改めて北朝鮮の主敵は中国である
正恩が子連れで北京の抗日戦勝利ナンジャラ集会に参加しました。
「【北京共同】中国は3日、北京市中心部の天安門広場周辺で「抗日戦争と世界反ファシズム戦争勝利80周年」の記念行事を実施した。習近平国家主席が演説し第2次大戦の「戦勝国」としての立場をアピール。軍事パレードを挙行し新型兵器を公開した。ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記が出席して習氏の両隣に並び、中ロ朝3カ国の結束を誇示した」
(東京9月3日)
中ロ朝3首脳、北京で結束誇示 抗日軍事パレード、米国けん制:東京新聞デジタル
【中国抗日戦勝式典】世界の分断に歯止めを 民主・権威陣営が対立 | 共同通信 プレミアム | 沖縄タイムス+プラス
正恩が本気かどうかはもう少し見ねばなりませんが、 とまれ中朝関係が、とりあえず元の鞘におさまったのかもしれません。
元の鞘とは、華夷秩序の体系の頂点に位置づけられる中華皇帝を、「兄」とも慕う臣下の「王」の位置に、正恩が復帰したということです。
ただしあくまでも見た目にはにすぎませんが。
ボンから出向くというのも、重要なチャイナ・プロトコールです。
あくまで臣下は皇帝の徳を慕って行くわけですから、最初は訪中して臣下の礼をとらねばなりません。
行きさえすれば、北京の壮大さに打たれ、皇帝の慈悲のお心も肌で分かるというものです。
よくある素朴な誤解に、中朝は同じ「共産主義国家」なのだし、中国は朝鮮戦争で100万の義勇軍を派遣した同盟関係ではないか、今だって原油をパイプラインで送って助けているじゃないか、というものがあります。
まぁ、表面的にはそうですが、この見方は北朝鮮の側から見たもので、ではなぜ、そんなことを中国がしているのか、という疑問には答えていません。
中国にとって、北朝鮮は不愉快、かつ不安定な隣国です。 さらに強い表現を使えば、いつ核攻撃をしかけてくるかもわからない潜在的な「敵」だと考えているはずです。
彼らの核は、現時点でも北京を射程内に納めており、軍事的脅威度は日本や韓国などよりはるかに高いはずです。
これらの弾道ミサイルは、大部分は通常弾頭ですが、そのいくつかには核兵器が搭載されていると考えられています。
保有数は、やや古いのですが、米国防総省が2013年5月に提出した「北朝鮮の軍事力2012」年次報告にはこのようにあります。
今は当然格段に増えているはずで、核兵器の小型化、戦力化も完成しているはずです。
(出典 Military and Security Developments Involving the Democratic People’s Republic of Korea 2012 - U.S. Depertment of Defense
邦訳 http://obiekt.seesaa.net/article/358829852.html)
すべての弾道ミサイルが中国を射程内に捉えています。
その気になれば北京を破壊し尽くすことも充分可能です。
ただし、それをすれば北朝鮮という国もなくなりますが。
核兵器は置いても、忘れてならないのは、北朝鮮から見れば、地上軍を大量に即座に投入できる唯一の国が、中国です。
地政を見れば分かりやすいと思います。

上の中朝国境付近の地図をみると、中国と北朝鮮の国境は、鴨緑江という一本の河で隔てられているにすぎません。
鴨緑江は自然国境としては大変に危うい壁でしかないことがわかるでしょう。
河の中央でも水深は浅く、夏にはじゃぶじゃぶと横断している庶民が見られますし、冬には凍結して歩いて渡れますので、脱北者は全員このルートで逃げています。
歴史的にも、「中国義勇軍」という名の正規軍は、朝鮮戦争時に大挙してここを渡河しています。
今はこの中国軍が渡河した地点に中北をむすぶ原油パイプラインが走っています。
かつては援軍で来ましたが、これからもそうとは限りません。逆もまたありえるのが国際関係というものです。
援軍に来たということは、軍事制圧にも簡単に来られるということを意味しますからね。
では、北はなんのために核兵器で国力すり減らし、民を飢えさせてやってきたのでしょうか。
よくある答えに「米国と対等に」というのは間違いではありませんが、半分間違っています。
あんな世界最貧国が「米国と対等」になんて、いかなる意味でもなれっこありませんから。
あえてあるとすれば、陸続きの隣国・中国に飲み込まれないためです。
決して表だってはそうは言わないでしょうが、北に取っての脅威は中国が主で、米国はむしろ従です。
北がなにより嫌うのは、中共の政治的介入です。
米国は口やかましく国際ルールを守れと言いますし、韓国の後ろ楯ではありますが、内政に口バシを突っ込んではきません。
しかし中国にはそれが可能です。ここが決定的な米中の違いです。
中国は、経済を握って生かさず殺さずの「支援」の代わりに、北国内で中国の手先を扶植し、彼ら中国派は党軍の最高指導部で実権を握ろうと画策してきました。
金王家が中共をいかに憎悪しているかは、歴代の金王朝が中国派との党内闘争に大きな力を割いていたかを知ればわかりますし、元々金日成が権力を掌握できたのは延安派を粛清できたからです。
また今でも中国をいかに恐れているのかは、正恩のやった中国派の頭目で叔父の張成沢を残虐な処刑で殺したことでもわかるでしょう。
続いて、実兄の正男まで中国の息がかかっているとして公衆の面前で毒殺して見せました。
陰湿な宮廷劇といえばそれまでですが、いかに正恩が中国を恐れ、憎悪しているかわかります。
正恩が米中どちらを恐怖しているかは、一目瞭然です。
ここを分からないと、中国の力を借りて北を非核化するという外務省型俗論になってしまいます。
あくまでも金王家の権力確立の文脈で核が出てくるのであって、「大国と対等になりたい」なんて願望一般ではないのです。
つまり、むしろ核兵器は金王朝独裁の背骨であって、独裁体制そのものなのです。
だから彼らは北の独裁体制を守るために3代かけて核開発をし、他の大量破壊兵器と共に密輸することで資金源にもしてきたのです。
そしてその中で作られた北朝鮮特有のメンタリティは、「核ミサイルこそ力の根源である」という一種の核信仰でした。
彼らは核を手放すくらいなら、国が滅んでもいいとすら思っているのです。
国民は飢えてもかまわないと思っています。
社民党の選挙ポスターに「ミサイルよりコメを」みたいな珍スローガンがありましたが、それは正恩にいいなさい。
この核に対する思いとでもいうことの重さが理解できないと、北の核を論じられません。
こここそがリビアのカダフィと北が決定的に違う点ですし、カダフィは核を奪われると、後にCIAが画策した「アラブの春」で抹殺されてしまいました。
正日や正恩はこのカダフィの顛末をよく知っていて、その二の舞はしないと決心しています。
結論を言えば、北は核を絶対に手放さないでしょう、仮に国が滅びても、です。
核は金王家の力の源泉であって、かつ統治の象徴なのですから、核を手放す時は金王家が滅ぶ時です。
これについては黒井文太郎氏などが同じことを書いています。
ロシア軍が北朝鮮入りか…米中韓戦争なら三沢基地に核ミサイル飛来..
ただし、北の核は「使えない核」です。
他の核保有国もそうですが、核は等価報復されてしまえば自国も滅んでしまうし、北の権力の源泉である至宝を消費したらお終いだからです。
北の場合、在日米軍が駐留しその家族までが住む日本を核つきノドンで撃ってしまったら、10倍返しの報復核攻撃を受けるくらい三才の子供でもわかりますからね。
だから、このような北の核をわが国や国際社会への政治的脅迫に使わないようにMD (ミサイルディフェンス)を構築したり、敵基地攻撃能力といった受動的抑止力をもたねばならないのです。
トランプ氏はノーベル平和賞欲しさに(笑)、北朝鮮に行きたいそうですが、お止めなさい。
第1期の時と違って、すでに北朝鮮は核を9割方完成させてしまっています。
もう遅すぎる上に、ロシアといい関係になっており、中国と関係を回復したと思っている正恩は聞く耳を持ちませんよ。
自称外交の天才を気取っているディーラー好きのトランプさん、ネタニヤフも御せず、プーチンからは馬鹿にされ、まだ懲りないのでしょうか。
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中国の軍事パレードに参加することで中露朝らならず者国家との連帯をアピールした鳩山。
こんな奴に元首相の肩書きを与えてしまったことを日本人は後悔しなければならない。
投稿: 中華三振 | 2025年9月 5日 (金) 08時54分