応するという棲み分けです。
もちろんドローンに対しての電子戦などさまざまな方法がすでに行われていて、まさに矛と盾、一進一退です。

 

 

2025年7月13日 (日)

日曜写真館 かたなりに花吹きこほす蓮哉

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いちまいの蓮田恋をへだてたり 伊丹三樹彦

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ひらきゆく蓮の吐きたる虚空かな 正岡子規

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おのづから鄙めく恋や野に蓮咲き 伊丹三樹彦

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わりなしやだれが紅させし蓮の花 正岡子規

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丈凌ぐ蓮の茂みに 隠れんか 伊丹三樹彦

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ふいと来て見しうれしさや蓮の花 正岡子規

 

 

2025年7月12日 (土)

ゲル首相、「国益だ、なめられてたまるか」だとさ

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たぶん自分の関税交渉の失敗を居直って、ついでに保守層に媚を売ったつもりだろうけど、馬鹿すぎます。

「石破茂首相は10日のBSフジ番組で、トランプ米政権との関税交渉を巡り「なめられてたまるか」と述べた自身の発言に関し「米国依存からもっと自立するよう努力しなければならない、ということだ」と強調した。「『いっぱい頼っているのだから言うことを聞けよ』ということならば、侮ってもらっては困る」とも語った。
米側が不満を示す自動車の非関税障壁については「何が非関税障壁なのか、早急にきちんと答えを出していく」と説明。自動車産業は日本の基幹産業で関連する労働者が多く、簡単に妥協できないとの認識を示した。

「相手への敬意を持って向き合うのが外交だ。丁寧で慎重な発信が一国のトップとしては求められる」と指摘した」
(産経7月10日)
「侮ってもらっては困る」「米国依存から自立へ努力」 石破首相が関税巡る発言で釈明 - 産経ニュース

というとこれが「相手への敬意」に満ちた「一国のトップが出すべき丁寧な発信」というわけでしょうか。
わけないっしょ。そもそも「なめられた」のは誰のせいですかね。あなたの拙劣、かつ愚劣な交渉方法が原因でしょうが。
ヨーロッパのように報復関税でジャブを連打しながら、腰を据えて理論闘争するか、初めからお手上げだとベトナムのように早期妥結を図るしかないのです。

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【10万円商品券問題】「ミニ角栄」にもなれずに“自爆”した石破首相、やはり総理の器ではなかったのか(1/4) | JBpress (ジェイビープレス)

トランプは相手を見ています。日本が真っ先に大統領執務室に呼ばれて特待されたのは、さっさと決まると思っていたからです。
こちらはいくらでもカードがあったのに7回も、しかもそれも「昭和飛び込み営業」をやってりゃ足元を見られます。
ゲルが「国益だ。なめられてたまるか」とイキんだ自動車ですが、トヨタはさすがに落ち着いた対応を用意しています。
米国関税に「ジタバタしない」 国内生産300万台「揺るがず守る」トヨタイムズ

ゲル首相に章男会長は会談で(なんとふたりは慶応高校の同級生なんですとさ)、直接に話ているはずなんですがね。
理解していなかったとみえます。
トヨタはここまで言っているのです。

「この状況と認識の差を、章男会長は石破総理に説明し、そのうえで(当編集部がざっくり整理したところ)2つの提案を、総理に説明したとのこと。
ひとつめが「トヨタが北米で生産しているトヨタ車を日本へ輸入して日本で売ること」、ふたつめが「アメリカのメーカーが生産したアメリカ車をトヨタの販売店で売ること」。」
(ベストカーウェッブ6月11日)
豊田章男会長が石破総理に提案!!「アメ車をトヨタが売る」より実現可能性が高くて実効性があってクルマ好きが喜ぶ計画 - 自動車情報誌「ベストカー」

なんなら北米から完成車のトヨタ車を輸入してもいい、アメ車が売れないならトヨタの販売店で売ってもいい、スゴイね。
このくらいゲル氏のアタマが柔らかだったらいいのですが、結局、トランプが怒りに任せて(かどうか知りませんが)35%なんていう法外な数字が脳味噌を沸騰させてしまったようです。
あんなのブラフに決まっているでしょう。
いちいち「これは国益だ。守るべきものは守る」なんてまなじり決しなさんな、みっともない。かえって足元見られるだけでしょうが。

こういうトヨタの新提案をそのまま伝えればよいのです。
それもどうやらなんの権限も与えられていないベッセントなんかにでなく、トランプその人に対してです。メディアでも大宣伝をする。

トランプが問題にしているのは、コメの高関税と、アメ車、それに非関税障壁として指摘された消費税などであることがわかっています。
全部こちらから満額回答を出せることばかりです。

コメ関税なんかすぐにでも廃止できます。これで日本農業が破壊される可能性などまったくありません。むしろ強化されるくらいです。
いつかは他の農産物と一緒で自由化せにゃならなかったのに、農業票怖さにできなかったツケが回ってきただけです。
かつて自由化した牛肉やオレンジが潰れましたか。逆に日本産和牛やみかんが国際商品として大いに売れただけのことです。

アメ車に至っては売れる車を作って来いに尽きるのですが、そこまで言うならトヨタさんに一肌脱いで頂いてトヨタの流通に乗せるなり、米国製トヨタ車を輸入してみせればよい。
よもや日本国民に購入義務を課すなんてできっこないのですから、売れるかどうかは消費者の判断です。
ここまで譲歩したという形を見せればよいだけのことです。

消費税が関税外障壁だ、という米国の指摘は皮肉にも正解です。
米国には消費税がありません。小売売上税というものはありますが、それは 消費税が商品の製造や販売をする業者も納めるのに対し、小売売上税の対象は消費者のみです。
中学生がしっかり調べているのでご一読を。
taxgapbetweenjapanandamerica.pdf

それを森山幹事長のトランプに喧嘩売っています。

「自民党の森山幹事長は夏の参議院選挙に向けた公約について「消費税を下げる約束はどんなことがあってもできない」と述べ、改めて消費減税に否定的な考えを示しました。
「そんなに余裕のある国でないということは、その通りじゃないですか。消費税を上げるという約束はできるかどうか分かりませんが、下げるという約束はできない」」
(テレ朝6月2日)
「消費税を下げる約束はどんなことがあってもできない」自民・森山幹事長

もはや何をか言わんや、です。森山氏の背後にいる財務省の狂気すら感じます。
ここまで米国が水を向けているのですから、黒船だろうとなかろうと、トランプに言われちゃ仕方がないと妥協のひとつもするもんですが、森山幹事長の場合、増税がドグマのようになっているので無理なようです。
ならば、政権そのものを代えるしかありません。

このようにやりようによっては、こちらから満額回答で突っ返せたのですが、なにひとつカードも土産も持たさないで、赤沢さんひとりに「飛び込み営業」やらせていたのですから、こりゃキレるわな。
米国はこの参院選でゲル政権が崩壊すると見ています。たぶんそうなるでしょう。

だから次の首相がピリっとしたヒトにならない限り、この関税戦争は負けです。

ゲル氏よ、「なめるな」という相手は米国ではなく、またもや東シナ海上空で空自機に危険飛行をしかけてきた中国に向けなさい。
それを森山幹事長は、また訪日した中国要人にパンダをおねだりしたとか。
中国には媚を売り、同盟国の米国にはイキがる、どうにかしています。

 

2025年7月11日 (金)

ドイツは本気だ

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ドイツ連邦軍は本格的に復活しようとしています。
それもハンパではなく、一気にポーランド一国規模の増強を図ろうとしています。
レオパルト2A8戦車とボクサー歩兵戦闘車を計3500輌も調達しようというのですから、さすがに驚きました。

「ドイツは、最大2500両の装甲戦闘車両と最大1000両の主力戦車の購入を検討している。事情に詳しい関係者が明らかにした。対ロシアの抑止力として、北大西洋条約機構(NATO)の新部隊創設に向けた欧州共同の取り組みの一環になるという。
NATOはドイツに対し、10年以内に最大7個の戦闘旅団をNATOに送るよう求めている。匿名を条件に述べた関係者によれば、今回の購入が承認された場合、装甲車両および戦車はこうした部隊向けに装備される見通しだ。(略)
関係者によると、購入規模は最大250億ユーロ(約4兆2500億円)に上る可能性がある。ただし、達交渉はまだ進行中であり、最終金額はこれより少なくなる可能性もあるという。
注文は今後数カ月以内に確定し、年末までには議会が承認する見通しだと、関係者は述べた。 
ロイター通信が詳しい関係者の話を基に報じたところによれば、ピストリウス国防相は、現在10万人いる訓練を終了した予備役を倍増させることを目指しており、任意による6カ月間の兵役プログラムを導入する法案を8月末までに可決させたい考えだ」
(ブルームバーク2025年7月4日)
ドイツ、250億ユーロ規模の戦車発注を準備-NATO部隊強化へ - Bloomberg

ロシアはウクライナ戦争に勝利した場合、時をおかずに領土を接するエストニア、ラトビア、フィンランド、ポーランドなどの近隣国に侵攻する可能性が高いとNATOは見ています。
それも消耗したロシア軍の再編が終了次第、時をおかずに実施されます。
おそらく4年以内とNATOは考えているようです。
あまり時間を置くと、NATO軍が強化されてしまうためです。

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NHK

そのような状況が起きた場合、NATO軍は東欧の戦線に緊急展開するはずです。
その主力となるのがドイツ連邦軍です。
つい先日、ドイツ連邦軍が先行してリトアニアに投入されています。

「ウクライナ侵攻を続けるロシアへの警戒感がヨーロッパで高まる中、ロシアと国境を接するバルト三国のリトアニアではドイツ軍による駐留が始まりました。
ドイツ軍が単独で外国に部隊を常駐させるのは、第2次世界大戦後初めてです。
NATO=北大西洋条約機構は、ウクライナ侵攻を続けるロシアに備えて加盟国の防衛強化を進めていて、ロシアの飛び地カリーニングラードやその同盟国ベラルーシと接するリトアニアには、ドイツ軍が主力戦車「レオパルト2」などの部隊を配備し、5000人規模が駐留する計画です。
その部隊の発足式が22日に首都ビリニュスで開かれ、ドイツのメルツ首相がおよそ800人の兵士を前に「われわれは責任を自覚している。NATOはドイツを頼ることができる」と述べました」
(NHK2025年5月23日)
ドイツ軍 リトアニアに駐留開始 単独で外国に部隊常駐は第2次世界大戦後初 | NHK | ドイツ

また後方の兵站基地となるドイツや英国、フランスなどに対して、ミサイル攻撃やテロ攻撃が仕掛けられると想定されます。
これに対応して、国内の治安維持も飛躍的に強化されようとしています。
ドイツが手本にしたのはイスラエルです。

「欧州では安全保障のリスクが高まっているため準軍事組織の活用に注目が集まり、ドイツの国民保護災害支援庁も有事を想定した準備や訓練を開始、ドブリント内務相も「イスラエルの経験から民間防衛の在り方、弾道ミサイルやドローンがもたらす脅威への対処方法を学びたい」と表明した」
Innenminister Dobrindt möchte mit Israel die Cyberabwehr stärken | tagesschau.de 

具体的には、英国が進めているホーム・ガード(民兵組織)です。

それにしても、時代が変わったとつくづく思いますね。
日本を半世紀以上支配してきた「専守防衛」思想と酷似したものが、ヨーロッパにもありました。
それが「メルケル軍縮」です。
世界の国防費推移を見てみましょう。
日本がいかに対GDP比て低位かお分かりになるでしょうが、ドイツはNATOの中でも群を抜いて低位です。
次にその推移を見ます。

↑ 軍事費の対GDP比(2020年時点の米ドル換算で軍事費上位6~10位の国) 

諸外国の軍事費・対GDP動向をさぐる(2021年公開版)(不破雷蔵) - 個人 - Yahoo!ニュース

赤線がドイツ、紫色が日本ですが、ものの見事にペタンコのゼロ成長だとお分かりになるでしょう。
ドイツなど、自国の防衛と密接に関わるはずの2014年のクリミア侵攻があっても、ビクリともしなかったのですから相当なものです。

メルケル政権は、ロシアとは共存共栄時代に入った、経済的にも統合化が進んでいる、その象徴がノルドストリームだと考えていたのです。
そしてメルケルは、欧州で戦争は二度と起こらない、という願望と現実を混同した認識に基づいて、安全保障政策を進めてしまいました。
ですからメルケルは、ドイツ軍はNATO即応部隊や国際的なミッションに派遣される部隊だけてよい、国防は必要最低限でよいと考えていました。

かくして、ドイツ軍はメルケルによって徹底的に防衛費を削りまくられた結果、NATO諸国最弱なまでに転落していました。

「ドイツ議会の防衛委員会議長、ハンス・ピーター・バーテルス氏はドイツ海軍について「かつて無いほど小さくなってしまった、海軍は15隻のフリゲート艦を保有しているはずだったのに、7隻を廃止し、新たに4隻しか導入予定がない」と語り、ドイツ海軍の艦艇不足に警告を発した。(略バーテルス氏はさらに、陸軍が運用している53機の攻撃ヘリ「PAH-2(ティーガー)」についても言及し、特定のボルトに欠陥があるため飛行を中断している同機について、徹底的なチェックを行いボルトの交換を行う必要性を指摘した。
さらにドイツ空軍参謀総長が空軍の現状について発言し、空軍機はスペアパーツの不足にため地上に留め置かれているか、メンテナンスのため工場に送られているとし、ドイツ空軍の状況が良くない事を認めた。

そのため昨年、ドイツ空軍875人のパイロット中、NATOが定めた年間最低訓練時間(180時間)をクリアしたのは512人だけで、363人がこの基準をクリア出来ず、この状況に不満を抱いた、少なくない数のパイロットが空軍を去っていった。
今年2月に提出された報告書によれば、昨年、ドイツ空軍のタイフーンは128機のうち39機、トーネードは93機のうち26機しか運用が出来ない状態で、残りの機体は地上から離れることが出来ず、これは主にスペアパーツの供給不足が原因らしい」

(フランクフルターアルゲマイネ 2019年

国際ミッョンに派遣された戦車や歩兵戦闘車9台全部が動かず、ウクライナに供与を約束した対空火器の弾薬がない、といったとんだ恥さらしの存在になってしまったのです。
いまやプーマ装甲歩兵戦闘車を装備する部隊では、まともな訓練さえできず、「一般的な乗用車を使え」という指令さえでています。
歩兵戦闘車に見立ててワーゲンのバンから乗り降りして、その気になっているようです。

それがわずか5、6年のうちに戦闘車両を数千台増産する体制を急ピッチで作ろうというのですから、変われば変わったものです。

2025年7月10日 (木)

NATO、ヨーロッパとアジアは連動している

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ウクライナがNATO加盟を悲願としていた理由は、ひとえにその条約第5条の自動参戦条項にありました。
その加盟国はほぼすべてのヨーロッパ諸国に拡がり、大西洋を隔ててカナダ、米国、そしてトルコまでを含んだ32カ国は、共同防衛の誓約に署名しています。
つまり加盟すれば、一つの加盟国に対する攻撃は、全ての加盟国の反撃を得られることになります。
そしてなによりも、圧倒的に強力な米国を引き込めるのです。

しかし一方、冷戦が終結し、主敵だったソ連は崩壊し、ロシアは著しく弱体化したために、加盟各国は弛緩しました。
エドワード・ルトワックは、ゼレンスキーがNATOに入らないと発言したことについて、こんな皮肉を言っています。

「そもそもNATOに参加するという事は麻薬に手をだすようなもの、いわば実際に運動したり規則正しい食生活をおくるなどして身体の健康を守るのではなく、なにもせずに健康になれると錯覚するようなものだ。
もちろん、そんな錠剤を飲んだところで、健康になれるわけはない」
(エドワード・ルトワック hanada2022年6月号)

メルケル率いるドイツは反戦少年から抜けきらない子どものような国で、開戦冒頭には枕5千個を平気で送りつけてキーウ市長に怒鳴りまくられると、われわれは戦争当事者には軍事物資を送れない決まりなのだとうそぶいていました。
そしてやっと緑の党(!)の突き上げで本格的武器援助が始まって、戦車や自走式対空砲を送る段になったのはいいものの、今度は保管庫の扉を開けてビックリ、大部分が保管状態が劣悪で使い物にならなかったという恥の上塗りを演じています。

ルトワックは、プーチンが開戦に踏み切った理由のひとつに、このドイツのグニャグニャ体質を知り尽くしていたことを上げているほどです。
彼らがシャッキリとしていて、ウクライナを守ることは「自由で開かれたヨーロッパ」を守ることだとわかっていれば、よもや上空を飛ぶ許可を求めた英国の支援物資を積んだ航空機の通過を拒否することなどしなかったでしょう。

これが大きく変化したのは、いうまでもなく、ロシアがウクライナ全土を全力で侵略し始めたからです。
戦争が過去のことではなく、「今そこにある危機」でした。
プーチンは本気でウクライナ全土を支配しようとしており、それが成功すれば次はエストニアかフィンランド、あるいはポーランドといった隣接国の侵略にとりかかることでしょう。

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「トランプ氏の認知機能の低下は加速している」識者 奇妙な言動にインタビューのキャンセルも 米大統領選(飯塚真紀子) - エキスパート - Yahoo!ニュース

そしてもうひとつの原因は、米国の変質でした。
トランプのNATO懐疑は筋金入りで、ほとんど憎悪と呼んでいいほど進行した病でした。
このトランプのNATOへの怒りは、脱退を匂わせるところまで進んでおり、NATOは深刻に「米国なきヨーロッパ防衛」を考えざるを得ませんでした。

NATOが作られてから76年間、アメリカは同盟を機能させる装備、兵站、核兵器、情報のすべてを提供し、大規模な在欧米軍を駐留させてきました。
もはやこれはあたりまえの空気のようなもので、ヨーロッパ諸国は「米国の存在」を微塵も疑おうとはしなかったのです。
ところがトランプはこれを根底から崩したのです。
トランプは米国の防衛にNATOがでなにをしてくれているんだ、巨額の費用を支払ってヨーロッパ防衛をしているのはオレたち米国じゃないかと、例の悪党ヅラで叫びました。
ニューヨークタイムズはこう書いています。

「しかし、トランプは長い間NATO懐疑論者だった。彼はNATOを、アメリカ合州国の財政的浪費として激しく非難し、彼の最初の任期中に、何度か、彼自身、NATOから撤退すると脅したと報じられた。最近、彼はNATO諸国が自国の防衛にもっと多くの費用を払うよう要求し、ロシアが加盟国を侵略した場合、アメリカ合州国がヨーロッパの支援に来るかどうか疑問を呈している
インタビュー:NATOのマーク・ルッテ長官は、トランプ大統領は「すべての賞賛に値する」と考えている - ニューヨーク・タイムズ

つまりNATOは内外から、上品な仲良し倶楽部であり続けることはできず、ほんものの軍事同盟に変身することが求められたのです。
この困難な時期にNATO事務総長となったのは、14年間もオランダの首相を経験してきたマルク・ルッテでした。

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NATO新総長にルッテ氏が就任 ロシアの核脅威は差し迫ってはいないと - BBCニュース

「習主席が台湾への攻撃を決断した場合、彼はまずジュニアパートナーであるロシアのウラジーミル・プーチンに電話し、欧州を忙しくするためにNATO領域への攻撃を要請する可能性に言及した 。
ルッテは、「事態はそのように進展するだろう。そして、彼らを抑止するためには、私たちには2つのすべきことがある。1つ目は、NATOが集団的に非常に強力とならねばならず、ロシアがそのようなことを決してできないようにすることだ。

2つ目は、インド太平洋地域と一緒に作業することだ。これはトランプ大統領が非常に積極的に推進していることだ。なぜなら、私たちは密接な相互関係を持っており、NATOとインド太平洋地域の間で防衛産業やイノベーションに関して一緒に作業しているからだ」と述べた」
(NYT前掲)

ここで注意を喚起したいのは、ルッテが、もし習近平中国国家主席が台湾への攻撃を決断した場合、彼はまずパートナーであるロシアのプーチンに電話し、欧州方面に注意を引きつけためにNATO領域への攻撃を要請する可能性化あるとしていることです。
そしてルッテは、こうも言っています。

「トランプ大統領が米国が強く安全であり続けるためには、ヨーロッパの安全保障と一体化し、インド太平洋を安全に保つために協力することが必要であることを強く認識しているという事実に自信を持っている」
(NYT前掲)

ルッテはトランプがヨーロッパとインド・太平洋の安全に責任を持っていると信頼を寄せ、そのうえに立ってトランプの要求である防衛費5%を加盟国が達成することを求めています。
この流れで、フランスを除くNATO指導部は、日本のNATO加盟を望んでいるようです。
英海軍の空母「プリンスオブウェルズ」がこの夏に来日しますが、その背景にはこのようなNATOの世界認識の大転換があったのです。

 

 

2025年7月 9日 (水)

関税交渉大失敗

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ご存じのようにトランプが関税通告してきました。
それも正式に通告するより先にSNSにリークし、しかも1%だけ税率を上げるという隠し味つきです。
それも猶予があって8月1日がホントの期限だそうです。なんだかなぁ。

「トランプ米大統領は7日、予告していた関税通告の第1弾を発表した。公表された書簡によると、8月1日から適用する関税率は日本と韓国、マレーシア、カザフスタン、チュニジアが25%、南アフリカ共和国が30%、ラオスとミャンマーが40%とされた。
主要輸出国である日韓などは、市場開放や米国での生産拡大を通じて、追加関税の発動回避に向けた3週間の猶予が与えられた形となる。
上乗せ関税の一時停止措置が期限を迎える9日を前に、これら各国はトランプ氏が予告していた関税書簡を米国の貿易相手国・地域の中で最初に受け取った」
(ブルームバーク2025年7月8日)
トランプ大統領が関税通知、韓国25%やラオス40%など-EU予定なし - Bloomberg

もういまさらゲル氏がどーのとか言っても仕方がありません。
こちらの関税交渉がダメダメだったのは何度も書いてきましたが、トランプに妥結する気がいささかもないのですから致し方ありません。
空港で泣きながらアポ取っていた赤沢さんのせいじゃありませんよ。

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驚き、怒り、そして魅了される 被写体としてみたトランプ大統領(上):朝日新聞GLOBE+

そもそもゲル氏の退陣は政界は皆折り込み済みのことで、参院選で大勝なんてありえない以上、中継ぎとしてのゲル氏の役割は既に終わっています。
次の首相が誰になるのかはわかりませんが、赤沢さん流の飛び込み交渉ではラチがあかないことがわかりました。
茂木さんのように、米国にパイプがあって英語で喧嘩できる知米派実務派でなければ務まりません。
また外相も同様で、ニタニタ笑って親中派ではどーにもなりません。
今回の関税交渉の途中で飛び出したフェンタニル事件は、米政府の重大な日本への警告だと理解できないようだから、関税交渉でも負けるのです。

トランプに関しては、平常飛行です。
いつもビッグマウスで世界相手に喧嘩を売って、しかし直前にビビる。
先日イランの核施設爆撃が効いたのは、いつものTACO(Trump Always Chickens Out )じゃなかったからです。
当人はこれで気をよくしているでしょうが、自分が始めた世界関税戦争はいっかな終わりが見えません。
だからダラダラと交渉期限を伸ばしているのです。
今回も各国との関税交渉の期限を7月9日から8月1日に延期したのですから、各国は例によっていつものTACOね、と冷やかに見ています。

だって日本だけが妥結しないというなら話は別ですが、世界で妥結したのは貿易赤字がそもそもない英国くらいで、後の諸国はなにも決まっていないんですよ。
EUと中国なんて絶対に妥結しないでしょうしね。
それでも予定どおり関税を上げたら、債権市場と為替市場でエライ目に合うのはじぶんのほうです。
財務長官がトランプを殴ってでもやらせないでしょう。

 

 

2025年7月 8日 (火)

石破さん、ならばNATO会議を欠席しなさんな

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ゲル氏は、元々は国防族でした。しかもビンビンの理論派。
今のうすぼんやりしたイメージとはだいぶ違いますが、若い頃は言っていることは先鋭で、たぶん自分が自民党で一番ツンツンだと思っていたはずです。
国防族としては集団的自衛権を肯定し、中国への警戒を唱えていました。
ですから壮年期には、安倍氏もひょっとしてこの男は同志ではないかと錯覚したようです。
ちなみに農政にも詳しく、こちらも自由化派でした。
ですから、山下一仁氏の本の愛読者だったとか。

改憲についても9条2項の削除という原理主義を貫いて、そこから現実主義の安倍氏を批判していたくらいです。
ですから総裁選では、中谷氏、小野寺氏といった防衛大臣経験者や、ヒゲの隊長こと佐藤氏など国防族が支持に走ったようです。
この人たちは、皆それぞれ石破政権で要職に就きます。

このように考えると、石破さんにはそれなりにやりたいことはあったのでしょうな。
しかし、この人物は政治家として致命的欠陥がありました。
大きくは歴史観や国家観がうすら甘いリベラルだったということです。
また陰キャラヒッキーで、語り合える友や同志が不在です。
その結果、当然のこととして党内泡沫派閥に甘んじていました。
だから気楽な評論家をして、メディアの中で「なってほしい首相候補1位」でいればよかったのです。
それが激変したのは、岸田氏が後継を「国民的人気ナンバーワン」にして反安倍の石破氏に定めたことです。

かくてゲル氏の実行力が問われることになってしまいました。

ところで今、参院選の真っ最中ですが、政党選択について最低限クリアしておかねばならないハードルのようなものが3ツあります。

①台湾防衛を日本の安全保障を一体のものとして考える。
②ウクライナ支援を日本の安全保障と一体のものとして考える。
③エネルギー問題をリアリズムで考える。

台湾、ウクライナ、そして原発で綿菓子のようなことを言っている政党は国政政党たりえませんから、ご自分の支持政党がなんと主張しているか調べてみて下さい。
自民は腐っても鯛とはよく言ったもんで、3点ともになんとか低いレベルでクリアしています。
ただし、どれもこれも安倍氏の遺産がまだ残っているからで、実態は口先だけのお題目といった場合が多々あります。

ゲル氏がその典型で、最近旗色が悪いのを知ってか.保守層目当てにこんなことを言っています。

「石破茂首相は6日、参院選の応援で入った横浜市での街頭演説で、覇権主義的行動を強める中国に関し「ものすごい勢いで軍拡を進めている。台湾の辺りに航空母艦を配置している」と訴え、危機感を示した。ウクライナに侵攻するロシアを支えているのは中国だとして批判した。
ウクライナ侵攻や中東情勢がアジアの安全保障に連動していると認識しなければいけないと強調。「安全保障に取り組み、日本の独立と平和を守るのが自民党の役割だ」と述べた」
(共同7月7日)
石破首相、中国軍拡に危機感 街頭演説「台湾周辺に空母配置」

たぶん、頭ではこの人わかっているのです。
しかしリベラルの岸田氏の雇われマダムの哀しさで、主導権を党内頑固派親中派に支配されていて、手も足も出ません。
いえ、少しは頑張ってはいることを見てやらにゃ気の毒です。
東南アジア外交、特にフィリピンと準同盟関係を強化したのは評価できます。

フィリピンはほとんど海軍なき国ですから、いままで南太平洋海域で中国に浸食されっぱなしでした。
ですから中古護衛艦である「もがみ」型を順次供与するというのはパチパチです。

「日本とフィリピン両政府が、海上自衛隊の中古護衛艦を輸出する方向で一致していたことが、わかった。中古護衛艦の輸出が実現すれば、初の事例になるとみられる。護衛艦の輸出を通じて比軍との相互運用性の向上を図り、一方的な海洋進出を進める中国への抑止力・対処力を共同で強化していく狙いがある。
複数の日本政府関係者が明らかにした。中谷防衛相とギルベルト・テオドロ比国防相が6月上旬にシンガポールで会談した際に中古護衛艦の輸出について確認した。輸出は海自の「あぶくま型」護衛艦6隻が想定されている。「あぶくま型」は就役から30年以上が経過し、自衛隊員のなり手不足から省人化した新型艦に切り替える必要があるため、順次退役する方向となっていた」
(読売7月6日)
フィリピンに護衛艦を輸出へ、中国への抑止力強化に初の事例…中古の「あぶくま型」全6隻 : 読売新聞

「もがみ」型は本来は輸出禁止にひっかかるようですが(くだらん)、レーダーを「共同開発」したことにしてクリアするとか。
褒められた方法ではありませんが、法解釈で乗り越えるという方法ですね。
ゲル氏が在野だったなら、得意のしたり顔でチクリチクリと説教を垂れたことでしょう。
こういう現実対応は練れてきた、といっていいんでしょうね。(たぶん)

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「何もしないと言ってない」石破首相、誕生日にイラっ…予算委で注意受ける | カナロコ by 神奈川新聞

しかしやはりやっちまった大失敗は、せっかく招待にあずかったNATO首脳会議を欠席したことです。
それも今の世界の政治的関心事のど真ん中であるイランの核開発についての欠席ですから、傷は大きい。

「石破総理大臣はNATO=北大西洋条約機構の首脳会議に出席するため24日から3日間の日程でオランダ・ハーグを訪れる予定でした。
複数の政府関係者によりますと、石破総理大臣はアメリカがイランの核施設を攻撃するなど中東情勢が緊迫していることなどを踏まえ、会議への出席を取りやめオランダ訪問を見送る方向で調整に入りました。
岩屋外務大臣が会議に代理出席することを検討しているということです。
アメリカのトランプ大統領も欠席する可能性があるほか、日本と同様にパートナー国として招待されていた韓国のイ・ジェミョン大統領も欠席するということで、こうした状況も勘案し判断したものとみられます」
(NHK6月23日)
石破首相 NATO首脳会議への出席取りやめる方向で調整 | NHK | NATO

なにが「勘案して」だ。NHKは韓国のイ・ジェミョンが欠席するからなんて馬鹿なことを言っていますが、あんな極左大統領と一緒の判断をしてどーする。
原因は例の「伝統的な友好国イラン」に配慮するあまり、イスラエルの原子力施設攻撃を最大級の表現を使って非難してしまったからです。
しかもこの基調はゲル氏直々の指示だったとか。

石破茂首相は13日夜、首相官邸で記者団に「平和的解決に向けた外交努力が継続している中、軍事的手段が用いられたことは到底許容できない」と指摘。「極めて遺憾で強く非難する」と強調した。
イランによる報復攻撃については「事態をエスカレートさせる、いかなる行動も慎まねばならない。強く非難する」と述べ、関係各国に自制を強く求めた。「G7で日本の立場を明確に述べ、沈静化に向け、関係国で連携して対応する」と語った」
(時事6月13日)
日本政府、イスラエルを非難 中東不安定化を懸念:時事ドットコム

いつもは旗幟を鮮明にせずにモゴモゴ言っているわが国らしくもなく、「強く非難」しちゃったのです。
しかし、国際社会の受け取り方は真逆でした。
IAEAはイランが6回も協議を蹴り、トランプが設定した2カ月間の猶予期間が切れた翌日に核施設での作業を開始し、フォルドゥの核施設の遠心分離機の新型との交換と増設も行ったことを強く非難決議を可決していたのです。
ですからイスラエルのライジング・ライオン作戦にも、日本の論調のように国連憲章の字面だけ読んで国際法違反だという非難はまったくなく、その直後のG7サミットの共同声明でも支持の姿勢を鮮明にしました。

では、ゲル首相は「G7で明確に日本の立場を述べ」たのかというと、単に黙っていた「だけ」です。
会議の間は沈黙して署名し、帰国してドッチが日本の姿勢なんだと共産党に問われると、最初の岩屋外相が出した非難声明のほうですとおずおずと答えています。
国際社会を欺いたわけで、相当に恥ずかしい。

これで済めばまだ傷は浅かったのですが、なんと米国までもがまさかのだめ押し空爆をしてしまったのですから、さぁ困った。
従来からの「イランは日本の伝統的友好国」というスットコドッコイの外交方針と、日米同盟命の国是が真正面からぶつかってしまったのです。
さらには、NATO首脳会合ではイラン空爆の支持を打ち出されるのは必至ですから、もうゲル氏は恐怖に縮み上がってしまったようです。
本来は予定されていたトランプ大魔神と関税でトップ交渉をすべきなのにこちらからキャンセル。
だってやればまず間違いなくこのいちばん触れられたくない空爆問題がテーブルに乗ってしまうからでしょう。
で、いっそ全部欠席。あんた子供か。

とまぁ、こういうわけでNATO首脳会議というまたとない席で、「アジアは第2のウクライナである」、「台湾防衛を西側全体のテーマとしよう」という主張をしてくることができませんでしたとさ。
おまけに、事前の日程調整もしないで送り出してきた赤沢氏の関税交渉はなんの成果もなく大失敗。
トップ交渉もできないまま、昨日25%かけるという通告を受けてしまいました。
無為無策を地で行ったようなものでした。
だいぶくたびれておいでのようですから、参院選で楽になっちゃいなさい。

 

2025年7月 7日 (月)

妙案・バンカーバスター・シェアリング

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先日のイランの核施設空爆が、地下90㍍の遠心分離機にヒットしたか失敗したかで意見が割れています。
トランプは完全に破壊した、と言っています。

「ドナルド・トランプ米大統領は21日夜(日本時間22日午前)、アメリカ軍がイラン国内3カ所の核施設を空爆したと発表した。ホワイトハウスでのテレビ演説では、「イランの主要な核濃縮施設は、完全かつ徹底的に抹消された」と述べた」
(BBC6月22日)

トランプ氏、米軍がイランの核施設3カ所を爆撃し破壊と発表 フォルドなど - BBCニュース

例によってトランプは話を盛っていますね。
後の衛星写真でもそこまでは結論づけられないはずで、結局現地調査するしかないのです。

一方イランは、ぜんぜん壊れていないゾと息巻いています。


「イランの最高指導者アリ・ハメネイ師は26日、イスラエルとの停戦が24日に合意されてから初めて公に演説し、アメリカはイランの核施設への攻撃で「何の目的も果たせなかった」と主張した。
テレビ演説でハメネイ師は、アメリカの攻撃はイランの核開発計画を中断させることにおいて、「何ら重要なことを成し遂げ」なかったと述べた」(BBC6月27日)
アメリカは「何も果たせなかった」、米軍の核施設攻撃についてイラン最高指導者 - BBCニュース

こちらももちろん吹かしで、本当になんの損害もないなら、あれほどあっさりと米国への抵抗を終了するわけがありません。
20250706-162259
AP
米国の情報機関もふたとおり出ています。
「初めに国防総省傘下の情報機関「国防情報局(DIA)」が、被害は限定的だった可能性があるとの初期評価をまとめていた。トランプ米大統領は25日、オランダ・ハーグでの記者会見で、DIAの分析は攻撃直後の「推測」にすぎないと反論し、「核施設は完全に破壊された」と主張している」
(ロイター6月25日)
イラン核計画「中核部分は破壊されず」、米情報機関が分析=関係筋 | ロイター
CIAは、これを否定し、「主要な施設は破壊した」としています。
「米中央情報局(CIA)のジョン・ラトクリフ長官は25日の声明で、米軍が22日未明に行ったイランの核施設に対する攻撃について、「複数の主要な施設が破壊され、再建には数年を要する」との認識を示した。イラン政府報道官も26日、核施設に「深刻な損傷を受けた」と本紙に認めた」
(読売6月25日)
爆撃したイラン核施設、CIA長官「再建に数年」…イラン政府報道官も「深刻な損傷受けた」 : 読売新聞
中をとるわけじゃないでしょうが、IAEAのグロッシ事務局長は、「深刻な損害を受けたものの完全な損害ではない」との見方を示しています。
ま、たぶんこのあたりが正確なところではないかな。

実際のところ、「分からない」というのがもっとも正直な答えで、共にバンカーバスターの破壊しうる深度が60㍍だから90㍍の施設に届いた届かないのという議論をしているだけのことです。

では、下写真の核濃縮施設に繋がるアクセストンネルを破壊されてしまったらどうなんでしょう。
たぶん無傷なはずがなく、このお宝の濃縮施設は地下90㍍のコンクリートの瓦礫の下に埋もれてしまい再利用するのは相当に困難なはずです。
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しかし、核兵器という存在が「政治的な武器」である以上、イランは濃縮施設が破壊されない以上「保有しているぞ」ということを、今後も政治的な武器に使い続けるはずです。
したがって、結論はある意味簡単なのです。
持とうとまたイランが画策したら同じように破壊すればいいだけのことです。
どうやって?
もちろん地上兵力を投入できないし、ただの空爆では地表施設しか破壊できませんから、バンカーバスターを使う以外方法はありません。
しかしそのバンカーバスターは13.6tもあるので、重量的にイスラエルが保有する戦闘機クラスでは持ち上がりません。
世界で唯一これを2発積んで投下できるのは米国のB-2しかない、ここがネックだったわけです。
つまりバンカーバスターと爆撃機はワンセットなわけです。
イスラエルは米国が売ってもいいというなら、カネをかき集めてでも買うでしょうが、米国がB-2のような軍事機密の塊をイスラエルに売ることはありえません。
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これを解決する方法がひとつあることを、飯山陽氏が紹介しています。
核シェアリングの方法を応用するのです。
すでにこれは米国でジョシュ・ゴットハイマー下院議員(ジャージー州選出、DN)とマイク・ローラー下院議員(ニューヨーク州選出、RN)がすでに超党派法案「バンカーバスター法案」として議会に提出してあります。
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ジョシュ・ゴットハイマー下院議員
「「ワシントンD.C.- 本日、2025年7月2日、ジョシュ・ゴットハイマー下院議員(NJ-5)とマイク・ローラー下院議員(NY-17)は、超党派のバンカーバスター法(Bunker Buster Act)を提出し、大統領がイランの地下核インフラを破壊するために、大規模兵器貫通装置(MOP)または「バンカーバスター」爆弾とそれを配備するために必要な航空機を提供することで、イスラエルの防衛を支援する権限を与える法律を提出しました。イスラエルにこの能力を装備することは、イランの核兵器への道筋をなくすことにより、アメリカの国家安全保障を直接強化する」
リリース:ゴットハイマー、ローラーは、イランの継続的な核の脅威に対してイスラエルを装備し、米国の国家安全保障を強化するために超党派のバンカーバスター法を導入
ちなみにジョシュ・ゴットハイマー下院議員はニュージャージー州選出の民主党議員で、ディープシーク排除の先頭にたった人物です。
マイク・ローラー下院議員は、ニューヨーク州選出の共和党ですから面白いですね。
バンカーバスターとB-2を分けてしまって、いざという時に合体させるという手品です。
こんなことが実現していたら、イランにとってこの上もない抑止力として作用するでしょう。
米国にとっては、彼らがもっとも恐れる中東への軍事介入の深入りが防げるわけです。
一聴に値する案にみえますが、いかがでしょうか。

 

2025年7月 6日 (日)

日曜写真館 鉄線花憂きこと去れば咲きにけり

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鉄線花くれまちす月曜日火曜日 阿部完市

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鉄線花数へて今日も始まりぬ 池口美奈子

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蔓はなれ月にうかべり鉄線花 水原秋櫻子

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鉄線花に恋をあらそふ如く寄る 赤松[ケイ]子

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ひとり居の朝やうち向ふ鉄線花 水原秋桜子

 

 

2025年7月 5日 (土)

実は「アポなし飛び込み営業」させられていた赤沢さん

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これはビックリ。赤沢さんは「飛び込み影響」だったことがバレました。
ブルームバークの記事です。

「米国の関税措置を巡る日米交渉は、トランプ大統領が対日姿勢を硬化させたことで暗雲が一段と漂っている。上乗せ関税の一時停止期限となる9日まで残り1週間。赤沢亮正経済再生担当相は協議日程を確定させないまま訪米する「押し掛け外交」を重ねてきたが、目立った成果は得られていない。
赤沢氏は訪米の際、事前に約束を取り付けていない場合が多いと明かす。1日の閣議後会見では、羽田空港を離陸する時点で会談日程が確定していないのがほとんどだとした上で、毎回カウンターパートの閣僚とは会えているため「押し掛け成功率100%」だと強調した」
(ブルームバーク7月1日)
トランプ氏の強硬姿勢に揺れる日米交渉、「アポなし外交」成果見えず - Bloomberg

フォーブスはゲル政権を交渉上手と評していたので、それなりに手を打っているのかと思いきや、中身ナッシング。
フォーブスはこの中身がないことを、石破政権の「予想だにしない抵抗」と持ち上げていますが、買いかぶりもいいところです。
ただ呆然としていただけ。

「現職の石破茂首相は、はるかに従順ではないことが明らかになった。トランプが切望する勝利を、なかなかその手に掴ませようとはしない。トランプの大統領就任から本記事執筆時点で159日が経過したが、注目に値する貿易協定はまだ1つも締結できていない。政権側は90日間で90件締結すると大口を叩いたにもかかわらずだ。(略)
トランプは日本という籠にずいぶんたくさんの卵を入れたようだ。石破政権は交渉を長引かせ、トランプワールド(トランプ政権関係者や側近ら)が予想だにしなかった方法で抵抗している」
(フォーブス7月2日)
トランプ大統領の「交渉術」 アジア諸国には通用せず(Forbes JAPAN) - Yahoo!ニュース

本気で「予想だにしない抵抗」をする気なら、しっかり赤沢氏に決済権限を持たせて、会談日時をあらかじめ設定して米国に送り込んだことでしょう。
しかしなぜかゲル氏は「本気ではなかった」ようで、赤沢氏になにひとつお土産を持たせることなく、しっかりした外交調整をするスタッフもつけないで訪米させたようです。
さすがに日程くらい調整しているもんだと思ってましたが、ナントこれも飛び込み。しかも7回全部がそのようだったようです。

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赤沢亮正「特使」ブルームバーク

ですからきっと赤沢氏は、空港から米財務省の代表電話に、「もしもし私、日本の特使のアカザワといいますが、ベッセントさんいらっしゃいます?」なんて入れていたようです。
まるで昭和時代の飛び込み営業そのままで、新人営業の度胸試しみたいですが、いちおうこれでも一国を代表する「特使」ですぜ。(涙)

今の日本社会においてさえ禁止されている行為で、米国のビジネス社会ではこんなことをしただけで交渉はあらかじめ失敗です。
通常の国家間交渉では、事務方が8割り方まで会談内容を作り込んでおき、時には共同声明の文言すら決まっているものなのです。
米国留学組の赤沢氏ならこんなこと知っていたでしょうから、さぞかし使えない上司の典型のようなゲルを恨んだことでしょうな。

おまけに交渉期間の間に、致命的ともいえる麻薬中継基地が名古屋にあると、米側が問題視し始めたのですから目も当てられません。
それについてかっかりと本国が対応してくれるならともかく、「しっかりやってマス」くらいの役人答弁を外務大臣がしてしまいました。
しっかりやってきたならなんでフェンタニルの材料がごっそりと輸出されているんだよ、と米国からねじ込まれているでしょう。

今回の関税は多岐な分野に渡るために、本来、官邸が主導して外務、経産、防衛などの関係省庁が緊密に連携してチームを作ってやるものなのに、全部赤沢氏任せ。
日程調整すらしてもらえない。ベッセントとの交渉材料となる「お土産」もくれない。
それどころか森山の親父ときたら「死んでも消費税は守ります」と叫ぶ有り様です。
おいおい交渉では、政府は個人消費を刺激してアメ車を買えるようになります、とやらにゃなんのに、これでは景気冷やしますといっているも同然です。
トランプが消費背税は関税だなと言っていたことを忘れちゃったようです。

それを真逆の方向のことを平気で与党のボスが言ってしまう。

防衛だって、NATOが5%と決めた会議をサボっておきながら、「これはわが国が自分で決めることだから」と無味乾燥なことを言ってしまう。
そんなことはあたりまえ、安倍氏がすでに買うことが決まっていたF-35を147機買いますとやったこととエライ違いです。
もう、はちゃめちゃ。交渉ごとは色気なんですよ。呼吸といってもいい。
あちらがなにを欲しているかを察知してお土産を用意する。逆に通したいことは明解に示して、後は相手との呼吸です。
たぶん百年たっても、修羅場をくぐったことがなく、ヒトの背中を撃つことだけのゲル氏には分からないてしょうね。

 

2025年7月 4日 (金)

その後のイラン国内状況

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その後のイラン国内の様子が伝わってきています。
まずは、対外的にはハメネイは、「勝利宣言」を発して爆撃で殺害された軍と革命防衛隊の幹部の追悼式を行いました。

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Mourners on Saturday in Tehran during a funeral procession for some of those killed in the recent war with Israel.Credit...Arash Khamooshi for The New York Times

「土曜日の朝、テヘランの革命広場に数千人が集まり、「ライオンのように」作戦中にイスラエルの攻撃で殺害された60人の上級軍司令官と核科学者を称える集団葬儀が行われた。
会葬者の中には、イランのマスード・ペゼシキアン大統領、アッバス・アラグチ外相、行方不明と思われていたコッズ部隊司令官エスマイル・カーニ、司法長官のゴラム・ホセイン・モフセニ・エジェイ、そしてイスラエルの攻撃で負傷して以来初めて出席したアヤトラ・ハメネイの上級顧問アリ・シャムハニがいた。イランのミサイルはステージ上で目立つように展示されていた。
式典では、デモ参加者たちは、国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長を起訴するよう求めた。 グロッシ氏は、米国のストライキ後、フォルドウの遠心分離機はもはや稼働していないと述べた。 多くの人がハメネイの写真を振り、反イスラエルと反アメリカのスローガンを唱えた」
粛清:アヤトラ政権は、イスラエルとの戦争後、数百人を逮捕し、反対意見を鎮圧

ここで注目なのは、この官製デモで反IAEAのスローガンが叫ばれていることです。
この意味は、ひとつにIAEAのグロッシが、核施設は稼働していないと言っことに対してハメネイがこう言って反発しているからです。

「イランの最高指導者ハメネイ師は26日、テレビ演説でイスラエルに勝利したと宣言した。「米国はイランの核施設を攻撃したが大きな成果はなかった」とも語った。イランとイスラエルの停戦後、ハメネイ師が公に発言するのは初めて」
(日経6月26日)
イラン最高指導者ハメネイ師が「勝利」宣言 停戦後初の演説 - 日本経済新聞

そしてもうひとつは、今後もIAEAが求める現地査察に対して拒否するつもりのようです。

イランは、このイスラエルと米国の空爆作戦は、イラン国内の内通者によるものと考えて、大規模な粛清をおこなっています。

「イスラエルとの最近の軍事衝突をめぐり、イラン当局が、イスラエルの諜報機関との関わりが疑われる人物を相次いで逮捕・処刑している。
イラン当局は、イランの保安機関にイスラエルの諜報員がかつてないほど浸透していたと主張している。
それらの人物らからイスラエルに提供された情報が、この紛争におけるイラン軍高官らの殺害に寄与したと、イラン当局は考えている。イスラエルの13日の攻撃では、イラン革命防衛隊(IRGC)のホセイン・サラミ総司令官や、複数の科学者らが殺害された。イランはこの攻撃を、イスラエルの諜報機関モサドによるイラン国内での工作活動の結果だとみている」
(BBC6月27日)
イランで逮捕・処刑相次ぐ イスラエルのためスパイ活動と - BBCニュース

これらの逮捕者は、イランが見せしめとしてやる公開処刑される可能性があります。

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イラン政府、21人を公開絞首刑 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

イランには、今もまだ約9000人のユダヤ人が住んでいる。イスラエル以外の中東諸国では最大のユダヤ人コミュニティが存在しますが、やはり集中的に弾圧を受けているようです。

「イラン当局は、イスラエルとのつながりを問うために少なくとも35人のユダヤ人を召喚したと、人権団体が土曜日に報じたところによると、数人のユダヤ人コミュニティの指導者がイスラエルとのつながりの疑いで逮捕されたという未確認の報告がある中で、イスラエルとのつながりについての彼らのつながりについて尋問された。
イラン当局は、イスラエルが6月13日にイスラム共和国の核開発計画に対して開始した戦争の後、イスラエルと関係があると疑う人物を取り締まってきた。それ以来、700人以上が逮捕されたと、イランのファールス通信が木曜日に報じた」
(タイムズオブイスラエル2025年6月29日 )
数十人のイラン系ユダヤ人がイスラエルとの関係の疑いで尋問のために召喚されたと述べる |イスラエルの時代

この動きが、「ユダヤ人狩り」に及ばないことを祈ります。
その場合、イスラエルはこれを座視することはないでしょう。

このようなやり方では、イランの真の再生がないのは言うまでもありません。
いまの極端なイマーム支配を止め、国民から選ばれた内閣が統治し、革命防衛隊を縮小改組して国軍に一本化し、国民を縛りつけている宗教的抑圧を止め、イスラエルとも国交を回復する、とまぁやり始めたらきりがありませんが、民主化しか生き残る道はないのです。

なお、この国内状況から、トランプはイランに対しての制裁を緩和する措置を中止しました。

 

 

2025年7月 3日 (木)

日米交渉が破綻したわけ

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日米関税交渉が挫折してしまいました。
トランプ御大のストレートなお怒りの声。

「トランプ米大統領は1日、適用を一時停止している上乗せ関税について、今月9日の猶予期限を延長する考えはないと明言した。また、日本との通商合意がまとまる可能性は低いとの認識を示した。
トランプ氏は大統領専用機エアフォースワンの機内で、猶予期限を延長する意向かとの記者団の質問に、「いや、猶予は考えていない」と答え、「多くの国に書簡を送ることになるだろう」と述べた。
日本については、「極めて大きな貿易赤字を抱えているため、30%や35%、あるいはわれわれが決める数字」の関税を課すことになるだろうと言明。 「合意に至るかどうか分からない。日本と合意できると思えない。彼らは非常に手ごわい」と述べた。
トランプ氏は1日、米国産コメの輸入を受け入れていないとして日本への批判を強めた。自動車貿易についても不公平だと指摘していた。
大統領は4月に日本からの輸入品への24%の上乗せ関税を発表したが、90日間の交渉期間中は一律10%の基本税率にとどめている」
(ブルームバーク7月2日)
トランプ氏、日本との合意困難と言明-「30%や35%」の高関税賦課も - Bloomberg

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ブルームバーク

他にも、自分のSNSに、「日本はわれわれのコメを受け取ろうとしない。深刻なコメ不足となっているのにだ」とか、「米国の車を買わない」などと言っていました。
いや、コメは買ってるって、「ミニマムアクセス」という制度があって、無関税で米国米を直近で年間34万トン余りの輸入しているがね、などと言ってももはや無駄。
ここで、いやコメは自由化すると言えば話は別ですが、JAは許してくれないでしょうからできない。
やっぱりコメをターゲットにしたのですよ。

これは赤沢さんのせいじゃありませんよ。
赤沢さんを子供のお使いにしてしまったゲルの責任です。
そりゃそうでしょう。ゲルは赤沢さんに決裁権を持たないでワシントンに送り出したのです。
それも7回も送っても、なんの決断もしないから、もうトランプはおろか窓口だったベッセントですら会ってくれません。
たぶん米国は、赤沢さんの正体が、「特使」などというもっともらしいもんじゃなくて、ただの小僧のお使いだとバレてしまって、プッツンしたのですよ。
トランプは、このグダグダ感に腹をたてたのでしょうね。

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参院選の争点は「政治とカネ」ではない リベラル派は決して自民に投票せず、保守票減らす 阿比留瑠比の極言御免 - 産経ニュース

フェンタニルにしてもそうですが、日本は米国に行く貨物で麻薬検査をしていなかったか、していても手ぬるかったのです。
米国はそれを知って激怒したのでしょう。
なんだカナダと一緒じゃないか、とね。
そこで日経に情報を漏らして警告を与えたのですが、とうぜんこのフェンタニルは、今同時並行している日米協議の対象になって当然です。
それもすさまじくネガティブな方向で。

にもかかわらず、岩屋外相の対応はこうです。

「岩屋毅外相は27日の記者会見で、米国へ合成麻薬「フェンタニル」を不正輸出する中国の組織が日本に拠点を持っている疑いがあるとの日本経済新聞の報道を受けて発言した。「日米関係、日米協議に与える影響は現段階であるとは考えていない」と語った」
(日経6月27日)
フェンタニル輸出の日本拠点「日米協議に影響なし」 岩屋外相 - 日本経済新聞

いや、ホントにそう思っているなら外相失格です。
カナダ、メキシコはフェンタニルで敵国扱いを受けており、2カ月の猶予つきで高関税をかけられたのですよ。
駐日大使はそれを分かっているからXに「日本と協力することで(フェンタニル原料である)前駆体物質の日本経由での積み替えや流通を防ぎ、両国の地域社会と家族を守ることができる」と投稿したのです。
岩屋氏には、というか今の政権は、この関税戦争が形を変えた麻薬撲滅戦争だと認識していないのです。

駐日大使が日経記事と同時にこう投稿した理由は、ほんとうはきちんと監視して摘発しろ、と怒鳴りたかったのでしょう。

たぶん日本は入って来る麻薬については検査をしていても、出て行く貨物には手ぬるい検査しかしていなかったのでしょう。
だからさっぱり本気度が見えない、「許可を得ない輸出入を絶対に許さないとの観点で適切に対応している」というおざなりな官僚的紋切り対応でお終いにしてしまったのです。
そして口にこそしませんでしたが、このフェンタニル問題がトランプの冒頭の交渉打ち切り発言につながったのかもしれません。

もうこうなりゃ、ゲルが出ていって包括合意した上で継続協議に持ち込むしかありません。
それすらもゲルの政治的寿命が参院選までのあとわずかしかないと米国は見てそうですから、たぶん会ってはくれないでしょうね。
辞めることが見えているヤツと協議しても意味ありませんから。

 

2025年7月 2日 (水)

イランなき中東世界

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米軍のイラン核施設攻撃が当たった、いや当たらなかったと諸説入り乱れていますが、ま、いいんです。
なんなら、またやりますから。
当面、イランは負けた、そして今後は中東の攪乱要因になりえない、ということがイスラエルと中東諸国の間の共通認識となればよいのです。
すべてはそれを見越して「戦後秩序」について協議をしています。
7月7日にトランプがイスラエルに飛んで、ネタニヤフとそれについて最後の詰をするでしょう。
内容的のリークがありました。

「イスラエルとイランの停戦合意を受けて、ドナルド・トランプ米大統領はイスラエルとパレスチナの戦争を終わらせる具体的な計画を持っているようだと、イスラエルの新聞が本日報じた。「イスラエル・ハヨム」ガゼタ・エクスプレス紙が報じたところによると、同紙は月曜日と火曜日にトランプ大統領、ネタニヤフ首相、ドレマー氏、マルコ・ルビオ氏の間で行われた会談に関する情報に基づいているという。
①ガザでの戦争は2週間以内に終結する。終結条件には、テロ組織ハマスに代わって、アラブ4カ国(エジプトとアラブ首長国連邦を含む)がガザ地区を統治することが含まれる。
②世界中のいくつかの国は、ガザからの移住を希望する多くの住民を受け入れるだろう。
③アブラハム協定が拡大され、シリア、サウジアラビア、アラブ諸国、イスラム諸国がイスラエルを承認し、正式な関係を確立する。
④ イスラエルは、パレスチナ自治政府の改革を条件に、「二国家」概念に従ってパレスチナとの紛争を将来的に解決する用意があることを表明する。
⑤米国はユダヤとサマリアにおけるイスラエルの主権の一部実施を認めるだろう」
(ガゼタエクスプレス 6月6日)
イスラエルの新聞が、トランプ・ネタニヤフ首相によるガザ戦争を2週間以内に停止する「計画」について報じた - 要点は以下の通り - ガゼータ・エクスプレス

要点は、ガザからのハマスの排除と人質解放。そしてUAE、エジプトなどのアラブ諸国によるガザの共同統治、サウジとシリアはイスラエルとの関係の正常化、そしてこのイスラエルとの関係正常化には大部分のアラブ諸国が追随するというアブラハム合意の実現、 です。
イスラエルは、これでガザを自らの占領という悪手をすることなくハマス追放を達成でき、ヨルダン川西岸の入植も国際的承認を得られることになります。

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結局は一人負け…「茶番劇」で終わった報復攻撃、再び毒入り“聖杯”をすすったイラン、トランプを引き入れたネタニヤフ  Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン)

つい数カ月前までは夢想でしたが、ここまでイランという「蛇の頭」が潰されてしまった以上、今なら可能です。
ハマスはわずかな残党が残っているだけで、ボスのイランが「降伏」してしまった瞬間に命脈は断たれました。
このままイスラエルの残党狩りにあえばすり潰されてしまうことでしょう。
ですから、今が人質完全解放するラストチャンスですから、残党の命乞いと引き換えに応じるでしょう。
ヨルダン川西岸地区には、パレスチナ自治政府が細々と生き長らえていますが、今の状況でナニかできる条件はありません。
せめて名前だけでも残しておいてくれと嘆願する、程度でしょう。

これでやっと平和が来るのか・・・。
テルアビブの証券市場はさっそく年来の高値をつけました。

「日曜日、アメリカがイランの核施設を攻撃した翌日、市場が好意的に反応したため、テルアビブ証券取引所(TASE)は史上最高値まで急騰した。テルアビブ125指数は1.3%上昇し、優良株のTA-35指数は取引序盤に1.2%上昇しました。
イスラエルの軍事的勢いと、テヘランでの政治的変化の可能性をめぐる憶測の高まりを背景に、投資家の信頼感は高まっている。この攻撃を受けて、TASEは2020年5月以来の最高の週を終え、TASEの指数に含まれる55の株価指数のうち38が史上最高値を記録しました」
イスラエル経済は、テルアビブの株が過去最高値に急上昇するとして戦争の恐怖に逆らう - Jewish News 

とまれ、平和が来るのはけっこうなことです。

2025年7月 1日 (火)

中国第2列島線を越えて内海化へ

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中国空母2隻が、第2列島線を越えて活動を拡大しています。
事実を積み重ねて見てみましょう。
先日の日経のフェンタニルを扱った大スクープは、OSINT(オープン・ソース・インテリジェンス)といわれる手法で書かれています。
誰もが入手可能である一般公開情報を組み合わせて分析し、全体像を理解する手法です。
これを活用することで、一般人でも外郭を知ることが可能で、私もかねがねこき手法を取っていました。
第1列島線とは、日本から台湾、フィリピン、ボルネオに至るラインを指し、第2列島線はさらに太平洋を進んでグアムなどを含むラインを指します。

「防衛省によりますと、7日から9日にかけて沖縄や小笠原諸島周辺の太平洋で中国海軍の空母2隻が確認されました。中国の空母2隻が太平洋に同時に進出したのは初めてで、防衛省が警戒と監視を続けています。
防衛省によりますと7日午後、中国海軍の空母「山東」やミサイル駆逐艦など合わせて5隻が、沖縄県の宮古島の南東およそ550キロの太平洋を航行しているのを海上自衛隊が確認しました。
9日には小笠原諸島の沖ノ鳥島の北の日本のEEZ=排他的経済水域の内側で、「山東」から戦闘機やヘリコプターの発着が行われたということです」(NHK2025年6月10日)
中国の空母2隻 初めて太平洋に同時進出 警戒監視続ける 防衛省 | NHK | 防衛省

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NHK | 防衛省

しかも中国空母艦載機は、監視活動をしている自衛隊哨戒機に対して異常接近を、実に80分間も行っています。
P3Cの外側エンジンのすぐ脇を、中国のJ15が幅寄せしてきているのが写真でも確認できます。
ここは公海上空で、中国領空でもないのにこの乱暴狼藉です。

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 | NHK | 中国

「防衛省は、今月、太平洋上空を飛行していた海上自衛隊の哨戒機が、中国軍の戦闘機から接近されたり前方を横切られたりしたと、11日夜に発表しました。「特異な接近は偶発的な衝突を誘発する可能性がある」として、中国側に深刻な懸念を表明し、再発防止を厳重に申し入れたということです。
防衛省によりますと、今月7日と8日、日本周辺の太平洋の上空で警戒監視を行っていた海上自衛隊のP3C哨戒機が、中国軍のJ15戦闘機から追尾されたということです。
戦闘機は中国海軍の空母「山東」の艦載機で、追尾された時間は、7日がおよそ40分、8日がおよそ80分だったとしています。
いずれの日もおよそ45メートルの距離まで接近されたほか、8日には哨戒機の前方およそ900メートルを戦闘機が横切ったということです」
(NHK6月12日)
海上自衛隊の哨戒機に中国海軍空母「山東」の艦載機が接近 統合幕僚長「偶発的衝突 誘発の可能性も」 | NHK | 中国

また同時期、もう一隻の中国空母「福建」は、黄海で軍事演習をおこなっています。
ちなみに空母は3隻でワンセットです

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中央日報

「軍当局によると、「福建」は中国が先月22-27日に西海で実施された軍事訓練に参加戦力として名を連ねた。これに先立ち中国はこの期間、PMZ内の3カ所を航行禁止区域として一方的に設定し、軍事訓練を予告した。
6日間ほど進行された訓練はPMZ内外を行き来しながら進行されたとみられる。
「遼寧」と「山東」に続く中国3隻目の空母「福建」は、中国の台湾侵攻を想定すると必須戦力に挙げられる。グアムと日本列島の米軍基地、南シナ海に同時に圧力を加えるに空母3隻以上が必要であり、中国は2022年6月に進水した「福建」の戦力化に拍車を加えている。昨年5月から現在まで「福建」は少なくとも8回の海上試験をしている」
(中央日報6月7日)
西海に空母まで投入した中国…「米軍遮断も考慮」 | Joongang Ilbo | 中央日報

これだけではありません。
これより少し前の5月25日から26日にかけて「遼寧」空母打撃群は、東シナ海の尖閣諸島周辺海域で戦闘機やヘリの離着陸訓練を実施していました。

つまり中国海軍空母打撃群が総動員された、広範囲かつ現実味を帯びた実戦訓練だったのです。
何のための実戦訓練でしょうか。
台湾という補助線を引いて見るとわかります。
軍事力を急速に増強する中国は、日本列島と台湾をつなぐ第1列島線以西から米軍を排除する能力を構築しています。

下図は2021年頃のモデルですが、第1列島線防衛は現在きわめて緊迫しており、さらに中国は米本土やグアムからの来援を阻止するために第2列島線まで押し返そうとしています。

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中国侵攻に強い危機感 日米声明「台湾」52年ぶり明記の背景 - 産経ニュース



ずいぶんと馬鹿にされたもんです。
試されているのは、日本の側、いやもっと特定すれば石破氏だということを忘れないように。

 

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