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2025年8月23日 (土)

ヒージャーグスイ

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私、養蜂家になるのが帰農した頃からの夢でした。
養蜂家って農業の変わり種なんですよね。
定着しない農業、完全な語義矛盾です。
街の人にはピンとこないかもしれませんが、農業というのは自分の圃場の土に依拠しています。言ってみれば、土に生えている樹のようなものです。樹がどしっと動かないように、お百姓もあまり動きません、というか動けません。 

一方養蜂家は「旅をする農家」という不思議な部族です。農業の定着という宿命から唯一日本で解放された農業人種なのです。かつて住んでいた沖縄のヤンバルに来た養蜂家もそんな人でした。
沖縄のウリズンの頃、つまり若夏の5月頃に山イッパイに咲くイジュという広葉樹の白い花をミツバチに吸わせるために年に一回来ます。
トラックに30くらいの巣箱を乗せて、選挙の候補者よろしく手を振りながらムラにやってきました。

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上の写真はハチミツを分離しているところです。ごく小規模ですが、自家用程度にやったことがあります。

さて、その夜は三線と踊りの大歓迎会です。こういう時のウチナーの凄まじいまでのエネルギーには圧倒されます。
宴のメインディシュ(てなもんか)はいうまでもなくヒージャージル(ヤギ汁)です。
ザキミさんが来る日はあらかじめ分かっていましたから、前もって用意してあった若いヒージャー(山羊)をツブします。
これがオキナワ流の祝宴最大級のもてなしで、その準備に朝から大変。
この祭りの準備自体から、もう既に祭が始まっているようです。

山羊をゴツンして、逆さに吊るして血を抜きます。
この血は洗面器に集めて後から別な料理に使います。毛はバーナーで焼き、皮を剥いでと、やることが一杯です。
男衆は、器用に出刃包丁を使ってスイスイと肉を切り分けていきます。

そして一番ジョートーロー(上等)の肉は、刺身にして、一番偉いクチョーが食べる。
このヤギ刺身は珍味。オキナワではワサビはほとんど使わず、酢味噌に泡盛を入れたタレで食べます。

次いで、タマキンも茹でてスライスし、まだ子供がいないリョーイチさんに食べさせます。白子風です。
そして皆んなで大笑いしながら「チバリヨー、チバリヨー!」(がんばれ)。
新婚間もないリョーイチさん夫婦は真っ赤になりました。何に頑張るのか、まったくもう。子供がタマキンスライスを盗み食いしようとすれば、「お前にはまだ早い」とハタかれます。

洗面器に取った血もチーイリチー(直訳すれば血炒め)にして、テキトーに野菜と炒め合わせて食べてしまいます。これは鮮度が勝負なので、さっさと料理してしまいます。
なんせ、当時このシマ(村)には電気がなかったので、冷蔵庫などなかったのです。
チーイリチーはレバーのような味と、モソモソとした食感で、案外いけました。

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恐れるべからず!金武でチーイリチャー(豚の血炒め)にチャレンジすべき3つの理由 | 金武町観光ポータルサイト - ビジット金武タウン

後の肉と臓物は、肉は骨ごとブツ切りにして、煮こぼして茹でます。
臓物は丁寧に小麦粉をまぶしてよく水で洗います。腸の中は特に丁寧にウンコを出してきれいにします。
慈しむように、ヤギの命を受け継ぐように、丁寧に、それは丁寧に洗浄していました。

調味料はハードボイルドにも塩だけ。これをコトコトと、薪で3時間くらい煮ると、これぞオキナワのもっともディープな食といわれるヒージャー汁の完成です。フーチバ(よもぎ)としょうがをゴソッと入れて食します。

ヤギ汁の味見は、不肖私が命じられました。「うりぃ、ナイチャーの兄さん、食べてみなさいよぉ」とクチョーの厳命。
周りの村の仲間がニヤニヤと笑いながら私を観察しています。「ムリに食べんでいいからねぇ。吐き出したらもったいないよぉ」

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ヒージャー(山羊肉)汁 | 松本嘉代子監修 琉球料理のきほん

確かにあの匂いはすごい。
ワキガがすごい外人さんを、1週間ほど山羊小屋に閉じ込めたようなフレグランス!大部分のナイチャー(本土人)はだめだそうです。
しかし、ウルムチ、カシュガル、ラサ、トルコといった羊文化圏で鍛えあげたこの鉄の胃袋の私にとってなんのことやあらん! 皆様の期待に反してわしわしとたいらげてしまいました。わ、はは。

しかし、周りの村の連中はまだニタニタしている。「今晩大変よぉ」・・・なんのこった?
え~、その宴が終えた(2時だぜ、2時)夜、分かりました。全身がぽっぽとほてるのです。血行がすさまじい勢いで廻る、廻る。地球は廻る。私も廻る。酒ではない血行流通。

そして訳もなく、ウヒャウヒャと笑いたくなる。ヒージャー汁がヌチグスイ(命の薬)というのがしみじみ分かりました。
ありゃ合法ドラッグですな。昔、イトマン(糸満の漁師)が、子供を潜水で使った後に、体温を戻すために喰わせたという理由が分かりましたね。

そして数日間、私の全身からあのヤギ・フレグランスが漂っていたらしく(当人はわからない)、アッチに行けと嫌われました。

さて、この養蜂家のザキミさんがなぜ大歓迎を受けるのでしょう。それは農業の大きな助け役になるからです。そう、受粉係なのです。
カボチャ畑の横に巣箱を置いてあげるので、リョウイチさんは大助かり。タンカンを作っているフテンマさんも大歓迎。
一種の花咲爺です。季節とともに来て、農家の役にたつから大歓迎されて、毎日酒宴を開いてもらい、しかも健気な従業員は餌いらず、だって勝手にそこら中から餌を採取するわけですからね。

そして、従業員のハチたちがが腹いっぱいになって、蜜をしこたま蓄えたら、そろそろこの土地にも飽きたんで別な土地へと旅だって行く。ああ理想的な人生ではないですか。
 もちろん、現実の養蜂家の生活は厳しいそうです。トラックで寝る日も多いし、重い巣箱の移動で腰にも来るそうです。第一家族は学校の関係で連れてこれないので寂しいんだと、ザキミさん。
だとしても、フーテン農家の養蜂家、うらやましい。

ヒージャー汁、沖縄尚学の選手に食わせたい。チバリヨー、ニセター。

 

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コメント

フジテレビのドラマ 風のガーデンでガッツ石松が養蜂家をやってましたね。
確かに旅芸人というか渡り鳥というか。
農作物などを受粉させるには欠かせない、そして集めた蜜を取るウィンウィンな関係。
たまーに市役所で地元のハチミツを買うことがあります、高いのですがスーパーなどのなんちゃってハチミツより安心です。

ニオイが凄いのは無理だなー。
滋養強壮なんですね。

 ヤギは15世紀からつづく名物料理ですが、今の若い人は苦手が多いようです。「祝い事にはヤギをつぶす」ってのも、昔は当たり前にありましたが、今では全然見ない。かくいう私も、フーチーバーを大量に入れないと食えません。

>次いで、タ…

こういう空気は嫌ですね。子供欲しくないなんて言ったら殺されそうな空気。

今回の沖縄話、面白く読ませてもらいました。血炒めやホルモンは食べれそうですが、ヤギ汁は、とても食べれそうにないです。

いつも楽しませていただいています
ですが沖縄の話題は馴染みがなくあまり面白くも感じないのですが今後内政やアメリカに関する解説が増えることを祈っております

非常に興味深く読ませてもらいました。
生臭かったりきな臭かったりのニュースが多い中、こういう話題はほっと出来て良いですね。

今からうん十年前に一度だけ沖縄へ遊びに行ったことがあります。気の置けない友人二人と名護の安宿に泊まって、ただひたすら一週間その当たりをブラブラするだけという贅沢と言えば贅沢な旅でした。

沖縄を初めて訪れてびっくりしたことは次の三つです。一つはまず海の色ですね。今まで見たこともないような緑がかった海の色を雲間から見つけたとき(行きは飛行機でした)本当に息をのむような美しさで、その感動は未だに記憶に残っています。

そして二番目は米軍基地の存在ですね。関西出身と言うこともあり、米軍はおろか自衛隊の基地すら身近に感じずに生きてきたので、その存在にはやはり驚かされました。

そして最後は沖縄の人たちの優しさですね。母からの頼まれごとがあって、最終日那覇の街をあちらこちら探す羽目になったのですが、その際にお世話になった交番の若いお巡りさんや近隣のおじさんおばさん、どうしてここまで親切なんだろうと感動しきりでありました。

あ、それから沖縄尚学、優勝おめでとうございます。


ヤンバル時代のお話、毎度すごく面白いですよ!
てか、もともとそういうブログでしたしね。

嫌だとか皮肉ばかり言う人は、わざわざ粘着してコメントしなきゃいいのよ。特にねこねこさん。

あと、名無しの方は先日「HNを入れて」と言われてなかったですかね。しかも興味が無いなら何で1ブログに食いついて変な「要求」ばかり書き連ねるのか?理解に苦しみますね。どっか他を見に行けばいいだけでしょうに。

沖縄小学おめでとう!!

昔、沖縄の親戚んちに遊びに行ったとき、山羊汁は食べてないので、わかりませんが、山羊刺は美味しくいただきました。普通に食べていたら周りから驚かれました。ただ、夜中に血が廻った記憶はないので、山羊はやはり火を通していただいたほうが良いのですかね?

素敵なお話。たいへん興味深く楽しく、しみじみと拝読しました。ありがとうございます!

いらぶー汁もありますよ。

山形さん

「ブログ主様のお言葉には常に賛同せよ!肯定せよ!」の行き着く果てはプーチンであり習近平であり金正恩であり、トランプであると思いますよ。私、「このブログが嫌」なんて書いたこと無いです笑 このブログが好きだから、よく拝見しているんです。貴方は貴方で、好きな記事に好きにコメントを書けばよろしい(もちろん、度を超えた個人攻撃は良くないでしょう)。

承認する承認しないは、ブログ主さんが予め決めていたルールに則り、自由意志で最終決定すること。「親衛隊」の意向を挟める余地は、当然ですが無いでしょう。

というかそもそも、過去のコメント欄を振り返ってみても基本的に貴方が私に「粘着」してません…?どういうこと?もしかして私のこと好きなの?…困るなぁ…そういうガキ大将みたいな好意を向けられちゃうと…

ヤギ汁食べてみたいです!暖かい記事ありがとうございます。

内容の話して一度注意しただけなのに、目を背けて話題そらして勝手にしよ

毎度中身のないチャチャ入れや他人に被せる(今回もな)コメント内容の話で、以前一度やんわり注意しただけなんだけどね。また話を逸らして逃げ回り勝手に勝利宣言してマウントですか。何処にでもいるよなあこういうのって。勘違いで論破したつもりなら勝ちみたいなの。

まあ勝手にすれば。最近はブログ主も随分と寛容になったけど、過去の例からそのうちに出禁食らうと思うけど。以前ならとっくに「もう来んな」と言われてたでしょう。

ガキ大将気取り?何言ってんだか。さらに私が好意を向けてるとかアタマ大丈夫ですか、ねこねこさん。錯乱っぷりも甚だしいですね。

震災や原子力関係で以前散々にこちらのブログが荒らしの標的になっていた時から相手の論理矛盾を突いて反論し防衛していたので、当時はここの番犬とか狂犬とか言われたことはありましたけど。

こういう粘着はタチ悪いですね。こんな場所でさえ勝った気分にならないと安心して眠れませんか?誰も気にしちゃいないのに。
マトモな人ならわざわざこんな下らない見た目だけ反論っぽいコメントはせずに、黙ってるか反省して改めるもんですよ。
前に「そんなのでは誰も聞いてくれない」と書いたかな。そのまんま変わりません。

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