現役世代を取り戻すのが総裁選のテーマのはずです
とうとう総裁選開票は今日ですね。
悲観も楽観もせずに淡々といきましょう。
河野タロー氏のブログ名がいみじくも「ごまめの歯ぎしり」というんですが、言い得て妙。
タロー氏あたりだともはやゴマメとはいわせませんが、あたしらはまったくのゴマメ、ヤゴ、アマガエル。
泣こうが喚こうが、お構いなしに世界は回っていきます。
できるのは、せいぜいがウォッチすることくらい。
で、今の総裁選の結果どうなるんでしょう。
大きく変化するとしたら、それは唯一高市さんが総裁になることくらいですが、そうとうに厳しいでしょうね。
驚いたことにリンホーセー氏が2位に食い込むことすらありえるのですから、仮にジュニアが過半数を押さえられずとも、ミスターリン票を取り込めば圧勝です。
かくしてなにが生まれるのかと言えば、第2次菅・岸田政権です。
幹事長は昔保守といわれ、今は財務省ポチといわれる加藤氏、副総理に岸田氏、外相にリン氏かな。まぁどーでもいいや。
さっぱり新味がありませんから、これでドカーンと株があがることはありえません。
たぶんグリーンエコノミーがどーした、ライドシェアがこーしたというような手垢がついた政策メニューが出てくるんだろうな。
そして減税は断固なし、社会的負担の軽減もなし、ってところでしょう。
自民党なんかどーでもいいとはいえますが、これでほぼ再生の芽は摘まれます。
これで若者が自民党から離れていくことが決定的となるからです。
前回、最弱の総理で戦った参院選は、「自民党はもういらない」という声を現していました。
武者リサーチの武者陵司氏はこう書いています。
まずは参院選を分析すると
「今回の参院選挙は、①昨年の衆院選挙に続く自公の少数与党転落、
②改革派保守3党(国民民主、参政、日本保守)の躍進、
③リベラル勢力の衰弱、と言う歴史的特徴を備えている。
出口調査に基づく年代別比例区投票先(共同通信社)を見ると、自公支持率は、10~30代16%、40代20%、50代26%であるのに対して、改革派保守3党合計の支持率は、10~30代50%強、40代38%、50代31%と、すべての現役世代において、自公与党を上回っている。
高齢世代の与党支持が大きいため、比例区総投票数では自公1801万票、改革派保守3党合計1802万票と拮抗しているものの、民心は明らかに旋回しているのである」
(武者リサーチ8月7日)
トランプ革命が日本にも起きるのか | 武者リサーチ
武者氏は政党別で支持年齢層をグラフにしています。
自民、共産、立憲、公明は60代から80代が共通して支持基盤だということがわかります。
一方現役世代は国民、参政を支持しています。
明確な民意のシグナルは、自民はもはや共産党に似た「昭和の党」「老人だけの党」と化していると宣告しているわけです。
今の日本でもっとも苦しい弱者に甘んじている現役世代は、一斉に自民からソッポを向いたというのが民意です。
「今回の参院選挙で、格差が小さく分断が見えにくかった日本でも、社会的弱者が現れ不満が高まっていることが判明した。
日本の弱者とは働く現役世代である。日本の家計実質消費は2014年3月の消費税増税(5➡8%)直前の2014年1~3月の310兆円がピークで、その後一度もそれを上回らず、現在でも依然として10年前のピークに比べ4%減の水準と言う、異例の低迷状態が続いている。
この間企業利益は2.4倍、株式時価総額は.3.2倍、一般会計税収は1.6倍になったわけで、家計がひとり犠牲にされてきたと言える。
春闘賃上げ率はそれまでの2%前後から2024年5.1%、2025年5.2%と上昇しているが、3%を超えるインフレと公的負担の重さにより、実質所得は依然としてマイナスのままである」
(武者リサーチ前掲)
したがって自民党にとってこの総裁選のテーマは、この去っていった現役票を取り戻さねばならないことだというのはわかりきった話でした。
その最大の眼目は国民の負担率の軽減です。
「2012年に始まった「社会保障と税の一体改革」により国民負担率(国民所得に対する租税と社会保険料負担率)が2011年の38.8%から2022年には48.4%と世界にも例のない急上昇となり2025年も46.2%と高水準で、家計消費を直撃した。
この間増加した消費税と社会保険料はいずれも逆進性が強い(低所得者の負担が大きい)うえ、徴税は景気変動に対して硬直的で、消費行動を大きく抑制した。
租税には本来ビルトインスタビライザーと言う景気安定化機能があり、景気後退期には税金が減り所得の落ち込みを軽減するという効果があるが、徴税一本やりの日本の税務当局はこの機能を殺したのである」
武者リサーチ
この隠されていた社会負担負担の過重なからくりが、インターネットやSNSを通して可視化され、働く世代の怒りに火をつけたのだと武者氏は見ます。
それが大手メディアに対する不信となり、財務省のいいなりになっている自民党への拒否感へと直結しました。
ですから、この粗相再選のテーマは靖国参拝でもなければ、移民問題でもありません。
参院選で大敗を喫したのは、政治とカネ故ではなく、政府が負担軽減を拒否して2万円をバラまくことでゴマかそうとしたからです。
働く世代の負担軽減をいかにするか、一貫したテーマのはずでした。
しかし自民党はあくまでも鈍感であり、負担軽減を唱えるとパブロフの犬のよろしくその財源はと問うて悦にいっている小泉ジュニアが加藤財務大臣を引き連れてトップを走る仕儀となったのです。
私は自民党という政党は、そのまま今の日本を写しているとおもっていました。
それがこのリベラルと保守が平然と同居する奇妙なこの党の存在価値のはずです。
ですから国民は「自分の好きな自民党」を選べばよかったのです。
しかしこれももうお終いのようです。
党としての生命が枯渇したのかもしれません。
新たな変化に対応できる生命力を失っています。
それがわかるのは今日です。
« トランプの思うつぼ、連邦政府の閉鎖 | トップページ | 速報 高市氏が総理に! »




ポスト自民として期待されている筈の日本保守党がここに来て分裂騒ぎ。党首がやらかしてばかりとは言え、こんな時に何をしているのでしょうね。
投稿: 珊瑚は大切に | 2025年10月 4日 (土) 09時41分
林芳正氏をリンホーセーと呼ぶのはやめた方がいいですよ。
親中派だからと揶揄する意味合いで言っているのでしょうが、実際には違うわけですし。
投稿: 中華三振 | 2025年10月 4日 (土) 10時35分
各年代のグラフ、40代でれいわが高いのは、彼らが苦しい時に一番心地よい言葉をかけてくれたのがあのメロリンQだったんですかね。少し悲しいですね。でも本当に、何も信じられなかったんでしょうねきっと。
「リンホーセー」についてはまあ、カンチョクトとかこの手の揶揄はよくあることかなぁと思いました。スッカラカン、福田ソラマメ、増税バカメガネ、石破は…もはや「石破」という言葉自体が下品で口に出したくないワードになってますね。
投稿: ねこねこ | 2025年10月 4日 (土) 13時13分