ウクライナの外交上手
ほー、さすがウクライナはしたたかですなぁ、と感心しました。
前回ゼレンスキーは直角的にトランプとぶつかって玉砕したのがウソのようです。
身ごしらえもネクタイこそしていなかったものの暗めのジャケットを羽織り、イヤー前回は失礼しましたと謝罪まで口にしていました。
「衝撃的なほど険悪な雰囲気だった2月の会談とは打って変わって、トランプ、ゼレンスキー両大統領は、依然として意見の相違があるものの、対立的な印象を与えないよう努めているようだった。
ゼレンスキー氏は襟付きのスーツを(いわゆる典型的な背広のスーツではないが)着ていた。そして、トランプ氏はその装いをほめた。ゼレンスキー氏はまた、会談中に「ありがとう」と何度も繰り返していた。このことも、招待主のトランプ氏を喜ばせたに違いない」
(BBC8月20日)
【解説】 ゼレンスキー氏、トランプ氏との会談を無傷で終える 時間的な猶予を獲得 - BBCニュース
最大の収穫は、トランプからこの文言を引き出したことです。
「アメリカ トランプ大統領
「我々は永続的な平和を実現するだろう。すぐに実現することを祈っている。戦闘が長く続くことは望まない。和平が発表されれば、世界中が歓喜するだろう。今から話し合うが、米国はウクライナに優れた保護と安全保障を提供するつもりだ」
トランプ氏は18日、ゼレンスキー氏との会談の冒頭でウクライナが求めている「安全の保証」について、「ヨーロッパが最前線にいるが、我々も関与する」と明言しました。(略)
ウクライナ ゼレンスキー大統領
「米国が明確な信号を発信することが重要です。すなわち、米国がウクライナの『安全の保証』の調整に協力し、また『安全の保証』に参加する国の一つとなるということです。これは大きな前進だと考えます」
(TBS8月19日)
「ウクライナに優れた保護と安全保障を」トランプ大統領“安全の保証”にアメリカが関与と明言 一時的停戦「必要とは思わない」 米ウクライナ首脳会談(TBS NEWS DIG Powered by JNN) - Yahoo!ニュース
そのとおりここがキモです。
なんらかの形で米国がウクライナに安全保障の担保を与えねば、「平和」は空疎なものとなります。
「会談後にホワイトハウスの外で開かれた記者会見で、ゼレンスキー氏は、安全保障の保証にはウクライナとアメリカとの900億ドル(約13兆円)相当の取引が含まれる可能性があると述べた。この取引には、航空システムやミサイル防衛システムなどアメリカ製兵器の取得が含まれるとしたが、それ以上の詳細は明かさなかった」
(BBC前掲)
会談でもミンスク合意の二の舞はまっぴらだという発言がでたようですが、親露政権を倒した直後の不安定期を狙ってロシアのクリミア侵攻が起こり、さらにほぼ同時期に東部2州での独立分離紛争が勃発しました。
もちろん分離主義者の後ろにいたのは悪ダヌキのロシアです。
ミンスク合意の明白な違反ですが、軍隊で占領して既成事実化してしまえばこちらのものというロシア流儀で結ばされたのがそもそもこのミンスク合意でした。
ミンスク合意には西側陣営も関わったにもかかわらず、事実上ウクライナ領の分割を容認してしまう不平等なものでした。
ドネツク、ルガンスクというロシアの息がかかった東部2州に「特別な地位」を恒久法で保証しろだなんて、ウクライナ分割そのものです。
西側諸国は、よく恥ずかしげもなく、こんなものをウクライナに呑ましたものです。
口にはしませんが、ウクライナの西側諸国への不信感は根強いはずです。
クリミアを侵略された後に西側が仲介策として言い出したのが、2014年のミンスク議定書(合意)です。
ここでも「ウクライナの中立化」を求めるプーチンの要求で、それを尊重して結ばれたのです。
今回もプー公はトランプにまったく同じことを和平の条件として言っていますね。進歩しないヤツです。
しかし泣く子とプー様には勝てぬとウクライナをなだめすかして、ロシアとウクライナ、そして西側諸国(欧州安全保障協力機構・OSCE)の三者で成立したのでした。
内容は、2015年1月までの停戦とウクライナ東部とロシアに緩衝地帯を作ることが骨子でした。
ところが、このミンスク合意は直ちに失敗し、親露勢力はドネツクで戦闘を再開しているのですから身も蓋もありゃしません。
ですから、この「ウクライナの中立化」とは、親露勢力に占拠されていた東ウクライナ2州を事実上分離独立させることで、ロシアの思い通りにすることになったのです。
なにが破綻した原因かハッキリしています。
いくら緩衝地帯を作るだの、和平条約を守るだのと文書で決めても、それを実際に守らせるための裏付けがなかったのです。
NATOが入るというならまだしも、OSCEなんて形だけの空疎な組織にはロシアにミンスク合意を守らせるような力も権限もありゃしません。
要は口先だけの空約束ですから、たちまち親露勢力が我が物顔でのさばり、人民政府なるものをデッチ上げて「独立」し、それをプー公が承認して併合してしまいました。
しかしドネツク州には、まだ支配しきれていない西側のウクライナ実効支配地域が多く残っているので、ここはは武力で落とせないので寄こせと言っているわけです。虫の良さの極みじゃないですか。
ミンスク合意の二の舞をさせないためには、米国が具体的にウクライナを軍事支援せねばならないということです。
トランプの戦後80年談話というのがあります。
「彼ら(米軍の兵士たち)の不朽の勝利は、平和は決して約束されたものではなく、犠牲によって獲得され、力をもって守られ、そして私たちの自由と、愛すべき生活様式を存続させるために命を危険にさらすことをいとわない人々によって生かされ続けることを、私たちに思い起こさせる」
いや、まったくご説ごもっとも。
和平を何百回唱えようと、それを守らせる「力」がなければ無意味です。
和平だ、休戦だと言っても、どうせプー公は守る気がないのですから、結局それからのことなのです。
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前夜に比べれば遥かにホッとできる内容ではなくありますが、トランプは早速「アメリカ地上部隊の派遣は絶対に無い」と断言してますからね。
米軍がワイヤートラップになる気はない、と。そしたらプー公も屁でもないですね。
投稿: ねこねこ | 2025年8月20日 (水) 09時42分