トラ関税、連邦高裁でも違法判決
さて、どうしますかね、トランプさん。連邦高裁でもトランプ関税に違法判決が出ちゃいましたよ。
「アメリカの連邦控訴裁判所は29日、ドナルド・トランプ大統領による関税措置の大半について、違法との判断を示した。トランプ氏の外交手段に影響しかねない法的対立につながる可能性がある。
今回の判決は、トランプ氏が世界各国に課した「相互主義」に基づく関税のほか、中国、メキシコ、カナダに対して発令された関税にも影響し得る。首都ワシントン連邦巡回控訴裁判所は7対4の多数決で、関税導入は「国際緊急経済権限法(IEEPA)」に基づき正当なものだというトランプ政権の主張を退け、「法に反する無効な措置」だと判断した。
この判決は、政権側が最高裁判所に上告するための猶予期間として、10月14日まで効力を保留される」
(BBC8月30日)
米控訴裁、「トランプ関税」を違法と判断 下級審に続き - BBCニュース
「米国に取って壊滅的となる」じゃなくて、「トランプ政権にとって壊滅的となる」の間違いでしょう。「トランプ米政権が世界各国・地域に対して発動した関税の多くを違法とする判断を連邦高裁が支持したことについて、トランプ大統領は2日、政権として連邦最高裁に上告する方針を明らかにした。貿易政策を堅持するために不可欠だと主張している。
トランプ氏はホワイトハウスの大統領執務室で記者団に対し、連邦高裁の判断がそのまま維持されれば「わが国にとって壊滅的なものになる」と述べ、最高裁に判断の見直しを求めて3日にも上告すると語った」
(ブルームバーク9月3日)
トランプ氏が最高裁に上告へ、関税大半が違法との高裁判断に不服 - Bloomberg
連邦最高裁は共和党寄り判事が多数派なので、たぶん多数決でこの連邦高裁の判断は棄却されてしまうかもしれません。
そしてなおかつ連邦最高裁が連邦高裁と同じ判断をしたとしても、限定的ながらまだ逃げ道が用意されています。
「もし最高裁が最終的に上乗せ関税を無効と判断した場合でも、トランプ政権には限定的ながら合法的な関税導入手段が残されている。その一つとして、国家安全保障上の脅威とみなされる輸入品の規制を認める通商拡大法第232条に基づき、半導体や医薬品、風力タービンに関税を課す方法がある。
また、米国企業に差別的な国・地域の貿易措置や、国際貿易協定における米国の権利を侵害する行為に対抗するとして、通商法301条を根拠に米通商代表部(USTR)に関税賦課を指示することもできる」
(ブルームバーク前掲)
これがトランプの外交上の最大の武器、かつ最大の経済政策である減税の財源にあてる心づもりでしたから、ゲル氏より粘りに粘ることでしょう。
それにしてもムチャしよるわ、トラ親方。
こういう関税を武器にして世界を敵に回すやり方は、いままでの米国では考えられもしませんでした。
トランプはことあるごとにNATOを脅しているわけですが、根本的に勘違いしています。
米国は世界に安全と安定を与える義務があるのです。
世界最強の米軍が、空と海の安全を守り、いつ何どきでも米国陸軍が急派されるというシステムが、世界秩序を安定させてきました。
たとえばヨーロッパを守っているNATOは、ふたつの基軸で維持されてきました。
ひとつは、自動参戦条項である第5条で、ひとつの国対する侵略は全部の加盟国で対応するという集団安全保障体制です。
これは国連憲章に定められたもので、実態としては加盟国の中軸である米国の軍事力によって支えられてきました。
BBC
トランプが言っているのは、覇権国家を止めて、自国第一主義になるということです。
金も出さない、軍隊も出さないとトランプは言っています。
言い草としては「米国は世界から搾取されてきた。だから高い関税をかけて取り返すのだ」ということのようです。
米国が世界の同盟国に対する責任を放棄するということですから、米国は覇権国から転落し、中露は手を撃って大喜びするでしょう。
そしてヨーロッパでは「強いドイツ」が生まれ、アジアでは「強い日本」が再登場することでしょう。
世界環境は、より多軸化し、より不安定に、より危険となります。
元産経新聞ロンドン支局長の木村正人氏は、これを米国が「世界の保険屋を止めて、ゆすり屋となった」ためだと評しています。
「第二次大戦後、米国は「世界の保険屋」として海と空の安全、財産の保護、国際貿易ルール、ドルの安定という安全保障と経済の基盤を提供してきた。しかし第2次トランプ政権になって脅しと取引で利益を得る「ゆすり屋」に変貌した――。
米ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長は米外交誌フォーリン・アフェアーズ9/10月号に『新しい経済地理学:ポスト米国の世界で利益を得るのは誰か』と題して寄稿、米国は「保険提供者」からみかじめ料を強要する「用心棒」に成り果てたと嘆いている」
(木村正人8月30日)
米国を「世界の保険屋」から「ゆすり屋」に変質させたトランプ、その“大いなる勘違い”こそ米国経済最大のリスク(1/5) | JBpress (ジェイビープレス)
この世界秩序安定を、地球を支え続ける大地の神タイタンよろしく担ってくる見返りとして、世界は米国市場に気前よく投資してきたのです。
それは米国にかつてない繁栄をもたらし、米国発の技術や法的基準は普遍的な存在となりました。
この役割を止める、保険屋なんて儲からないから各国からしっかりみか締め料を取る、というのがトランプです。
トランプは、日本に対しても文句があるようです。
ヨーロッパを見ればわかるように、今のトラ関税は安全保障に対する要求と表裏一体です。
そのうち間違いなく駐留経費の上乗せを要求してくるはずです。
ヨーロッパがそうされたように、トランプはたぶん在日米軍の縮小、あるいは移転を脅しの取引材料に使うでしょう。
横須賀軍港を動かすなどと言えば、さすがに米海軍は怒り狂いますから、もっとも動かしやすい沖縄米軍を駒に使うでしょう。
その場合、沖縄の海兵隊や普天間はまとめてどこかにということもありえます。
たぶんフィリピンかオージーでしょうね。グアムもありえます。
「オール沖縄」の人は欣喜雀躍するでしょうが、今、この時期に移転された場合、南西諸島方向に大きな軍事的真空が生じてしまいます。
つまり鳩山氏が熱望しているように、東シナ海は「中国の海」となります。
トランプの要求を一時的には飲まざるをえないこともありえます。
そして要求を聞きつつ、わが国独自の安全保障の次の段階を真剣に考える段階となります。
それは従来の「日米安保があっての防衛」ではなく、「日米安保がなくなった場合に備える防衛」戦略です。
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関税を納付するのは輸入者、この関税は輸入原価に組み込まれて市場に出回り、最終的な負担者は消費者。
アメリカの税収を増やしたと喜んでるようなのですが、トランプ大統領はアメリカ国民にとんでもない増税を課しているわけです。
国民から過度な税を取り、一方では減税してやったぞと得意顔なんですよね。
裁判所もこの辺りも見ていると思います。
輸出側は関税の負担はないものの、製品が売れなくなるため値引きやアメリカ国内生産を考えるのですが、マスコミも揃って困った困ったの騒ぎです。
アメリカ国内では製造出来ない品質の高いものは恐るるに足らんと思います。日本の製品でもたくさんあるそうです。
ツッパれる企業はトランプ関税に負けずツッパって欲しいと願ったりしてます。
アメリカの企業が輸入を止め品質を下げていけば、消費者も馬鹿じゃない。
アメリカ国内の生産も消費も少しずつ減ってるとの話もあり、トランプ関税が国民の為になっているのか、甚だ疑問です。
投稿: 多摩っこ | 2025年9月 4日 (木) 11時01分
連邦最高裁判事は第一次トランプ政権の最後っ屁で一気に共和党シンパに入れ替えられました。
その爆弾がここで作動するかどうか。
またガザのリゾート化とか言い出してるし、世界中にケンカ吹っかけていったい何がしたいのか分からんですね。
「オレ様強い大統領!」アピールと名誉欲しか残っていないようです。やはり周りにイエスマンしかいないとダメですね。
ワンマン経営の田舎の中小企業ならともかく、アメリカ大統領がですから。
とは言っても本来対抗すべき民主党も顔になるような人材が出てこなくて、党内はバラバラなのが歯がゆいです。
投稿: 山形 | 2025年9月 4日 (木) 16時58分