小泉大臣、すいません(汗)
先週、イ.ジェミョンが米国と原潜建造の承認をもらったことにふれて、小泉大臣も原潜を欲しがっていると批判しました。
そしてこの小泉氏の発言を紹介しました。
「小泉進次郎防衛相は6日のTBS番組で、原子力潜水艦導入について、トランプ米大統領による韓国の原潜建造承認に触れた上で「まわりの国々は皆、原潜を持つ」と述べ、前向きに検討する姿勢をにじませた。潜水艦の動力について「今までのようにディーゼルか、それとも原子力かを議論していかなければいけないくらい日本を取り巻く環境は厳しくなっている」と述べた」
(産経11月6日)
小泉防衛相、原子力潜水艦「まわりの国々はみんな持っている」 安保環境厳しく、議論必要(産経新聞) - Yahoo!ニュース
この小泉大臣の意図を、どうやら短絡して解釈した可能性があるので修正しておきます。
ことの起こりは、防衛省が設置した防衛力の抜本的強化に関する有識者会議でこのような提言があったことが発端です。
有識者会議提言は今年9月19日に公表されたもので、この最終章にこうあります。
「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」 報告書 令和7年
siryo06_02.pdf
提言① 防衛力抜本的強化の7本柱の推進と戦略装備の導入による抑止力・対処力の一層の強化
●VLS(垂直発射装置)搭載潜水艦
潜水艦は隠密裏に展開できる戦略アセットである。スタンド・オフ防衛能力を具備させれば抑止力の大幅な強化につながるため、重視して整備を進めていくべきである。長射程のミサイルを搭載し、長距離・長期間の移動や潜航を行うことができるようにすることが望ましく、これを実現するため、従来の例にとらわれることなく、次世代の動力を活用することの検討も含め、必要な研究を進め、技術開発を行っていくべきである。
この有識者会議の提言は非常に多岐にわたっており、一読に値します。
これを読まないで小泉氏発言だけを切り取ると、唐突の感がしますが、非常に大きな全体の一部にすぎません。
「防衛省が設けた「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」は9月、原子力潜水艦を念頭に「次世代の動力」を活用した潜水艦の導入検討を提言しました。海上自衛隊の潜水艦はやしお艦長を務めた伊藤俊幸元海将(金沢工業大学虎ノ門大学院教授)によれば、会議では「原潜」という言葉も出ていたそうです。
ただ、2011年3月の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故から、日本国内で「反核アレルギー」が更に強まったと判断し、「次世代の動力」という表現にとどまったそうです」
日本が原子力潜水艦を保有する日は来るのか? 廃絶論VS抑止論を超えた議論が必要な時代が到来も
まず私に誤解があったのは、小泉氏が既存の原潜の技術移転を望んだように解釈したことです。
どうやら私の間違いのようです。
GDEB、バージニア級潜水艦の建造で米海軍と契約 – 旅行業界・航空業界 最新情報 − 航空新聞社
米海軍のヴァージニア級原潜(SSN)は、建造計画は前世紀から始まっており 2000年から建造が始まり、2023年10月14日には21隻目の「ハイマン・G・リッコーヴァー」が就役しました。
この特徴は、そのVLSの多さです。
弾道ミサイルを搭載しないタイプながら、対艦・対地攻撃や特殊部隊の輸送など多様な任務に対応できます。
魚雷発射管に加え、巡航ミサイル「トマホーク」の垂直発射機(VLS)モジュールも備えており、ブロックIVまでは12基のトマホーク発射モジュールを搭載していますが、ブロックVでは船体を延長し、40基まで増強されています。
バージニア級原子力潜水艦 - Wikipedia
搭載されている原子炉はジェネラルエレクトリックの「S9G」と呼ばれ、練れた潜水艦向け原子炉ですが、開発されたのは前世紀であってとうてい「次世代動力」とは呼べないでしょう。
S9G (原子炉) - Wikipedia
ところで日本が今後導入すべき潜水艦にVLS(垂直発射機)は必須ですが、現在の最新鋭潜水艦の「たいげい」ですらVLSを搭載することは事実上無理があります。
「海自は、2022年12月に策定された安保3文書に基づき、長射程巡航ミサイル「スタンド・オフ・ミサイル」を発射できる垂直発射型ミサイル搭載潜水艦(SSG)の開発と取得を目指している。
たいげい型は原潜に比べて船体が小さく、電力供給も限られているため、垂直発射装置(VLS)を搭載するのは依然として困難だ。
日本が水中から長射程ミサイルを発射できるVLSを搭載した新型潜水艦を建造する場合、新型潜水艦の船体を現在よりも大型化し、追加の電力供給能力を確保する必要がある」
(高橋浩祐 10月14日)
高橋浩祐 - エキスパート - Yahoo!ニュース
海自の最新潜水艦たいげい型6番艦「そうげい」が命名・進水 漢字では「蒼鯨」 旧海軍での命名実績なし(高橋浩祐) - エキスパート - Yahoo!ニュース
海自は、2022年12月に策定された安保3文書に基づき、長射程巡航ミサイルであるスタンド・オフ・ミサイルを発射できる垂直発射型ミサイル搭載潜水艦(SSG)の開発を目指しています。
しかしこれですらVLSは3基です。
垂直発射型ミサイル搭載潜水艦(SSG)
「防衛省は、この新型潜水艦発射型ミサイルの開発を三菱重工業が契約者となって2023年度から始めた。2027年度に開発を完了する予定だ。2025年度予算では、その研究費として297億円を計上した。2025年度から2029年度まで研究試作を実施する。
一方、12式地対艦誘導弾能力向上型(艦発型)は、陸上自衛隊の12式地対艦誘導弾をベースとした、12式地対艦誘導弾能力向上型で最大射程は約1500キロメートル。今回は水上艦向けのものだが、将来はSSGのVLSでの発射を視野に入れている。ただし、潜水艦への装備には時間がかかるとみられる」
(高橋前掲)
このような垂直発射型ミサイル搭載潜水艦(SSG) が実戦配備されるのは、2029年度計画艦からで2034年ごろの就役になると高橋氏はみています。
また動力も、今の段階では新型の超小型原子炉(マイクロ炉)や小型モジュール炉(SMR)ではなく、全固体電池と燃料電池ではないかと見られます。
それでもなお小型であるために拡張性に難があり、搭載可能なVLSには限界があります。
新型原子炉を初めから視野の外に置いてSSGを構想してよいのか、というのが小泉氏の発言の真意のようです。
この新型原子炉は既存の原発のリプレイス(置き換え)問題も含めてもっと大きな議論が必要です。
常日頃の軽薄な発言に引きづられて、ついこれを矮小化したことはごめんなさい。
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小泉くんは「良い大人」に軌道修正されながら進ませれば、きちんと仕事ができるのです。
でもこれまで彼に関わってきた大人達は、「ポストだけ与えて何も教えず放置」か「おかしな方向にそそこかす」ダメ上司か、「頼んでもないのに違反行為ばかりやる」ダメ同僚ばかりでした。
今の上司(高市)は、自由にやらせてくれないし、不要なこと言ったら叱るでしょう。でも、ようやく、彼の真価が問われる時が来たのです。
ってところでしょうか。50前後でそれやってるのは、前にも書きましたが情けないとは思いますが。でも仕方ない。
投稿: ねこねこ | 2025年11月10日 (月) 08時40分
小泉さんの防衛大臣は、今のところ大当たりだとおもいますよ。
変な失言もしないし。
投稿: らべんだーさん | 2025年11月10日 (月) 21時57分