高市首相は「右翼ポビュリズム」か?
古賀茂明氏という元経済産業省の官僚がこんなことを言っています。
「私がよく知る著名な政治学者のA氏は、高市氏は、右翼的思想に共鳴はしているかもしれないが、その本質は「右翼的ポピュリスト」に過ぎず、本当の意味での保守、あるいは右翼とは言えないと指摘した。高市氏は、社会全体が右傾化している流れに乗るため、あるいは安倍氏の歓心を買うために右翼的言動をしていたが、それは高市氏の確固たる思想を反映したものではないというのだ」
(アエラ10月28日)
高市首相は真の保守政治家ではなく「右翼的ポピュリスト」! 世論に迎合して戦争準備に突き進む「軍国主義政権」誕生の危機 古賀茂明(AERA DIGITAL) - Yahoo!ニュース
ま、この人一流のポジショントークみたいなもので、その時の気分で都合のいい情報を拾ってきてなにかもっともらしいことを言います。
そして悔しそうにこうも書いています。
「確かに、高市氏は、総裁選の途中から、極端に右翼的な言動をぱったりと止めた。同氏の政治姿勢を最も象徴的に表す「首相になっても靖国神社に参拝する」という立場を放棄し、「適時適切に判断する」としていたが、10月17日に始まった同神社の秋の例大祭への参拝を首相就任前であるにもかかわらず見送った。
首相就任直後に予定されるASEAN関連首脳会議、トランプ米大統領との首脳会談、APEC首脳会議、さらには現在模索中の習近平中国国家主席との会談などに悪影響を与えることを恐れてのことだ。その判断自体は、極めて賢明だが、高市氏の最も重要な政治信条と見られていたことの一つをあっさりと曲げたということは記憶しておくべきだろう」
(アエラ前掲)
あたりまえだろうって。高市氏は「統治」する側に身を置いたのですよ。
しかもPMことプライムミニスターという責任者になった場合、自身の思想への献身ではなく国際秩序の維持を求められます。
靖国参拝をカード化している中韓が現に存在する以上、今はこちらから靖国を外交の焦点化させない配慮は当然です。
そして今後やるなら慎重に、トランプと共に参拝するくらいのことは考えても良いでしょう。
つまり塩梅なのです。
バランスといってもいいかもしれませんが、国民からすれば保守思想の体現のために総理になってもらったわけではなく、この国を豊かで強靱な者に変えていくためになってもらっているのです。
高市氏はやたらと「超保守主義」とか「右翼ポピュリスト」なんてレッテルを貼られていますが、そうとうに見当違いです。
たしかに高市政権の誕生はトランプ政権の誕生や、いまや政権を取らんばかりの勢いの「ドイツのための選択肢」(AfD)、フランス野党「国民連合」のルペン、あるいはイタリアのメローニ政権と似ていなくもありません。
それは行き過ぎたリベラリズムがポリコレや移民政策に代表されるように自家中毒を起こしたことに、国民全体が嫌気がさしているからです。
18世紀、まるで熱に浮かされたように自国民を虐殺し、国土と文化を破壊し続ける革命フランスを、海峡の向こうで冷やかに見ていた英国人のエドモンド・バークは、こう述べています。
「正しい目標をめざすかぎり、社会の変化は抜本的であればあるほど良い、と見なす考え方と規定しうる。ここからは当然、「正しい目標をめざすかぎり、社会の変化は急速であればあるほど良い」という結論も導かれよう。
かくして成立するのが、いわゆる急進主義の理念にほかならない。フランス革命が真に重要なのは、「自由・平等・博愛」を謳ったことや、人権宣言を採択したことにあるのではなく、急進主義に基づく史上初の大規模な革命だったことにあるのだ」
(『フランス革命の省察』)
保守思想とは、福田恆存が『常識とはなにか』で述べているように要は「常識」のことです。
属人的なものではなく、集団の中で「普通」とされる考え方や行動を指します。
それは現状維持を基本原則とします。
小さくは電車の中で騒ぐな、ゴミは捨てるな、川や山はキレイにしろ、大きくは国境を実力で変更するな、近隣諸国に脅威となるような軍拡はするなといったようなことです。
あるいはこうも言えるかもしれません。
じぶんの国の国益は最大限守るのは当然ですが、行き過ぎて自国中心主義に陥って国際協調を乱すな。
なんだあたりまえだと言うなかれ、保守思想とはあたりまえのことをあたりまえに主張し、生き抜く意志のことなのです。
高市氏は安倍氏の国際協調主義の今様の形なのです。
《安倍晋三》 が10月26日未明に「トレンド入り」した 3つの理由… 高市政権のウラで、今なお強まる安倍氏の “影響力” (LASISA) - Yahoo!ニュース
安倍氏は早すぎた悲劇の政治家という側面があります。
彼が首相を務めた時期の米国は、尖閣問題でも態度をあいまいにし続けたことに現れているように、対中姿勢が明確ではありませんでした。
そしてそれを絶好の機会と見た中国は、尖閣を守ることを日本軍国主義の復活として批判し、米国にかつて共に大戦で戦った同志ではないかと呼びかけました。
そしてコロリと米国リベラルはこのロジックにはまってしまったのです。
それをよいことに中国は南シナ海に軍事進出をして領土拡張を行い、国内では少数民族弾圧を強化し、香港の民主主義を弾圧しました。
韓国は異形なナショナリズムの虜と化して従軍慰安婦問題を世界に喧伝して回りました。
これに対して戦った安倍氏は報道の自由を弾圧する極悪人呼ばわりされてしまいました。
このプロパガンダに多くの国民も納得してしまったのです。
これは2014年8月の朝日の謝罪まで続きます。
つまり、安倍氏の悲劇は「早すぎた」のです。
今の高市氏は時代を捉えています。
というか時代が追いついたのかもしれません。
多くの国民は、ウクライナ戦争を見て、いままでリベラルがことあるごとに言ってきた「戦争など起こるはずがない。そういうのは日本を軍国化したい極右だけだ。平和を祈っていればよいのだ」という言説が虚偽だとわかってきました。
日本の領土と国民の命を守る必要性は、とりもなおさず国際秩序を守ることに繋がることを、ほぼすべての国民が理解しつつあります。
かつてあれほど支配的だった左翼メディアが、いまや見る影もなく衰退しているのを見ればそれはよくわかります。
このように見てくると、古賀某が言うような高市氏が「右翼ポピュリズム」だというご託宣のなんと弱々しいことよ。
ああ、それにしても安倍氏に今の高市首相の姿を見せたかった。
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