• S21-044
  • S21-063
  • S21-123
  • S21-060
  • S21-084
  • 20260516-010136
  • 20260516-012703
  • 20260515-001004
  • 20260513-155358
  • 20260513-015405

« 第2ヤルタ会談 | トップページ | ウクライナの外交上手 »

2025年8月19日 (火)

現代のチェンバレン・トランプ

084_2

今週18日にワシントンで開かれるゼレンスキーとトランプ会談に、米英独を先頭とするヨーロッパ全域の首脳が参集するようです。
いかにヨーロッパが、プーチンの代理人に堕したトランプの姿勢に危機感をもっているのかわかります。

「ワシントンで18日行われるゼレンスキー大統領とトランプ大統領の会談に、欧州の首脳らが参加する。ロシアへの領土割譲を含む早期和平合意に応じるよう米国からの圧力が強まる中、ゼレンスキー氏への支持を示す狙いがある。
欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会のフォンデアライエン委員長とNATOのルッテ事務総長、フィンランドのストゥブ大統領、ドイツのメルツ首相、スターマー英首相、フランスのマクロン大統領がそれぞれ参加を確認した。イタリアのメローニ首相も会談に加わると、スカイは報じた」
(ブルームバーク2025年8月18日)
米ロ、ウクライナへの安全保障で一致-18日会談には欧州首脳も参加 - Bloomberg

20250819-001327

ブルームバーク

このトランプのアラスカ会談は、チェンバレンのナチス融和と並んで歴史に刻まれるであろう愚劣な妥協でした。
現在の世界は急速に大戦前の状況に酷似し始めています。
それは侵略的な意図を隠さないてならず者国家が台頭して、国際秩序を破壊し始めたためです。
台頭した破壊者の名はかつてはナチスドイツ、そして今は中露。
共に世界有数の軍事力を誇って、共に領土拡張に血道を上げる国家です。
そしてこれらの国々にはまともな民主主義は存在しない全体主義国家です。

ここで相似性を探るために、歴史を大戦前に遡ってみましょう。
第1次大戦後の1935年、政権を握ったヒトラーは、ヴェルサイユ条約の取り決めを一方的に破棄して再軍備と徴兵制を復活させ、、さらに翌年36年にはチェコ領のラインラントに軍を進駐させました。
あからさまな侵略行為であり、第1次大戦後の世界秩序に対する挑戦でした。
これに対して英国や欧州各国は融和主義を掲げて、ヒトラーの領土拡大政策を容認します。

そしてこの融和で勢いづいたはヒトラーは、38年にはオーストリア併合し、さらにはチェコ領ズデーテン地方の割譲を要求しました。
これを巡って38年、英仏独位伊4カ国で開かれたのが、あの悪名高きミュンヘン会談でした。
この会談で、なんと英首相チェンバレンはドイツの要求を丸呑みしてしまったのです。
この時、当該国のチェコには出席する認められず゛すべて頭越しでした。
ミュンヘン会談 - Wikipedia

気分が悪くなるほど、今のトランプのやり口に似ています。
チェンバレンとトランプは、全体主義の独裁者に対してにきわめて甘い個人的期待感を持っていました。
チェンバレンはヒトラーを評してこう言います。

20250819-005841

「ヒトラーは話のわかる政治家だ。平和は保たれた」

後の歴史を知っている私たちには悪いジョークのような台詞ですが、チェンバレンはヒトラーを「平和主義者」だと思い込んでいたようです。
ちなみに野党だった労働党に至っては、党首ランズベリーは9条主義者でした。
彼は常備軍の存在が戦争を誘発すると考えし、英軍の解体すら主張しました。
ナチスドイツには無抵抗非戦の誓いをする始末です。
どこぞの国の野党やメディアにそっくりですね。

ヒトラーはこれを侵略的意図の容認と捉えました。
39年、ドイツは一気にポーランド侵略を開始し、英仏も宣戦布告に追い込まれました。
ここに第2次大戦が勃発します。
なにが原因であったのかあまりに明白です。
つまりひとつの小さいと思えた融和が次の侵略を生み、さらに大きな侵略を誘引し、やがてそれは全体の平和を崩壊することとなったのです。

大戦を戦ったチャーチルはこう述べています。

チャーチルは著書『第二次世界大戦回顧録』の中で、「第二次世界大戦は防ぐことができた。宥和策ではなく、早い段階でヒトラーを叩き潰していれば、その後のホロコーストもなかっただろう」と宥和政策の失敗を述べている」
宥和政策 - Wikipedia

トランプが今まさにしようとしているのは、まさにチェンバレンが犯した全体主義に対する屈伏、譲歩、そして融和です。
かつてのチェコはウクライナです。
今すべきはプーチンに対する融和ではなく、会談冒頭で侵略は許さないと宣告し、さらなるロシア制裁の強化、具体的にはロシア産エネルギーの主要顧客であるインドと中国に二次制裁を科すと言い渡すことでした。
トランプはノーベル平和賞を熱望しているようですが、彼の「平和」とは「チェンバレンの平和」にほかなりません。

 

« 第2ヤルタ会談 | トップページ | ウクライナの外交上手 »

コメント

まるでチェンバレンなのはそうですが、何しろ超大国アメリカの大統領ですから困ったものです。

それどころか、3月にゼレンスキーにヴァンスが横から口を挟んでトランプも同調したように「お前は何を取引き材料にするんだ?」のように、プーチン相手にはロシアに有利な条件で停戦を後押ししてやるからそこで採れる鉱物資源や北極海開発の権益をくれ···とか、「オレ様は目ざといビジネスマンだぜっ!」を発動してそうです。もちろんファミリー企業仕切りで。
実際に停戦や和平問題以外に会談された時間の方がだいぶ長かったみたいだし。
自分だけ儲かればいい見栄っぱり不動産屋vs生粋のKGB上がり。勝負にならんな。。

歴史には明るい方ではない、中でも世界史は至って疎い方ですが、宥和政策に成功例ってあるんでしょうか。結局政治決断を日和った時の為政者がお茶を濁しただけ、という印象しかありません。金大中は太陽政策でノーベル平和賞を得ましたが、今から振り返ってあの政策が平和に寄与したと考える人は殆どいないと思います。(プラハでお花畑論を語っただけでもらった人もいるので、モンドセレクションと大差ないと言ってしまえばそれまでですが)

さらに質が悪いのは、今回のロシアに対する宥和政策を金科玉条とするであろう某大国が、海を隔てているとはいえ我が隣国にあると言うこと。そういう意味でも決して他人事ではありません。

昨今のトランプ氏の振る舞いを見るに付け、この人本当に弱いものには強いけど、強いものには優しいなということ。それを「商売人」の一言で片付けて良いのかどうかは分かりませんが。

 トランプは多くのトランプ支持者の妄想と違い、もともと本質的にチェンバレンとよく似ています。トランプの言葉は空疎で、ディールと名付けられたそれは単なる妥協主義なのであって、その実質は現実主義ではなく敗北主義的悪しきリベラルの系統に属します。
なおチェンバレンの名誉のために言えば、あの時にはイギリスも欧州も日の出の勢いのナチスの軍事力に対抗するだけの原資がありませんでした。しかし、今のウクライナ・ロシアを取り巻く現状は違います。喧しく言われていた「支援疲れ」はなく、ロシア経済はひっ迫。あれほど強大だった軍事力にも底が見えてきた。あとはプーチン一流のはったりと誤魔化し、実は停戦さえする事が出来ない国内事情に翻弄されているのが現状。
つまりトランプはプーチンを助ける側の奇異な米国大統領なのであって、チェンバレンとは違います。

ともあれ、ウ米会談では最悪を回避できた模様です。
「力による現状変更を米国が認める」という事はなく、しかし首の皮一枚ででも国際秩序は辛うじて保たれている状態に変わりない。
重ねて申しますがトランプは、安倍総理がリアリストであったような現実主義者では全くありません。

いつもありがとうございます。

やる気満々の相手に対する譲歩は、結局譲歩した不利な条件で戦わなくてはならないですから、その第一歩を挫くことが最上なのだと思います。
それを見極めたり操作するために情報や諜報が重要ということなのでしょう。
ヒトラーがこれ以上やる気はないと判断したチェンバレンが愚かだったのかスパイだったのか、どうなんでしょうか。

ヒトラーの誤算はもう一人の独裁者スターリンだったと思います。地政学的条件等に差はありますが、諜報で一枚上手だったと言わざるを得ません。

宥和政策の成功例は北宋でしょうか。遊牧民族に貢ぎ物をして安全を確保して経済・文化的には当時世界一の発展を遂げました。滅んだきっかけは、宥和から強硬に転換したときの失敗があると思います。首都は東京です。色々教訓になりそうです。

ロシアのクリミア併合を既成事実化させた時の「チェンバレン」は誰だったのでしょうね。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 第2ヤルタ会談 | トップページ | ウクライナの外交上手 »