トランプの思うつぼ、連邦政府の閉鎖
米国連邦政府の閉鎖が始まりました。
「米上院は10月1日、下院で可決した共和党のつなぎ予算案と、医療費の政府補助の延長を盛り込んだ民主党のつなぎ予算案の採決を前日に続いて行ったが、いずれも否決された。次回の採決は3日に行われる見込み。
連邦政府の予算が30日深夜に失効したことを受けて、連邦政府機関の一部閉鎖と一部の連邦職員の一時帰休がすでに始まっている。
行政管理予算局(OMB)のボート局長は1日、下院共和党の議員らに政府職員の永久解雇の一部が「1、2日以内」に始まると電話で警告した。説明を聞いた議員らによると、ボート氏はどの機関の職員が解雇されるのか、またどれくらいの規模になるのか具体的には示さなかった。だが、業務が優先されない機関から解雇が始まることを示唆したという」
(CNN10月2日)
米つなぎ予算、上院で再度否決 政府職員の一時帰休始まる - CNN.co.jp
米国連邦政府の閉鎖とは、予算案が期限までに成立せず、政府機関の一部が業務を停止する状態のことです。
毎年おなじみといえないことはないのですが、10月2日現在、米国の連邦政府は新年度予算が失効し、一部政府機関が閉鎖され始めています。
今回例年と違うのは、一時帰休ではなく「解雇」だということです。
ただし政府機関によって異なります。
緊急性の高い業務に従事する職員、代表的には航空管制官や運輸保安局(TSA)などの職員ですが、人命や財産の保護に不可欠な業務に従事するために閉鎖期間中も勤務を続けますが、給与は一時的に支払われません。
政府再開後に遡及して給与が支払われると思われます。
緊急性の低い業務に従事する職員、大部分の連邦政府職員(約75万人)は一時帰休となり、自宅待機となります。
例年ならば閉鎖期間中は給与は停止されて、政府機関の再開後に支払われることが保証されていました。
この部分がどうなるかはわかりません。
まったく影響が出ない部門は、軍、郵便、社会保障などの福祉制度、IRS(内国歳入庁)、FDIC(連邦預金保険公社)、連邦準備制度理事会などの職員です。
彼らは軍人だったり、郵便のように手数料ベースで資金を得ているために閉鎖期間中も平常どおりです。
いままでは歳出法案が成立するまでの間、政府閉鎖を回避するためにつなぎ予算を策定することを目指していましたか、今回はこういう経緯でした。
下院では、共和党がまとめた11月下旬までの政府支出を賄うつなぎ予算案は、下院でわずかな差で承認されました。
共和党と民主党との対立点は、議員や連邦当局者向けの警備費増額でしたが、下院では可決しても上院では民主党の反対で否決されました。
民主党はつなぎ予算案への支持の見返りに、共和党が最近実施したオバマケア関連の削減の撤回を要求しましたが不調に終わりました。
そこで、9月29日、トランプと与野党幹部が政府閉鎖回避に向けた協議を行いましたが、医療保険補助金の延長などで折り合わずとうとう政府機関の閉鎖に至りました。
これは民主党左派が妥協を拒んだためです。
トランプ大統領はむしろこの状況を喜んでいる風情で、民主党に対し政府閉鎖中に「取り返しのつかない、好ましくないことを実行することもできる。大幅な人員削減などだ」と言っています。
このようにトランプと民主党左派は宿敵でありながら、妙にもちつもたれといった部分があります。
これは形を変えたDOGE改革です。
トランプが不要だと考える機関を丸ごと廃止しても、国家は通常通り運営されています。
その多くが海外との関係で動いている機関なので、国内的には見えにくいということがあるようです。
今回は民主党の非協力によるつなぎ予算の不成立ですから、トランプは堂々と民主党のせいで不要な政府機関を閉めたと言うことができます。
もちろん予算が執行されない以上、政府がしてきた公共事業も停止しますが、その多くは地球温暖化対策、オバマケア、不法移民向けの社会保障などといった民主党がしてきた一連の政策です。
また、これは前述したとおり一時帰休ではなく解雇ですから、いままでと違って再開後は遡って賃金が支払われましたが、今回はありません。
いま米国経済は好調で連邦政府から解雇されても、再就職が難しくないために失業問題となりにくいのです。
トランプは、いま政府内で進めているチャーリー・カーク暗殺に対する「レッドパージ」に公然と邁進することができてしまうというわけです。
これはトランプが目指す小さな政府に適合します。
トランプが目指す「小さな政府」とは、官僚機構の権限を縮小し、選挙で選ばれた政府へ権限を取り戻すことに主眼があります。
このように見てくると、政府閉鎖はトランプにとって思う壺だったと思われます。
それにしても妙な国ですな、米国は。
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米国戦争省への最新の予算も10月1日から失効したので、明日からの普天間フライトライン・フェスティバルも、日曜の横須賀フレンドシップデイも、2日にキャンセルが告知されました。
私個人としては、毎年のお楽しみが消滅して「絶対許さん」に近いがっかり。今思えば、詳しくは割愛しますが、今年のフライトライン・フェスはガバメント・シャットダウンによる中止が想定されていそうな気配はあった…
まぁそんなことよりも今、軍人職員は無給で通常業務にあたり、民間人職員は一部を除いて勤務停止と無給である状態になっています。
米国は「医療保険補助を削減して減税」に行くのか、「医療保険補助復活と法人増税・富裕層増税」に行くのか、それは私には分かりませぬが、無用な空白をつくらぬよう仕事にあたり続ける人々に幸あれと希望するばかり。
投稿: 宜野湾より | 2025年10月 3日 (金) 10時12分
↑あ、残念なあまりミス連打しました(言い訳
○普天間フライトライン・フェスティバル
X 普天間フライトライン・フェア
大変失礼いたしました。
投稿: 宜野湾より | 2025年10月 3日 (金) 10時35分