パレスチナ国家承認は有効か?
国連において、パレスチナ国家承認の動きが進んでいます。
「カナダ、オーストラリア、イギリスは21日、それぞれパレスチナ国家を承認すると発表した。各国とも、前もって方針を示していた。パレスチナとイスラエルの間の中東和平問題解決を目指す2国家解決策の推進に向けて、3カ国で協力体制を組む意向という。
イギリスのキア・スターマー首相は、パレスチナ国家承認の時が「今まさに訪れた」と強調。「本日、平和と2国家解決への希望を再生するために、私はこの偉大な国の首相として、イギリスがパレスチナ国家を正式に承認することを明言する」と表明した。
また、「本日、我々はパレスチナ国家を承認している150以上の国々に加わる」と述べ、これは「より良い未来が可能だという、パレスチナとイスラエルの人々への誓いだ」と述べた」
2025年9月22日
「今まさにその時が来た」スターマー英首相がパレスチナ国家承認を発表 - BBCニュース
ちなみに駆け込み的に、ウチの国の首相もこんなことを述べています。
「中東情勢をめぐっては、パレスチナの国家承認について「『するか否か』ではなく『いつするか』の問題だ」と述べ、イスラエルが「二国家解決」への道を閉ざすさらなる行動をとる場合、承認する可能性を示唆しました。
また、パレスチナ側に対しても責任ある統治体制の構築やイスラム組織ハマスによる人質の解放などを強く求めました。
結びに、日本は戦後、アジアの人々の寛容の精神に支えられ、世界の恒久平和の実現に力を尽くしてきたと振り返り「分断よりも連帯、対立よりも寛容を。日本はこれからも国際社会とともに歩んでいく」と強調しました」
(NHK2025年9月24日)
石破首相 国連総会で演説 安保理改革や「二国家解決」を訴え | NHK | 国連
独にも薬にもならない演説ですが、まぁおかしな歴史認識の最後っ屁をするとも言われていたので、それよりもマシではあります。
世界の主流は二国家共存、パレスチナ国家承認の流れとなっています。
G7諸国でも、左派政権の国々である英仏は承認に走り、メローニ首相率いるイタリア政府は反対の立場を示しています。
もちろんトランプの米国は揺るがずにイスラエル支持を示し続け、米国に追随するのが唯一の外交方針の石破政権は、イスラエルのガザ再侵攻に対して「断じて容認できず、この上なく強い言葉で非難する」としつつ、国家承認はしないというどうとでもとれる所に落ち着いたようです。
米国においてトランプは、パレスチナ問題に絡んで、国内のアンティファに対するテロ団体指定に向かっています。
アンティファ、NYの店舗を再襲撃 ── BLMから3ヵ月の今、叫ばれる「割れ窓理論」(安部かすみ) - エキスパート - Yahoo!ニュース
「トランプ米大統領は22日、極左運動「アンティファ(反ファシスト)」を国内テロ組織に指定する大統領令に署名した。保守派活動家チャーリー・カーク氏殺害事件を受け、左派系団体への監視を強化する一環という。
今回の大統領令では、関係する全ての連邦機関に対し「アンティファおよびその名の下で活動する者による違法行為、とりわけテロ行為に関して、あらゆる適用可能な権限を用いて捜査、妨害、解体する」よう指示している。
トランプ氏は以前からアンティファを「主要テロ組織」として正式に指定すると警告しており、今回の大統領令でそれを実行に移した形だ。 こうした団体に対し、政府がどのように対応していくかは依然不透明だ。米連邦法では国際的な組織を外国テロ組織に指定することは可能だが、国内組織に同様の枠組みは存在しない」
(ブルームバーク2025年9月23日)
トランプ大統領、極左運動「アンティファ」を国内テロ組織に指定 - Bloomberg
アンティファ運動は日本では共産党がやっているように、明確に共産主義をバックボーンにして生まれています。
下の写真は、アンティファのシャッツを着てはしゃいでいる共産党の山添拓氏、吉良よし子氏と& 池内さおり氏らです。
彼ら共産党はアンチアベをかかげてこんな暴力デモもやっていました。
BLMやアンティファといった米国内の極左運動は、偶然に生まれたものではなく、周到に左翼組織が準備し組織したものでした。
「大学キャンパスでの最近の親パレスチナ抗議行動の波は突然やってきて、全国の人々に衝撃を与えた。しかし、いくつかのデモの根底にある政治的戦術は、長年の活動家や左翼グループによる何ヶ月にもわたる訓練、計画、奨励の結果でした」
Students Trained for Pro-Palestinian Protests With Veteran Activists for Months - WSJ 。
BLMやアンティファについて、米国に亡命している民主活動家の中国人ジャーナリスト何清漣はこう語っています。
「私は最近、自分の原稿の中に、この運動(BLM運動)と中国文革にはよく似たDNAがあると書いた。なにかって?みなさんご存じのように中国の文革の核心はマルクス主義であり、マルクス主義の核心理論は暴力革命。
既存の国家メカニズムを破壊し、新たな国家メカニズムを打ち立てること。これはなぜ民主党が首長の各州で警察機構がマヒしているかの理由でもあろう。
文革期の公安、検察、裁判所で同様の打ちこわしがあったことと同じだ。このようにして初めて、法執行機関の介入なしに、すべての“四旧”を好きなようにできるのだ」
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ) NO.103 2020年6月28日)
BLMは米国版文革運動であり、アンティファは紅衛兵でしたが、これに立ち向かって秩序を回復させようとしたのがトランプであり、煽ったのが民主党系知事たちでした。
米国の紅衛兵・アンティファ: 農と島のありんくりん
アンティファの三つの歴史的刻印とは: 農と島のありんくりん
そしてこの親パレスチナ運動の激化は、同時に進行していた大統領選に大きな影響を与えました。
特にこの親ハマス組織が夏の民主党大会を標的にしたために、民主党はより親パレスチナ・反イスラエル的な候補に差し替えることを余儀なく去れました。
それがバイデン降ろしであり、党内極左派に属するカマラ・ハリスの登場です。
それはさておき、このパレスチナ国家承認は現実に何かを変革するでしょうか。
おそらくなにも変わらないでしょう。
パレスチナ現地はしらけきっているようです。
「フランスによるパレスチナ国家の承認に対する世界的な期待が広まっていたにもかかわらず、イスラエルが支配するヨルダン川西岸の住民は、この動きが日常生活に目に見える影響をほとんど与えないと感じていた。
パレスチナ自治政府の本拠地であるラマッラーの路上では、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が承認を発表した国連集会の様子がスクリーンに映っておらず、ほとんどの人が視聴しないと述べた。
「もちろん(承認は)良いことですが、たとえ全世界がそれを認めたとしても、パレスチナの状況は改善されません」とラマッラーの静かな商店街でザイン・アブデル・ワハブさん(18歳)は語った」
(タイムスオブイスラエ9月23日)
ヨルダン川西岸のパレスチナ人は、フランスの国家承認を無視する:「これは私たちに何をもたらすのか?」 |タイムズ・オブ・イスラエル
そもそも「パレスチナ国家」とはなんなのでしょうか。
公式には、ヨルダン川西岸を「統治」しているとされているパレスチナ自治政府(PA)でしょうが、彼らは軍隊も統治機構も欠落したただの利権集団にすぎません。
彼らにガザまで含むパレスチナ全体を代表する能力もなければ、その気にさえなっていないでしょう。
ガザを「統治」していたのはハマスです。
しかしハマスが合法的統治をできるかといえばありえません。
ハマスは中東諸国から警戒されていく過激テロ組織であって、イランによって作られたものです。
ハマスは10.7のテロで、すでに合法性を喪失しており、彼らの排除は国際社会も同意しています。
ならば「パレスチナ政府」とはなんなのか?実態があるのか?という根本問題にたとりついてしまいます。
この問題が明らかにならないまま、パレスチナ承認もなにもあったもんじゃありません。
それはただのキレイゴトです。
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ハマス軍団がいきなり越境して来て、武装もしていないズブの一般イスラエル市民を虐殺・誘拐して、それでスッタモンダの応酬が続いて、武装もしていないズブの一般パレスチナ市民が、その何十何百何千倍もの被害を受けた末に、目出度くパレスチナ国家が承認されるなんて、悪夢というよりほとんどギャクですわ。
管理人さんの仰るとおり、まったく(似非)リベラルのキレイゴト賛歌に過ぎませんわ。自分達は安全地帯に身を置いておきながら大して何をしたでもなく、真剣に殺し合いしてる連中をダシにして、自分達は正義のヒーローでございと気取ってるんですわ。国連事務総長のグテーレスなんて、ホント鼻につくイヤな野郎だとWiki見たら、やっぱりというか社会党系でしたわ。こんなカッコだけの野郎は屁のツッパリにもなりませんわ、イザとなったら逃げる手合い。
ハマスは、「やっぱ、奴等を殺って良かったじゃん、俺達ゃパレスチナ国家そのものだぜい」と、大きな報酬を得ることになりますわ。これで、パレスチナ国家を統治するのは救国の英雄ハマス軍団、ということが正当化されてしまいます。
しかし我が日本国なんて、国民を大勢拉致されておいて、もう数十年間も「遺憾ですイカンです行かんです」を決め込んでおいて、パレスチナ国家を承認するしないなんて偉そうに、まったく他人事じゃないってーの。(似非)リベラルのゲルは、どこまでもどこまでもお利口さんで、まったくお目出度い奴ですわ。
投稿: アホンダラ1号 | 2025年9月25日 (木) 22時58分
誰も言わない最大の問題は「パレスチナ人に、まともな国家運営ができるのか?」ですね。「自立できるのか?」でもいいです。ガザ地区なんて、反イスラエル闘争をしながら、電力の供給をイスラエルに頼っていたんですから。
パレスチナ人国家ができても、すぐに破綻するんじゃないかと思います。それだけならまだ良くて、破綻国家にテロリストが集まってきて、テロ支援国家になってしまうんじゃないかと。ガザ地区がそうだったわけですから。
投稿: 坂東太郎 | 2025年9月27日 (土) 12時17分
英仏がパレスチナ国家を承認しましたが、100年前の事を思えば「今更どの面下げて」としか言えませんね。
投稿: 珊瑚は大切に | 2025年9月28日 (日) 22時42分
石破首相は英仏の言いなりにならなかったのでそこは評価してもいいのでは?
投稿: 珊瑚は大切に | 2025年9月29日 (月) 02時30分